はじめてのAI導入公開日

生成AIの活用事例——中小企業の業務別20例と、そのまま使える指示文・試し方・向かない使い方

結論

中小企業での生成AIの活用事例は、総務・経理・営業・採用・問い合わせ対応・社内共有といった部署で、メールや書類の下書き、長い文章の要約、表や文の整理、案出しを任せる使い方が中心です。どの使い方でも、生成AIが作るのは「たたき台」で、金額・日付・約束になる内容は人が確認してから使うのが前提です。この記事では、業務別20例の一覧表と、そのまま使える指示文の例、自社で試す手順をまとめます。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、中小企業における生成AIの業務別の活用事例と、そのまま使える指示文(プロンプト)の例、自社で試す手順と向かない使い方について解説します。「生成AIが仕事に使えるのはわかったが、うちの会社では具体的に何に使えばいいのか」「ほかの会社がどう使っているのか、活用事例を一覧で見たい」。経営者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。生成AI(文章や画像を新しく作るAI)は、使い方の幅が広いぶん、最初の1つが決めにくい道具です。この記事では「生成AI 活用事例」を探している経営者の方に向けて、10〜50名規模の会社でよくある業務ごとに、生成AIで何ができるかを20例の表にまとめます。あわせて、そのままコピーして使える業務ごとの指示文(プロンプト)の例、自社で試すときの5つの手順、生成AIに向かない使い方と入力してはいけない情報を、AI社員を提供している当社の立場から説明します。

生成AIの活用事例は「書く・まとめる・整える・案を出す」の4つに分けると探しやすい

生成AIの活用事例はたくさん紹介されていますが、仕事での使い方は、おおむね次の4つの型に分けられます。自社の業務を探すときは、部署名からではなく「この作業はどの型か」から考えると見つけやすくなります。

型生成AIがやること向いている作業の例
書く目的と条件を伝えると、文章の下書きを作るメールの返信、お知らせ、求人票、提案書の文章
まとめる長い文章や記録を、短く要点に整理する議事録、日報、アンケートの自由回答、規程の要約
整える文章や情報の形をそろえる・直す表への整理、言い回しの統一、誤字の指摘、やさしい言葉への書き換え
案を出す考えるきっかけになる候補を複数出す見出しの案、質問のリスト、企画の切り口、想定される反論

4つの型に共通するのは、生成AIは「それらしい文章」を作るのが得意で、内容が正しいかどうかは保証しないという点です。生成AIは、たくさんの文章から学んだ言葉のつながり方をもとに文章を作ります。そのため、知らないことでも、もっともらしく書いてしまうことがあります。

ですから、どの活用事例でも「生成AIが下書きし、人が確認して仕上げる」という分担が基本になります。生成AIのしくみそのものは生成AIとは?わかりやすく簡単に解説で説明しています。

生成AIの活用事例一覧——中小企業の業務別20例(使い方と人が確認する点)

10〜50名規模の会社でよくある業務を、部署ごとに20例まとめました。ここに挙げているのは「こういう使い方ができる」という一般的な例です。右端の列は、生成AIの答えをそのまま使わず、人が必ず確かめたい点です。

部署業務生成AIの使い方人が確認する点
総務1. 社内のお知らせ伝えたい要点を箇条書きで渡し、全社向けの文章にする日付・場所・締め切り
2. 規程の要約就業規則などの条文を、社員向けのやさしい説明に書き換える元の条文と意味がずれていないか
3. 議事録会議のメモや文字起こしから、決定事項・宿題・期限を整理する担当者名と期限
4. 案内文・お礼状取引先への案内やお礼の文面を、場面に合わせて下書きする相手の社名・役職・敬語
経理5. 支払い・請求の連絡請求書の送付や入金確認の連絡メールを下書きする金額・支払期日・振込先
6. 経費精算ルールの説明社内からよく出る質問に、ルールをもとにした回答案を作る最新のルールと合っているか
7. 月次のコメント売上や経費の数字を渡し、前月との違いを説明する文の案を作る数字の読み違い・計算
営業8. 商談後のお礼メール商談メモから、お礼と次の段取りを伝えるメールを下書きする約束した内容・日程
9. 提案書の構成相手の課題を渡し、提案書の目次と各ページの要点を出す自社が実際に提供できる内容か
10. 商談の準備相手の業種で聞かれそうな質問と、答え方の案を出す自社の実績・条件と合っているか
11. 商品説明の書き換え専門的な商品説明を、相手の業種に合わせた言葉に直す仕様・価格・できないこと
採用12. 求人票仕事内容と条件を渡し、求人票の文章を下書きする給与・勤務時間などの条件、法令上の表現
13. 応募者への連絡応募のお礼、面接日程の案内、結果の連絡文を下書きする日時・氏名・合否の取り違え
14. 面接の質問求める人物像から、面接で聞く質問の候補を出す聞いてはいけない質問が入っていないか
問い合わせ15. 返信の下書き問い合わせの文と回答の材料を渡し、返信を下書きする回答内容・送る前の最終確認
16. よくある質問集過去の問い合わせを渡し、質問と回答の一覧にまとめる回答が今も正しいか
17. お詫び・クレームの文面事実関係を渡し、お詫びと対応を伝える文面の案を作る認める範囲・約束する内容(責任者が確認)
社内共有18. 日報・週報のまとめ複数の日報から、共有すべき出来事と課題を要約する抜け落ちた重要な出来事がないか
19. 手順書・マニュアル作業の手順を話し言葉で渡し、番号つきの手順書に整える実際の手順と合っているか
20. 研修・勉強会の資料テーマと対象者を渡し、資料の構成と確認テストの案を作る内容の正しさ・自社の事情に合うか

20例を見ると、生成AIに任せやすいのは「材料は人が持っていて、文章にする手間がかかっている作業」だとわかります。反対に、材料そのもの(金額・日程・事実)を生成AIに考えさせる使い方は、確認の手間が増えるだけになりがちです。業務の時間をどれだけ減らせるかという観点での事例は、AIで業務効率化するには?部門別の事例で紹介しています。

そのまま使える指示文(プロンプト)の例——業務別6つ

生成AIへの指示文(プロンプトとも呼びます。AIに出す依頼の文章のことです)は、「役割」「目的」「材料」「出してほしい形」「条件」の5つを入れると、答えが安定します。ここでは、上の一覧から6つの業務について、【 】の中を書き換えればそのまま使える例を示します。

1. 社内のお知らせ(総務)

指示文の例

あなたは社内の総務担当です。次の要点をもとに、全社員向けのお知らせ文を作ってください。要点:【健康診断を実施/日時/場所/持ち物/受けられない場合の連絡先】。条件:400字以内、です・ます調、日時と締め切りは箇条書きにする、書かれていないことは足さない。

2. 議事録の整理(総務・社内共有)

指示文の例

次の会議メモを、「決まったこと」「宿題(担当者・期限)」「次回までに確認すること」の3つに分けて整理してください。メモに書かれていない担当者や期限は「未定」と書き、推測で埋めないでください。会議メモ:【ここに貼り付け】

3. 商談後のお礼メール(営業)

指示文の例

あなたは【業種】の会社の営業担当です。次の商談メモをもとに、お客様へのお礼メールを作ってください。商談メモ:【話した課題・こちらから約束したこと・次回の日程】。条件:300字前後、売り込みの言葉は入れない、約束したことは箇条書きで確認する形にする。

4. 求人票の下書き(採用)

指示文の例

次の内容で、求人票の「仕事内容」と「この仕事の魅力」の欄の文章を作ってください。内容:【職種/1日の仕事の流れ/使う道具やソフト/チームの人数】。条件:未経験の人にもわかる言葉で、給与や休日など条件の数字は書かない(こちらで書き入れます)。

5. 問い合わせへの返信(問い合わせ)

指示文の例

次のお問い合わせに対する返信の下書きを作ってください。お問い合わせ:【本文を貼り付け】。回答の材料:【答えてよい内容】。条件:材料にないことは答えず「担当者から改めてご連絡します」と書く、最初に問い合わせへのお礼を入れる、250字以内。

6. 日報のまとめ(社内共有)

指示文の例

次の【5人分・1週間】の日報を読み、経営者向けに「今週の主な出来事」「困っていること・相談が必要なこと」「来週の予定」を、それぞれ3点以内でまとめてください。だれの日報から取った内容かを( )で添えてください。日報:【ここに貼り付け】

どの例にも「書かれていないことは足さない」「わからない部分は未定と書く」といった条件を入れています。生成AIがもっともらしい内容で空白を埋めてしまうのを防ぐための一文で、これがあるだけで確認の手間が大きく減ります。部署別にさらに多くの例を見たい場合は、仕事で使えるプロンプト集(部署別48例)をダウンロードしてお使いください。

生成AIの活用を自社で試す5つの手順

活用事例を読んだら、まずは1つの業務で試してみるのが近道です。次の5つの手順で進めると、1〜2週間ほどで「自社で使えるかどうか」を判断できます。

  1. 試す業務を1つ選ぶ:上の20例から、毎週くり返していて、文章を書くのに時間がかかっている業務を選びます
  2. 会社として使ってよい生成AIを決める:社員がそれぞれ好きなサービスを使うのではなく、入力した内容が学習に使われない設定や、会社向けのプランかどうかを確かめたうえで、使うものを1つに決めます
  3. 指示文を作り、同じ作業で3〜5回試す:3章の例をもとに指示文を作り、実際の材料(個人情報は伏せる)で試します。答えがずれたら、条件を1つずつ足して直します
  4. かかった時間を比べる:自分で書いた場合と、生成AIの下書きを直した場合の時間を、それぞれおおよそで記録します
  5. うまくいった指示文を社内で共有する:使えた指示文は、業務名をつけて共有の場所に保存し、ほかの人も同じように使えるようにします

試す前に確かめておくこと

  • 入力してよい情報と、入力してはいけない情報が決まっているか
  • 生成AIの答えを、だれが確認してから使うかが決まっているか
  • 試す人が1人に偏らず、業務を担当している人が参加しているか
  • 比べるための「いまの作業時間」をおおよそでも把握しているか
  • うまくいかなかった場合に、元のやり方に戻せるか

社内のルールづくりについては、生成AIのガイドラインと、自社ルールに落とすときに押さえる点でくわしく解説しています。

生成AIに向かない使い方と、入力してはいけない情報

生成AIは便利な道具ですが、使い方を間違えると、かえって手間や心配ごとが増えます。次のような使い方は避けるか、人の確認を必ずはさむようにします。

向かない使い方理由代わりにどうするか
事実や数字を調べさせるもっともらしい誤りを書くことがある数字や事実は人が用意し、生成AIには文章にする作業だけを任せる
計算や集計をそのまま使う長い計算で間違えることがある計算はExcelなどで行い、結果の説明文だけを作らせる
法令・契約の判断をさせる最新の法令や個別の事情を反映していない場合がある論点の整理に使い、判断は専門家や公式の情報で確かめる
確認なしでお客様に送る誤りや失礼な表現がそのまま外に出る送る前に担当者が読む工程を必ず残す
人の評価や合否を決めさせる判断の理由を説明できず、偏りが入るおそれがある要約や論点の整理までにとどめ、決めるのは人にする

入力してはいけない情報

生成AIのサービスによっては、入力した内容がサービスの改善に使われる設定になっている場合があります。会社として使い方を決めるまでは、次の情報は入力しないようにしましょう。

  1. お客様や社員の個人情報:氏名・住所・電話番号・マイナンバー・健康に関する情報など
  2. 取引先から預かった秘密の情報:契約で外に出さないと約束している図面・価格・計画など
  3. 社外に出していない自社の情報:未発表の新商品、決算前の数字、人事の情報など

どうしても使いたい場合は、名前を「A社」「Bさん」に置き換えるなど、だれのことかわからない形にしてから入力します。扱いのルールはサービスや契約によって異なるため、最新の情報は各サービスの公式サイトで確認してください。

指示文を毎回書く手間までなくすには、業務の流れに生成AIを組み込む

ここまでの活用事例は、社員が生成AIの画面を開き、指示文を貼り付けて使う形です。始めやすい反面、使う人によって答えの質がばらついたり、忙しいときには結局使われなくなったりすることもあります。

次の段階として、生成AIを業務の流れそのものに組み込む方法があります。たとえば、メールが届いたら自動で内容を読んで返信の下書きを作る、書類が届いたら必要な項目を読み取って一覧に入れる、といった形です。社員は指示文を書かず、出来上がったものを確認するだけになります。

業種・規模担当対象の業務導入前導入後
製造業(従業員30名規模)事務担当受注書の入力1日2時間15分
不動産(従業員15名規模)問い合わせ担当問い合わせへの初回返信半日10分
介護(職員50名規模)事務担当毎月のシフト作成2日半日

上の表は、当社がAI社員として、こうした「業務の流れへの組み込み」を支援した導入事例です。どれも、生成AIに任せる部分と人が確認する部分を最初に分けたうえで仕組みにしています。当社自身も社内の業務にAIを使い、月 約480時間の作業を減らし、月 約100万円(社員3名分×月給33万円で計算)の人件費を浮かせています。

ポイント

まずは社員が画面で試し、「この業務では毎回同じ指示文を使っている」とわかったものから組み込みに進むと、無駄がありません。手順2〜5で記録した時間と指示文が、そのまま組み込みの設計の材料になります。

当社のAI社員は、初期費用+月5万円(保守・相談・メンテナンス無制限、契約12か月、税別、AIの利用料は実費)で、構築期間はジュニアで2週間程度、ミドルで1か月程度、最短2週間で稼働します。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。これまで建設・設備、医療・介護、製造、教育、物流、食品、不動産、出版・印刷、人材、士業・会計の約90社からご相談をいただいてきました。「20例のうち、うちならどれから始めるべきか」という段階でもかまいません。月5万円のAI社員について、お気軽にご相談ください。

よくある質問

生成AIの活用事例にはどんなものがありますか?

中小企業では、社内のお知らせや議事録の作成(総務)、支払い連絡の下書き(経理)、商談後のお礼メールや提案書の構成(営業)、求人票や応募者への連絡(採用)、問い合わせへの返信の下書き、日報のまとめなどがよくある使い方です。いずれも生成AIが下書きを作り、人が確認して仕上げる形が基本です。

企業は生成AIを仕事でどう活用していますか?

多いのは、文章を書く・長い文章をまとめる・形を整える・案を出す、の4つの使い方です。材料(数字や事実)は人が用意し、文章にする手間を生成AIに任せると効果が出やすくなります。

生成AIを仕事で使うとき、指示文(プロンプト)はどう書けばよいですか?

「役割」「目的」「材料」「出してほしい形」「条件」の5つを入れると答えが安定します。特に「書かれていないことは足さない」「わからない部分は未定と書く」という条件を入れておくと、もっともらしい誤りを防ぎやすくなります。

生成AIの活用で注意することは何ですか?

事実や数字を調べさせない、確認せずにお客様へ送らない、個人情報や取引先の秘密の情報を入力しない、の3点が基本です。会社として使うサービスと入力してよい情報を決めてから使い始めてください。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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