業務別の自動化公開日

AIで業務効率化するには?——事務・経理・営業・採用・問い合わせ対応の部門別事例と、効果が出やすい業務の見分け方

結論

AIで業務効率化するには、部門ごとに「書類やメールを読む」「情報をまとめる」「文章を下書きする」「決まった形に入力する」といった、毎日くり返している手作業をAIに任せ、人は確認と判断だけを受け持つ形にするのが近道です。効果が出やすいのは、件数が多い・形がある程度決まっている・間違えても人の確認で止められる、の3つがそろった業務です。当社の導入事例でも、受注書の入力が1日2時間から15分に、問い合わせへの初回返信が半日から10分になるなど、こうした業務で大きく時間が減っています。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、AIによる業務効率化の部門別の事例(事務・経理・営業・採用・問い合わせ対応)と、効果が出やすい業務の見分け方について解説します。「AIで業務効率化と言われても、うちの会社のどの仕事に使えるのかがわからない」「ほかの会社がどんなことに使っているのか、事例を見てから考えたい」。経営者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。ニュースで見るAIの話は大企業や特別な使い方が多く、10〜50名規模の会社の毎日の仕事とどうつながるのかが見えにくいのも無理はありません。この記事では、「AI 業務効率化 事例」を探している経営者の方に向けて、事務・経理・営業・採用・問い合わせ対応の部門ごとに、AIに任せやすい作業の例を表で整理します。あわせて、当社が実際に支援した3つの導入事例、効果が出やすい業務を見分ける5つの質問、効果が出にくい業務の特徴、最初の1業務を決めてから広げるまでの進め方を、AI社員を提供している当社の立場から説明します。

AIによる業務効率化は「読む・まとめる・下書きする・入力する」作業から始める

AIで業務効率化できる作業は、部門が違っても、おおむね次の4つの型に分けられます。AIは文章や書類の中身を読み取り、意味をつかんで、決まった形に整えるのが得意だからです。

作業の型AIがやることよくある業務の例
読む紙・PDF・メールから必要な項目を取り出す受注書、請求書、領収書、応募書類
まとめる長い文章や多くのデータを短く整理する議事録、日報、アンケート、商談メモ
下書きする決まった目的の文章のたたき台を作る問い合わせへの返信、見積書、求人票、お知らせ
入力・照合する決まった形に書き写し、別のデータと突き合わせる販売管理への入力、入金と請求の消込、勤怠のチェック

反対に、「何をするか自体を決める」「お客様との関係を考えて判断する」といった仕事は、AIだけに任せるのには向きません。AIは渡された情報をもとに案を出すことはできますが、会社としての判断の責任は人が持つ必要があるからです。

そのため、AIによる業務効率化は「人の仕事をまるごとAIに置き換える」よりも、1つの業務の中の、手を動かしている時間をAIに任せ、人は確認と判断に集中するという考え方で進めると、うまくいきやすくなります。

ポイント

「AIで何ができるか」から考えると、話が大きくなりがちです。「この作業のうち、読む・まとめる・下書きする・入力する時間はどれくらいか」と、自社の作業を4つの型に当てはめて考えると、AIに任せる範囲が見えてきます。

AI業務効率化の部門別事例:事務・経理・営業・採用・問い合わせ対応でできること

ここでは、中小企業でよくある部門ごとに、AIに任せやすい作業の例を整理します。表に挙げているのは、たとえばこのような使い方があります、という一般的な例です。自社の業務に近いものから見てください。

部門AIに任せやすい作業の例人が受け持つこと
事務・総務FAXやPDFで届く受注書の読み取りと入力、議事録の作成、社内の質問への回答、勤怠の締めのチェック読み取りに自信がない項目の確認、規程の判断が分かれる質問への回答
経理領収書・請求書の読み取りと仕訳の案、入金と請求の突き合わせ(消込)の候補づけ、請求漏れの候補の洗い出し仕訳と消込の確定、支払いの承認
営業見積書の下書き、商談メモからの案件一覧の更新、提案書の構成案、見積後のフォロー連絡の下書き価格・納期など約束になる内容の確認、提案の方針
採用求人票の下書き、応募者への返信と面接の日程調整、応募書類の要約、選考結果の連絡文の下書き合否の判断、面接、条件の最終確認
問い合わせ対応メールやLINEの内容の分類と担当への振り分け、返信の下書き、在庫・納期の問い合わせへの回答案クレームや例外的な問い合わせへの対応、送る前の確認
現場・管理職日報・週報の集計と要約、作業報告書の下書き、月次の会議資料の集計とコメント案気になる点への指示、会議での判断

表を見ると、どの部門でも「AIがやること」と「人がやること」がはっきり分かれているのがわかります。AIが受け持つのは、件数が多く、毎回似た形でくり返す作業です。人が受け持つのは、お金や約束、人の評価にかかわる最終判断です。

部門をまたぐ業務にも使える

実際の業務は、1つの部門で終わらないことも多くあります。たとえば「問い合わせを受ける(問い合わせ対応)→見積を作る(営業)→受注を入力する(事務)→請求書を出す(経理)」という流れです。AIは、この流れの中で情報を次の担当へ渡す部分、たとえば問い合わせの内容から見積に必要な項目を抜き出して営業に渡す、といった使い方もできます。部門ごとの効率化に慣れてきたら、こうした「つなぎ目」の作業も候補になります。

経営者自身の業務にも使える

部門の担当者だけでなく、経営者自身の仕事にもAIで効率化できる作業があります。たとえば、各部門から上がってくる日報や報告をAIに要約させ、気になる変化だけを知らせてもらう使い方です。売上や粗利の数字を集計し、前月との違いにコメントの案を付けてもらえば、経営会議の準備にかかる時間も短くできます。また、取引先との打ち合わせの録音から決定事項と宿題を整理させれば、指示の出し忘れも防ぎやすくなります。経営者が自分で使ってみて手ごたえを感じると、社内に広げるときの説明もしやすくなるという利点もあります。

当社の導入事例:受注書の入力・問い合わせの初回返信・シフト作成

ここからは、当社がAI社員として実際に支援した事例を紹介します。いずれも10〜50名規模の会社で、特定の担当者に作業が集中していた業務です。

業種・規模担当対象の業務導入前導入後
製造業(従業員30名規模)事務担当受注書の入力1日2時間15分
不動産(従業員15名規模)問い合わせ担当問い合わせへの初回返信半日10分
介護(職員50名規模)事務担当毎月のシフト作成2日半日

製造業:受注書の入力を「確認するだけ」に

取引先ごとに形の違う受注書を、事務担当が1枚ずつ読んで入力していた業務です。AIが受注書から取引先名・品番・数量・納期を読み取って入力の形にそろえ、担当者は読み取りに自信がない項目だけを確かめる流れにしました。1日2時間かかっていた作業が15分になっています。

不動産:問い合わせへの最初の返信を速く

物件への問い合わせに、担当者が手の空いたときに返信していたため、返信までに半日かかることがありました。AIが問い合わせの内容を読み、物件情報をもとに返信の下書きを作る形にしたことで、初回の返信が10分ほどでできるようになりました。

介護:毎月のシフト作成の時間を短く

職員の希望休や資格、人員の決まりを見ながら、事務担当が毎月2日かけて作っていたシフトです。AIが条件をもとにシフトの案を作り、担当者は調整が必要なところだけを直す形にして、半日で終わるようになりました。

また、当社自身も社内の業務にAIを使っており、削減した時間は月 約480時間、浮いた人件費は月 約100万円(社員3名分×月給33万円で計算)になっています。3つの事例と当社の例に共通するのは、件数が多く、毎回似た形でくり返す作業を選んだことと、最終確認は人が行う形を残したことの2点です。

AIで効果が出やすい業務の見分け方:5つの質問でチェックする

事例を見て「うちでも使えそうだ」と思っても、どの業務から手を付けるかで結果は大きく変わります。効果が出やすい業務かどうかは、次の5つの質問で見分けられます。

AIで効果が出やすい業務かどうかを見分ける5つの質問

  • 毎日または毎週、同じような作業をくり返しているか
  • 1回あたりの時間、または月の合計時間が大きいか(担当者が「この作業に時間を取られている」と感じているか)
  • 入力元(書類・メール・データ)と、出来上がりの形がある程度決まっているか
  • 間違えても、送る・確定する前に人が確認して止められるか
  • その作業が特定の1人に集中していて、その人が休むと止まるか

当てはまる数が多いほど、AIに任せたときの効果が出やすく、失敗もしにくい業務です。特に、1つ目から4つ目までがそろっている業務は、最初の1業務の候補になります。5つ目は効果の大きさというより、「その人が休んでも業務が止まらない」という、会社にとっての安心につながる点です。

効果が出にくい業務の特徴

反対に、次のような業務は、AIを入れても効果が出にくいか、先に準備が必要です。

  1. 件数が少ない:月に数回しか発生しない作業は、仕組みを作る手間に対して減る時間が小さくなります
  2. 正解が人によって違う:担当者ごとにやり方がばらばらで、社内で「正しい処理」が決まっていない業務は、先にやり方をそろえる必要があります
  3. 入力元がそろっていない:必要な情報が担当者の頭の中にしかない、紙があちこちに散らばっている、といった状態では、AIが読む材料がありません
  4. 間違いが直接お客様に届く:人の確認をはさめない形で、そのまま外に出る作業は、確認の工程を作ってから任せます

ポイント

効果が出にくい業務も、「やり方をそろえる」「材料を1か所に集める」といった準備をすれば、AIに任せられる業務に変わることがあります。見送るのではなく、「準備が必要な業務」として一覧に残しておくのがおすすめです。

AIで業務効率化を進める手順:最初の1業務から部門をまたいで広げる

部門別の事例と見分け方がわかったら、次の手順で進めます。最初から全部門で一度に始めるより、1業務で効果を確かめてから広げるほうが、社内の理解も得やすくなります。

  1. 部門ごとに候補を3つずつ書き出す:上の表を参考に、各部門の担当者に「毎日・毎週くり返していて時間がかかる作業」を挙げてもらいます
  2. 5つの質問で絞り込み、最初の1業務を決める:当てはまる数が多く、効果を数字で確かめやすい業務を1つ選びます
  3. 今の作業時間を記録する:1回あたりの時間と月の件数を、1〜2週間ほど記録しておきます。導入後と比べるための基準になります
  4. AIと人の分担を決めて試す:AIに任せる作業と、人が確認する場面を決めて、小さく試します
  5. 数字で比べ、次の業務に広げる:記録した時間と比べて効果を確かめ、同じ型の作業がある別の部門に広げます

5つ目の「広げる」段階では、1つ目の業務と同じ型の作業を選ぶのがコツです。たとえば、受注書の読み取りがうまくいったなら、同じ「読む」型の領収書や請求書の処理へ、というように広げると、仕組みや確認のやり方を使い回せます。

導入期間と費用の目安

当社のAI社員の場合、構築期間は業務の大きさによって、ジュニアで2週間程度、ミドルで1か月程度が目安で、最短2週間で稼働できます。料金は初期費用+月5万円で、月額には保守・相談・メンテナンスが無制限で含まれます(契約12か月・税別、AIの利用料は実費)。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。

当社にはこれまで、建設・設備、医療・介護、製造、教育、物流、食品、不動産、出版・印刷、人材、士業・会計の約90社からご相談をいただいています。「どの部門のどの業務から始めればよいかわからない」という段階からでもかまいません。業務の流れを伺い、効果が出やすい業務の候補と、AIと人の分担の案をご提案しますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

AIで業務効率化するには、何から始めればよいですか?

毎日・毎週くり返していて時間がかかり、出来上がりの形が決まっている作業を1つ選ぶことから始めます。書類の読み取りや入力、問い合わせへの返信の下書きなどが候補になります。1業務で効果を確かめてから、同じ型の作業がある部門に広げるのがおすすめです。

AIによる業務効率化の事例にはどんなものがありますか?

当社の導入事例では、製造業の受注書の入力が1日2時間から15分に、不動産の問い合わせへの初回返信が半日から10分に、介護事業所の毎月のシフト作成が2日から半日になりました。ほかにも、経理の領収書の読み取りや、採用の日程調整、日報の要約などに使うことができます。

AIで業務効率化しやすいのはどの部門ですか?

部門よりも作業の型で考えると見分けやすくなります。書類やメールを読む・まとめる・下書きする・入力する作業が多い部門ほど効果が出やすく、事務・経理・問い合わせ対応はその代表です。営業や採用でも、見積や求人票の下書き、日程調整などは任せやすい作業です。

AIで業務効率化しても効果が出ないのはどんな場合ですか?

件数が少ない作業、担当者ごとにやり方が違い正解が決まっていない作業、必要な情報がそろっていない作業では、効果が出にくくなります。こうした業務は、やり方をそろえる・材料を1か所に集めるといった準備をしてから任せると、効果が出る場合があります。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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