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生成AIとは? 仕組みとできること・できないこと、中小企業の業務での使い方

結論

生成AIとは、大量の文章や画像などから学んだパターンをもとに、指示に応じて文章・画像・音声などを新しく作り出すAIのことです。文章の下書き、要約、書類からの情報の読み取りなどは得意ですが、事実と違う内容をもっともらしく答えることがあるため、業務では「AIが下書きし、人が確認する」形で使うのが基本です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、生成AIとは何か、仕組みとできること・できないこと、業務での使い方について解説します。生成AIという言葉はすっかり広まりましたが、「何ができて、何ができないのか」「自社の業務でどう使えばよいのか」がはっきりしないまま、なんとなく使っている、あるいは様子を見ているという会社も多いのではないでしょうか。この記事では、生成AIの仕組みを専門用語をできるだけ使わずに説明し、中小企業の業務での使い方と注意点を整理します。

生成AIとは:新しい文章や画像を「作り出す」AI

生成AIは、人の指示を受けて、文章・画像・音声・プログラムなどを新しく作り出すAIです。たとえば「取引先へのお詫びのメールを、丁寧な言葉で作って」と指示すると、その場で文面を作って返してくれます。

これまでのAIは、主に「分ける」「当てる」ことが得意でした。たとえば、迷惑メールかどうかを分ける、売上の数字から来月の需要を予測する、といった使い方です。これに対して生成AIは、新しいものを作ることができる点が大きな違いです。

項目これまでのAI生成AI
得意なこと分類・予測・判定文章・画像などを作る、要約する
使い方目的ごとに専用の仕組みを作るふだんの言葉で指示するだけで幅広い作業に使える
例迷惑メールの判定、需要予測メールの下書き、会議の要約、資料の読み取り

生成AIの中でも、文章を扱うものは「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれる仕組みが使われています。チャット形式で質問に答えるサービスの多くは、この大規模言語モデルを使っています。

生成AIの仕組み:学んだパターンから「続き」を作る

文章を作る生成AIの仕組みを、できるだけ簡単に説明すると、次のようになります。

  1. 大量の文章を学ぶ:書籍やWebの文章など、膨大な量の文章を読み込み、「この言葉の次には、どんな言葉が来やすいか」というパターンを学びます
  2. 指示を受け取る:人が入力した質問や指示(プロンプトと呼ばれます)を受け取ります
  3. 続きの言葉を順に選ぶ:指示の内容をふまえて、次に来る言葉としてふさわしいものを1つずつ選びながら文章を作っていきます

つまり、生成AIは辞書や資料を調べて正解を答えているのではなく、学んだパターンから「それらしい続き」を作っているのが基本の仕組みです。この仕組みのおかげで、自然な文章を幅広く作れる一方、事実と違うことをもっともらしく書いてしまうことがあります。

ポイント

生成AIの答えは「それらしい文章」であって、必ずしも「正しい事実」ではありません。この性質を知っておくことが、業務で安全に使うための第一歩です。

最近は、答える前に社内資料やWebを検索して、その内容をもとに答える仕組みも広く使われています。資料を確認してから答えるため、事実と違う回答を減らしやすくなります。

生成AIができること・できないこと

生成AIは万能ではありません。業務で使う前に、得意なことと苦手なことを整理しておきましょう。

生成AIが得意なこと

  • 文章の下書き:メール、報告書、提案書、案内文などのたたき台を作る
  • 要約と整理:長い資料や会議の記録を短くまとめる、箇条書きに整理する
  • 書き換え:言葉づかいを丁寧にする、相手に合わせて表現を変える、翻訳する
  • 情報の読み取り:受注書や請求書、問い合わせの文面から、必要な項目を抜き出す
  • アイデア出し:企画の案や、質問への回答の候補を複数出す

生成AIが苦手なこと

  • 正確さが保証された事実を答えること:数字や固有名詞、法令の内容などを間違えることがあります
  • 最新の情報を知っていること:学習した時期より後のできごとは、検索などの仕組みがなければ知りません
  • 社内の事情を知っていること:社内の規程や取引先との経緯は、資料を渡さなければわかりません
  • 責任を持った最終判断:契約・採用・支払いなど、責任が伴う判断は人が行う必要があります

生成AIが事実と違う内容をもっともらしく答えることは「ハルシネーション」と呼ばれます。業務で使う場合は、この前提に立って、人が確認する工程を組み込むことが大切です。

中小企業の業務での使い方:3つの段階

中小企業が生成AIを業務で使う方法は、大きく3つの段階に分けて考えるとわかりやすくなります。

  1. 社員が個人で使う:チャット型のサービスで、メールの下書きや資料の要約に使います。すぐに始められますが、使い方が人によってばらつき、効果は使う人の工夫しだいになります
  2. 決まった作業の型をつくる:「問い合わせへの返信はこの型で」「議事録はこの形式で」など、よく使う指示を社内で共有します。誰が使っても一定の品質になりやすくなります
  3. 業務の流れに組み込む:メールやFAX、社内のシートなどとつなぎ、受注書の読み取りから入力、問い合わせへの返信案の作成までを、一連の流れとしてAIに任せます

1と2は、AIを「道具」として使う段階です。3まで進むと、AIが業務の一部を「担当」するようになり、効果が大きくなります。当社では、この3の段階を、特定の業務を担当する「AI社員」として構築しています。たとえば、当社が支援した製造業(従業員30名規模)では、FAXやPDFで届く受注書の入力をAIに任せ、1日あたりの入力作業が2時間から15分になりました。

最初に試しやすい業務の例

生成AIを試しやすい業務のチェックリスト

  • 毎回似た内容の文章を書いている(返信メール、案内文、報告書など)
  • 長い資料や記録を読んでまとめる作業がある
  • 書類から決まった項目を読み取って転記している
  • 間違えても、送る前・確定する前に人が確認できる

業務で生成AIを使うときの注意点

入力する情報に気をつける

無料で使えるサービスや個人向けの設定では、入力した内容がAIの学習に使われる場合があります。顧客情報や社外秘の情報を扱う場合は、入力したデータが学習に使われない法人向けのサービスや設定を選び、社内で「入力してよい情報・いけない情報」のルールを決めておきましょう。

人が確認する工程を残す

生成AIは間違えることがあるため、社外に送る文章や、数字・金額・日付を含む書類は、人が確認してから使うようにします。特に、送信・確定・支払いなど、後から取り消しにくい操作の前には必ず確認を入れます。

著作権や他人の権利に配慮する

生成AIが作った文章や画像が、既存の作品に似てしまう可能性はゼロではありません。社外に公開する文章や画像は、他人の権利を侵害していないかを確認してください。生成AIと著作権の関係については議論や制度の整理が続いているため、最新の情報は文化庁などの公式サイトで確認することをおすすめします。

使い方を社内でそろえる

社員がそれぞれ自己流で使うと、情報の扱いや品質にばらつきが出ます。使ってよいサービス、入力してよい情報、確認の手順を簡単なルールにまとめ、社内で共有しておくと安心です。

生成AIから期待どおりの答えを引き出す指示の出し方

生成AIの答えの質は、指示の出し方で大きく変わります。あいまいな指示には、あいまいな答えが返ってきます。業務で使うときは、次の5つを意識して指示を書くと、期待に近い答えが返ってきやすくなります。

  1. 目的を伝える:「何のために使う文章か」を書きます。例:「取引先に納期の遅れを伝え、お詫びするためのメール」
  2. 相手を伝える:誰に向けた文章かを書きます。例:「長く取引のある製造業の購買担当者」
  3. 材料を渡す:事実や数字、元になる資料を指示に含めます。生成AIは渡されていない社内の事情を知らないため、材料がないと推測で書いてしまいます
  4. 形式を指定する:文字数、箇条書きか文章か、敬語の度合いなどを指定します
  5. 確認してほしい点を伝える:「不明な点は推測せず、不明と書いてください」と添えると、もっともらしい作り話を減らしやすくなります

うまくいった指示は社内で共有する

一度うまくいった指示は、社内で共有して使い回すと、誰が使っても同じ品質の答えが得やすくなります。問い合わせへの返信、日報のまとめ、議事録の作成など、よく使う作業ごとに指示の型を用意しておくのがおすすめです。こうした型づくりは、前の章で説明した2つ目の段階にあたり、業務の流れに組み込む3つ目の段階へ進むための準備にもなります。

指示を工夫しても思うような結果が出ない場合は、そもそも生成AIに向いていない作業か、元になる資料やデータが足りていない可能性があります。その場合は、作業の切り分け方から見直してみてください。

よくある質問

生成AIとAIエージェントは何が違いますか?

生成AIは、指示に応じて文章や画像などを作るAIです。AIエージェントは、生成AIの考える力を使いながら、情報を集め、ツールを操作し、目的に向けて一連の作業を進める仕組みを指します。

生成AIの答えはどのくらい信用できますか?

文章の下書きや要約には十分役立ちますが、事実と違う内容をもっともらしく答えることがあります。数字や固有名詞、法令などは必ず原文や公式情報で確認してください。

無料の生成AIサービスを仕事で使っても大丈夫ですか?

サービスや設定によっては、入力した内容がAIの学習に使われる場合があります。顧客情報や社外秘の情報を入力しない、または学習に使われない法人向けの設定を選ぶなどのルールを決めてから使いましょう。

社内にAIに詳しい人がいなくても生成AIを業務に使えますか?

個人でメールの下書きなどに使うことは、すぐに始められます。業務の流れに組み込んで効果を大きくしたい場合は、外部に仕組みづくりと導入後の調整を任せる方法もあります。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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