AI導入の費用対効果を計算するExcelシートを無料ダウンロード——削減時間・回収時期・12か月の累計が自動で出る
結論
このページから、AI導入の費用対効果を計算するExcelシートを無料でダウンロードできます。費用対効果は「(AIで減る作業時間 − 確認の時間)× 時給 − 毎月の費用」で月の差し引き効果を出し、初期費用をその金額で割って、回収できる時期を見るのが基本です。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、AI導入の費用対効果の計算方法と、計算シートの使い方について解説します。AIの導入を検討するとき、「結局、元は取れるのか」は誰もが気になる点です。ところが、AIの効果は「時間が減る」という形で出るため、お金に換算しないと比べにくく、社内の説明でもつまずきがちです。この記事では、数字を入れるだけで費用対効果がわかるExcelシートを配布し、計算の考え方と、入れる数字の決め方を説明します。
AI導入の費用対効果の計算シート(Excel)は、ここから無料でダウンロードできます
費用対効果とは、かけた費用に対して、どれだけの効果(得られるもの)があるかを表すものです。AI導入の場合、効果の中心は「人の作業時間が減ること」なので、減った時間を時給でお金に換算して、費用と比べます。
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シートは、黄色のセルに入力すると、緑のセルが自動で計算される作りになっています。
| 入力するもの(黄色) | 自動で出るもの(緑) |
|---|---|
| AIに任せたい業務と、いまの月の作業時間 | 業務ごとの減る時間と、その合計 |
| AIで減る割合 | 月に減る作業時間(確認の時間を差し引いた後)、年間に減る作業時間 |
| 確認・修正の時間、時給 | 月の効果(金額) |
| 初期費用、毎月の費用、AIの利用料 | 月の差し引き効果、初期費用を回収できる時期 |
| 比べる期間 | 期間の累計効果、月ごとの累計の表とグラフ |
計算の考え方は「減る時間 × 時給 − 毎月の費用」
シートの中で行っている計算は、次の4つのステップです。式がわかっていれば、社内で説明するときにも自信を持って話せます。
- 月に減る作業時間=いまの作業時間 × AIで減る割合 − AIの結果を確認・修正する時間
- 月の効果(金額)=月に減る作業時間 × 時給
- 月の差し引き効果=月の効果 −(毎月の費用 + AIの利用料)
- 初期費用を回収できる時期=初期費用 ÷ 月の差し引き効果(か月)
記入例の数字で計算すると、次のようになります。
| 項目 | 記入例の数字 |
|---|---|
| 受注書の入力 | 月40時間 × 80% = 32時間 |
| 問い合わせへの一次返信 | 月20時間 × 60% = 12時間 |
| 請求書の確認 | 月10時間 × 50% = 5時間 |
| 月に減る作業時間 | 49時間 − 確認の時間 5時間 = 44時間 |
| 月の効果 | 44時間 × 時給2,000円 = 88,000円 |
| 月の差し引き効果 | 88,000円 −(月額50,000円 + 利用料3,000円)= 35,000円 |
この例では、毎月の費用を払っても、月に35,000円分の効果が残る計算になります。初期費用を入れると、それを何か月で回収できるかが表示されます。
ポイント
1の式で「確認・修正する時間」を差し引いているのが大切です。AIは間違えることがあるため、人の確認は必ず残ります。この時間を入れずに計算すると、効果を大きく見積もりすぎてしまいます。
入れる数字の決め方——作業時間・減る割合・時給
計算そのものは簡単ですが、結果を左右するのは入れる数字です。それぞれ、次のように決めると現実に近い数字になります。
| 入れる数字 | 決め方 |
|---|---|
| いまの作業時間 | 担当者に「1回あたり何分、月に何回」を聞いて計算します。業務棚卸しシートを使うと自動で出せます |
| AIで減る割合 | わからなければ、まず50%で計算します。入力や転記が中心の業務は高め、判断が多い業務は低めになります |
| 確認・修正の時間 | 最初は多めに見積もります。慣れてくると減っていきます |
| 時給 | 月給 ÷ 月の労働時間で計算します。たとえば月給33万円で月165時間なら、約2,000円です。社会保険料などの会社負担を含めると、実際の人件費はもう少し高くなります |
| 毎月の費用・初期費用 | 検討しているサービスの見積書の金額を入れます |
「AIで減る割合」の目安として、当社が実際にお手伝いした例を紹介します。
- 製造業(従業員30名規模)事務担当:受注書入力 1日2時間 → 15分
- 不動産(従業員15名規模)問い合わせ担当:初回返信 半日 → 10分
- 介護(職員50名規模)事務担当:毎月のシフト作成 2日 → 半日
業務の中身によって大きく変わるため、ここから自社の業務に近いものを参考にして、控えめの数字で計算することをおすすめします。
結果の読み方——「月の差し引き効果」がマイナスのときは
計算した結果は、次のように読みます。
- 月の差し引き効果がプラス:毎月の費用より効果が大きい状態です。初期費用を回収できる時期を見て、許容できる期間かを判断します
- 月の差し引き効果がマイナス:いまの前提では、毎月の費用の方が大きい状態です。シートでは赤字で表示され、回収できる時期は「回収できません」と表示されます
マイナスになった場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。次のような見直しを検討してください。
- 対象の業務を増やす:1つの業務だけでは小さくても、似た業務をまとめて任せると効果が大きくなります
- もっと時間がかかっている業務を選ぶ:業務棚卸しシートで、作業時間が長い業務を探し直します
- 数字以外の効果も考える:ミスの減少、残業の削減、担当者が休んでも業務が止まらないことなど、金額にしにくい効果もあります
計算結果を社内で使う前のチェックリスト
- 作業時間は、担当者本人に確認した数字になっている
- AIで減る割合は、控えめの数字にしている
- 確認・修正の時間を差し引いている
- 初期費用は、見積書の金額を入れている
- 数字以外の効果も、別に書き出している
計算した数字は、稟議書テンプレートにそのまま写せる
計算シートの結果は、社内でAI導入を提案するときの根拠になります。同じコラムで配布している「AI導入の稟議書テンプレート(Word)」は、3章〜5章にこのシートの結果をそのまま写せるように作っています。
| 計算シートの結果 | 稟議書の写す場所 |
|---|---|
| 月に減る作業時間、月の効果 | 3章 期待される効果 |
| 毎月の費用の合計 | 4章 費用 |
| 月の差し引き効果、回収できる時期、累計効果 | 5章 費用対効果 |
計算シートを使うときの注意点と、ご相談について
このシートの計算結果は目安です。実際の効果は、業務の中身、AIの使い方、社員の慣れによって変わります。次の点に注意してください。
- 最初の1〜2か月は効果が小さく出やすい:使い方に慣れるまでは、確認や手直しに時間がかかります
- AIの利用料は使った量で変わる:処理する書類やメールの量が増えると、利用料も増えます
- 試行期間で実際の数字を測る:見込みの数字で判断したら、試行中に実際の作業時間を記録して、計算し直してください
当社は、中小企業の業務にAIを組み込む「AI社員」を、月5万円(税別、保守・相談・メンテナンス込み。初期費用はヒアリング後にお見積もり。AIの利用料は実費)で提供しています。計算シートの「毎月の費用」の記入例は、この月額を入れています。ご相談では、対象業務の作業時間をうかがいながら、効果の見込みを一緒に計算することもできます。
よくある質問
この計算シートは無料で使えますか?
はい、無料でダウンロードしてお使いいただけます。会員登録やメールアドレスの入力も必要ありません。
AIで減る割合がわからない場合は、何%で計算すればよいですか?
まずは50%で計算してみることをおすすめします。入力や転記が中心の業務は高め、判断や相談が多い業務は低めになるため、試行期間で実際の数字を測って計算し直してください。
時給がわからない場合は、どう計算すればよいですか?
月給を月の労働時間で割って計算します。たとえば月給33万円で月165時間働く場合は、約2,000円です。社会保険料などの会社負担を含めると、実際の人件費はこれより高くなります。
費用対効果がマイナスになったら、導入しない方がよいですか?
対象の業務を増やす、作業時間が長い業務を選び直す、といった見直しで、プラスになることがあります。ミスや残業の減少など、金額にしにくい効果もあわせて判断してください。