ChatGPTとGeminiを比較——仕事で使うならどちら?自社の業務で試す比較表つき
結論
ChatGPTとGeminiを仕事用に比べるなら、性能の細かい差よりも「社内のメール・予定表・表計算をどちらの会社の仕組みで使っているか」と「法人向けプランで入力内容がどう扱われるか」で選ぶのが現実的です。
- 日々の文章作成や要約なら、どちらでも大きな差は出にくいです。
- 迷ったら、自社の業務5つを同じ指示文で両方に試し、比較表で点数をつけてから決めます。
- 社内でAIを1つにそろえると、ルール作りと教え方が楽になります。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、仕事で使う対話型AIとしてのChatGPTとGeminiの比較と、自社の業務で試して選ぶ手順について解説します。「ChatGPTとGemini、会社で使うならどちらがいいのか」。経営者の方から、こうしたご質問をよくいただきます。調べてみると、性能の比較記事や新機能のニュースがたくさん出てきますが、数か月ごとに順位が入れ替わり、結局どちらを選べばよいのかわからなくなりがちです。当社はAIを業務に組み込む「AI社員」を提供しており、ご相談の中で「すでに社員が別々のAIを使っていて、1つにそろえたい」というお悩みもよく伺います。この記事では、仕事で使う前提でChatGPTとGeminiを比べるときの見方、自社の業務で両方を試して決める手順、そのまま使える比較表を紹介します。料金や機能の細かい内容は変わりやすいため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。
ChatGPTとGeminiは何が違う?——仕事で効いてくる違いは「つながる先」と「データの扱い」
ChatGPT(チャットジーピーティー)は米国のOpenAI社、Gemini(ジェミニ)は米国のGoogle社が提供している対話型AIです。対話型AIとは、文字で質問や指示を打ちこむと、文章で答えを返してくれるAIのことです。どちらも、メールの下書き、長い文書の要約、アイデア出し、表の整理、外国語の翻訳など、ふだんの事務作業に使えます。
性能の比べ方はいろいろありますが、中小企業が仕事で使う場面では、次の3つの違いのほうが効いてきます。
| 比べる点 | ChatGPT | Gemini | 仕事への影響 |
|---|---|---|---|
| 提供している会社 | OpenAI社 | Google社 | 契約・請求・サポートの窓口が変わる |
| つながりやすい道具 | 単体で使うほか、さまざまな業務アプリとの連携が用意されている | Googleのメール・予定表・文書・表計算と組み合わせて使いやすい | ふだん使っている道具と近いほうが、コピーと貼り付けの手間が減る |
| 法人向けプラン | あり | あり(Googleの業務用サービスとあわせて契約する形もある) | 入力内容を学習に使わない設定や、管理者が利用者を管理できるかが変わる |
| 得意なこと | 文章作成・要約・相談など全般 | 文章作成・要約・相談など全般 | 日常の事務作業では大きな差は出にくい |
表のとおり、「文章を書く」「要約する」といった基本の作業では、どちらを選んでも困ることはほとんどありません。差が出るのは、社内で使っている道具とのつながりと、会社として管理できるかどうかです。
ポイント
性能の順位は数か月ごとに入れ替わります。「今いちばん賢いAI」で選ぶと、半年後に乗り換えたくなります。仕事用は「社内の道具と合うか」「管理できるか」で選ぶと、長く使えます。
仕事で使うならどちら?——会社の状況別の選び方
どちらを選ぶかは、会社の今の状況でほぼ決まります。次の表で、自社に近い行を探してください。
| 会社の状況 | 選びやすいほう | 理由 |
|---|---|---|
| 社内のメール・予定表・ファイル共有をGoogleの業務用サービスで使っている | Gemini | 同じ会社の仕組みの中で使えるため、管理者の設定や利用者の追加がまとめてできる場合がある |
| Googleの業務用サービスを使っていない/ほかの会社のメールソフトを使っている | ChatGPT(または社内の道具に合うAI) | どちらも単体で使えるので、使い勝手と管理機能で選ぶ |
| すでに社員の多くが個人でChatGPTを使っている | ChatGPTの法人向けプラン | 慣れた画面のまま、会社の管理下に移しやすい |
| 社員がばらばらのAIを使っていて、そろえたい | 社内の道具に合うほう | 教え方とルールを1つにでき、情報の管理もしやすい |
| AIを業務の仕組み(受注入力・問い合わせ返信など)に組み込みたい | どちらでもよい | 仕組みの中で使うAIは、作業ごとに入れ替えられるように作るのが一般的 |
最後の行は大切です。受注書の読み取りや問い合わせへの返信など、AIを業務の流れの中に組み込む場合は、社員が画面で使うAIとは別の話になります。当社の「AI社員」も、作業の内容に合わせて中で使うAIを選んでおり、あとから入れ替えられる作りにしています。
なお、社員が画面で使う対話型AIと、業務に組み込むAIの違いはChatGPTの法人プランを配るか、業務に合わせたAIを作るかでくわしく説明しています。
自社の業務でChatGPTとGeminiを比較する5つの手順
比較記事を読むより、自社の業務で実際に試すほうが確実です。1〜2週間あれば、次の手順で判断できます。
- 試す業務を5つ選ぶ:取引先へのメールの下書き、会議メモの要約、お客様の声の分類、社内のお知らせ文、表の整理など、毎週発生している作業から選ぶ
- 同じ指示文を用意する:5つの業務それぞれに、AIに渡す指示文(プロンプト)を1つずつ書く。2つのAIにまったく同じ文を渡すのが公平に比べるコツ
- 個人情報を抜いたサンプルを使う:お客様の名前や電話番号は「A社」「〇〇様」などに置き換える。法人向けプランの契約前は、社外秘の情報を入れない
- 3人以上で点数をつける:その業務の担当者と管理職など、立場の違う人が下の比較表で採点する
- 点数と「社内の道具との相性」をあわせて決める:点数の差が小さければ、管理のしやすさと使っている道具との相性を優先する
そのまま使える比較の指示文の例
たとえば、メールの下書きを比べるなら、次のような指示文を2つのAIに同じように渡します。
指示文の例
あなたは中小企業の営業事務です。次のメモをもとに、取引先へ納期が3日遅れることを伝えるお詫びのメールを書いてください。件名もつけてください。丁寧ですが、言い訳が長くならないように、本文は300字以内にしてください。メモ:注文品の部品の入荷が遅れている/新しい納期は来週水曜日/代わりの品の提案はできる
指示文の書き方に迷う場合は、プロンプト(AIへの指示文)の書き方や仕事で使えるプロンプト集から、自社の業務に近いものを選んで使ってください。
ChatGPTとGeminiの比較表テンプレート——業務ごとに点数をつける
次の表をExcelやスプレッドシートに写して使ってください。点数は1〜5点で、「そのまま使える」なら5点、「直せば使える」なら3点、「使えない」なら1点が目安です。
| 試した業務 | 見る点 | ChatGPT(点) | Gemini(点) | 気づいたこと |
|---|---|---|---|---|
| 取引先へのメールの下書き | 敬語が自然か/長さを守れたか | |||
| 会議メモの要約 | 決まったこと・宿題が抜けていないか | |||
| お客様の声の分類 | 分け方が自社の感覚に合うか | |||
| 社内のお知らせ文 | 読み手に合った言葉か | |||
| 表の整理(Excelの貼り付け) | 数字を勝手に変えていないか | |||
| 合計 |
点数のほかに、次の項目も1行ずつ書いておくと、社内で説明するときに役に立ちます。
点数以外に比べること
- 社員がふだん使っているメール・予定表・ファイル共有と、どちらがつながりやすいか
- 法人向けプランで、入力内容をAIの学習に使わない設定になっているか
- 管理者が利用者の追加・削除をまとめてできるか
- 社員が退職したとき、その人の使っていた記録を会社で扱えるか
- 1人あたりの月額と、社員全員に配った場合の合計(最新の料金は公式サイトで確認する)
- 社内の誰が問い合わせ窓口になり、使い方を教えるか
点数で大きな差が出なかった場合は、無理にどちらかを「優れている」と決める必要はありません。管理しやすいほうを選び、社内で使い方をそろえることのほうが、効果に直結します。
どちらを選んでも必要な、社内ルールとデータの扱いの確認
ChatGPTとGeminiのどちらを選んでも、仕事で使う前に決めておくことは同じです。特に注意したいのは、無料版や個人のアカウントで仕事の情報を入れてしまうことです。個人向けの設定のままだと、入力した内容がサービスの改善に使われる場合があります。会社として使うなら、法人向けプランか、入力内容を学習に使わない設定になっていることを確認してください。設定の考え方は社内データをAIの学習に使わせないにはで説明しています。
あわせて、次の3つを社内ルールにしておくと安心です。
- 入れてよい情報・いけない情報:お客様の個人情報、取引先の契約内容、社外秘の数字などをどう扱うかを決める
- AIの答えを誰が確かめるか:AIはもっともらしい間違いを書くことがあります。社外に出す文書は必ず人が読む
- 使ってよいAIの一覧:会社で決めたAI以外を勝手に使わないようにする。個人のアカウントで使い続ける「シャドーAI」を防ぐ
ルールのひな形はAI利用規定・社内ルールの作り方で紹介しています。
AIを選んだあとが本番——業務の手間を減らすには使い方を業務に合わせる
ChatGPTかGeminiかを決めても、それだけで業務の時間が大きく減るとは限りません。社員一人ひとりが画面を開いて質問する使い方では、効果が人によってばらつき、使う人と使わない人の差が広がりがちです。
効果を出しやすいのは、次のように「決まった作業」をAIに任せる形です。
- 毎朝届く注文のメールやFAXから、受注の内容を読み取って一覧にする
- 問い合わせメールに、過去の回答をもとにした返信の下書きを自動で付ける
- 日報を集めて、管理職向けの要約を毎週自動で作る
当社の導入事例では、製造業(従業員30名規模)の事務担当の方の受注書入力が1日2時間から15分になりました。こうした仕組みでは、中で使うAIがChatGPTかGeminiかを社員が意識することはありません。
「社員にどちらのAIを配るか」と「どの業務をAIに任せるか」は、分けて考えるのがおすすめです。どの業務から任せるかを相談したい場合は、月5万円のAI社員のページからお気軽にご相談ください。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。
よくある質問
ChatGPTとGeminiは、仕事で使うならどちらがいいですか?
社内のメールや表計算をGoogleの業務用サービスで使っているならGemini、そうでなければ使い勝手と管理機能で選ぶのが現実的です。文章作成や要約などの日常業務では、どちらでも大きな差は出にくいです。
ChatGPTとGeminiの性能を比較するにはどうすればいいですか?
自社の業務を5つ選び、同じ指示文を両方に渡して、担当者と管理職など3人以上で1〜5点の点数をつけるのが確実です。公開されている性能比較は数か月で入れ替わるため、自社の業務での結果を優先してください。
ChatGPTとGeminiを両方とも会社で契約したほうがいいですか?
多くの中小企業では、どちらか1つにそろえるほうが、社内ルールや教え方を1つにでき、管理もしやすくなります。特定の業務でどうしても差が出る場合だけ、使い分けを検討してください。
ChatGPTやGeminiの無料版を仕事に使っても大丈夫ですか?
社外秘やお客様の情報を入れないなど、使い方を限れば試すことはできます。ただし、個人向けの設定では入力内容がサービスの改善に使われる場合があるため、仕事で本格的に使うなら法人向けプランや学習に使わない設定を確認してください。