安全性・社内ルール公開日

社内データをAIの学習に使わせないには?——法人向けサービス・設定・契約で確認すること

結論

社内データをAIの学習に使わせないためには、「入力したデータを学習に使わない」と利用規約や契約で明記されている法人向けのサービスやプランを選び、学習に関する設定を確認したうえで、社員が使うサービスを会社として決めることが基本です。サービスごとに扱いが異なり、内容が変わることもあるため、導入前と導入後の定期的な確認が欠かせません。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、社内データをAIの学習に使わせないための、サービス選び・設定・契約の確認方法について解説します。AIを業務に使いたいと考えたとき、多くの経営者が気にするのが「社内の情報がAIの学習に使われて、外に漏れないか」という点です。一方で、心配するあまり何も決めずにいると、社員が個人の判断で無料のサービスを使い始めてしまうこともあります。この記事では、社内データをAIの学習に使わせないために、サービス選び・設定・契約でそれぞれ何を確認すればよいか、社内ルールをどう決めるかを説明します。

「AIの学習に使われる」とはどういうことか

AIの学習とは、AIのサービスを提供する会社が、たくさんの文章やデータを使ってAIの性能を高めることです。サービスによっては、利用者が入力した文章や添付したファイルを、この学習に使う場合があります。

入力したデータが学習に使われると、次のような心配が生まれます。

  • 社内の情報が、サービス提供会社の管理下に長く残る
  • 学習したAIが、別の利用者への回答の中で似た内容を出してしまう可能性がゼロとは言い切れない
  • 取引先との契約で「第三者に渡さない」と約束している情報を、結果として外部に渡すことになる

多くの法人向けサービスでは、入力データを学習に使わないことを方針として示しています。ただし、同じ会社のサービスでも、個人向けの無料版と法人向けの有料版で扱いが異なることがあります。「どの会社のAIか」ではなく、「どのサービス・どのプランを、どの設定で使うか」で判断することが大切です。

学習に使わせないための3つの確認ポイント

社内データをAIの学習に使わせないためには、次の3つを確認します。

確認するところ見るべき内容どこで確かめるか
サービス・プラン法人向けのプランか、入力データを学習に使わない方針が示されているかサービスの料金ページ、法人向けの案内
設定学習への利用を止める設定があるか、初期状態はどうなっているか、管理者がまとめて設定できるか管理画面、設定画面、ヘルプページ
規約・契約入力データの利用目的、保存期間、削除の方法、第三者への提供の有無利用規約、プライバシーポリシー、データの取り扱いに関する文書

3つのうち、最も重く見るべきは規約・契約です。設定画面の表示だけでなく、文書としてデータの扱いが書かれているかを確認してください。

ポイント

「学習に使わない」と書かれていても、不正利用の監視などの目的で、一定期間データを保存する場合があります。学習に使うかどうかと、保存されるかどうかは別の問題として確認しましょう。

規約・契約で確認したい項目のチェックリスト

AIのサービスを選ぶときや、外部の会社にAIの仕組みづくりを頼むときは、次の項目を確認してください。

入力データの扱い 確認チェックリスト

  • 入力したデータを、AIの学習に使わないと明記されている
  • 入力したデータの保存期間と、削除の方法が分かる
  • データがどの国・地域のサーバーで扱われるかが分かる
  • サービス提供会社の社員が、どんな場合にデータを見ることがあるかが書かれている
  • 規約が変わったときに、どのように知らされるかが分かる
  • 外部の会社に仕組みづくりを頼む場合、その会社がどのAIサービスをどの設定で使うかを説明できる

規約や方針は、サービスの更新に合わせて変わることがあります。この記事の内容も一般的な確認の観点を示したものなので、実際に使うサービスについては、必ず各社の最新の利用規約や公式の案内で確認してください。判断に迷う場合は、契約に詳しい専門家に相談することも検討しましょう。

社員が個人のアカウントで使うことが一番のリスクになる

会社として法人向けのサービスを選んでも、社員が個人のアカウントや無料版で業務の情報を入力していれば、意味がありません。実際には、この「会社が把握していない利用」が最も起きやすいリスクです。

こうした利用は、悪意からではなく「便利だから」「会社のルールがないから」という理由で始まることがほとんどです。禁止するだけでは、かえって隠れて使われることもあります。会社として使ってよいサービスを用意し、使い方のルールを示すほうが、結果として安全です。

社内ルールは、次の順番で決めると進めやすくなります。

  1. 使ってよいサービスを決める:会社が契約した法人向けのサービスやプランを指定する
  2. 入力してよい情報を分ける:公開情報、社内限りの情報、個人情報や取引先の機密情報に分け、それぞれ入力してよいかを決める
  3. 設定を管理者がそろえる:学習に関する設定を、管理者がまとめて確認・設定する
  4. 社員に説明する:なぜこのルールなのかを、具体例を使って説明する
  5. 定期的に見直す:サービスの規約変更や、新しい使い方に合わせてルールを更新する

個人情報を扱う場合は、個人情報保護法との関係も確認が必要です。どのような場合に何が求められるかは状況によって異なるため、個人情報保護委員会の公式情報などで最新の内容を確認してください。

当社のAI社員での入力データの扱いの考え方

当社のAI社員は、特定の業務をこなすためにAIの仕組みを作り、お客様の業務に組み込むサービスです。仕組みづくりの際は、次のことを大切にしています。

  • 入力データを学習に使わない方針の法人向けサービスや、その設定を前提に仕組みを組み立てる
  • どのAIサービスを、どんな設定で使っているかをお客様に説明する
  • AIに渡す情報を、その業務に必要な範囲に絞る
  • 取引先との契約や社内ルールで扱いが決まっている情報は、ヒアリングの段階で確認する

AIのサービスの規約は変わることがあるため、導入後も月額(月5万円)の保守・相談の中で、必要に応じて確認や見直しを行います。「どこまでの情報をAIに渡してよいか分からない」という段階からでもご相談いただけます。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。

よくある質問

無料のAIサービスに社内の情報を入力しても大丈夫ですか?

サービスによっては、無料版で入力したデータが学習に使われる場合があります。業務の情報を入力する場合は、学習に使わない方針が規約で示されている法人向けのサービスやプランを、会社として選んで使うことをおすすめします。

「学習に使わない」設定にすれば、データは一切保存されませんか?

そうとは限りません。不正利用の監視などのために、一定期間データを保存するサービスもあります。学習に使うかどうかと保存期間は分けて、利用規約や公式の案内で確認してください。

個人情報をAIに入力してもよいですか?

利用目的やサービスの条件によって判断が変わるため、一律には言えません。個人情報保護法との関係を含め、個人情報保護委員会の公式情報などで最新の内容を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

社員がAIを勝手に使わないようにするには、禁止すればよいですか?

禁止だけでは、かえって隠れて使われることがあります。会社として使ってよいサービスを用意し、入力してよい情報の範囲を示すほうが、実際の安全につながります。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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