費用・比較・選び方公開日

システム開発会社・既製のAIツール・業務に合わせたAIの違いと選び方——費用・期間・サポートで比較

結論

大規模で独自の仕組みを長く使うならシステム開発会社、一般的な作業をすぐ効率化したいなら既製のAIツール、自社の業務の流れに合わせたAIを小さく始めて育てたいなら業務に合わせたAI(当社でいうAI社員)が向いています。3つの違いは、費用と期間だけでなく、自社の業務にどこまで合わせられるかと、導入後に誰が調整するかにあり、この2点から選ぶと失敗しにくくなります。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、システム開発会社・既製のAIツール・業務に合わせたAI(AI社員)の違いと選び方について解説します。AIで業務を効率化したいと考えたとき、「開発会社に頼むべきか」「月額のAIツールで十分か」「最近よく聞く業務に合わせたAIとは何が違うのか」と迷う方は多いと思います。この記事では、3つの選択肢の違いを表で比較し、どんな会社にどれが向いているのかを、AI社員を提供している当社の立場から、できるだけ公平に説明します。

AIで業務を効率化する3つの選択肢とは

中小企業がAIで業務を効率化する方法は、大きく次の3つに分かれます。

  • システム開発会社に依頼する:自社の要望を聞いてもらい、専用のシステムをゼロから設計・開発してもらう方法です。要件を決めてから開発し、完成したシステムを納品してもらうのが一般的な流れです
  • 既製のAIツールを使う:すでに完成しているAIのサービスに申し込み、月額料金などを払って使う方法です。文章作成、議事録、画像からの文字の読み取りなど、目的ごとにさまざまなツールがあります
  • 業務に合わせたAIを導入する:既存のAIの仕組みを組み合わせ、自社の業務の流れや使っているツールに合わせて調整したAIを導入する方法です。当社では、特定の業務を担当するAIを「AI社員」と呼んで提供しています

どれが一番よいということではなく、業務の内容や規模、社内の体制によって向いている方法が変わります。次の比較表で、違いを整理します。

費用・期間・合わせやすさ・サポートの比較表

項目システム開発会社既製のAIツール月5万円のAI社員
費用初期費用 数百万円〜月額制が中心初期費用+月5万円
使い始めるまでの期間数か月すぐ使える最短2週間
自社の業務への合わせやすさ◎△◎
導入後のサポート別契約・作業ごとに有償が多い問い合わせ窓口のみ月5万円で相談・メンテナンス無制限

※他社の費用・期間は一般的な目安です。依頼先や内容によって大きく異なります。

この表で特に見てほしいのは、下の2行です。費用や期間は見積もりの段階で比べやすい一方、「自社の業務にどこまで合わせられるか」と「導入後に誰が、いくらで調整してくれるか」は、使い始めてから差が出やすい項目です。

ポイント

AIの仕組みは、業務の変更や、連携しているツールの仕様変更によって、導入後も調整が必要になります。比べるときは、導入時の費用だけでなく、導入後の調整にかかる手間と費用まで含めて考えることが大切です。

「合わせやすさ」の差が出る場面

たとえば、取引先ごとに書式の違う受注書を読み取り、自社の販売管理のシートに入力する業務を考えてみます。既製のAIツールでも書類の読み取りはできますが、読み取った結果を自社のシートの決まった欄に入れる部分や、取引先ごとの例外の扱いは、人が補うことになりがちです。開発会社や業務に合わせたAIでは、こうした自社独自の部分まで含めて仕組みにできます。

「導入後のサポート」の差が出る場面

導入から数か月たつと、取引先の書式が変わった、新しい商品が増えた、使っている社内ツールが更新された、といった変化が必ず起きます。このとき、修正のたびに見積もりと発注が必要なのか、月額の範囲で相談できるのかによって、調整のしやすさと費用の見通しが大きく変わります。

システム開発会社が向いているのは、大規模で独自の仕組みを長く使う場合

システム開発会社に依頼する方法は、費用と期間はかかりますが、細かい要望まで反映した専用のシステムを作れるのが強みです。次のような場合に向いています。

  • 基幹システムのように、全社で長く使う大規模な仕組みを作りたい
  • 多くの部署や拠点、取引先のシステムとつながる複雑な連携が必要
  • セキュリティや監査の要件が厳しく、仕様を細かく文書で決めておく必要がある
  • 社内に情報システムの担当者がいて、要件を決めたり、開発会社とやり取りしたりできる

一方で、要件を最初に固めてから開発する進め方が多いため、「使ってみてから直したい」という進め方とは相性がよくない場合があります。導入後の修正や機能追加は、保守契約の内容によって別途費用がかかることが多いため、契約前に保守の範囲を確認しておくことをおすすめします。

既製のAIツールが向いているのは、一般的な作業をすぐ効率化したい場合

既製のAIツールは、申し込めばすぐに使い始められ、費用も月額制で見通しやすいのが強みです。次のような場合に向いています。

  • 文章の下書き、要約、議事録の作成など、どの会社でも同じような使い方をする作業を効率化したい
  • まずは少ない費用でAIを試し、社員にAIに慣れてもらいたい
  • ツールの使い方に業務の流れを合わせることができる
  • 社内に、ツールの設定や使い方を工夫できる人がいる

反対に、自社独自の書式や手順、社内で使っている別のツールとの連携が必要な業務では、ツールでできることと業務の流れが合わず、結局一部を手作業で補うことになる場合があります。また、サポートは問い合わせ窓口での対応が中心のため、自社の業務に合わせた設定まで手伝ってもらえるとは限りません。

3つは組み合わせて使うこともできる

3つの選択肢は、どれか1つだけを選ばなければいけないものではありません。たとえば、社員が日々の文章作成に使うのは既製のAIツール、自社独自の書式がある受注書の入力は業務に合わせたAI、全社の基幹システムは開発会社に依頼する、というように、業務ごとに使い分けている会社もあります。大切なのは、業務ごとに「どこまで自社に合わせる必要があるか」「導入後に誰が面倒を見るか」を考えて、合う方法を選ぶことです。すでに使っている既製ツールやシステムがある場合は、それを活かしたまま、足りない部分だけを補う方法も検討してみてください。

業務に合わせたAI(AI社員)が向いているのは、小さく始めて育てたい場合

業務に合わせたAIは、開発会社と既製ツールの間に位置する選択肢です。当社のAI社員は、自社の業務の流れや使っているツールに合わせて仕組みをつくり、導入後も月5万円の範囲で相談や調整を続ける形をとっています。次のような場合に向いています。

  • 受注書の入力や問い合わせ対応など、自社独自の書式や手順がある業務を自動化したい
  • 社内にAIやシステムに詳しい人がいない
  • 大きな開発ではなく、1つの業務から小さく始めて効果を確かめたい
  • 導入後に業務が変わっても、相談しながら調整を続けたい

構築期間は、1つの業務を自動化する場合で2週間程度、複数の業務や連携が多い場合で1か月程度が目安です。ただし、月5万円は12か月の契約で、AIの利用料は実費として別にかかります。全社の基幹システムを作り替えるような大規模な開発や、厳しい監査要件に対応した文書を細かく用意する必要がある案件は、システム開発会社のほうが向いている場合があります。

当社にご相談いただいた企業は約90社で、建設・設備、医療・介護、製造、不動産など業種はさまざまですが、「社内に作れる人がいない」「既製ツールでは業務に合わなかった」というご相談が多くあります。

失敗しない選び方:依頼前に確認したい5つのこと

どの方法を選ぶ場合でも、依頼や申し込みの前に次の点を確認しておくと、導入後に「思っていたのと違う」となるのを防げます。

  1. 自動化したい業務を1つに絞れているか:最初から多くの業務を対象にすると、費用も期間も膨らみます
  2. 今の業務の流れと、使っているツールを説明できるか:どこで何をしているかがわかると、どの方法が合うかを判断しやすくなります
  3. どこまで業務に合わせる必要があるか:ツールに業務を合わせられるなら既製ツール、業務にツールを合わせる必要があるなら開発会社か業務に合わせたAIが候補になります
  4. 導入後に誰が調整するか:社内に調整できる人がいない場合は、導入後のサポートの範囲と費用を必ず確認します
  5. 総額で比べているか:初期費用だけでなく、月額費用、保守費用、AIの利用料、社内の担当者の手間を含めて比べます

見積もり・申し込み前のチェックリスト

  • 導入後の修正や機能追加は、追加費用がかかるか
  • 使い始めるまでの期間と、その間に社内で必要な作業は何か
  • 契約期間と、途中で解約する場合の条件はどうなっているか
  • 入力した社内データが、AIの学習に使われない設定になっているか

よくある質問

システム開発会社とAI社員は何が一番違いますか?

大きな違いは、進め方と導入後のサポートです。開発会社は要件を固めて専用システムを作る進め方が多く、AI社員は1つの業務から小さく始めて、導入後も月5万円の範囲で相談や調整を続ける形です。

既製のAIツールを使っていますが、AI社員に切り替えるべきですか?

今のツールで業務が回っているなら、無理に切り替える必要はありません。ツールでは自社の書式や手順に合わず手作業で補っている業務がある場合に、その部分だけ業務に合わせたAIを検討するのがおすすめです。

AI社員の費用には何が含まれていますか?

初期費用で仕組みを構築し、月5万円で保守・相談・メンテナンスに無制限で対応します。契約は12か月で税別、AIの利用料は実費として別にかかり、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。

社内にシステムに詳しい人がいなくても選べますか?

選べます。詳しい人がいない場合は、導入後に誰が調整するかが特に重要になるため、導入後のサポートの範囲と費用を確認して選ぶことをおすすめします。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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