今日のご相談公開日

【今日のご相談】食品メーカー:社内で使う生成AIを1つにそろえ、ふだんのメールや文書と連携させて使いこなしたい

結論

社内で使う生成AIを1つにそろえ、ふだん使っているメール・予定表・文書と連携させて業務に広げることは、研修で十分に目指せる、というのが当社の回答です。ポイントは、使い方の説明を聞くだけの研修にせず、基礎編と応用編に分けて実習の時間を多くとること、そして題材を自社の実際の業務から選ぶことです。そろえる前に「何をそろえるのか」「いま別のAIを使っている社員の業務をどう移すか」を決めておくと、移行がスムーズになります。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、食品メーカーからいただいた「社内で使う生成AIを1つにそろえ、ふだんの業務ツールと連携させて使いこなしたい」というご相談と、研修の組み立て方について解説します。今回ご相談いただいたのは、食品メーカーです。社内ではすでに数名の社員が、それぞれの判断で対話型AIを使い、メールや文書の作業に役立てていました。一方で会社としては、社内で使っているグループウェア(メール・予定表・文書の共有などをまとめたサービス)に組み込まれた生成AIにそろえ、全体で使いこなせる状態にしたいと考えていました。研修を受けるのは20名前後の想定です。この記事では、ご相談の内容と、当社がどんな研修を組み立てたかを正直にお伝えします。

ご相談の内容:一部の社員がばらばらにAIを使っていて、会社としてそろえたい

ご相談いただいたのは、食品を製造している会社です。社内のAI活用は、次のような状況でした。

  • 数名の社員が、それぞれ対話型AIを使い、メールや文書の作業と組み合わせて仕事に役立てている
  • 使い方は人によってばらばらで、会社として決めた使い方や、そろえたAIはまだない
  • 社内では、メール・予定表・文書の共有に同じグループウェアを使っており、そこには生成AIの機能も組み込まれている

そこで会社としては、社内で使う生成AIを、ふだんのグループウェアに組み込まれたものにそろえたいと考えていました。すでに毎日使っている道具の中でAIが使えれば、新しいサービスに慣れる手間が少なく、メールや文書とのつながりも作りやすいからです。

研修を受けるのは20名前後の想定で、いくつかの研修を比べながら検討している段階でのご相談でした。

一部の社員が先に使い始め、会社のルールや道具があとから追いかける、という流れは、AIの導入ではよく見られます。早く使い始めた社員がいるのは良いことですが、そのままにしておくと、使い方が一部の人だけのものになったり、入力してよい情報の線引きがあいまいになったりしがちです。

AIでやりたいこと:AIをそろえて業務に広げ、画像・資料づくりや自動化まで使えるようにする

ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は、次の2点でした。

  1. 社内のAIを1つにそろえ、グループウェアと連携した使い方を広げる:メールの下書き、文書の要約、予定の整理など、ふだんの業務の中でAIを使う人を増やしたい
  2. 画像づくり・資料(スライド)づくり・簡単な自動化を、実際に使えるようになる:文章のやり取りだけでなく、資料や画像を作ったり、決まった作業を自動で回したりするところまで身につけたい

この2つを、身につける順番で整理すると次のようになります。

段階できるようになりたいこと業務での使い道の例
基礎AIへの頼み方(指示文)の基本、グループウェアの中でのAIの使い方メールの下書き、会議資料の要約、文書の言い回しの見直し
実用資料や画像を作る機能、文書を作りながらAIと一緒に直していく機能社内向けの説明資料、商品の紹介資料の下書き
応用社内の資料を読み込ませて調べる使い方、自分専用のAIの設定、簡単な自動化のプログラム社内資料からの調べもの、定型の問い合わせへの回答案、決まった集計の自動化

「AIをそろえる」ことと「使える人を増やす」ことは、別々の課題です。道具をそろえても、使い方が分からなければ広がりません。今回のご相談は、その両方を一度に進めたいという内容でした。

当社の回答:基礎編と応用編に分けた実習中心の研修で、両方とも目指せる

ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。

やりたいこと判定理由・条件
社内のAIを1つにそろえ、グループウェアと連携した使い方を広げる〇できる基礎編で、指示文の基本とグループウェアの中でのAIの使い方を扱うカリキュラムとして組み立て済み
画像づくり・資料づくり・簡単な自動化を使えるようになる〇できる応用編で、社内資料を読み込ませる使い方、自分専用のAIの設定、簡単な自動化のプログラムまでを扱う構成にした
研修の題材を、自社の実際の業務に合わせる〇できる具体的な題材は、ご契約後に業務のヒアリングを行ってから決める

今回のご相談では、難しい(×)と判定するような項目は議事録上ありませんでした。

「説明を聞く研修」ではなく「手を動かす研修」にした

当社が組み立てたのは、基礎編と応用編に分けた研修です。短い時間で機能を一通り説明する形ではなく、実習の時間を大幅に増やした設計にしました。

理由は、AIの使い方は聞いただけでは身につきにくいからです。指示文の書き方ひとつをとっても、自分の業務の文書で試し、思った結果にならなかったときにどう直すかを経験して、はじめて使えるようになります。画像や資料づくり、自動化のプログラムはなおさらです。

ポイント

AIをそろえる研修では、「機能の説明」より「自分の業務で試す時間」を多くとるほうが、研修後に使い続ける人が増えます。題材を自社の業務から選ぶのは、そのためです。

進め方の提案:業務のヒアリングで題材を決め、基礎から応用へ段階的に

当社からは、次の流れで進めることをご提案しました。

  1. 業務のヒアリング:ご契約後、部署ごとにどんな文書・資料・作業があるかを伺い、研修の題材を決める
  2. 基礎編:AIへの頼み方の基本、グループウェアの中でのAIの使い方、文書を作りながらAIと一緒に直していく機能を、実際の業務の文書で練習する
  3. 応用編:社内の資料を読み込ませて調べる使い方、自分専用のAIの設定、簡単な自動化のプログラムを、題材の業務で作ってみる
  4. 補講:欠席した方には補講を行い、受講者全員が同じところまで進めるようにする

題材を自社の業務から選ぶことには、もう1つの意味があります。研修で作った指示文や自分専用のAIの設定は、研修が終わった次の日から、そのまま業務で使えるということです。研修の成果が「知識」ではなく「使える道具」として社内に残ります。

すでに別のAIを使っている社員への配慮

今回のように、一部の社員がすでに別の対話型AIを使っている場合、そろえる過程で「いまのやり方を変えたくない」という声が出ることがあります。先に使っている社員は、社内でいちばんAIに慣れている人たちでもあります。研修の題材づくりや、ほかの社員への教え役として関わってもらうと、移行が進みやすくなります。社内でAIを広める役割の決め方は社内でAIを広める推進担当の選び方で解説しています。

同じ悩みを持つ会社へ:社内のAIをそろえる前に決めておくこと

社員が個々にAIを使い始めている会社では、「会社として1つにそろえたい」というご相談が増えています。ふだん使っている業務ツールに組み込まれたAIにそろえるのは、慣れる手間が少なく、メールや文書とのつながりも作りやすい選び方です。

ただし、道具をそろえるだけでは使う人は増えません。そろえる前に、次の点を決めておくと移行がスムーズになります。

社内のAIをそろえる前に決めておくこと

  • 会社として使うAIはどれか、個人で契約したAIを仕事に使ってよいか
  • AIに入力してよい情報・いけない情報の線引き(取引先の情報、配合や製法などの社外秘)
  • いま別のAIを使っている社員は誰か、その業務をどう移すか
  • 研修を受ける人の範囲と、受けたあとに何ができるようになっていればよいか
  • 研修の題材にする業務(部署ごとに1つずつ選ぶと進めやすい)
  • 研修のあと、使い方の相談を受ける担当者は誰か
  • 作った指示文や設定を、社内で共有する場所

入力してよい情報の線引きは、AI利用規定・社内ルールの作り方を参考にしてください。社員が会社の決めていないAIを使うことのリスクは、シャドーAIのリスクと対策でまとめています。

当社では、研修でAIを使える人を増やすことと、AI社員として業務の仕組みを作ってお渡しすることの、両方をお受けしています。AI社員は初期費用+月5万円で、作ったあとの保守や相談も含まれます。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。社内のAIをどうそろえるか迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。

よくある質問

社内で使う生成AIは1つにそろえたほうがよいですか?

そろえたほうが、使い方の共有や入力してよい情報のルールづくりがしやすくなります。ふだん使っているメールや文書のサービスに組み込まれたAIにそろえると、新しい道具に慣れる手間も少なく済みます。

すでに別のAIを使っている社員がいる場合、どうすればよいですか?

先に使っている社員は社内でいちばんAIに慣れている人たちなので、研修の題材づくりや教え役として関わってもらうと移行が進みやすくなります。いまの業務をどう移すかを、一緒に決めておくことが大切です。

生成AIの社内研修は、どんな内容にすると効果が出やすいですか?

機能の説明だけで終わらせず、自社の実際の業務を題材にした実習の時間を多くとる内容がおすすめです。研修で作った指示文や設定を、そのまま次の日から業務で使えるようにします。

画像や資料づくり、自動化まで研修で身につきますか?

基礎編で指示文の基本とふだんの使い方を固めてから、応用編で資料・画像づくりや簡単な自動化に進む順番にすれば、目指せます。いきなり応用から入るより、つまずきにくくなります。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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