今日のご相談公開日

【今日のご相談】業務用の機器メーカー:ニュースや求人票から「いま必要としていそうな会社」を毎日見つけて営業リストにしたい

結論

企業の公表した方針・報道・求人票の表現などから「いま必要としていそうな会社」を見つけ、毎日営業リストにする仕組みは作れる、というのが当社の回答です。見つけた会社には国の公開している法人データを照らし合わせ、正式な社名や電話番号を付けられますが、電話番号は一部欠けることがあります。入札情報の収集は範囲を絞れば現実的で、全自治体の網羅は現実的ではありません。AIで作った記事の自動投稿は、人のチェックを必ず挟む形にします。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、業務用の機器メーカーからいただいた「ニュースや求人票から“いま必要としていそうな会社”を毎日見つけて営業リストにしたい」というご相談について解説します。今回ご相談いただいたのは、業務用の機器を作って販売しているメーカーです。営業先を探すとき、「どの会社が、いまこの製品を必要としているのか」がわからないまま、手当たり次第に連絡するのは効率がよくありません。そこで、ニュースや求人票など世の中に出ている情報から“買いそうな会社”を見つけ出す仕組みを、AIで作れないかというご相談でした。2回の打ち合わせを通じて、営業リストづくりだけでなく、入札情報の収集、既存のお客様の管理、記事の自動投稿まで話が広がりました。この記事では、当社の回答を、難しい点も含めて正直にお伝えします。

ご相談の内容:「いま必要としている会社」がわからないまま営業している

ご相談いただいたのは、企業や公共機関向けに業務用の機器を作って販売しているメーカーです。製品は、どの会社でも毎日使うものではなく、「ある出来事」をきっかけに必要になるタイプのものでした。

こうした製品の営業では、次のような悩みが出やすくなります。

  • 製品を必要としている会社が、外から見ただけではわかりにくい
  • 営業リストを手作業で作ると、時間がかかるうえに「今は必要ない会社」も多く混ざる
  • 公共機関向けには入札があるが、情報があちこちに散らばっていて追いきれない
  • 既存のお客様の情報が複数のリストに分かれていて、まとめて見られない
  • 商談の記録や、自社サイトに載せる導入事例の記事づくりにも手間がかかっている

今回は、当社が営業ツールを一緒に作りながら進めていく形で、2回にわたって打ち合わせを行いました。1回目は試作したツールを先方の保有リストで動かす相談、2回目は完成に近いツールのデモ確認と、今後の進め方のすり合わせです。

AIでやりたいこと:需要シグナルで営業リストを作り、入札・既存顧客・記事にも広げる

ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は次のとおりです。

  1. 需要シグナルから営業リストを毎日自動で作る:公表された方針や報道、求人票の表現から「いま必要としていそうな会社」を見つける
  2. 同じ仕組みを別の製品にも広げる:製品ごとに探す合図を変えて、横展開する
  3. 入札情報の自動収集:特に自社の製品に関係する、限られた分野の入札案件を見落とさないようにする
  4. 既存のお客様リストの一元化と予兆の通知:分かれているリストをまとめ、既存のお客様に動きが出たら知らせる
  5. 見つけた会社へのメール・問い合わせフォームでの営業の自動化
  6. 商談の録音から議事録を作り、営業支援システムへ自動で登録する
  7. 導入事例の記事をAIで作り、自社サイトへ自動で投稿する

需要シグナルとは

需要シグナルとは、「この会社はいま、この製品を必要としていそうだ」と推測できる合図のことです。たとえば、お客様対応のトラブル対策の方針を公表した、店舗でのトラブルが報道された、求人票に「クレーム対応」のような表現が増えた、といった情報です。どれも公開されている情報ですが、人が毎日すべてを読んで回るのは現実的ではありません。

情報源見つけたい合図の例営業で生かせること
企業サイト・企業の発表資料対策の方針を公表した、新しい取り組みを始めた「方針を決めた直後」の会社に、具体策として提案できる
報道トラブルや事故が報じられた課題が表に出た会社に、再発防止の手段として提案できる
求人票仕事内容に特定の表現(クレーム対応など)が増えた現場で困りごとが起きている会社の見当がつく
公的な開示情報公表された計画や届け出情報の裏づけや、会社の正式な情報の確認に使える

1つの情報だけで判断するのではなく、複数の情報を重ねて見ることで、「いま買いそうな会社」の確からしさが上がります。

当社の回答:営業リストづくりはできる、入札は範囲を絞る、フォームの一部は手作業

打ち合わせでは、当社で作った需要シグナル検知ツールのデモをご覧いただきました。企業サイト・企業の発表資料・求人票・公的な開示情報をあわせて見て合図を拾い、国の公開している法人データと照らし合わせて、正式な社名と電話番号を付けて一覧にするものです。どの合図を拾うか、どの情報源を見るかは、あとから自由に変えられる作りにしています。

ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。

やりたいこと判定理由・条件
需要シグナルから営業リストを毎日作る〇できるデモで動作を確認済み。先方の保有リストを反映した形で、使い方のマニュアルとあわせてお渡しする
見つけた会社に電話番号を付ける△工夫すればできる法人データとの照らし合わせで付けられるが、すべての会社に付くわけではなく、一部は欠ける
リストの毎日の更新△工夫すればできるお渡しした後の毎日の更新は、先方側での運用が必要。更新する時間帯は、ツールを動かすパソコンの電源を入れておく必要がある(常時起動が不要な方式もあるが、使った分だけ費用がかかる)。性能の低いパソコンでは動きが重くなることもある
同じ仕組みを別の製品に広げる〇できる探す合図と情報源を入れ替えれば、同じ仕組みで作れる
既存のお客様リストの一元化と予兆の通知〇できる表計算ソフトから書き出した一覧(CSV)を取り込み、見張る対象に加えられる
見つけた会社へのメール送信△工夫すればできる仕組みは作れるが、実際に送るには先方の送信元のメールアドレスが必要
問い合わせフォームでの営業×難しい機械による送信を防ぐ確認(「私はロボットではありません」のような仕組み)があるフォームには自動で送れず、手作業が必要
入札情報の収集(範囲を絞る)△工夫すればできる自治体ごとにページの作りが違うため個別の対応が必要。見る先を絞れば現実的
入札情報の収集(全自治体を網羅)×難しい対象となる自治体の数が多すぎ、すべてを一括で網羅するのは現実的でない
商談の議事録を営業支援システムへ自動登録〇できるシステム同士の連携(API連携)で実現できる。ほかの機能が仕上がった後の優先課題とする
導入事例の記事をAIで作り、自社サイトへ自動投稿〇できるサーバーと安全に連携すれば、制作会社に都度頼まずに投稿できる。ただし公開前のチェックを必ず挟む

ポイント

AIで作った記事をそのまま公開すると、製品の性能の数値など、間違った仕様が世に出てしまうおそれがあります。自動で作るのは下書きまでにして、公開の前に必ず人が確かめる流れを組み込むことをおすすめしました。当社自身もAIで記事を作って公開していますが、チェックの手順を前提にしています。

進め方の提案:営業リストを先に仕上げ、ほかは優先順位をつけて広げる

やりたいことが多いときに全部を同時に進めると、どれも中途半端になりがちです。当社からは、次の順番で進めることをご提案しました。

  1. 需要シグナルの営業リストを仕上げる:まずはダミーのデータから先方の保有リストに切り替え、実際の営業で使える形にしてお渡しする
  2. 探す合図を現場の目で磨く:どの合図を拾うかは自由に変えられるので、製品をよく知る先方の担当者の視点で、当たりやすい合図に育てていく
  3. 既存のお客様リストを取り込む:分かれているリストを一覧にまとめて取り込み、既存のお客様に動きが出たら知らせる対象にする
  4. 別の製品へ横展開する:同じ仕組みで、探す合図と情報源を入れ替える
  5. 入札情報は見る先を絞って始める:全自治体ではなく、関係の深い範囲に絞って集める
  6. 議事録の自動登録と記事の自動投稿を加える:記事は公開前のチェックを必ず入れた形で動かす

また、ふだん使っている社内のオフィスソフトでも、AIとの公式な連携が使える状況であることを確認しました。新しい道具をいくつも増やさず、今の業務環境の中でAIを使える範囲を広げていくことも、定着させるうえで大切です。

なお、営業リストの毎日の更新は、お渡しした後は先方側で回していただく形になります。誰がどのパソコンで、どの時間帯に動かすのかを、最初に決めておくと運用が止まりにくくなります。

同じ悩みを持つ会社へ:「誰に売るか」より先に「どんな合図で買うか」を決める

「ある出来事をきっかけに必要になる製品」を扱う会社では、会社の規模や業種だけで作った営業リストは当たりにくくなります。大切なのは、お客様が買う直前にどんな合図を出しているかを言葉にすることです。合図が決まれば、その合図を世の中の公開情報から毎日拾う作業はAIに任せられます。

今回のご相談から言えることは次のとおりです。

  • 需要シグナルは、方針の公表・報道・求人票の表現など、複数の公開情報を重ねて見ると確からしさが上がる
  • 見つけた会社に正式な社名や電話番号を付けるところまで自動にできるが、すべての会社に付くわけではない
  • 入札情報は「全部集める」ではなく「見る先を絞る」と現実的になる
  • 自動送信できないフォームもあるので、手作業の部分を残しておく
  • AIで作った記事は、公開前に人が確かめる流れを必ず入れる

需要シグナルで営業リストを作る前に確認すること

  • 自社の製品が売れた会社は、買う前にどんな出来事があったかを書き出せるか
  • その出来事が、企業の発表資料・報道・求人票などの公開情報に出てくるか
  • 探す合図を、製品をよく知る社内の担当者が見直せる体制があるか
  • 既存のお客様の一覧を、まとめて取り込める形で書き出せるか
  • リストを毎日更新するために、誰がどのパソコンで動かすかを決められるか
  • メール送信に使う送信元のアドレスを用意できるか
  • 入札情報を集めるなら、どの範囲を見るかを絞り込めるか

当社では、業務の流れや製品の売れ方を伺ったうえで、どんな合図を拾えば営業に生かせるかを一緒に整理しています。営業リストづくりに時間がかかっている会社は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

ニュースや求人票から「いま買いそうな会社」をAIで見つけられますか?

できます。公表された方針、報道、求人票の表現などの公開情報から合図を拾い、該当する会社を毎日一覧にする仕組みを作れます。どの合図を拾うかはあとから自由に変えられるので、製品をよく知る社内の目で磨いていくのがおすすめです。

見つけた会社の電話番号まで自動で調べられますか?

国の公開している法人データと照らし合わせることで、正式な社名や電話番号を付けられます。ただし、すべての会社に電話番号が付くわけではなく、一部は欠けることがあります。

全国の自治体の入札情報をAIで全部集められますか?

全自治体を一括で網羅するのは現実的ではありません。自治体ごとにページの作りが違い個別の対応が必要になるため、関係の深い範囲に絞って集めるのが現実的です。

AIで作った記事を自社サイトに自動で投稿しても大丈夫ですか?

自動投稿の仕組みは作れますが、公開の前に必ず人がチェックする流れを入れることをおすすめします。製品の仕様などを間違えたまま公開してしまうおそれがあるためです。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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