今日のご相談公開日

【今日のご相談】ウォーターサーバー(宅配水):一度失敗したAIチャットボットで、電話とメールの問い合わせを減らしたい

結論

サーバーの不具合などの製品トラブル系の問い合わせは、利用者に質問して機種を特定できるため、基幹システムとつながなくてもAIチャットボットで対応できます。一方、次回の配送日や契約期間など顧客ごとの情報に答えるには基幹システムとの連携が必須で、基幹システム側に追加の開発が必要になる可能性があります。また、前回の失敗を繰り返さないために、稼働後のログ分析と改善を続けることを前提にご提案しました。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、ウォーターサーバーの会社からいただいた「一度失敗したAIチャットボットで、電話とメールの問い合わせを減らしたい」というご相談について解説します。今回ご相談いただいたのは、ウォーターサーバー(宅配水)の会社です。電話での問い合わせは毎月数万件、メールフォームからの問い合わせも毎月数千件にのぼり、少人数のチームで対応しています。過去にAIチャットボットを導入したものの、思うような結果が出ずに解約した経験がありました。この記事では、当社がどう回答したかを、難しい点も含めて正直にお伝えします。

ご相談の内容:問い合わせが多く、前回のAIボットは失敗に終わった

ご相談いただいたのは、家庭やオフィスにウォーターサーバーと水を届けている会社です。会社の人数は伺っていませんが、問い合わせの量は多く、電話が毎月数万件、メールフォームが毎月数千件あります。メールの対応は少人数のチームで行っています。

現在は、あらかじめ決めた選択肢をたどって答える「シナリオ型」のチャットボットを使っています。以前には、AIチャットボットを半年以上試したこともありました。しかし、次のような理由で解約に至ったそうです。

  • あいまいな表現に弱かった:「水が出ない」のような言い方に、的外れな回答を返し続けた
  • 実質はシナリオの手入力だった:AIと言いながら、結局は人が回答のパターンを入れ続ける必要があった
  • 精度を上げる支援がなかった:導入後に、回答の質を改善する手伝いを受けられなかった

そのため今回は、「AIで答えられるか」だけでなく、「稼働後に誰がどう改善していくか」を最も重視されていました。

AIでやりたいこと:電話とメールを減らし、稼働後も改善を続けたい

ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は次の3つです。

  1. 電話の問い合わせを減らす:AIチャットボットで利用者が自分で解決できる割合を上げ、電話の件数を減らしたい
  2. メールフォームの問い合わせを減らす:チャットボットで解決できれば、メールでの問い合わせも減らせるはず
  3. 稼働後の分析・保守・精度向上の支援:答えられなかった質問の分析や改善を、導入後も続けてほしい(最も重視)

「入れたら終わり」ではなく、「入れてから育てる」ことが前回できなかった点であり、今回の一番の要望でした。

当社の回答:できること・工夫が要ること・難しいこと

ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。

やりたいこと判定理由・条件
製品トラブル系の問い合わせへの回答〇できるサーバーの不具合などは、利用者に質問して機種を特定できるため、基幹システムとつながなくてもAIで対応できる。回答に文字の装飾や、会話の途中で画像を表示することもできる
あいまいな表現への対応〇できる既存のよくある質問やシナリオをAIに読み込ませ、AIが自分で答えられるかを判断し、答えられないものは担当者に知らせる設計にする
顧客ごとの情報への回答(次回配送日・契約期間など)△工夫すればできる基幹システムとの連携が必須。基幹システム側に、外部とつなぐための窓口(API)の追加開発が必要になる可能性がある
メールフォームの問い合わせ削減△工夫すればできるAIが多くの問い合わせに答えられれば、メールも大きく減る見込み。ただし、その試算は回答精度が出ることが前提
稼働後の分析・改善の支援〇できる問い合わせのログから、答えられなかった内容を分類して改善を提案する

ポイント

社内のルールに関する質問など、利用者に答えるべきでない内容は、最初から回答の対象外にしておきます。「何に答えさせないか」を決めることも、精度を上げるための大切な設計です。

進め方の提案:連携なし・ありを分けて、稼働後に伴走する

当社からは、次の順番で進めることをご提案しました。

  1. 基幹システムとの連携「なし」と「あり」で範囲を分ける:まずは連携なしで答えられる製品トラブル系から始め、顧客ごとの情報への回答は連携の準備が整ってから取り組む
  2. 既存のよくある質問とシナリオを読み込ませる:今あるシナリオ型チャットボットの資産を活かし、社内ルール系の質問は回答の対象から外す
  3. 答えられない質問は担当者に知らせる:AIが無理に答えず、人に引き継ぐ仕組みにする
  4. 稼働後1〜2か月は伴走する:ログから答えられなかった内容を分類し、改善を提案する
  5. その後の体制を選ぶ:社内で改善を続けられるよう支援するか、保守として当社が改善を続けるかを選んでいただく

前回の失敗の原因は、AIの性能だけではなく「稼働後の改善の仕組みがなかったこと」にありました。最初から改善の流れを組み込んでおくことが、同じ失敗を避ける一番の対策です。

同じ悩みを持つ会社へ:AIチャットボットを失敗させないために

「AIチャットボットを入れたが、思ったほど問い合わせが減らなかった」という声は、問い合わせの多い会社からよく伺います。今回のご相談から見えた、失敗を避けるためのポイントは次のとおりです。

  • あいまいな言い方にも対応できるよう、既存のよくある質問ややり取りを読み込ませる
  • 答えられないときは無理に答えず、人に引き継ぐ
  • 顧客ごとの情報が必要な質問と、そうでない質問を分けて考える
  • 稼働後にログを見て、改善を続ける体制を決めておく

AIチャットボットを導入・入れ替える前に確認すること

  • 問い合わせの中で、顧客ごとの情報がなくても答えられるものはどれくらいあるか
  • 既存のよくある質問・シナリオ・過去のやり取りを用意できるか
  • 利用者に答えるべきでない社内ルール系の質問を分けられているか
  • 基幹システムに、外部とつなぐ窓口(API)があるか
  • 稼働後にログを見て改善するのは誰か(社内か、導入会社か)
  • 前回うまくいかなかった理由を具体的に説明できるか

当社では、稼働後の分析と改善まで含めてご相談を承っています。一度AIチャットボットで失敗した会社こそ、お気軽にご相談ください。

よくある質問

以前AIチャットボットで失敗しました。また同じことになりませんか?

失敗の多くは、あいまいな表現への弱さと、稼働後に改善する仕組みがないことが原因です。既存の質問ややり取りを読み込ませ、ログを見ながら改善を続ける体制を最初から組み込むことで、同じ失敗を避けやすくなります。

顧客ごとの配送日や契約内容にもチャットボットで答えられますか?

基幹システムとの連携が必要です。基幹システム側に外部とつなぐ窓口(API)がない場合は、追加の開発が必要になる可能性があります。

今使っているシナリオ型のチャットボットの内容は無駄になりますか?

無駄にはなりません。既存のシナリオやよくある質問をAIに読み込ませることで、回答の精度を上げる材料として活用できます。

AIが答えられない質問にはどう対応しますか?

AIが自分で答えられるかを判断し、答えられないものは担当者に知らせて引き継ぎます。答えられなかった内容はログから分類し、改善に活かします。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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