【今日のご相談】住宅関連のサービス会社:お客様と住宅会社をつなぐマッチングの仕組みをAIで作りたい——研修で自作か開発委託か
結論
お客様がゲーム感覚で答えるだけで住宅会社や担当者とつながるマッチングの仕組みは、技術的には作れる、というのが当社の回答です。実際に商談の場で、短時間で試作品(デモ)を作ってお見せしました。ただし、試作品をすぐ作れることと、社内の方が自分で作れるようになることは別の話です。社内にエンジニアがいない場合、研修で自作まで身につけるのは正直に言って難しく、確実に形にするなら当社が作って納品する方法が向いているとお伝えしました。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、住宅関連のサービス会社からいただいた「お客様と住宅会社をつなぐマッチングの仕組みをAIで作りたい」というご相談と、研修で自作するか開発を任せるかの選び方について解説します。今回ご相談いただいたのは、住宅に関わるサービスを手がける会社です。自社のサービスにAIを生かせないかと考えていたところで、当社のご案内がきっかけになりました。AIはふだん一般的な対話型AIを少し使う程度で、知りたいのは「AIで何ができるのか」と「費用はどのくらいか」という、最初の一歩のご相談でした。この記事では、当社がどう回答したかを、研修で自作する道の難しさも含めて正直にお伝えします。
ご相談の内容:自社サービスにAIを生かしたいが、社内に作れる人がいない
ご相談いただいたのは、住宅に関わるサービスを手がける会社です。家を建てたい・買いたいお客様と、住宅会社とをつなぐような事業に取り組まれていると伺いました。会社の人数は伺っていませんが、社内にエンジニア(プログラムを書いて仕組みを作る技術者)はいらっしゃいません。
ご相談の時点での状況は、次のとおりです。
- AIは、一般的な対話型AIを簡単に使う程度で、業務に本格的に組み込んではいない
- 自社のサービスにAIを取り入れられないか、ちょうど検討を始めていた
- 社内にエンジニアがいないため、仕組みを作るなら「社内で学んで作る」か「外に作ってもらう」かを決める必要がある
知りたいことは、はっきりしていました。
- AIで何ができるのか:自社のサービスに、どんな形でAIを使えるのか
- 費用はどのくらいか:研修で学ぶ場合と、作ってもらう場合で、どう違うのか
AIの導入を考え始めたばかりの会社からは、このように「何ができるか」と「いくらかかるか」を同時に知りたいというご相談がよくあります。今回は、そこに「自分たちで作るか、作ってもらうか」という選択が加わったご相談でした。
AIでやりたいこと:お客様がゲーム感覚で入力するだけで、住宅会社や担当者とつながる仕組み
ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は、次の1点でした。
- お客様向けのマッチングツール:お客様がゲーム感覚でいくつかの質問に答えるだけで、合いそうな住宅会社や営業担当者とつながれる仕組みを作りたい。イメージは、質問に答えていくと結果が出る「間取り診断」のような形
このご要望を、入力・判定・結果の3つに分けて整理すると次のようになります。
| 区分 | 中身 | 作るときに決めること |
|---|---|---|
| 入力 | お客様が、家づくりの希望や好みについての質問に、楽しみながら答える | 何を聞けば相性がわかるか。答えるのが面倒にならない質問の数と順番 |
| 判定 | 答えをもとに、合いそうな住宅会社や担当者を選ぶ | 住宅会社や担当者の特徴を、どんな項目で整理しておくか。どの答えをどれだけ重く見るか |
| 結果 | おすすめの住宅会社や担当者を、理由とあわせて見せる | 結果の見せ方と、そのあとお客様にどう連絡してもらうか |
ポイントは、お客様にとっての「楽しさ」と、住宅会社にとっての「つながる相手の確かさ」を両立させることです。ゲーム感覚で答えられる手軽さがあるほどお客様は最後まで答えてくれますが、判定の中身が薄いと、つながったあとの商談がうまく進みません。
当社の回答:仕組みは作れるが、研修で自作するのは社内にエンジニアがいないと難しい
ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。
| やりたいこと | 判定 | 理由・条件 |
|---|---|---|
| お客様が答えるだけで住宅会社や担当者とつながるマッチングツール | 〇できる | 技術的には作ることができる。商談の場で、住宅会社と営業担当者を組み合わせるマッチングの試作品を短時間で作り、実際にお見せした |
| このツールを、研修で学んで社内で自作する | △工夫すればできる | 研修で自作まで目指すと、プログラムを書く・仕組みを組み立てるといったエンジニアの領域を含む、難しい内容になる。社内にエンジニアがいない状態で身につくかは、正直に言って難しい。確実に形にするなら、当社が作って納品する方法が向いている |
今回の相談では、難しい(×)と判定するような項目は特に挙がりませんでした。
試作品をすぐ作れても、社内で作れるようになるかは別の問題
商談の場では、AIの開発ツールを使って、住宅会社と営業担当者を組み合わせるマッチングの試作品をその場で作りました。質問に答えると、合いそうな住宅会社と担当者が出てくるという、ご相談のイメージに近いものです。「AIで何ができるのか」を知りたいという最初のご質問には、言葉で説明するより、目の前で動くものを見ていただくほうが早いと考えたためです。
一方で、当社はここで正直にお伝えしたことがあります。それは、試作品を短時間で作れたのは、作る側に経験と知識があるからだということです。AIの開発ツールは便利ですが、次のような判断は人が行っています。
- どんな画面と質問の流れにするか
- 住宅会社や担当者の情報を、どんな形で持たせるか
- うまく動かないときに、どこを直せばよいか
- 試作品を、実際にお客様が使える品質まで仕上げるには何が足りないか
試作品を見ると「これなら自分たちでも作れそうだ」と感じやすいものです。ですが、試作品から実際に使える仕組みまでの道のりには、エンジニアとしての経験が必要な部分が多く含まれます。
ポイント
AIの開発ツールで試作品が早く作れるようになったのは事実です。ただ、早く作れるのは「何を作るか」「どう直すか」を判断できる人が使ったときです。試作品の速さだけを見て、研修で自作できるかを判断しないことが大切です。
進め方の提案:研修なら基礎から段階的に、確実に形にするなら納品型
当社からは、研修で学ぶ道と、当社が作って納品する道の2つをご提示しました。
研修で学ぶ場合:まずは日常業務の効率化から
研修を選ぶ場合、いきなりマッチングツールづくりから入ることはおすすめしませんでした。当社が提案した流れは次のとおりです。
- 日常業務の効率化でAIの基礎を固める:文章づくりや情報の整理など、ふだんの仕事でAIを使いこなすところから始める
- 追加の研修か自分での学習で、ツールづくりに進む:基礎が身についたあとで、仕組みを作る段階に進む
基礎を飛ばして仕組みづくりに入ると、つまずいたときに原因がわからず、手が止まりやすくなります。段階を踏むことで、社内にAIを使える人が育ち、作るかどうかの判断もしやすくなります。
当社が作って納品する場合:社内は「何を作るか」に集中できる
研修ではなく、当社がマッチングツールを作って納品する選択肢もお伝えしました。社内にエンジニアがいない場合、確実に形にするならこちらが向いています。社内の方は、質問の内容や住宅会社の情報の整理など、事業をよく知る人にしかできない部分に時間を使えます。
あわせて、ご質問の一つだった「AIで何ができるのか」については、打ち合わせのあとに、AIでできることの一覧を整理してお送りしました。
研修と開発委託は、次のような点で比べられます。
| 比べる点 | 研修で学んで自作する | 開発を任せて納品してもらう |
|---|---|---|
| 向いている会社 | 社内にエンジニアがいる、またはじっくり育てる時間がある | 社内にエンジニアがおらず、早く確実に形にしたい |
| 形になるまでの確実さ | 学ぶ人の経験や時間に左右される | 作る側の経験で、形にしやすい |
| 社内に残るもの | AIを使える人と、作る力 | 動く仕組み。作る力は社内に残りにくい |
| 作ったあとの手入れ | 社内で直せるが、作った人が忙しいと止まりやすい | 依頼先の保守の範囲で直してもらえる |
どちらか一方に決める必要はありません。仕組みは納品型で作り、並行して社員の方が日常業務でAIを使えるように研修を受ける、という組み合わせも考えられます。
同じ悩みを持つ会社へ:研修か開発委託かを決める前に確認すること
AIの導入を考え始めた会社では、「研修で社員が作れるようになればいい」と考えることがよくあります。最近は、AIの開発ツールで短時間に試作品ができる様子を見る機会も増え、その期待は大きくなりがちです。
ですが、研修で目指せる範囲は、社内の方の経験によって大きく変わります。日常業務でAIを使いこなすところまでは、多くの方が研修で身につけられます。一方、お客様向けに公開するツールを自分で作って直し続けるところまでは、エンジニアの経験がないと高い壁になります。
研修か開発委託かを決める前に、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
研修か開発委託かを決める前に確認すること
- 作りたいのは、社内で使う道具か、お客様に公開するツールか
- 社内に、プログラムを書いたり仕組みを組み立てたりした経験のある人がいるか
- 学ぶ人が、日々の仕事と別に学習と試作の時間を確保できるか
- いつまでに形にしたいか、期限がはっきりしているか
- 作ったあと、不具合の直しや内容の更新を誰が受け持つか
- マッチングの場合、住宅会社や担当者の特徴を、比べられる項目で整理できるか
- 社内に残したいのは「作る力」か、「動く仕組み」か
当社では、ご相談の段階で試作品をお見せしながら、研修で進めるか、当社が作って納品するかを一緒に考えています。当社のAI社員は、初期費用+月5万円で、作ったあとの保守や相談もお受けしています。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。何から始めればよいか迷っている会社も、お気軽にご相談ください。
よくある質問
お客様と住宅会社をつなぐマッチングツールは、AIで作れますか?
技術的には作れます。お客様に答えてもらう質問と、住宅会社や担当者の特徴をどんな項目で整理するかを決めることが、作るうえでの出発点になります。
試作品がすぐ作れるなら、研修を受ければ社内でも作れますか?
試作品を短時間で作れるのは、作る側に経験があるからです。社内にエンジニアがいない場合、研修だけで実際に使える仕組みまで作れるようになるのは難しいことが多く、確実に形にするなら開発を任せる方法が向いています。
研修と開発委託は、どう選べばよいですか?
社内に作る経験のある人がいて時間もかけられるなら研修、エンジニアがおらず早く確実に形にしたいなら開発委託が向いています。仕組みは委託で作り、社員の方は日常業務でAIを使う研修を受けるという組み合わせもあります。
AIをほとんど使ったことがなくても相談できますか?
相談できます。今回のご相談も、一般的な対話型AIを少し使う程度の段階からでした。当社では、AIで何ができるかを試作品や一覧でお見せしながら、進め方を一緒に考えています。