メール添削AIの使い方——送信前に確かめる8項目のチェックリストと、そのまま使える指示文の例
結論
メール添削AIは、誤字脱字・敬語の誤り・分かりにくい言い回し・失礼に読める表現を直すのに向いています。一方で、宛先・金額・日付・約束した内容が正しいかはAIには判断できないため、そこだけは人が確かめる分担にすると安全に使えます。この記事では、送信前に確かめる8項目のチェックリストと、そのまま使える指示文(プロンプト)の例を紹介します。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、メール添削にAIを使う方法と、送信前のチェックリスト・指示文の例について解説します。取引先へのメールを送る前に「この敬語で合っているか」「きつく読めないか」と迷って手が止まる。部下が書いたメールを毎回見直していて、管理職の時間が削られている。こうした悩みから「メール添削をAIに任せられないか」と考える会社が増えています。ただ、AIにそのまま直させると、言い回しはきれいになっても、日付や金額の誤りはそのまま残ったり、もとの文にない約束が足されたりすることがあります。この記事では、AIに任せる範囲と人が見る範囲の線引き、送信前のチェックリスト、場面別の指示文の例、社内で使い始める手順を、AIの仕組みを業務に組み込んでいる当社の立場からまとめます。
メール添削AIが得意なのは「言い回し」、苦手なのは「事実が正しいか」
メール添削AIとは、書いたメールの文面をAIに読ませて、誤りや分かりにくい点を直した案を出してもらう使い方です。特別な製品でなくても、一般的な対話型AI(文章で質問すると文章で答えてくれるAI)に文面を貼り付けて頼むだけで使えます。
ただし、AIが直せることと直せないことははっきり分かれます。
| 確かめたいこと | AIに任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 誤字脱字・変換ミス | 任せられる | 文章のつながりから不自然な字を見つけるのは得意 |
| 敬語の誤り(二重敬語、尊敬語と謙譲語の取り違え) | 任せられる | 決まった型があるため、直す案を出しやすい |
| 分かりにくい言い回し・長すぎる文 | 任せられる | 文を分ける、結論を先に出すといった書き直しは得意 |
| きつく読める・失礼に読める表現 | おおむね任せられる | 受け手の印象を想像して言い換えることはできる。ただし相手との関係の深さまでは分からない |
| 宛先・相手の名前・会社名 | 人が確かめる | AIは正しい相手を知らない |
| 金額・数量・日付・期限 | 人が確かめる | AIは社内の記録を見ていないため、正しい値か判断できない |
| 約束した内容・社内で決まったこと | 人が確かめる | AIが「より丁寧に」と書き直すうちに、約束を足したり弱めたりすることがある |
つまり、「どう書くか」はAIに、「何を書くか」は人にという分担です。この線引きを先に決めておくと、AIの添削を安心して使えるようになります。
送信前に確かめる8項目のチェックリスト
AIに添削してもらったあと、送信する前に次の8項目を確かめます。前半の4つは人が見る項目、後半の4つはAIの添削で直っているかを確かめる項目です。
メール送信前の8項目チェックリスト
- 【人】宛先・CC・相手の名前と会社名が正しいか(敬称の「様」「御中」も含む)
- 【人】金額・数量・日付・曜日・期限が、社内の記録と合っているか
- 【人】約束した内容(納期・対応範囲・費用負担など)が、もとの文から変わっていないか
- 【人】添付ファイルが正しいものか、付け忘れていないか
- 【AI】件名だけで用件が分かるか
- 【AI】最初の3行で、結論か相手にしてほしいことが分かるか
- 【AI】敬語の誤り・誤字脱字・くどい言い回しが直っているか
- 【AI】相手に求める行動(返信・確認・期限)がはっきり書かれているか
特に3つ目の「約束した内容」は見落としやすい点です。AIは丁寧にしようとして「できる限り対応いたします」「ご希望に沿えるよう努めます」といった一文を足すことがあります。読み手にとっては約束に見えるので、もとの文になかった約束が増えていないかを必ず確かめます。
ポイント
AIの添削結果は「直した全文」だけでなく「どこを、なぜ直したか」も出してもらうと、確認が速くなります。指示文に「変更点を箇条書きで添えてください」と一言入れておきましょう。
そのまま使える指示文(プロンプト)の例
AIへの頼み方で、添削の質は大きく変わります。基本は「誰に送るか」「何を直してほしいか」「何を変えてはいけないか」の3つを伝えることです。
基本の指示文
次の文をそのまま使い、【】の中を書き換えて、最後にメール本文を貼り付けます。
- あなたはビジネスメールの添削担当です。
- このメールは【取引先の担当者】に送ります。相手との関係は【取引が長く、やや親しい】です。
- 誤字脱字、敬語の誤り、分かりにくい言い回しを直してください。
- 金額・日付・数量・固有名詞・約束の内容は変えないでください。気になる点があれば、直さずに指摘だけしてください。
- 新しい約束やお詫びの文を足さないでください。
- 直した全文のあとに、変更点を箇条書きで添えてください。
場面別に足す一文
| 場面 | 基本の指示文に足す一文 |
|---|---|
| 値上げ・条件変更のお知らせ | 「事情を簡潔に伝え、相手が判断に必要な情報(いつから・何が・どれだけ)が最初の段落にそろうようにしてください」 |
| お断り・お見送りの連絡 | 「断る結論はぼかさず、ただし冷たく読めないようにしてください。理由は書かれている範囲を超えて足さないでください」 |
| お詫び | 「言い訳に読める部分を指摘してください。原因と今後の対応は、書かれている内容だけを使ってください」 |
| 催促・期限の確認 | 「相手を責める印象にならないようにしつつ、期限と必要なものがはっきり伝わるようにしてください」 |
| 社内の上司・他部署あて | 「社内向けなので丁寧すぎる表現は省き、結論と依頼事項を先に書いてください」 |
お詫びや断りの文面そのものを一から書きたい場合は、お詫びメールの例文集(場面別10本)や文章作成AIで仕事の文書を下書きする方法もあわせてご覧ください。部署ごとの指示文は仕事で使えるプロンプト集にもまとめています。
部下のメールを毎回見る手間は「AIで一次添削→人は要点だけ確認」で減らす
管理職が部下のメールを1通ずつ見直している会社では、AIの添削をはさむことで、見直しの中身を変えられます。
| 段階 | これまで | AIをはさんだ後 |
|---|---|---|
| 部下 | 書いたらそのまま上司に回す | 書いたらAIで一次添削し、8項目のチェックリストを自分で確かめてから回す |
| 管理職 | 誤字・敬語・言い回しから中身まで全部見る | 宛先・数字・約束の内容と、相手との関係で気をつける点だけを見る |
| 回す範囲 | すべてのメール | 新規の取引先、金額や条件、お詫び・お断りなど、決めた種類だけ |
大事なのは、管理職に回すメールの種類を決めておくことです。日程の連絡や資料送付のような定型のメールは、AIの添削と本人の確認で送ってよいことにすれば、管理職が見る数そのものが減ります。逆に、金額・条件・お詫び・お断りのように、会社としての判断が入るメールは、AIの添削があっても人が見る、と決めておきます。
また、AIの変更点の一覧は、部下にとって「自分の書き方のくせ」を知る材料にもなります。同じ指摘が続くようなら、社内の文例にまとめておくと、AIを使わなくても書けるようになっていきます。
社内でメール添削AIを使い始める手順と、気をつけること
社内でメール添削にAIを使い始めるときは、次の順番で進めると混乱が少なく済みます。
- 使うAIを決める:会社として使ってよいAIを決めます。個人の無料アカウントではなく、入力した内容が学習に使われない設定や法人向けの契約を選ぶのが基本です
- 貼り付けてよい範囲を決める:お客様の個人情報や、社外に出せない取引条件をどこまで入力してよいかを決めます。迷う場合は、名前や金額を「A社」「〇〇円」に置き換えてから貼る運用にします
- 基本の指示文を配る:3章の指示文を社内の共通文として配り、場面別の一文も添えます
- チェックリストを送信前の決まりにする:2章の8項目を、送信前に確かめる決まりとして共有します
- 1か月使ってみて見直す:AIが勝手に足しがちな言い回しや、よく出る指摘を集め、指示文に「〇〇は足さないでください」と追記していきます
気をつけたいのは、入力する内容です。メール本文には、相手の名前・連絡先・取引の条件が入りやすいため、AIに貼る前に社内ルールを確かめてください。社内ルールの作り方はAI利用規定・社内ルールの作り方、個人情報の扱いはAIに顧客情報・個人情報を入力するときの注意点で詳しく解説しています。
当社のAI社員では、問い合わせへの返信案づくりや、送信前のチェックを業務の流れに組み込む仕組みもお作りしています。たとえば、返信案をAIが下書きし、金額や日付だけを担当者が確かめて送る、といった形です。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。メールの見直しに時間を取られている会社は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
メール添削にAIを使っても大丈夫ですか?
誤字脱字・敬語・言い回しの添削には十分使えます。ただし、宛先・金額・日付・約束の内容が正しいかはAIには判断できないため、そこは送信前に人が確かめてください。
メール添削AIは無料で使えますか?
一般的な対話型AIの無料版でも添削自体はできます。ただし仕事のメールには取引先の名前や条件が入るため、入力内容が学習に使われない設定や法人向けの契約を選ぶほうが安心です。
AIに添削させると、文が丁寧になりすぎませんか?
そうなりやすいので、指示文に「相手との関係」と「社内向けか社外向けか」を書き、「丁寧すぎる表現は省いてください」と添えると調整できます。新しいお詫びや約束を足さないよう指示しておくことも大切です。
部下のメールの確認をAIに任せきりにしてよいですか?
日程連絡や資料送付などの定型のメールは、AIの添削と本人のチェックで送る運用にできます。金額・条件・お詫び・お断りなど会社の判断が入るメールは、AIの添削のあとも管理職が確かめる形をおすすめします。