保育園・認定こども園でAIは何に使えるか——お便り・行事案内、保育日誌や指導計画の下書き、シフト、見学の問い合わせ
結論
保育園・認定こども園でAIが役立つのは、保護者へのお便りや行事の案内の下書き、保育日誌や指導計画の下書き補助、職員シフトの案づくり、見学・入園の問い合わせへの回答案づくりの4つです。どれもAIは「書く・まとめる・並べる」までを担い、子どもの様子の見立てや保育の内容、保護者への大事な連絡の最終判断は、保育士と園長が行います。子どもの名前や健康の情報をAIに渡すときのルールを先に決めておけば、小さな園でも安心して始められます。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、保育園・認定こども園で、保護者への連絡や書類・シフト・問い合わせ対応にAIを使う方法と、子どもの情報の扱い方について解説します。園長や事務長のもとには、毎月のお便り、行事のたびの案内、保育日誌や指導計画の確認、職員のシフト、見学の電話やメールへの対応と、保育そのもの以外の仕事が次々に集まります。保育士も、子どもが午睡している時間や降園後に書類を書くことが多く、「書く仕事が減れば、子どもと向き合う時間や休憩をもう少し確保できるのに」という声は珍しくありません。一方で、子どもの情報を扱う仕事だからこそ、AIを入れることに不安を感じる方も多いはずです。この記事では、保育園・認定こども園の仕事のうちAIに任せやすいもの、書類の下書きを保育の質を落とさずに使う方法、シフトや問い合わせへの使い方、そして子どもの個人情報の扱いと、人が判断すべきことの線引きを説明します。
保育園・こども園でAIに任せやすいのは「保育の外側」の書く・まとめる仕事
保育園や認定こども園でAIを使うなら、子どもと直接かかわる保育そのものではなく、その周りにある「書く・まとめる・並べる」仕事から始めるのが近道です。園の仕事を分けると、AIに任せやすいものと、人が担うべきものがはっきりします。
| 仕事 | AIが担えること | 人が担うこと |
|---|---|---|
| お便り・行事の案内 | 園長や担任のメモから文章の下書きを作る、持ち物や日程の表に整える | 内容と言い回しの確認、配る判断 |
| 保育日誌・指導計画 | 保育士の箇条書きメモを文章に整える、先月の計画との違いを並べる | 子どもの姿の見立て、ねらいと保育の内容を決める |
| 職員シフト | 希望休や勤務条件を集めて、シフト案を作る | 配置が足りているかの確認と最終決定 |
| 見学・入園の問い合わせ | よくある質問への回答案を作る、見学日程の候補を出す | 入園の可否や個別の事情への回答 |
| 連絡帳・個別の相談 | 言い回しの整え方の提案にとどめる | 子ども一人ひとりの様子を書く、相談に応じる |
表のとおり、AIが担うのは「下書き」と「整理」です。子どもの成長をどう見るか、どんな保育をするか、保護者にどう伝えるかといった判断は、これまでどおり保育士と園長が行います。この線引きを最初に職員全員で共有しておくと、「AIに保育を任せるのでは」という不安を減らせます。
ポイント
保育の現場では、書類の正確さだけでなく「その子を見ている人が書いた言葉かどうか」が大切にされます。AIは文章の形を整える係と考え、子どもについての中身は保育士のメモから出発するようにしましょう。
保護者へのお便り・行事の案内は、メモからAIが下書きを作る
園だより、クラスだより、運動会や発表会、遠足、健康診断、保護者会などの案内は、毎月・毎回書く必要があり、園長や担任の時間を大きく使います。AIを使うと、要点のメモから下書きまでを短い時間で作れます。
- 要点をメモで渡す:日時、場所、持ち物、服装、雨天時の扱い、締め切り、問い合わせ先などを箇条書きで書く
- 園の型に合わせて下書きさせる:これまでのお便りを見本として渡し、あいさつ文の調子や項目の並び順を合わせる
- 読みやすさを整える:大事な日付や持ち物は表や箇条書きにし、やさしい言葉に言い換える
- 人が確認して配る:日付・曜日・時刻・持ち物に間違いがないかを担任と園長が確かめる
特に効果が大きいのは、同じ内容を形を変えて何度も出す場面です。たとえば行事の案内なら、最初のお知らせ、1週間前の再確認、前日の連絡と、少しずつ内容を変えた文章が必要になります。AIなら元の案内から「前日用に短くしたもの」「持ち物だけを並べたもの」をすぐに作れます。外国籍の家庭がいる園では、やさしい日本語に言い換えた版や、ほかの言語への翻訳案を作るのにも役立ちます。翻訳は意味が変わっていないかを、できれば読める人に確かめてもらいましょう。
保護者向けの文章で気をつけること
- 日付と曜日の組み合わせは、AIが間違えやすいので必ず暦で確かめる
- アレルギーや感染症など健康にかかわる案内は、園の決まりと嘱託医の指示に沿っているかを人が確認する
- 特定の子どもや家庭がわかる書き方になっていないかを見る
- 園が大切にしている言葉づかい(「お子さま」「子どもたち」など)をあらかじめ決めておく
行事の案内文のように「型が決まっていて、毎回少しずつ違う」文章は、AIの下書きと最も相性がよい仕事です。まずはお便り1種類から試すと、効果を実感しやすくなります。
保育日誌・指導計画は、保育士のメモを文章に整える補助に使う
保育日誌、月の指導計画や週の指導計画、個別の計画、保育の記録などの書類は、保育士の負担が特に大きい仕事です。ここでAIに任せるのは、計画の中身を考えることではなく、保育士が書いたメモを読みやすい文章に整えることと、前の計画や記録と見比べやすくすることです。
AIに任せやすい書類の作業
- その日の活動や子どもの様子を箇条書きにしたメモから、日誌の文章の下書きを作る
- 先月の指導計画と今月のメモを並べ、変わった点・続ける点を一覧にする
- 園で決めている書式(ねらい・内容・環境構成・配慮など)の欄に、メモの内容を振り分ける
- 誤字や言い回しのばらつき、書き漏れの欄を見つける
AIに任せないこと
- 子どもの発達や気持ちの見立て
- ねらいや保育の内容をどうするかの決定
- 気になる様子や家庭の事情にかかわる記録の判断
AIにメモを渡さずに「3歳児クラスの10月の指導計画を作って」とだけ頼むと、どの園にも当てはまるような一般的な文章ができあがります。見た目は整っていても、目の前の子どもたちの姿が書かれていない計画は、保育の書類としては意味がありません。必ず保育士のメモや観察の記録から出発させ、AIの役目は「文章にする」「欄に分ける」「見比べる」にとどめましょう。
書類の書き方や必要な項目は、園の方針や自治体の指導によって違う場合があります。国の保育所保育指針などの考え方や、自治体から示されている書式があれば、それに沿っているかを園長や主任が確認する流れを残してください。最新の内容は公式の情報で確かめるようにしましょう。
ポイント
書類の下書きをAIに任せる目的は、保育士が書く時間を減らし、その分を子どもを見ることや振り返りの話し合いに回すことです。「AIが書いたものをそのまま出す」のではなく、「保育士が見て、自分の言葉で直す」時間を残す運用にします。
職員シフトは、希望と条件を集めてAIが案を作り、配置は園長が決める
保育園のシフトは、開所時間が長く早番・遅番があること、子どもの年齢ごとに必要な職員の人数が変わること、短時間勤務やパートの職員が多いことなどから、毎月の作成に手間がかかります。AIに任せられるのは、条件を集めて整理し、守るべき条件を満たす案を作るところまでです。
- 希望と条件を集める:職員ごとの希望休、勤務できる曜日や時間帯、資格の有無、担当クラスを、決まった形の表やフォームで集める
- 守る条件を決める:時間帯ごと・クラスごとに必要な人数、早番・遅番の回数の偏り、連続勤務の上限、資格を持つ職員の配置など、園で守っている条件を書き出す
- AIがシフト案を作る:条件を満たす案を作り、満たせない時間帯があればその場所を示す
- 園長・主任が確認して決める:子どもの登園予定や職員の組み合わせも見ながら、手直しして確定する
- 急な休みに対応する:欠勤が出たとき、代わりに入れそうな職員の候補をAIが出し、園長が連絡する
年齢ごとに必要な職員の数などの基準は、国や自治体の決まり、園の種別によって違う場合があります。AIに入れる条件は園で確かめたうえで設定し、最新の基準は自治体などの公式の情報で確認してください。AIが作った案で人数が足りているかを最後に確かめるのは、園長の役目です。
シフト作成のAI活用は、同じように時間帯ごとの人員配置が必要な介護の現場でも進んでいます。当社の導入事例では、介護事業所(職員50名規模)で毎月のシフト作成が2日から半日になりました。保育園でも、条件を一度きちんと書き出しておけば、毎月の作業を大きく減らせる見込みがあります。
見学・入園の問い合わせは、AIが回答案と日程の候補を用意する
入園を考えている家庭からは、見学の申し込み、空き状況、保育時間、延長保育、持ち物、給食やアレルギー対応、慣らし保育など、似た質問が繰り返し届きます。電話やメール、ホームページのフォームへの対応が、保育の合間や夕方の忙しい時間に重なることも多いはずです。
AIに任せる範囲
- ホームページや入園のしおりに書いてある内容をもとに、よくある質問への回答案を作る
- 見学の申し込みに対して、受け入れできる日時の候補を出し、確認の返信文を用意する
- 問い合わせの内容を「見学」「空き状況」「保育内容」「その他」などに分けて一覧にする
- 夜間や休日に届いたメールにも、受け付けたことを伝える返信を送る
人が答えること
- 入園できるかどうか、空き状況の最終的な案内
- 障害や病気、家庭の事情など、個別の配慮が必要な相談
- 入園の手続きや利用の決まりのうち、自治体の判断がかかわること
入園の申し込みや利用の調整は、自治体を通して行う仕組みになっている場合が多く、園だけで答えられないこともあります。AIの回答案には「詳しくはお住まいの自治体の窓口でご確認ください」といった案内を入れる決まりにしておくと、誤った期待を持たせずにすみます。
似た質問が繰り返し届く仕事では、AIに回答案を作らせて人が確かめるだけにすると、返信までの時間を大きく縮められます。返信が早いことは、園を探している家庭にとって安心につながります。
子どもの個人情報の扱い方と、保育の判断を人が行うためのルール
保育園や認定こども園では、子どもの名前や生年月日、健康やアレルギー、発達の様子、家庭の事情など、とても慎重に扱うべき情報を日々扱っています。AIを使い始める前に、次のことを園のルールとして決めておきましょう。
AIを使う前に決めておくことチェックリスト
- AIに入力してよい情報と、入力しない情報を分けている(例:お便りの下書きでは子どもの名前を使わない)
- 日誌などで名前が必要な場合は、イニシャルや記号に置き換える決まりがある
- 健康・アレルギー・発達・家庭の事情にかかわる情報の扱い方を決めている
- 入力した内容がAIの学習に使われない設定や契約になっているかを確かめている
- AIを使ってよい職員と、使うときの端末・アカウントを決めている
- AIが作った文章は、必ず人が読んでから使う決まりになっている
- 保護者向けの文章や書類を最終的に確認する人(担任・主任・園長)を決めている
- 子どもの写真や連絡帳の内容をAIに渡すかどうかを決めている
個人情報の扱いは法令や自治体の決まり、園の運営方針にかかわるため、迷う場合は法人の担当者や専門家に相談し、最新の情報は公式の情報で確認してください。保護者にAIを使っていることをどう伝えるかも、あらかじめ園で話し合っておくと安心です。
始める順番
- 子どもの個人情報を含まない仕事(行事の案内、見学の問い合わせへの回答案)から始める
- 職員が使い方と入力してはいけない情報を理解したら、シフト案づくりに広げる
- 名前の置き換えなどのルールが定着してから、保育日誌や指導計画の下書き補助に進む
AIを入れる目的は、保育士や園長が書類や連絡に追われる時間を減らし、子どもを見ること、保護者と話すこと、職員どうしで保育を振り返ることに時間を使えるようにすることです。判断はこれまでどおり人が行い、AIは下書きと整理の係として使うのが、保育の現場に合った使い方です。
当社のAI社員は、園で使っているお便りの書式や書類の様式、シフトの表に合わせて、下書きや案づくりの仕組みをつくり、入力してよい情報のルールづくりからお手伝いします。料金は初期費用+月5万円で、運用後の調整や相談にも回数の制限なく対応していますので、「まずは行事の案内だけで試したい」という段階からお気軽にご相談ください。
よくある質問
保育園でAIを使うなら、まず何から始めるのがよいですか?
子どもの個人情報を含まない、行事の案内やお便りの下書き、見学の問い合わせへの回答案から始めるのがおすすめです。効果がわかりやすく、情報の扱いで迷うことも少ないためです。
保育日誌や指導計画をAIに書かせても大丈夫ですか?
保育士のメモを文章に整える、書式の欄に振り分けるといった下書きの補助なら役立ちます。子どもの姿の見立てやねらい・保育の内容は保育士が決め、AIの下書きは必ず人が読んで直してから使いましょう。
保育園のシフト作成はAIでできますか?
希望休や勤務条件、時間帯ごとに必要な人数などの条件を決めておけば、AIがシフト案を作ることはできます。必要な配置が満たされているかの確認と最終決定は園長が行います。
子どもの名前や健康の情報をAIに入力してもよいですか?
入力してよい情報としない情報を先に決め、名前はイニシャルなどに置き換えるのが安全です。入力内容が学習に使われない設定かどうかも確かめ、扱いに迷う場合は専門家や公式の情報で確認してください。