今日のご相談公開日

【今日のご相談】製造業向けの装置メーカー:営業リスト作りと架電後の入力を、社内で回せる仕組みにしたい

結論

営業リストの収集、相手の会社の発表を踏まえた営業文の下書き、電話で聞き取った内容の顧客管理システムへの登録は、どれもAIで仕組みにできる、というのが当社の回答です。

  • ただし今回は「できあがったリストを渡す」のではなく、社内でAIの仕組みを一緒に作る研修という形をご提案しました。
  • 新しい工場やラインの増設の発表を営業の合図にする例を、先方は「いちばん見込みが高い」と評価されました。
  • 研修後に仕組みを直したり合図を増やしたりするには、それを扱える社内の担当者が必要です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、製造業向けの装置メーカーからいただいた「営業リスト作りと架電後の入力を、社内で回せる仕組みにしたい」というご相談について解説します。今回ご相談いただいたのは、製造業の工場向けに装置を作って販売しているメーカーです。営業担当がそれぞれ手作業で営業リストを作っていて、仕組みとして整っていないことが悩みでした。製品の説明には技術的な知識が要るため、営業を外部に任せる考えはなく、社内で回したいというご意向です。一方で、打ち合わせの最初に「すぐに使えるリストがもらえる」と思われていたことがわかり、研修とリストの提供の違いを説明するところから始まりました。この記事では、ご相談の内容と当社の回答を、条件つきの点も含めて正直にお伝えします。

ご相談の内容:営業リストを各自が手作業で作り、聞き取りの内容も手入力している

ご相談いただいたのは、製造業の工場向けに装置を作って販売しているメーカーです。営業部門の上長の方が、営業リストの作り方に課題を感じていたことがきっかけでした。

打ち合わせで伺った悩みは次のとおりです。

  • 営業リストを、営業担当がそれぞれ手作業で作っている。作り方も人によって違い、会社としての仕組みになっていない
  • マーケティングの担当は少人数で、リスト作りまで手が回らない
  • 製品の説明に技術的な知識が要るため、営業を外部の代行会社に任せるつもりはない。社内で勉強しながら回したい
  • 電話でお客様から聞き取った項目(5つほど)を、顧客管理システムに毎回手で入力している

また、先方は当初、当社から「すぐに使える営業リストがもらえる」と考えていらっしゃいました。実際にご提案していたのは、営業リストを集めるAIの仕組みを社内で一緒に作る研修です。打ち合わせでは、まずこの認識のずれをそろえるところから話を進めました。

ポイント

「リストをもらう」と「リストを集める仕組みを社内に持つ」は、似ているようでまったく違います。前者はすぐ使えますが、使い切ったら終わりです。後者は立ち上げに時間がかかりますが、条件を変えながら何度でも作り直せます。

AIでやりたいこと:リスト収集・個別の営業文・聞き取り内容の登録

ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は次の3つです。

  1. 営業リスト収集の仕組み化:各自の手作業をやめ、決まった条件で営業先を集める仕組みにする
  2. 相手の会社の発表を踏まえた営業文の自動作成:営業先の会社が出しているお知らせ(プレスリリース)の内容に合わせて、1社ずつ違う営業文の下書きを作る
  3. 電話での聞き取り内容の入力の手間をなくす:電話で聞き取った5つほどの項目を、顧客管理システムに自動で登録する

営業の「合図」から営業先を探すという考え方

打ち合わせでは、業種や規模だけで営業先を並べるのではなく、「いま装置を必要としていそうな会社」を見つける考え方をご紹介しました。製造業の工場向けの装置であれば、たとえば次のような出来事が合図になります。

合図の例どこに出てくるかなぜ見込みが高いか
新しい工場の建設・稼働の発表企業のお知らせ、報道新しい設備をそろえる時期に当たる
生産ラインの増設の発表企業のお知らせ、報道ラインに合わせた装置の導入を検討しやすい
工場の人員を募集する求人求人サイト人手不足を設備で補う検討につながりやすい

このうち、新しい工場やラインの増設の発表を毎日自動で集め、社内のチャットに知らせる仕組みを例としてお見せしたところ、先方からは「いちばん見込みが高い」との評価をいただきました。

当社の回答:3つとも仕組みにできるが、研修後の改修には担当者が必要

ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。

やりたいこと判定理由・条件
新しい工場・ラインの増設の発表を集めて営業先にする〇できるお知らせを自動で集め、社内のチャットに知らせる仕組みを例としてお見せ済み
営業リスト収集の仕組み化〇できる研修の範囲に含めて、先方と一緒に作る
相手の会社の発表を踏まえた営業文の下書き〇できる研修の範囲に含めて作る。送る前に営業担当が読んで直す前提
聞き取り内容の顧客管理システムへの登録〇できるシステムと自動でつなぐ(API連携)ところまで研修の範囲に含める
研修後に合図を増やす・仕組みを直す△工夫すればできるAIの開発ツールで作るため、研修後の改修にはそのツールを扱える社内の担当者が必要
すでに使っているほかのAIツールとの役割分担△工夫すればできる商談の分析や社内チャットのAI機能と重なる部分がないか、先方で確認中

今回の議事録の範囲では、「できない」と判断したものはありませんでした。ただし、研修後に仕組みを育てていくには社内の担当者が欠かせない、という点ははっきりお伝えしています。仕組みは作って終わりではなく、合図を見直したり、集める先を増やしたりして初めて当たるリストになっていくからです。

進め方の提案:勝ち筋の言葉にするところから、運用の定着までを一緒に作る

当社からは、次の順番でAIの仕組みを一緒に作る研修をご提案しました。いきなりツールを作るのではなく、「どんな会社に、なぜ売れているのか」を言葉にするところから始めるのが特徴です。

  1. 勝ち筋を言葉にする:これまで売れた会社に共通することを書き出す
  2. 狙う会社を決める:業種・規模・工場の特徴など、ターゲットの条件を決める。今回は食品の工場など、いくつかの業種を仮説としてお示しした
  3. 買うきっかけになる合図を決める:新工場の稼働やラインの増設など、需要が生まれる出来事を特定する
  4. リストを集める仕組みを作る:合図をお知らせや報道から自動で集め、営業先の一覧にする
  5. 最初の接点を設計する:電話・メールなど、どこから声をかけるかを決める
  6. 話す内容を型にする:電話での聞き取り項目や営業文の型をそろえる
  7. 半自動にする:営業文の下書き、聞き取り内容の登録をAIに任せる
  8. 社内で回し続ける:研修後は先方の社内だけで、リストの収集から声かけまでが回る状態を目指す

研修のゴールは、当社がいなくても先方の社内で回ることです。そのため、研修の中で「誰が合図を見直すか」「誰が仕組みを直すか」を決めておくことをお願いしました。

同じ悩みを持つ会社へ:リストを「もらう」か「作る仕組みを持つ」かを先に決める

技術的な説明が必要な製品を扱う会社では、営業を外部に任せにくく、社内でリストを作り続ける力が大切になります。今回のご相談から言えることは次のとおりです。

  • 営業リストは、業種や規模よりも「いま必要としていそうな合図」で集めると見込みが上がりやすい
  • 新しい工場やラインの増設の発表は、設備を扱う会社にとってわかりやすい合図になる
  • 電話で聞き取った内容の手入力は、聞き取り項目を決めておけば自動の登録にしやすい
  • 仕組みを社内で育てるには、改修を担当する人を最初に決めておく必要がある
  • 研修・リストの提供・営業の代行は別のサービスなので、何を頼むのかを最初にそろえる

営業リスト作りをAIで仕組みにする前に確認すること

  • これまで売れた会社に、買う前にどんな出来事があったかを書き出せるか
  • その出来事が、企業のお知らせ・報道・求人などの公開情報に出てくるか
  • リストを「もらいたい」のか「作る仕組みを持ちたい」のかが社内でそろっているか
  • 電話やメールで聞き取る項目が決まっているか
  • 研修後に合図を見直し、仕組みを直す担当者を決められるか
  • すでに使っているAIツールと役割が重ならないかを確認したか

営業リストづくりにAIを使う方法は営業リストの作成をAIで効率化する方法でもくわしく紹介しています。自社の場合はどうなるかを相談したい場合は、月5万円のAI社員のページからお気軽にご相談ください。

よくある質問

営業リストの収集をAIで仕組みにできますか?

できます。新しい工場の稼働やラインの増設など、需要が生まれる出来事を企業のお知らせや報道から自動で集め、営業先の一覧にする仕組みを作れます。どの出来事を合図にするかは、製品をよく知る社内の目で決めて磨いていくのがおすすめです。

電話で聞き取った内容を、顧客管理システムに自動で登録できますか?

聞き取る項目が決まっていれば、システムと自動でつないで登録する仕組みを作れます。今回のご相談でも、研修の範囲に含めてご提案しました。

AIの研修と、営業リストの提供は何が違いますか?

リストの提供はすぐに使えますが、使い切ったら終わりです。研修では、条件を変えながら何度でもリストを作り直せる仕組みを社内に持てますが、立ち上げに時間がかかり、研修後に仕組みを直す担当者が必要です。

相手の会社に合わせた営業文をAIで作れますか?

相手の会社が出しているお知らせの内容を読み取り、1社ずつ違う営業文の下書きを作る仕組みは作れます。送る前には、営業担当が内容を読んで直す流れを入れることをおすすめします。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

コラム一覧へ戻る