今日のご相談公開日

【今日のご相談】青果卸:FAXで届く注文の手入力をAIでなくしたい

結論

FAXで返ってくる注文書を読み取り、商品や数量・金額を一覧に自動で書き込み、確認したうえで基幹システムに送る仕組みは、AIで作れます。当社には同じ種類のFAX受注の仕組みを構築した実績があります。ただし基幹システムとつなげられるかは仕様書を見て確認する必要があり、案内FAXの送信は後回しにすることで合意しました。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、青果卸の会社からいただいた「FAXで届く注文の手入力をAIでなくしたい」というご相談について解説します。今回ご相談いただいたのは、市場での事業を行う青果卸の会社です。数年前に入れた受注システムが、OSの対応などの理由で移行が必要になり、相応の費用がかかることがわかりました。どうせ費用をかけるなら、今後また移行に悩まなくてよい仕組みに作り直したい、というのがきっかけです。この記事では、ご相談の内容と当社の回答を、条件が付く点も含めて正直にお伝えします。

ご相談の内容:FAXの注文をExcelに手入力し、基幹システムへ手で上げている

ご相談いただいたのは青果卸の会社で、受注の事務は数名の担当者で行っています。

現在の受注の流れは次のとおりです。

  1. 前日に、商品と価格の案内をFAXで取引先に送る
  2. 取引先が案内に数量を書き込み、FAXで返信する
  3. 担当者が返ってきたFAXを見ながら、Excelに手で入力する
  4. 入力したExcelを、基幹システムに手作業でアップロードする

手書きの数量を読み取って入力する作業は、件数が多いほど時間がかかり、読み間違いや入力ミスの心配もあります。加えて、既存の受注システムの移行時期が来ていたため、この機会に仕組みごと見直したいというご相談でした。

打ち合わせでは「頼んだら思っていたものと全然違うものができた、という事態は避けたい」という不安も率直に伺いました。

AIでやりたいこと:FAX注文の取り込みと、案内FAXの送信

ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は次の2つです。

  1. 取引先から返ってきたFAXの注文を読み取り、Excelへの手入力と基幹システムへの手作業のアップロードをなくしたい
  2. 前日に送る商品・価格の案内FAXの出力と送信も自動にしたい(優先度は低め)

当社の回答:できること・工夫が要ること・難しいこと

当社からは、FAXをPDFにしてアップロードすると、商品・数量・金額などが一覧に自動で書き込まれ、担当者が確認・修正したあとにボタン一つで基幹システムへ送る仕組みをご提案しました。判断は次のとおりです。

やりたいこと判定理由・条件
FAXの注文を読み取り、一覧に自動で書き込む〇できる当社は他社向けに同じ種類のFAX受注の仕組みを構築した実績があります。読み取った内容は担当者が画面で確認・修正してから確定します
確認後に基幹システムへ自動で送る△工夫すればできる基幹システムはクラウド上の独自開発のシステムのため、外からデータを受け取れるかは仕様書を見て確認が必要です
案内FAXの出力・送信の自動化△今回は後回しまず受注の取り込みを優先することで合意しました。実現方法は今回の打ち合わせでは検討していません

ポイント

AIが読み取った内容をそのまま基幹システムに送らず、担当者が一覧で確認してから送る形にしています。手書きの数字の読み違いがあっても、取引に影響する前に気づけます。

なぜ「確認画面」をはさむのか

FAXは紙をスキャンした画像なので、かすれや書き込みの位置のずれ、手書きの数字のくせなど、読み取りを難しくする要素がどうしても残ります。AIの読み取り精度が高くても、取引に使う数量や金額を確認なしで確定させるのはおすすめしません。

当社の提案では、AIが読み取った結果を元のFAXと並べて表示し、担当者が気になる箇所だけを直してから確定する形にしています。担当者の仕事は「一から入力する」から「合っているかを見て、違うところだけ直す」に変わります。入力の時間が減るだけでなく、確認の目が1回入ることで、読み間違いをそのまま基幹システムに送ってしまう心配も減らせます。

また、取引先ごとに書き方のくせがある場合は、そのくせを読み取りのルールとして加えていくことで、使うほど直す箇所を減らしていけます。

進め方の提案:見積もりの前にサンプルと仕様書をいただく

「思っていたものと違うものができる」のを防ぐため、次の順番で進めることをご提案しました。

  1. 実物のサンプルをいただく:実際に返ってくるFAXのサンプル、今使っているExcelの列の構成、基幹システムの仕様書を事前に受け取る
  2. 連携できるかを確認する:仕様書をもとに、基幹システムへ自動で送れるか、送れない場合はどの形式で渡すかを決める
  3. 見積もりの精度を上げる:サンプルを見たうえで、作る範囲をはっきりさせてからお見積もりする
  4. 受注の取り込みから作る:FAXの読み取り、確認画面、基幹システムへの連携の順に作る
  5. 案内FAXの送信は後から検討する:受注側が安定してから取りかかる

サンプルを先にいただくのは、FAXの書き方や列の並びが会社ごとに違い、それによって作るべきものが変わるからです。

同じ悩みを持つ会社へ:FAX受注は今もAIで自動化できる

取引先の事情でFAXの注文をやめられない会社は、食品や卸売の業界を中心に今も多くあります。今回のご相談から言えることは次のとおりです。

  • 取引先にFAXをやめてもらわなくても、受け取った側でAIが読み取ることで手入力を減らせる
  • 読み取った結果は、人が確認してから確定する流れにする
  • システムの入れ替え時期は、仕組みを見直すよい機会になる
  • 依頼する前にサンプルを出すことが、「違うものができた」を防ぐいちばんの近道になる

FAX受注のAI化を相談する前に用意するもの

  • 実際に届くFAXのサンプル(書き方の違う取引先のものを数種類)
  • 今入力しているExcelなどの列の構成
  • 受注データを入れる基幹システムの仕様書や、取り込める形式の情報
  • 読み取った内容を誰が、いつ確認するかの案
  • 最初に自動化したい範囲(受注の取り込みだけか、送信も含むか)

よくある質問

手書きの数量が書かれたFAXでも、AIで読み取れますか?

読み取れます。読み取った内容は一覧に表示し、担当者が確認・修正してから確定する流れにするため、読み違いがあっても取引に影響する前に直せます。

取引先にFAXをやめてもらう必要はありますか?

ありません。届いたFAXをPDFにしてAIが読み取るため、取引先のやり方はそのままで手入力を減らせます。

自社で独自に作った基幹システムともつなげられますか?

システムの仕様によります。仕様書を見て、自動で送れるか、決まった形式のファイルで渡すかを判断します。

思っていたものと違うシステムができるのが不安です。

見積もりの前に、実際のFAXのサンプルやExcelの列の構成、基幹システムの仕様書をいただき、作る範囲をはっきりさせてから進めます。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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