API連携とは?——AIと社内システムを自動でつなぐ仕組みをわかりやすく解説(連携できないときの代わりの方法も)
結論
API連携とは、ソフト同士がデータをやり取りするための決まった窓口である「API(エーピーアイ)」を使って、別々のシステムやツールを自動でつなぐことです。API連携を使うと、AIが販売管理・会計・勤怠・顧客管理などのシステムからデータを読み取ったり、結果を書き込んだりでき、人がデータを写し替える手間がなくなります。APIがない、または公開されていないシステムでも、CSVファイルの書き出し・取り込みや画面操作の自動化など、代わりの方法でつなげる場合が多くあります。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、API連携の意味と、AIと社内のシステム・ツールをつなぐ仕組み、API連携でできること、APIがない場合の代わりの方法、注意点と依頼前に確認することについて解説します。AIの導入を検討していると、「API連携できますか」「そのシステムはAPIが公開されていないので連携できません」といった言葉を耳にすることがあります。社内で使っている会計ソフトや販売管理システムとAIをつなげたいけれど、APIという言葉の意味がよくわからず、話についていけない。そう感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、APIとは何か、API連携でAIと社内のシステムをつなぐとどんなことができるのかを、専門用語をできるだけ使わずに説明します。あわせて、「連携できない」と言われたときに検討できる代わりの方法、API連携の注意点、システム会社やAIの会社に依頼する前に確認しておきたいことをまとめます。なお、AIを使うたびにかかる「API料金(AIの利用料)」については別の記事で解説しており、この記事では扱いません。
APIとは、ソフト同士がデータをやり取りするための「決まった窓口」
API(エーピーアイ)とは、あるソフトが、別のソフトにデータを渡したり、頼みごとをしたりするための決まった窓口のことです。英語の「Application Programming Interface」の頭文字で、日本語にすると「ソフトとソフトをつなぐための取り決め」といった意味になります。そして、このAPIを使って2つ以上のシステムをつなぎ、データを自動でやり取りさせることを「API連携」と呼びます。
お店の注文窓口にたとえると
APIは、飲食店の注文窓口にたとえるとわかりやすくなります。お客様は厨房に入って自分で料理を作ることはできませんが、注文窓口で「メニューの3番を1つ」と決まった言い方で頼めば、料理が出てきます。厨房の中がどうなっているかを知らなくても、窓口のルールさえ守れば、欲しいものが手に入るわけです。
システムも同じです。販売管理システムの中身(データベース)を外のソフトが直接いじることはできませんが、そのシステムがAPIという窓口を用意していれば、「今月の売上データをください」「この注文を登録してください」と決まった形で頼むことで、データを受け取ったり書き込んだりできます。
| お店のたとえ | システムの世界 |
|---|---|
| 注文窓口 | API |
| メニューと注文の言い方 | APIの仕様(どんなデータを、どんな形で頼めるかの取り決め) |
| 会員証 | APIキーや認証(窓口を使ってよい相手かを確かめる仕組み) |
| 厨房 | システムの中身(データベースや処理) |
| 出てきた料理 | 受け取ったデータや処理の結果 |
ポイント
APIは「そのシステムを作った会社が、外とつなぐために用意した公式の入口」です。入口が用意されているかどうか、誰に開かれているかは、システムによって違います。
API連携でAIができること——社内システムのデータを読む・書き込む
AIはそれだけでは、社内のどのシステムにどんなデータがあるかを知りません。AIと社内のシステムをAPIでつなぐと、AIが必要なデータを自分で取りにいき、結果をシステムに戻せるようになります。大きく分けると「読む」と「書き込む」の2つです。
| つなぐ相手 | AIが読むもの(例) | AIが書き込むもの(例) |
|---|---|---|
| 販売管理システム | 在庫数、出荷予定、過去の注文 | 注文書から読み取った受注データ |
| 会計ソフト | 月ごとの売上・経費、入金の状況 | 経費の仕訳の候補、請求書のデータ |
| 勤怠管理システム | 出退勤の記録、残業時間、有休の残り | 確認が必要な打刻への注意の印 |
| 顧客管理システム(CRM) | 顧客の情報、商談の履歴 | 商談記録の要約、次にやることのメモ |
| チャットやメール | 届いた問い合わせの内容 | 返信の下書き、担当者への通知 |
たとえば、お客様から「この商品の在庫はありますか」とメールが届いたとき、API連携がなければ、担当者が販売管理システムを開いて在庫を調べ、メールに書き写して返信します。API連携があれば、AIがメールの内容を読み、販売管理システムに在庫を問い合わせ、在庫数を入れた返信の下書きを作るところまでを自動で進められます。人は下書きを確認して送るだけになります。
このように、API連携の価値は「人がシステムとシステムの間でデータを写し替える作業」をなくすことにあります。AIの判断や文章作成の力と組み合わせると、読み取り・確認・登録・通知までを一続きの流れにできます。
なお、書き込みまで任せる場合は、いきなり本番のデータを書き換えさせるのではなく、「AIが作った登録内容を人が確認してから反映する」段階から始めるのが安全です。
APIがない・公開されていないときの代わりの方法を比較表で整理する
社内で使っているシステムにAPIがない、あるいはAPIはあっても外部に公開されていない、追加の契約が必要で使えない、ということはよくあります。そのとき「連携できません」で終わらせる必要はありません。多くの場合、次のような代わりの方法でデータをやり取りできます。
| 方法 | どんな仕組みか | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| API連携 | システムの公式の窓口を使い、自動でデータをやり取りする | 頻繁に、その場でデータを読み書きしたい | APIの有無、利用条件、追加費用を確認する |
| CSVの書き出し・取り込み | システムからCSV(表形式の文字データ)を書き出し、AIが読む。結果をCSVで取り込む | 1日1回や月1回など、まとめて処理すればよい | 書き出し・取り込みの操作が人の手に残ることがある |
| 決まった形式のファイル | 共有フォルダに置いた決まった形式の表やファイルを、AIが定期的に読み書きする | 表計算ソフトで管理しているデータが中心 | ファイルの形式や置き場所を勝手に変えないルールが必要 |
| 画面操作の自動化(RPA) | 人がマウスやキーボードで行う画面操作を、ソフトに覚えさせて代わりに行わせる | 画面からしか操作できない古いシステム | 画面の見た目が変わると止まりやすい |
| メールでの受け渡し | システムが送る通知メールや帳票メールをAIが読み、結果もメールで返す | システムがメール通知の機能を持っている | メールの書式が変わると読み取れなくなることがある |
RPA(アールピーエー)とは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、画面上の決まった操作を自動で繰り返させる仕組みのことです。APIのない古いシステムでも使える反面、システムの画面が更新されるたびに設定の見直しが必要になる点に注意が必要です。
どの方法が合うかは、どのくらいの頻度でデータを動かしたいかと、どこまで人の操作が残ってもよいかで決まります。たとえば月に一度の集計であれば、CSVの書き出しと取り込みで十分なことも多く、無理にAPI連携にこだわる必要はありません。反対に、問い合わせのたびに在庫を確かめたいような場面では、API連携のほうが向いています。
API連携の注意点——権限・費用・仕様変更・セキュリティ・利用規約
API連携は便利ですが、つなげば終わりではありません。導入の前に、次の5つの点を確認しておきましょう。
1. 権限:AIにどこまで触らせるか
APIで連携すると、AIはシステムのデータを読んだり書き換えたりできるようになります。読むだけでよいのか、書き込みも許すのか、どのデータまで見せるのかを決め、必要な範囲だけの権限を与えます。全部のデータを触れる強い権限を与えると、誤った処理が起きたときの影響が大きくなります。
2. 費用:APIの利用に追加料金がかかることがある
システムによっては、APIを使うために上位のプランへの切り替えや、別料金の契約が必要な場合があります。また、一定の回数を超えると追加料金がかかるものもあります。連携の仕組みを作る費用とは別に、システム側の利用料が発生するかを確かめておきます。
3. 仕様変更:APIの取り決めが変わることがある
システムの提供会社がAPIの仕様を変えたり、古い版の提供を終えたりすると、連携が止まることがあります。連携を作ったあとも、変更の知らせに気づき、直せる体制が必要です。
4. セキュリティ:鍵の管理を厳しくする
APIを使うには、多くの場合「APIキー」と呼ばれる合言葉や、ログインのような認証が必要です。これが外に漏れると、第三者に社内のデータを読まれたり書き換えられたりするおそれがあります。キーを社員同士でメールに貼って共有しない、使わなくなったキーは止める、といった管理が大切です。
5. 利用規約:つないでよい使い方かを確かめる
システムの利用規約で、外部のサービスとの連携や、データを別のサービスに送ることについて条件が決められている場合があります。また、顧客や従業員の個人情報をAIのサービスに送る場合は、社内ルールや法令に沿った扱いが必要です。規約や法令の解釈は変わることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトや専門家に確認してください。
ポイント
API連携の失敗の多くは、技術よりも「誰が鍵を持つか」「止まったら誰が直すか」が決まっていないことから起こります。作る前に、管理と保守の担当まで決めておきましょう。
API連携を依頼する前に確認すること
システム会社やAIの会社に「うちのシステムとAIをつなぎたい」と相談するときは、次のことを先に整理しておくと、話が早く進み、見積もりの食い違いも減ります。
API連携を依頼する前のチェックリスト
- つなぎたいシステム・ツールの名前と、契約しているプランがわかるか
- そのシステムにAPIがあるか、使うのに追加の契約や料金が必要か(提供会社の資料や窓口で確認)
- APIがない場合、CSVの書き出し・取り込みやメール通知の機能はあるか
- AIに「読ませたい」データと、「書き込ませたい」データを分けて書き出したか
- データを動かす頻度(その場で・1日1回・月1回)を決めたか
- 個人情報や社外秘のデータが含まれるか、社内ルールで扱いを決めたか
- APIキーなどの鍵を管理する担当者を決めたか
- 連携が止まったときに、手作業で業務を続ける方法を用意したか
- 連携を作ったあとの保守(仕様変更への対応)を誰が行うか決めたか
このうち、最初の3つはシステムの提供会社に問い合わせればわかることがほとんどです。「APIはありますか」「CSVで書き出せますか」と聞くだけでも、どの方法でつなげそうかの見当がつきます。
また、「何のためにつなぐのか」をはっきりさせておくことも大切です。「受注の入力をなくしたい」「問い合わせの返信を早くしたい」といった目的が決まっていれば、必要なデータも、APIにこだわるべきかどうかも、自然と決まってきます。
「連携できない」と言われたら、目的とデータの流れから相談を
APIがない、公開されていないと言われると、AIの活用そのものをあきらめてしまう会社もあります。しかし実際には、CSVやファイル、メール、画面操作の自動化を組み合わせることで、目的の業務を自動にできる場合が多くあります。大切なのは「どのシステムとつなぐか」より、どの業務のどの手間をなくしたいかから考えることです。
当社の「AI社員」は、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みを作り、運用まで支える月額のサービスです。お使いのシステムにAPIがあればAPIで、なければCSVやメールなど使える方法を組み合わせて、AIと社内のシステム・ツールをつなぎます。連携が止まったときの対応や、システム側の変更への追随も、保守として継続して行います。料金は初期費用+月5万円で、保守・相談・メンテナンスは回数の制限なくご利用いただけます。初期費用は業務の内容をお聞きしたうえでお見積もりします。なお、AIの利用料は実費となります。構築期間は内容によって2週間程度から1か月程度で、最短2週間で稼働できます。
当社にはこれまで、製造、物流、建設・設備、医療・介護、士業・会計など、約90社からご相談をいただいてきました。たとえば従業員30名規模の製造業では、受注書の入力にかかっていた時間が1日2時間から15分になった事例があります。「うちのシステムとつながるのか」「連携できないと言われたがほかに方法はないか」とお悩みでしたら、お使いのシステムの名前と、なくしたい作業を教えていただければ、どの方法でつなげそうかを一緒に確かめることができます。お気軽にご相談ください。
よくある質問
API連携とは簡単に言うと何ですか?
ソフト同士がデータをやり取りするための決まった窓口(API)を使って、別々のシステムを自動でつなぐことです。人がデータを写し替えなくても、システム同士で受け渡しができるようになります。
社内のシステムにAPIがない場合、AIとはつなげられませんか?
つなげられる場合が多くあります。CSVファイルの書き出し・取り込み、決まった形式のファイル、メールでの受け渡し、画面操作の自動化(RPA)などの方法を、業務に合わせて組み合わせます。
API連携とAPI料金は同じ話ですか?
別の話です。API連携は社内のシステムとAIなどをつなぐ仕組みのことで、API料金は一般にAIを使った量に応じてかかる利用料を指します。ただし、社内のシステム側でもAPIの利用に追加料金がかかる場合があります。
API連携をするとセキュリティ上のリスクはありますか?
あります。APIキーなどの鍵が漏れるとデータを読まれたり書き換えられたりするおそれがあるため、必要な範囲だけの権限にする、鍵の管理担当を決める、使わない鍵は止める、といった対策が必要です。