今日のご相談公開日

【今日のご相談】IT人材のSES事業(営業は少人数):メールで届く案件と人材のマッチングをAIに任せたい

結論

メールで届く案件情報と人材情報のマッチングは、リモートか常駐かといったはっきりした条件であればAIで明確に判定でき、職務経歴書と案件を照らし合わせた点数づけや紹介文の下書きまで任せられる、というのが当社の回答です。一方で、あいまいな条件の判断はAIの結果が揺れるため、最終的な判断は人が行う前提にする必要があります。月末の請求書ファイルの名前の付け替えや、契約更新時の注文書づくりも、自動化の選択肢があることをお伝えしました。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、IT人材のSES事業を営む会社からいただいた「メールで届く案件と人材のマッチングをAIに任せたい」というご相談について解説します。今回ご相談いただいたのは、IT人材を企業のプロジェクトに送り出すSES事業を営む会社です。営業は少人数のチームで回しており、毎日メールで大量に届く案件情報と人材情報を見比べる作業に追われていました。代表の方はご自身でAIを使った仕組みづくりを試していましたが、営業の現場ではAIに質問する程度の使い方にとどまっていたそうです。「AIはすぐ進化するので、学んでもすぐ古くなるのでは」というご不安も伺いました。この記事では、当社がどう回答したかを、難しい点も含めて正直にお伝えします。

ご相談の内容:少人数の営業チームで、毎日届く案件と人材を見比べている

ご相談いただいたのは、IT人材のSES事業を営む会社です。SESは、エンジニアなどのIT人材を、お客様の企業のプロジェクトに技術者として送り出す事業です。営業の中心になるのは、「どんな人を求めている案件か」と「どんな経験を持つ人材か」を見比べて、合う組み合わせを見つけることです。

この会社では、案件情報も人材情報も、取引先から日々メールで届きます。それを少人数の営業チームが読み、条件を見比べ、合いそうな組み合わせを探してご紹介する、という流れで仕事をしていました。

課題は次のとおりです。

  • メールで届く案件情報・人材情報の量が多く、見比べる作業に営業の時間の多くが取られている
  • 業務が追いつかない部分があり、AIに任せられるところは任せたい
  • 代表の方はAIで仕組みを作ることを試しているが、営業の現場ではAIに質問したり資料を読ませたりする程度の使い方にとどまっている
  • 月末・月初には請求に関わる細かな作業が集中する

また、AIの進化が速いので、今学んだことがすぐに古くなってしまうのではないか、というご不安もお持ちでした。今回は、AIの使い方を社内で学ぶ研修としてのご相談でした。

AIでやりたいこと:マッチング・請求まわり・注文書づくりの3つ

ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は、次の3つです。

  1. 案件情報と人材情報のマッチング:メールで届く案件情報と人材情報を見比べ、合う組み合わせを見つける。SES営業の中心となる業務
  2. 月末・月初の請求まわりの作業:請求書のファイル名の付け替えなど、毎月くり返される細かな作業を自動にしたい
  3. 契約更新時の注文書づくり:契約を更新するたびに作る注文書を、自動で作れるようにしたい

3つを並べると、性質の違いがはっきりします。

やりたいこと作業の性質AIとの相性
案件と人材のマッチング文章で書かれた条件を読み、比べて判断する読み取りと比較はAIの得意分野。ただし判断が分かれる条件もある
請求書のファイル名の付け替え決まったルールで毎月くり返すルールがはっきりしているので自動にしやすい
注文書づくり契約の情報を決まった書式に流し込む元になる情報がそろっていれば自動にしやすい

マッチングは「読む・比べる・判断する」が中心の仕事で、請求まわりと注文書は「決まった手順をくり返す」仕事です。同じ自動化でも、考え方が少し変わります。

くり返しの作業は、手順さえ決まっていれば最初から自動にしやすい一方、マッチングは「どこまでをAIに決めさせ、どこからを人が決めるか」の線引きが成否を分けます。今回のご相談でも、この線引きが話の中心になりました。

当社の回答:はっきりした条件のマッチングはできる、あいまいな判断は人が最後に決める

打ち合わせでは、当社で作ったマッチングのデモをご覧いただきました。職務経歴書をアップロードすると、AIが案件情報と照らし合わせて合う度合いを点数で示し、お客様向けの紹介文の下書きまで作るものです。メールと連携して、届いた案件情報や人材情報を自動で取り込むことも技術的に可能だとお伝えしました。

ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。

やりたいこと判定理由・条件
はっきりした条件でのマッチング(リモートか常駐か など)〇できる決まった条件は、合う・合わないをAIが明確に返せる。職務経歴書と案件の照合、点数づけ、紹介文の下書きまで任せられる
あいまいな条件でのマッチング△工夫すればできる表現に幅のある条件は、AIの判断結果が揺れる。AIには候補を出させ、最終的な判断は人が行う必要がある
請求書のファイル名の付け替え〇できる自動化の選択肢を提示。表計算ソフトとの連携や、請求書を作るアプリを自社で作る方法も選べる
契約更新時の注文書づくり〇できる注文書の生成は自動化の選択肢を提示

今回の打ち合わせでは、「難しい・できない(×)」と判定した項目はありませんでした。ただし、マッチングを全部AIに任せきりにする形はおすすめしていません。

ポイント

マッチングの自動化では、条件を「はっきりした条件」と「あいまいな条件」に分けて考えるのが近道です。はっきりした条件はAIにふるい分けを任せ、あいまいな条件はAIに候補と理由を出させて人が決める、という分担にすると、スピードと判断の確かさを両立しやすくなります。

進め方の提案:「AIはすぐ古くなる」不安には、変わらない土台から学ぶ

代表の方からは、「AIの進化が速く、学んだことがすぐに古くなるのでは」というご不安を伺いました。これはご相談の中で多く聞かれる声です。

当社からは、AIの道具そのものは次々に新しくなっても、仕組みづくりの土台となる考え方は変わらない、とお伝えしました。具体的には次の3つです。

変わらない土台中身今回のご相談での例
コード(仕組みの作り方)AIに何をどの順番でやらせるかを組み立てる考え方メールを読む→条件を取り出す→照らし合わせる→紹介文を書く、という流れ
データ収集AIに渡す情報をどこから、どんな形で集めるかメールで届く案件情報・人材情報、職務経歴書
デプロイ先(動かす場所)作った仕組みをどこで動かし、誰が使うか営業チームが毎日使える場所に置く

そのうえで、進め方としては次の順番をおすすめしています。

  1. マッチングの条件を書き出す:ふだん見ている条件を、はっきりした条件とあいまいな条件に分けて書き出す
  2. はっきりした条件から自動にする:まずは合う・合わないが明確な条件で、ふるい分けをAIに任せる
  3. あいまいな条件は候補出しにとどめる:AIに理由つきで候補を出させ、営業が最終判断する
  4. 請求まわり・注文書は手順を固めてから自動にする:ファイル名のルールや注文書の書式を決め、くり返し作業を自動にする

どれも、一度作って終わりではなく、使いながら条件や手順を直していくことが大切です。

同じ悩みを持つ会社へ:案件と人材のマッチングをAIに任せる前に確認すること

SESや人材紹介など、「求める条件」と「持っている経験」を見比べる仕事は、AIの読み取りと比較の力が生かしやすい分野です。一方で、判断が分かれる条件まで任せきりにすると、合わない紹介が混ざり、かえって手間が増えることもあります。

まずは、今の見比べ方を言葉にするところから始めるのが近道です。

マッチングをAIに任せる前に確認すること

  • 案件情報・人材情報がどこから、どんな形(メール本文・添付ファイルなど)で届いているか
  • 見比べるときに使っている条件を書き出せるか
  • その条件を、はっきりした条件とあいまいな条件に分けられるか
  • AIが出した候補を、誰がどの段階で確かめるかを決められるか
  • 紹介文の下書きを、そのまま送らずに人が読み直す流れになっているか
  • 請求書のファイル名や注文書の書式など、毎月くり返す作業のルールが決まっているか

当社では、業務の流れを伺ったうえで、AIに任せる部分と人が判断する部分を一緒に整理しています。毎日のメール処理に営業の時間が取られている会社は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

SESの案件と人材のマッチングはAIでできますか?

リモートか常駐かといったはっきりした条件のマッチングは、AIで明確に判定できます。職務経歴書と案件の照合や点数づけ、紹介文の下書きまで任せられますが、あいまいな条件の最終判断は人が行う形が現実的です。

メールで届く案件情報や人材情報を、AIに自動で取り込めますか?

技術的には可能です。メールと連携して届いた情報を取り込み、マッチングの対象にする仕組みを作れます。

AIの進化が速いので、今学んでもすぐ古くなりませんか?

AIの道具は新しくなっても、仕組みの組み立て方・データの集め方・動かす場所の考え方といった土台は変わりません。土台を身につけておけば、新しい道具にも乗り換えやすくなります。

月末の請求書のファイル名の付け替えや注文書づくりも自動化できますか?

できます。ルールが決まっているくり返し作業は自動にしやすく、表計算ソフトとの連携や、請求書を作るアプリを自社で作る方法などから選べます。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

コラム一覧へ戻る