【今日のご相談】住宅設備設計:電気設備の材料拾い出しをAIで速くしたい
結論
物件の条件を入力すると材料の拾い出しリストが出てくる仕組みは、AIで作ることができます。一方、設備図面の自動生成はAIの中でも難しい領域で、使っている設計CADとの連携も外部連携の仕組みが公開されているかどうかで方法が変わります。手書きの資料の読み取りは難しく、印刷された仕様書であれば読み込めるとお伝えしました。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、住宅設備設計の会社からいただいた「電気設備の材料拾い出しをAIで速くしたい」というご相談について解説します。今回ご相談いただいたのは、一般住宅や低層の集合住宅の設備設計(給排水・電気設備の設計と材料の拾い出し)を行う会社です。毎月数百件の設計・拾い出しを処理しており、中でも電気設備の材料拾い出しに時間がかかっています。社内にAIやシステム開発に詳しい人はおらず、AIはまだまったく使っていない状態でした。この記事では、当社がどう回答したかを、難しい点も含めて正直にお伝えします。
ご相談の内容:材料拾い出しに時間がかかっている
ご相談いただいたのは、住宅の給排水設備と電気設備の設計を専門に行う会社です。会社の人数は伺っていませんが、毎月数百件の物件について、設計と材料の拾い出しを行っています。
材料の拾い出しとは、図面から「どの部材が何個、配管や電線が何メートル必要か」を数え上げて一覧にする作業です。見積もりや発注のもとになるため、正確さが求められます。
現状の課題は次のとおりです。
- 電気設備は部材の種類が多く、拾い出しに特に時間がかかる
- 電線は長さを積み上げて数量を出す必要があり、余り(ロス)を減らす工夫も求められる
- 設計は専用のCADで行っているが、拾い出しは人の手作業に頼っている
- 社内にAIやシステムの知識を持つ人がいない
件数が多い会社ほど、1件あたりの拾い出し時間の差が、全体の仕事量に大きく響きます。
AIでやりたいこと:拾い出しの効率化から図面の自動生成まで
ご相談の中で挙がった「AIでやりたいこと」は次の4つです。優先順位は上から高い順です。
- 電気設備の材料拾い出しの効率化(最優先)
- 電気設備の図面の自動生成
- 電線の拾い出し:必要な長さを算出し、余りが最小になるようにしたい
- 使っている設備設計CADとの連携:CADの図面データから直接拾い出しにつなげたい
当社からは、給排水設備向けに作ったデモをお見せしました。物件名・構造・階数・設備の設置位置などを入力すると図面が作られ、それに連動して材料の拾い出しリストも更新される仕組みです。電気設備版のデモはまだ作っていませんが、同じ考え方で作ることができるとお伝えしました。
当社の回答:できること・工夫が要ること・難しいこと
ご相談の内容に対する当社の判定は次のとおりです。
| やりたいこと | 判定 | 理由・条件 |
|---|---|---|
| 入力条件から材料リストを出す | 〇できる | 給排水設備版のデモで、入力条件に連動して拾い出しリストが更新される仕組みをお見せ済み。電気設備版も同じ考え方で作れる |
| 仕様書の読み込み | 〇できる | PDFや印刷物の仕様書は、文字を読み取る技術(OCR)で読み込める |
| 電気設備の図面の自動生成 | △工夫すればできる | 図面の自動生成はAIの中でも難易度が高い領域。当社もご相談者も同じ認識で、簡単にできるとはお伝えしていない |
| 設計CADとの連携 | △工夫すればできる | CADに外部連携の仕組み(API)が公開されていれば比較的容易。公開されていなければ、画面操作の自動化など別の方法を検討する。仕様は当社で確認する |
| 電線の拾い出し・ロスの最小化 | △工夫すればできる | 具体的な業務の流れを伺ってから判断する。現時点では判定材料が足りない |
| 手書き資料の読み取り | ×難しい | 手書きの資料は読み取りの精度が安定しにくい。印刷された資料であれば対応できる |
ポイント
「図面を描く」より「図面や条件から数える」ほうが、AIで形にしやすい作業です。まずは拾い出しのように答えがはっきりしている作業から始めると、効果を確かめやすくなります。
進め方の提案:最優先の拾い出しから小さく始める
当社からは、次の順番で進めることをご提案しました。
- 電気設備の拾い出しの流れを詳しく伺う:どの図面・どの資料から、どの部材をどう数えているかを整理する
- 電気設備版のデモを作る:給排水設備版と同じく、入力条件から材料リストが出る仕組みを電気設備向けに作り、実際の物件で試していただく
- CADとの連携方法を調べる:外部連携の仕組みが公開されているかを当社で確認し、使えない場合は別の方法を検討する
- 電線の拾い出しや図面生成は、その後に検討する:難易度が高いものは、拾い出しの効果を確かめてから取り組む
社内にAIの知識を持つ人がいない場合でも、使い方を覚えながら自社業務に合わせたツールを作っていく形で進められます。
同じ悩みを持つ会社へ:拾い出しのAI化で押さえたいこと
材料の拾い出しや数量の積算は、設備設計に限らず、建設・リフォーム・内装など多くの会社で時間がかかっている作業です。数える対象とルールがはっきりしているため、AIで効率化しやすい業務の一つといえます。
一方で、図面そのものをAIに描かせる、手書きの資料を読ませる、といった部分は、今のAIでもまだ難しさが残ります。「全部をAIに」ではなく、効果が大きく実現しやすいところから切り出すことが大切です。
拾い出しのAI化を相談する前に整理しておくこと
- 拾い出しに使っている資料(図面・仕様書)は、印刷物・PDF・手書きのどれか
- 部材を数えるときのルール(どの条件で何を何個使うか)を説明できるか
- 使っている設計CADに、外部連携の仕組みがあるか
- 拾い出しの結果を、見積もりや発注のどこで使っているか
- 最初に効率化したい設備(給排水・電気など)はどれか
当社では、デモを使って「どこまでできるか」を一緒に確かめながら進めています。拾い出しや積算の負担にお悩みの会社は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
設計図面をAIに自動で描かせることはできますか?
図面の自動生成はAIの中でも難易度が高い領域です。まずは入力条件や図面から材料を拾い出す作業など、実現しやすいところから始めることをおすすめします。
今使っている設計CADとAIはつなげられますか?
CADに外部連携の仕組み(API)が公開されていれば、比較的つなげやすくなります。公開されていない場合は、画面操作の自動化など別の方法を検討します。
紙の仕様書もAIに読み込ませられますか?
印刷された仕様書やPDFであれば、文字を読み取る技術(OCR)で読み込めます。手書きの資料は精度が安定しにくいため、対象外にするか人の確認を前提にします。
社内にAIに詳しい人がいなくても進められますか?
進められます。業務の流れを伺い、デモで動きを確かめながら、自社業務に合ったツールを作っていきます。