企業ごとに内容を変えた営業メールをAIで作る方法——調べる・書く・確認するの分担
結論
企業ごとに内容を変えた営業メールは、AIに「相手企業のホームページなど公開情報を読んで要点をまとめる」「自社の提案のどこが相手に関係するかを結びつける」「決めた型に沿って下書きを書く」の3つを任せることで作れます。送信の前には必ず人が内容を確認し、事実と違う記述や失礼な表現がないかを見ます。全員に同じ文面を送るよりも、相手にとって読む理由のあるメールになります。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、相手企業ごとに内容を変えた営業メールをAIで作る方法について解説します。営業メールは、全員に同じ文面を送ると読まれにくく、1社ずつ調べて書くと時間がかかりすぎます。この「量か質か」の悩みを解決する方法として、AIで企業ごとに内容を変える使い方が広がっています。この記事では、AIに何を任せ、人が何を確認すべきか、どんな準備が必要かを、営業の現場で無理なく続けられる形で説明します。
同じ文面の一斉送信が読まれにくい理由
営業メールを受け取る側は、毎日たくさんのメールを受け取っています。その中で、どの会社にも送っていると分かる文面は、件名や最初の数行だけで読み飛ばされがちです。
反対に、次のような要素が入っているメールは、「自分の会社に向けて書かれている」と伝わりやすくなります。
- 相手の会社の事業内容や、最近の取り組みに触れている
- 相手の業種でよくある課題を具体的に書いている
- 自社の提案が、相手のどの業務に関係するかを一言で示している
ただし、これを人が1社ずつ調べて書くと、1通に長い時間がかかります。担当者によって調べ方や書き方がばらつき、忙しい時期には結局同じ文面に戻ってしまうことも少なくありません。ここを仕組みで支えるのが、AIを使う目的です。
AIに任せるのは「調べる・結びつける・書く」の3つ
企業ごとに内容を変えた営業メールをAIで作るとき、AIに任せる作業は次の3つです。
- 調べる:相手企業のホームページなどの公開情報を読み、事業内容・主な商品やサービス・拠点・採用や新しい取り組みなどの要点をまとめる
- 結びつける:まとめた要点と、自社の提案内容を照らし合わせ、相手に関係がありそうな点を選ぶ
- 書く:あらかじめ決めた文面の型(あいさつ・相手に触れる一文・提案・お願い)に沿って下書きを書く
このとき、AIに自由に書かせすぎないことが大切です。型を決めずに任せると、文面が長くなったり、相手の会社について推測で書いてしまったりすることがあります。「相手に触れるのは公開情報にあることだけ」「全体は何行以内」といったルールを決めておくと、安定した下書きになります。
ポイント
企業ごとに変えるのは、メール全体ではなく「相手に触れる一文」と「提案の切り口」だけで十分です。変える部分を絞ることで、品質を保ちながら件数をこなせます。
一斉送信・手作業・AI活用の違い
営業メールの作り方を3つに分けて比べると、次のようになります。
| 項目 | 同じ文面の一斉送信 | 1社ずつ手作業 | AIで下書き+人が確認 |
|---|---|---|---|
| 1通にかかる手間 | ほぼかからない | 大きい | 確認の分だけかかる |
| 相手に合わせた内容 | 入らない | 入る | 入る |
| 担当者による差 | 小さい | 大きい | 型があるため小さい |
| 事実の誤りのリスク | 小さい | 担当者次第 | あるため確認が必須 |
| 続けやすさ | 続けやすい | 忙しいと止まる | 仕組みとして続けやすい |
AIを使う方法は、手作業の「相手に合わせた内容」と、一斉送信の「続けやすさ」の両方を取りにいく方法です。その代わり、AIが事実と違うことを書く可能性があるため、確認の工程は省けません。
始める前に準備する4つのこと
AIで営業メールを作り始める前に、次の4つを用意しておくと、下書きの質が安定します。
- 送り先のリスト:会社名とホームページのURLが入った一覧。担当者名や業種があるとなおよい
- 自社の提案内容の整理:何を、どんな会社に、どんな効果を目指して提案するのかを短くまとめたもの
- 文面の型:件名、あいさつ、相手に触れる一文、提案、お願い、署名の順番と、それぞれの長さの目安
- 書いてはいけないことのルール:推測で相手の課題を決めつけない、他社を引き合いに出さない、根拠のない数字を書かない、など
特に2つ目の提案内容の整理は、AIのためだけでなく営業チーム全体の役に立ちます。「この業種にはこの切り口」という対応表を作っておくと、AIはそれをもとに切り口を選べるようになります。
送信前に人が確認すべきことと、守るべきルール
AIが作った営業メールは、送る前に必ず人が目を通します。次のチェックリストを使うと、確認が早く確実になります。
営業メール 送信前チェックリスト
- 会社名・担当者名・敬称が正しい
- 相手の会社について書いた内容が、公開情報で確かめられる
- 相手の課題を決めつける表現になっていない
- 根拠のない数字や実績を書いていない
- 長さが型どおりで、読みやすい
- 署名と配信停止の案内が入っている
また、営業メールの送信には法律上のルールがあります。日本では特定電子メール法により、広告・宣伝のメールを送る際の同意の取り方や、送信者情報・配信停止方法の表示などが定められています。どのような場合に何が必要かは送信の形によって変わるため、最新の情報は総務省・消費者庁などの公式情報で確認してください。
AIは文面を作る道具であり、送ってよい相手かどうかの判断は会社として行う必要があります。リストの集め方と送信のルールを決めたうえで、AIを使い始めましょう。
AI社員で営業メールを任せるときの進め方
当社のAI社員では、営業メールの作成を次のような流れで仕組みにします。
- 今の営業の流れ(リストの作り方、送り方、返信への対応)をお聞きする
- 提案内容と文面の型を一緒に整理する
- 送り先リストをもとに、AIが相手企業の公開情報を読み、下書きを作る仕組みをつくる
- 実際の数社分で試し、文面のトーンや長さを調整する
- 担当者が確認して送る運用に乗せる
当社自身も、社内の業務をAIで仕組み化し、月 約480時間の作業時間を減らしてきました。その中で分かったのは、AIに書かせる部分より、型とルールを決める部分のほうが結果を左右するということです。
料金は初期費用+月5万円(初期費用はヒアリング後にお見積もり)で、月額には保守・相談・メンテナンスが無制限で含まれます。提案内容が変わったときや、文面の反応を見て型を変えたいときも、運用しながら調整できます。
よくある質問
AIが相手の会社について間違ったことを書くことはありますか?
あります。AIは読み取った情報をもとに推測で書いてしまうことがあるため、相手に触れる内容は公開情報にあることだけにするルールを決め、送る前に人が確認します。
AIが作ったメールをそのまま自動で送ってもよいですか?
おすすめしません。事実の誤りや表現の問題を防ぐため、人が確認してから送る形にしてください。件数が多い場合も、確認しやすい画面や一覧を用意することで負担を減らせます。
送り先のリストもAIで作れますか?
公開情報をもとに条件に合う企業を集める仕組みはつくれます。ただし、メールを送ってよい相手かどうかは法律や各サイトの利用規約にも関わるため、集め方と送り方は会社として確認したうえで決めてください。
1通あたりにかかる時間はどのくらい減りますか?
提案内容や文面の型、確認のしかたによって変わるため、一律には言えません。1社ずつ調べて書いていた作業が、AIの下書きを確認して直す作業に変わる、というのが基本的な変化です。