業務別の自動化公開日

代表アドレス・共有の受信箱のメール仕分けと担当振り分けをAIで効率化するには?——分類・担当への通知・対応漏れの見える化

結論

代表アドレスや共有の受信箱に届くメールは、AIに内容を読ませて「問い合わせ」「見積・注文」「請求・支払い」「営業・売り込み」「迷惑」などに分類させ、決めた担当者に自動で知らせ、誰も対応していないメールを一覧にすることで効率化できます。人は振り分けの結果を見て対応するだけになり、「誰かが見ているだろう」という対応漏れも防げます。返信の内容や重要な判断は、これまでどおり担当者が行います。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、代表アドレス・共有の受信箱に届くメールの仕分けと担当振り分けをAIで効率化する方法について解説します。会社の代表アドレスや「info@」のような共有の受信箱には、お客様からの問い合わせ、取引先からの請求書、売り込みの営業メール、迷惑メールが混ざって毎日届きます。誰が見るのかがはっきりしないまま、「誰かが返しているだろう」と思っていたら、大事な問い合わせが数日放置されていた。管理職の方から、こうしたお悩みをよく伺います。この記事では、共有の受信箱のメールをAIで仕分けし、担当に振り分け、対応漏れを見える化する方法を説明します。返信文の下書きについては「問い合わせメール・LINEへの返信をAIで速くする方法」の記事で詳しく扱っているので、ここでは仕分けと振り分け、漏れの防止に絞ってお伝えします。

共有の受信箱で起きる問題は「誰が見るか決まっていない」こと

共有の受信箱の問題は、メールの量そのものよりも、誰がどのメールを担当するかが決まっていないことから起こります。よくあるのは次のような状況です。

  • 対応漏れ:複数人が見られるため、全員が「誰かが対応するだろう」と思い、結果として誰も返さない
  • 二重対応:反対に、同じ問い合わせに二人が別々に返してしまい、お客様を混乱させる
  • 埋もれ:営業メールや迷惑メールに大事なメールが埋もれ、見落とされる
  • 特定の人への集中:気づいた人が全部さばくことになり、その人の本来の仕事が止まる
  • 不在時の放置:担当者が休みや外出の日に届いたメールが、そのまま何日も残る

これらは、一通ずつ読んで「これは誰の仕事か」を決める作業を、毎回人がしていることが原因です。この「読んで、種類を見分けて、担当を決める」作業は、AIに任せやすい作業です。AIは文面から内容を読み取れるため、件名だけでは分からないメールも、本文を見て分類できます。

AIによる仕分けの基本:分類→担当への通知→未対応の一覧

共有の受信箱をAIで整理する仕組みは、大きく3つの段階に分かれます。

  1. 分類する:届いたメールをAIが読み、あらかじめ決めた種類のどれに当たるかを判定します。急ぎかどうか、既存のお客様からかどうかも合わせて見分けます
  2. 担当に知らせる:種類ごとに決めた担当者や部署に、社内チャットやメールで「こういうメールが届きました」と要点つきで知らせます
  3. 未対応を一覧にする:一定時間たっても返信や対応の記録がないメールを一覧にし、担当者や管理職に知らせます

分類の種類は、会社によって違いますが、たとえば次のような形がよく使われます。

分類例知らせる先急ぎの目安
お客様からの問い合わせ商品・サービスについての質問、資料の依頼営業・窓口担当当日中
見積・注文見積の依頼、発注、納期の確認営業・受注担当当日中
苦情・トラブル不具合の連絡、対応への不満責任者と担当者すぐ
請求・支払い請求書の送付、入金の連絡、支払いの確認経理担当数日以内
採用・応募応募、面接日程の連絡採用担当当日中
営業・売り込み他社からのサービス案内知らせない(まとめて週1回確認)急がない
迷惑・不審なメール心当たりのない請求、不審なリンク付きのメール知らせない(隔離)—

大切なのは、AIが判定に迷ったメールの行き先も決めておくことです。「どれにも当てはまらない」「自信がない」とAIが判断したメールは、決まった担当者にまとめて知らせ、人が振り分けるようにします。迷ったものを無理に分類させないほうが、誤った振り分けを防げます。

導入の手順:過去のメールで分類を決め、通知だけから始める

共有の受信箱の仕分けは、次の順番で進めると現場が混乱しにくくなります。

  1. 過去のメールを見て分類を決める:直近1〜2か月に届いたメールを見て、どんな種類がどのくらい来ているかを数えます。分類は細かくしすぎず、まずは5〜7種類程度に収めるのが扱いやすいです
  2. 分類ごとの担当と急ぎの目安を決める:「見積の依頼は営業の誰か」「苦情は責任者にも知らせる」など、担当と、いつまでに対応するかの目安を決めます。担当者が不在のときの代わりも決めておきます
  3. AIに過去のメールを分類させて確かめる:決めた分類で過去のメールをAIに分けさせ、人の判断と合っているかを確かめます。ずれが多い分類は、説明を足したり分け方を見直したりします
  4. 通知だけから始める:最初は、メールそのものは今までどおり共有の受信箱に置いたまま、AIが分類して担当者に知らせるだけにします。受信箱の運用を急に変えないので、現場の負担が小さく済みます
  5. 未対応の一覧を加える:通知が定着したら、対応の目安を過ぎたメールを一覧にして知らせる仕組みを加えます
  6. 結果を見て分類を直す:月に一度、振り分けの誤りや、迷ったメールの中身を見て、分類や説明を見直します

ポイント

「対応した」をどう記録するかを最初に決めておくと、未対応の一覧が正確になります。返信したら自動で対応済みになる形が理想ですが、電話で対応した場合などのために、担当者が「対応済み」と印をつける方法も用意しておくと安心です。

対応漏れを防ぐ「見える化」:誰が、どのメールを、いつまでに

仕分けと通知だけでも作業は楽になりますが、対応漏れを本当に減らすには、今どのメールが誰の担当で、対応済みかどうかが一目で分かる状態を作ることが効果的です。

AIに次のような一覧を毎日決まった時間に作らせ、管理職と担当者に届けるようにすると、漏れに早く気づけます。

項目中身
届いた日時メールが届いた日時
分類と要点AIが判定した種類と、1行の要約
担当者振り分けた担当者
状態未対応・対応中・対応済み
目安からの遅れ対応の目安を過ぎているかどうか

この一覧があれば、管理職は朝に一度見るだけで、どこに滞りがあるかが分かります。担当者が休みの日に届いたメールも、代わりの人に回すべきものがすぐに見つかります。

一覧から見えてくる改善のヒント

一覧を数か月続けると、「どの種類のメールが多いか」「どの担当に集中しているか」「どの曜日や時間に届くか」が分かってきます。たとえば同じ質問の問い合わせが多ければ、ホームページによくある質問を載せる、あるいは返信の下書きまでAIに任せる、といった次の改善につなげられます。仕分けの仕組みは、受信箱の状況を数字で知るための入口にもなります。

会社の規模や業種で、分類と担当の決め方はどう変わるか

共有の受信箱の仕分けは、会社の規模や業種によって、分類の切り方と担当の決め方が変わります。よくある3つの形を比べます。

会社の状況分類の切り方担当の決め方
10名前後で、窓口担当が1〜2名「急いで対応するもの」「経理に回すもの」「あとでまとめて見るもの」の3つ程度に大きく分ける窓口担当に集めたうえで、急ぎのものだけ社長や責任者にも知らせる
部署が分かれた20〜50名規模問い合わせ・見積・請求・採用・苦情など、部署の担当範囲に合わせて分ける部署ごとに担当者と代わりの人を決め、部署の共有の連絡先に知らせる
拠点や商品が複数ある会社種類に加えて「どの拠点・どの商品の話か」もAIに見分けさせる種類と拠点の組み合わせで担当を決める表を作る

規模が小さい会社ほど、分類を細かくしすぎないことが大切です。分類が多いと、どれに当たるか迷うメールが増え、かえって人が振り分ける手間が残ります。まずは大きく分けて始め、迷うメールが多い分類だけを後から分けるほうが、早く定着します。

業種ごとに気をつけたいメール

業種によって、とくに急いで拾うべきメールがあります。たとえば、製造業や卸売業では納期の変更や注文の取り消し、不動産業では内見や申し込みの連絡、介護や医療の事業所では利用者やご家族からの連絡、建設業では現場の事故や不具合の連絡です。こうしたメールは、件名に決まった言葉が入っていないことも多いため、AIに本文を読ませて見分ける価値があります。

自社にとって「見落とすと困るメール」は何かを、分類を決める前に書き出しておきます。そのメールが届いたときだけは、担当者に加えて責任者にも同時に知らせる、と決めておけば、もしもの見落としの影響を小さくできます。

  1. 過去に見落として困ったメールを思い出して書き出す
  2. そのメールに共通する言い回しや送り主の特徴を整理する
  3. AIへの指示に「このようなメールは最優先で知らせる」と書き加える

注意点と、始める前のチェックリスト

共有の受信箱にはお客様や取引先の情報が含まれるため、AIで仕分けするときは次の点に気をつけます。

  • AIが読む範囲を決める:仕分けに必要なのは件名と本文の内容です。添付ファイルの中身まで読ませる必要があるかは、目的に合わせて決めます
  • 学習に使われない設定を確かめる:外部のAIサービスを使う場合は、入力した内容が学習に使われない設定や契約になっているかを確認します
  • 迷惑メールの判定は人も見る:AIが迷惑と判定したメールの中に、本物の問い合わせが混ざることもあります。隔離したメールは、週に一度など決まった間隔で人が目を通します
  • 自動返信は慎重に:仕分けのついでに自動で返信まで送ると、誤った分類のときに失礼な返信が届いてしまいます。まずは受付のお知らせ程度にとどめ、内容のある返信は担当者が行います

始める前に確認すること

  • 共有の受信箱に、1日にどのくらい、どんな種類のメールが届いているか
  • 種類ごとの担当者と、不在時の代わりが決まっているか
  • 担当者に知らせる手段(社内チャット・メールなど)が決まっているか
  • 「対応済み」をどう記録するかが決まっているか
  • 迷ったメールと迷惑メールを、誰がいつ確認するかが決まっているか

共有の受信箱の仕分けは、一度仕組みを作れば毎日効果が出る業務です。自社の受信箱の状況に合わせて、どこから任せられるか知りたい方は、月5万円のAI社員の無料相談でお気軽にご相談ください。

よくある質問

代表アドレスに届くメールをAIで自動で振り分けられますか?

できます。AIにメールの内容を読ませて、問い合わせ・見積・請求・営業・迷惑などに分類させ、決めた担当者に知らせる仕組みを作れます。判定に迷ったメールは人が振り分けるようにしておくと、誤った振り分けを防げます。

件名だけでなく本文の内容でも分類できますか?

できます。AIは本文を読んで内容を判断するため、件名が「お世話になっております」のようなメールでも、問い合わせか請求かを見分けられます。

共有の受信箱の対応漏れを防ぐにはどうすればよいですか?

メールごとに担当者を決めて知らせ、対応の目安を過ぎた未対応のメールを一覧にして毎日届ける仕組みが効果的です。「対応済み」の記録方法を最初に決めておくと、一覧が正確になります。

今使っているメールの仕組みを変える必要はありますか?

多くの場合、変える必要はありません。共有の受信箱はそのままにして、AIが分類と通知だけを行う形から始められます。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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