求人票・求人原稿の作成をAIで効率化するには?——現場のメモから下書きし、媒体ごとの書き分けと見直しまで任せる方法
結論
求人票・求人原稿の作成は、現場の責任者に聞いた内容のメモをAIに渡して下書きを作らせ、求人媒体や自社の採用ページごとの書き分けまで任せることで効率化できます。採用担当者の仕事は「白紙から書く」ことから「仕事内容や条件が正しいか、法令上問題のない表記かを確かめる」ことに変わり、空いた時間を応募者への対応や現場との調整に回せます。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、求人票・求人原稿の作成をAIで効率化する方法について解説します。人が足りないから募集を出したいのに、求人原稿を書く時間が取れない。現場に仕事内容を聞きに行っても忙しくて話がまとまらず、やっと書き上げても、求人媒体・ハローワーク・自社の採用ページと、出す先ごとに形式を合わせて書き直す手間がかかる。出したあとに応募が来なくても、どこを直せばよいのか分からない——中小企業の採用担当者からよく聞く悩みです。この記事では、求人票・求人原稿づくりのどこまでをAIに任せられるのか、現場のメモから下書きを作る流れ、媒体ごとの書き分け、応募が来ない原稿の見直し方、表記で気をつけたい法令の考え方を、AI社員を提供している当社の立場から説明します。
求人原稿づくりが後回しになるのは「聞く・書く・書き直す」が重いから
求人原稿は、文章を書くこと自体よりも、その前後の作業に時間を取られます。採用担当者がつまずきやすいのは、次の3つです。
- 現場から情報を集めるのが大変:1日の仕事の流れ、必要な経験、職場の雰囲気など、原稿に必要な情報は現場の責任者しか知らない。忙しい現場から聞き出すだけで何日もかかる
- 白紙から書くのに時間がかかる:聞いた内容を、求職者に伝わる文章にまとめ直す必要がある。前回の原稿を使い回すと、仕事内容や条件が今と合わなくなっていることもある
- 出す先ごとに書き直しが必要:求人媒体、ハローワークの求人票、自社の採用ページ、SNSでの告知など、出す先ごとに項目や文字数、書き方の決まりが違う
採用担当者がほかの業務と兼務している会社では、この作業が後回しになり、募集を出すのが遅れて、その間も現場の人手不足が続くことになります。
AIの仕組みが得意なのは、集めた情報を決まった形に整えること、同じ内容を形式に合わせて書き分けることです。一方で、どんな人を採りたいか、どんな条件を出すかを決めるのは会社の判断です。AIには「書く」作業を任せ、人は「決める」「確かめる」に集中する、という分担で考えます。
現場へのヒアリングのメモから、AIに下書きを作らせる
求人原稿の下書きをAIに作らせるときは、現場の責任者に聞く項目を先に決めておくのがコツです。聞く項目がそろっていれば、メモが箇条書きや話し言葉のままでも、AIが原稿の形に整えられます。
| 聞く項目 | 具体的に聞くこと | 原稿で使う場所 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 1日の流れ、担当する作業、使う道具や機械、1人でするかチームでするか | 仕事内容・1日の流れ |
| 求める人 | 必ず必要な経験や資格と、あればうれしい経験を分けて聞く | 応募資格・歓迎する経験 |
| 職場の様子 | 一緒に働く人数、年齢や経験の幅、教える担当がいるか | 職場の紹介・教育体制 |
| 入社後の流れ | 最初の1か月で覚えること、一人で任されるまでの目安 | 入社後の流れ |
| 働く条件 | 勤務時間、休日、給与、勤務地、試用期間(人事や経営者が決めた内容を確認する) | 募集要項 |
| 大変なこと | 忙しい時期、体力が必要な作業など、入社後に驚かせないための情報 | 仕事の大変さ・やりがい |
下書きを作る流れは次のとおりです。
- ヒアリングする:上の項目に沿って、現場の責任者に15分ほど話を聞き、メモを取るか録音する
- メモをAIに渡す:メモや録音を書き起こした文章を、項目ごとに整理させる。足りない項目があれば、AIに「確認が必要な点」として一覧にさせる
- 下書きを作らせる:会社の紹介文や過去の原稿の書き方をそろえたうえで、求職者向けの文章にまとめさせる
- 現場に確かめてもらう:仕事内容や1日の流れが実際と合っているかを、現場の責任者に読んでもらう
ポイント
給与・勤務時間・休日などの条件は、AIに考えさせる部分ではありません。会社が決めた条件をそのまま使わせ、AIが勝手に書き足したり言い換えたりしていないかを、人が必ず確認します。
求人媒体・ハローワーク・自社の採用ページで書き分ける
同じ募集でも、出す先によって読む人や形式が違います。もとになる原稿を1つ作っておき、AIに出す先ごとの形に書き分けさせると、書き直しの手間が大きく減ります。
| 出す先 | 書き分けのポイント | 人が確認すること |
|---|---|---|
| 求人媒体 | 媒体ごとに決められた項目や文字数に合わせる。一覧で目にとまるよう、題名と冒頭の数行に仕事の魅力をまとめる | 媒体の掲載ルールに合っているか |
| ハローワークの求人票 | 決められた入力項目に沿って、仕事内容や条件を過不足なく分けて書く | 入力項目ごとの内容が正しいか、条件が他の原稿と食い違っていないか |
| 自社の採用ページ | 文字数の制限が少ない分、1日の流れや職場の様子、社員の声(実際に聞いたもの)をくわしく載せる | 載せる写真や社員のコメントに本人の了解があるか |
| SNSでの告知 | 短い文で募集していることを伝え、くわしい内容は採用ページに案内する | 会社としての言葉づかいに合っているか |
書き分けで一番気をつけたいのは、出す先によって条件が食い違うことです。媒体の原稿だけ給与を直して、採用ページが古いまま、ということが起こりやすいため、条件は1か所の一覧で管理し、AIにはその一覧から書き分けさせるようにします。条件を変えたときは、どの原稿を直す必要があるかもAIに一覧にさせると、直し漏れを防げます。
過去の原稿を「型」として残しておく
応募が集まった原稿や、現場から「実際の仕事に近い」と言われた原稿は、次の募集の手本として残しておきます。職種ごとに手本の原稿と言葉づかいの決まりをそろえておけば、AIの下書きも会社らしい書き方に近づき、担当者が替わっても同じ水準の原稿を作りやすくなります。募集のたびに一から考える必要がなくなることも、兼務の採用担当者にとっては大きな助けになります。
応募が来ない原稿は、AIに「求職者の目」で見直させる
原稿を出しても応募が来ないとき、原因は条件や時期、出している媒体などいろいろ考えられます。そのうち原稿の書き方に原因がないかを見直す作業は、AIに手伝わせやすい部分です。
たとえば、原稿をAIに渡して「未経験の求職者として読んで、分かりにくい点や不安になる点を挙げて」と頼むと、社内の人が見落としがちな点を指摘させることができます。次のような点を確認するとよいでしょう。
応募が来ない原稿の見直しチェックリスト
- 題名を読むだけで、どんな仕事か分かる
- 社内でしか通じない言葉や略語を使っていない
- 1日の流れや担当する作業が、具体的に書かれている
- 必ず必要な条件と、あればうれしい条件が分けて書かれている
- 未経験の人が応募してよいのかどうかが分かる
- 入社後に誰がどう教えるかが書かれている
- 仕事の大変な点も正直に書かれている
- 応募したあとの流れ(面接の回数や連絡の方法)が書かれている
AIの指摘をもとに直した原稿は、応募の数や応募者の様子がどう変わったかを記録しておきます。どの直し方が効いたかが分かれば、次の募集の原稿づくりに生かせます。
ただし、応募が来ない理由が、給与や勤務時間などの条件、そもそも人が集まりにくい職種や地域といった、原稿以外のところにあることも少なくありません。原稿の見直しで変わらないときは、条件や募集のしかたそのものを、経営者と一緒に見直すことも考えてください。
法令上の表記は、AIに頼らず公式の情報で確かめる
求人の原稿には、守らなければならない法令上のルールがあります。AIは一般的な注意点を挙げることはできますが、法令の解釈を判断させるべきではありません。主に、次のような点に気をつけます。
- 働く条件をはっきり示すこと:職業安定法では、募集するときに仕事内容や賃金、労働時間などの条件を示すことが求められています。示すべき項目は見直されることがあり、近年も追加されています
- 性別で募集を分けないこと:男女雇用機会均等法の考え方にもとづき、例外にあたる場合を除いて、男女どちらかに限る募集や、片方の性別を思わせる職種名の使い方には注意が必要です
- 年齢で応募を制限しないこと:募集のときに年齢を制限することは原則として認められておらず、例外にあたる場合は理由を示す必要があるとされています
- 実際と違う内容を書かないこと:実際より良い条件を書いたり、誤解させる書き方をしたりしないようにします
AIが作った文章には、悪気なく「若手が活躍中」「主婦の方歓迎」のような、使い方によっては問題になりうる言い回しが入ることがあります。こうした言い回しが入っていないかを確認する項目を、社内のチェック表に入れておくと安心です。
法令の内容や運用は改正されることがあり、会社や募集の状況によって必要な対応も変わります。最新の情報は厚生労働省などの公式サイトで確認し、判断に迷う場合は社会保険労務士などの専門家やハローワークに相談してください。
AIと採用担当者の役割分担と、当社のAI社員でできること
求人票・求人原稿づくりをAIで効率化したあとの役割分担は、次のようになります。
| 作業 | AIがすること | 採用担当者・現場がすること |
|---|---|---|
| 情報集め | ヒアリングのメモを項目ごとに整理し、足りない点を挙げる | 現場の責任者に話を聞き、足りない点を確認する |
| 下書き | 求職者向けの文章にまとめる | 仕事内容が実際と合っているかを確かめる |
| 書き分け | 出す先ごとの形式に合わせて書き分ける | 条件の食い違いや、掲載ルールに合っているかを確かめる |
| 見直し | 分かりにくい点や不安になる点を指摘する | 直すかどうかを決め、応募の変化を記録する |
| 表記の確認 | 注意が必要そうな言い回しに印を付ける | 公式の情報をもとに判断し、最終的に承認する |
求人原稿ができて募集を出したあとは、応募者への返信や面接の日程調整の作業が始まります。こうした応募後の対応をAIで効率化する方法は、別の記事でくわしく説明しています。原稿づくりと応募後の対応をつなげると、採用担当者の手が空く時間がさらに増えます。
当社のAI社員は、会社ごとの職種や過去の原稿、社内のチェック表に合わせて、ヒアリングのメモから下書き・書き分けまでの仕組みをつくります。初期費用+月5万円で、職種の追加や原稿の型の見直しといった運用後の調整・相談にも対応しています。人を採るまでのあいだ、採用担当者の負担を軽くする方法の一つとしてご検討ください。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。
よくある質問
AIに求人原稿を書かせても、そのまま掲載して大丈夫ですか?
そのまま掲載するのはおすすめしません。仕事内容や条件が実際と合っているか、法令上問題のある表記がないかを、採用担当者と現場の責任者が確認してから掲載してください。
求人原稿に法律で決まった書き方はありますか?
職業安定法などで、働く条件を示すことや、性別・年齢で応募を制限しないことなどが定められています。内容は改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省などの公式サイトで確認してください。
求人媒体ごとに原稿を書き直す手間は減らせますか?
減らせます。もとになる原稿と条件の一覧を1つ作っておき、AIに出す先ごとの形式で書き分けさせれば、書き直しは確認と手直しだけになります。
応募が来ないとき、AIで原因が分かりますか?
原稿の分かりにくさや情報の不足はAIに指摘させられますが、給与や勤務時間などの条件、職種や地域の事情が原因のこともあります。原稿の見直しで変わらない場合は、条件や募集のしかたも見直してください。