業務別の自動化公開日

納品書・出荷指示書・送り状の作成をAIで効率化するには?——受注データから書類を作り、出荷前の照合と出荷連絡まで自動化する方法

結論

納品書・出荷指示書・送り状の作成をAIで効率化するには、確定した受注データを一つの元データにして、そこからAIが3つの書類をまとめて作り、出荷前に「受注・出荷指示・実際に積む荷物」の食い違いを照合させ、問題がなければ取引先への出荷連絡まで下書きさせる仕組みにするのが効果的です。同じ内容を書類ごとに打ち直す作業がなくなるため、転記ミスと手間が同時に減ります。数量の変更や分納、納期遅れなど判断が必要なものは人に回し、出荷の最終確認は人が行う形にしておけば、少人数の事務でも安心して任せられます。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、製造業・卸売業の受注後から出荷までの事務で、納品書・出荷指示書・送り状を受注データから作り、出荷前の照合と取引先への出荷連絡までAIで効率化する方法について解説します。注文を受けたあと、出荷指示書を倉庫や現場に回し、納品書を印刷し、送り状を書き、出荷が済んだら取引先に連絡する。製造業や卸売業の事務担当者にとって、受注から出荷までの書類づくりは毎日欠かせない仕事です。ところが実際には、同じ品番・数量・届け先を何枚もの書類に打ち直していたり、出荷直前に「指示書と納品書の数量が違う」と気づいて慌てたり、出荷連絡を送り忘れて取引先から問い合わせが来たりと、手間とミスが重なりやすい工程でもあります。この記事では、受注後から出荷までの書類と照合をAIで効率化する仕組み、書類ごとにAIに任せることと人が確認すること、出荷前の照合のやり方、取引先への出荷連絡の自動化、そして始める手順と注意点を説明します。受注書の入力や請求書の発行ではなく、「受注が確定してから荷物が出るまで」の書類と照合に絞ってお伝えします。

受注後から出荷までの事務は「同じ内容の打ち直し」と「直前の食い違い」に時間を取られている

受注が確定してから荷物が出るまでの事務で時間がかかる原因は、大きく2つあります。一つは、同じ品番・数量・届け先を書類ごとに打ち直していること。もう一つは、書類どうしや書類と現物の食い違いが、出荷の直前になってから見つかることです。

製造業・卸売業でよく見られる受注後から出荷までの作業と、その手間を整理すると次のようになります。

作業よくある手間起きやすいミス
出荷指示書の作成受注の内容を倉庫・現場向けの書式に書き写す品番や数量の写し間違い、届け先の取り違え
納品書の作成取引先ごとに指定された書式や品名の書き方に合わせる取引先の品番・注文番号の記入漏れ、単価の誤り
送り状の作成届け先の住所・電話番号・個数・配達希望日を入力する住所の誤り、個口数(荷物の個数)の数え違い
出荷前の確認指示書・納品書・送り状・現物を目で見比べる忙しい日に確認が省かれ、誤出荷につながる
取引先への出荷連絡出荷日・個数・お問い合わせ番号をメールで知らせる連絡の送り忘れ、別の取引先の番号を書く

表のとおり、5つの作業のうち4つは「同じ情報を別の形に写す」作業です。そして、写すたびにミスが入り込む機会が増えます。逆に言えば、元になるデータを一つにして、そこから書類を自動で作れば、打ち直しの手間とミスの機会を同時に減らせます。

ポイント

書類を速く作ることだけが目的ではありません。「どの書類も同じ元データから作られている」状態にすることで、書類どうしの食い違いそのものが起きにくくなります。

仕組みの全体像:確定した受注データを元に、書類づくりから出荷連絡まで一続きにする

受注後から出荷までをAIで効率化する仕組みは、次のような流れで動きます。

  1. 受注データが確定する:受注の内容(取引先・品番・数量・単価・納期・届け先)が、販売管理の仕組みや受注一覧の表に入り、担当者が「確定」にする
  2. AIが出荷指示書を作る:出荷日ごとに受注をまとめ、倉庫・現場が使う書式で出荷指示書を作る。在庫の置き場所や荷姿(箱の大きさや梱包の単位)の情報があれば一緒に載せる
  3. AIが納品書を作る:取引先ごとの書式や品名の書き方、注文番号の記入欄などの決まりに合わせて納品書を作る
  4. AIが送り状のデータを作る:届け先・個口数・配達希望日などを、使っている送り状発行の仕組みに取り込める形で用意する
  5. 出荷前に照合する:受注・出荷指示書・納品書・送り状と、現場から上がった「実際に積む荷物」の記録を突き合わせ、食い違いがあれば知らせる
  6. 取引先へ出荷連絡を送る:照合が済んだものについて、出荷日・個数・お問い合わせ番号などを入れた連絡を下書きし、決まった条件のものは自動で送る

ここで大切なのは、すべての書類の元が「確定した受注データ」の一つだけになっていることです。受注データを直せば、出荷指示書・納品書・送り状がまとめて作り直されるため、「納品書だけ直して、送り状は古いまま」という食い違いが起きません。

前の工程の「受注書の入力」とつなげると効果が大きい

この仕組みは、受注書の入力が済んでいることが前提です。FAXやPDFで届く注文書をAIで読み取って受注データにする前の工程については「FAX・PDFで届く受注書の入力をAIで自動化する方法」の記事で説明しています。当社の導入事例では、製造業(従業員30名規模)の事務担当の方の受注書入力が、1日2時間から15分になりました。受注データが早く正確にそろうほど、その後の出荷書類づくりと照合もそのまま自動で流れるようになります。

納品書・出荷指示書・送り状、書類ごとにAIに任せることと人が確認すること

3つの書類は元のデータが同じでも、読む人と目的が違います。出荷指示書は倉庫や現場の人が荷物をそろえるため、納品書は取引先が受け取った物を確かめるため、送り状は運送会社が荷物を届けるための書類です。それぞれでAIに任せることと、人が確認することを分けておきます。

書類元になるデータAIに任せること人が確認すること
出荷指示書受注データ、在庫の置き場所、荷姿の情報出荷日ごとのまとめ、品目の並べ替え(取り出しやすい順)、注意事項の記載在庫が足りない品目、特別な梱包の指示
納品書受注データ、取引先ごとの書式・品名の決まり取引先の書式に合わせた作成、注文番号・取引先の品番の記入単価や品名の変更があった取引先、初めての取引先の書式
送り状受注データ、届け先の登録情報、荷姿の情報届け先・個口数・配達希望日の入力、取り込み用データの作成届け先の変更、時間指定や離島などの特別な配送

取引先ごとの「決まりごと」をAIに覚えさせる

納品書で手間がかかるのは、取引先ごとに細かい指定があることです。たとえば「納品書に先方の注文番号を必ず書く」「品名は先方の呼び方で書く」「納品書は2枚つづりで1枚は受領印をもらって返送」などです。こうした決まりごとを取引先ごとの一覧にまとめてAIに渡しておくと、担当者が覚えていなくても指定どおりの納品書ができます。

取引先ごとにまとめておきたい決まりごと

  • 納品書の書式(自社の書式か、先方指定の書式か)
  • 先方の注文番号・先方の品番を記入する必要があるか
  • 品名の書き方(自社の品名か、先方の呼び方か)
  • 単価・金額を納品書に載せるか、載せないか
  • 受領書の返送が必要か
  • 届け先が複数ある場合の扱い(本社・支店・現場など)
  • 出荷連絡を送る相手と、送るタイミング

この一覧は、ベテランの担当者の頭の中にしかないことが多い情報です。AIを入れるために書き出しておくことで、担当者が休んだり替わったりしても、同じ品質で書類を作れるようになります。

出荷前の照合:受注・書類・実際に積む荷物の食い違いをAIに見つけさせる

誤出荷を防ぐうえでいちばん効果が大きいのが、出荷前の照合です。これまで人が目で見比べていた「受注」「出荷指示書」「納品書」「送り状」「実際に積む荷物」を、AIに機械的に突き合わせさせます。人は、AIが知らせた食い違いだけを確かめればよくなります。

「実際に積む荷物」の記録は、現場で荷物をそろえたあとに、品番と数量を入力したり、ラベルのバーコードを読み取ったり、出荷指示書にチェックを入れた紙を写真に撮ったりして残します。手書きのチェックを写真に撮る方法でも、AIが読み取って照合に使えます。

照合する組み合わせ確かめることよく見つかる食い違い
受注と出荷指示書品番・数量・出荷日が一致しているか受注の変更が指示書に反映されていない
出荷指示書と実際の荷物そろえた品番・数量が指示どおりか似た品番の取り違え、数量の不足
納品書と実際の荷物納品書に載っている品目がすべて入っているか欠品があるのに納品書は満数のまま
送り状と受注届け先・配達希望日・個口数が合っているか届け先が本社と現場で入れ違っている

食い違いが見つかったときの扱いを決めておく

  1. AIが食い違いの内容と、どの書類のどの行かを担当者に知らせる
  2. 担当者が、受注の変更・現場の取り違え・書類の誤りのどれかを確かめる
  3. 受注の内容を直す必要があれば受注データを直し、書類はAIに作り直させる
  4. 欠品や分納になる場合は、人が取引先と相談して対応を決める
  5. すべて一致したものだけを「出荷してよい」状態にする

照合の結果は記録として残しておくと、「どの品番で取り違えが多いか」「どの取引先で変更が多いか」がわかり、置き場所の見直しや取引先との確認の仕方を改める材料になります。

取引先への出荷連絡は、決まった条件のものだけ自動で送り、例外は人が書く

出荷が済んだら取引先に知らせる連絡は、内容がほぼ決まっているため、AIに任せやすい作業です。照合が済んだ受注について、出荷日・品名・数量・個口数・お問い合わせ番号・到着予定日を入れた連絡をAIが下書きします。取引先ごとに送り先や書き方の決まりがあれば、それに合わせます。

ただし、すべてを自動で送るのではなく、送ってよい条件を決めておくことが大切です。

出荷の状況連絡の扱い
受注どおり全数を予定日に出荷したAIの下書きを自動で送ってよい(または担当者が一覧でまとめて確認して送る)
分納(一部だけ先に出荷)になった残りの出荷予定を人が決めてから、AIの下書きを人が直して送る
出荷日が受注の納期より遅れた人が取引先に事情を説明する。AIにはお詫びと経緯の文案だけ作らせる
代替品や数量の変更がある取引先の了承を得ていることを人が確かめてから送る

このように分けておけば、ふだんの出荷連絡は手間なく送られ、取引先との約束にかかわる連絡だけを人が丁寧に書くことに時間を使えます。「出荷したのに連絡が来ない」という問い合わせも減ります。なお、出荷前に取引先から届く「在庫はあるか」「いつ届くか」といった問い合わせへの回答は「在庫・納期の問い合わせをAIで自動化するには?」の記事で扱っています。また、出荷した内容をもとにした請求書の発行は「請求書の発行・送付をAIで自動化する方法」の記事で説明しています。出荷の記録が正確にそろっていると、月末の請求もそのままの流れで進めやすくなります。

始める手順と、導入するときに気をつけること

受注後から出荷までの書類と照合をAIで効率化するときは、次の順番で進めるとスムーズです。

  1. 今の流れを書き出す:受注が確定してから出荷連絡を送るまでに、誰がどの書類をどの順番で作っているかを書き出す
  2. 元になる受注データを一つに決める:販売管理の仕組み、受注一覧の表など、書類の元にするデータを一つに決める
  3. 取引先ごとの決まりごとをまとめる:納品書の書式、品名の書き方、出荷連絡の送り先などを一覧にする
  4. 書類づくりから始める:まずは出荷指示書と納品書をAIに作らせ、これまでの書類と見比べて誤りがないか確かめる
  5. 照合と出荷連絡を加える:書類が安定したら、出荷前の照合と、条件を満たすものの出荷連絡の自動送信を加える

気をつけたいこと

  • 出荷の最終確認は人が行う:AIの照合で食い違いがなくても、「出荷してよい」と決めるのは担当者です。特に初めての取引先や大口の出荷は、人の確認を残しておきます
  • 受注データ以外から書類を直さない:書類だけを手で直すと、元のデータとの食い違いが生まれます。直すときは必ず受注データから直し、書類はAIに作り直させるルールにします
  • 送り状の形式は使っている仕組みに合わせる:送り状を発行する仕組みが受け付けるデータの形は、使っているサービスによって違います。取り込みの形式を先に確認しておきましょう
  • 取引先の情報の扱いに注意する:届け先の住所や担当者の名前は取引先の大切な情報です。AIに渡す範囲と保管のしかたを社内で決めておきます

当社のAI社員は、今お使いの販売管理の仕組みや受注一覧の表、送り状を発行する仕組みに合わせて、受注データからの書類づくり、出荷前の照合、取引先への出荷連絡までを一続きでつくることができます。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。取引先の決まりごとが増えたときの調整や運用後の相談にも回数の制限なく対応しています。「出荷の書類づくりと確認で毎日夕方が慌ただしい」と感じている方は、まずは今の流れを書き出すところから一緒に始めましょう。お気軽にご相談ください。

よくある質問

納品書や送り状の作成はAIで自動化できますか?

できます。確定した受注データを元に、取引先ごとの書式に合わせた納品書や、送り状の発行に取り込めるデータをAIが作ります。届け先の変更や特別な配送など、例外にあたるものは人が確認する形にします。

出荷指示書と納品書の数量の食い違いをAIで防げますか?

防ぎやすくなります。すべての書類を同じ受注データから作るため書類どうしの食い違いが起きにくくなり、さらに出荷前に受注・書類・実際に積む荷物をAIが照合して、食い違いがあれば担当者に知らせます。

取引先への出荷連絡メールもAIに任せられますか?

受注どおり全数を予定日に出荷したものは、AIの下書きを自動で送る運用ができます。分納・納期遅れ・数量変更など取引先との約束にかかわるものは、人が内容を決めてから送るようにしてください。

今使っている販売管理システムのままで、出荷書類の作成をAIで効率化できますか?

多くの場合、今の仕組みのままで始められます。販売管理の仕組みや受注一覧の表から受注データを取り出し、AIが書類と照合を担当する形にします。データの取り出し方は、使っている仕組みに合わせて確認します。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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