業務別の自動化公開日

顧客アンケート・口コミの集計と分析をAIで効率化するには?——自由記述の分類・要約から、改善につなげる報告の作り方まで

結論

顧客アンケート・口コミの集計と分析は、AIに自由記述の分類・要約と、不満や要望がどこに多いかの傾向の抽出を任せ、管理職はその結果を見て改善策と優先順位を決める形にすると効率化できます。集計表を作る作業から解放されることで、「読んで終わり」になりがちだったお客様の声を、毎月の改善の打ち合わせに使える情報に変えられます。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、顧客アンケート・口コミの集計と分析をAIで効率化する方法について解説します。アンケートを取ったり、口コミが集まったりしても、選択式の数字をグラフにするところで手が止まり、自由記述の欄は誰かが一通り読んで「いろいろな意見がありました」で終わってしまう。忙しい時期は集計そのものが後回しになり、気づいたときには同じ不満が何か月も続いていた——現場をまとめる管理職の方から、よく聞く悩みです。この記事では、顧客アンケートや口コミの集計・分析のどこまでをAIに任せられるのか、自由記述を分類・要約する方法、不満や要望の傾向をつかむ方法、改善につながる報告の作り方、そして個人情報を扱うときの注意点を、AI社員を提供している当社の立場から説明します。

お客様の声が改善につながらないのは「自由記述を読む・分ける」作業が重いから

アンケートの選択式の質問は、表計算ソフトで集計すれば数字になります。手間がかかるのは、自由に書いてもらう欄や口コミの文章です。改善のヒントの多くはこの文章の中にありますが、そこから使える情報を取り出すまでに、次のような作業が必要になります。

  • 1件ずつ読む:件数が増えるほど時間がかかり、読む人によって受け取り方も変わる
  • 内容ごとに分ける:「接客」「待ち時間」「価格」「商品の品質」など、何についての声なのかを分類する。1つの文章に複数の話題が入っていることも多い
  • 良い声と悪い声を分ける:「スタッフは親切だが、待ち時間が長い」のように、同じ文章の中に満足と不満が混ざっている
  • 前回と比べる:先月より増えた不満、減った不満を見るには、毎回同じ分け方をしておく必要がある
  • 報告にまとめる:上司や経営者に伝えるために、数字と代表的な声を選んで資料にする

この作業を担当者が手作業でしていると、分け方が人や月によってぶれ、前回と比べられなくなります。また、強い言葉で書かれた一部の声が目立ち、件数としては多い小さな不満が見落とされることもあります。

AIの仕組みは、大量の文章を同じ基準で読み、分類し、要約することが得意です。一方で、どの不満から手をつけるか、どう直すかを決めるのは会社の判断です。AIには「読む・分ける・まとめる」を任せ、管理職は「決める・動かす」に集中する、という分担で考えます。

AIに任せるのは「取り込み・分類・要約・傾向の抽出」の4つ

アンケート・口コミの集計と分析をAIで効率化するときは、仕事を次の4つに分けて任せます。

  1. 取り込み:アンケートの回答ファイル、紙のアンケートを読み取ったデータ、問い合わせフォームの内容、口コミサイトから担当者が書き写した文章などを、1つの一覧にそろえる
  2. 分類:1件ごとに「何についての声か」「満足か不満か要望か」を付ける。1つの文章に複数の話題があれば、話題ごとに分けて付ける
  3. 要約:分類ごとに、どんな声が多いのかを数行でまとめ、代表的な声を数件選ぶ
  4. 傾向の抽出:前回と比べて増えた話題、特定の店舗・商品・時間帯に集中している不満などを見つけ、「確認が必要な点」として挙げる

分類を安定させるために大切なのは、分類の項目を会社で先に決めておくことです。AIに毎回自由に分けさせると、月によって項目名が変わり、比べられなくなります。最初の数回はAIに案を出させ、管理職が項目を決めたら、その後は同じ項目で分けさせます。

分類の項目(例)どんな声が入るか主に見る部署・担当
接客・対応言葉づかい、説明の分かりやすさ、電話やメールの対応店舗・窓口の責任者
待ち時間・速さ来店時の待ち、返信や納品までの日数現場の責任者・業務の管理者
商品・サービスの内容品質、使い勝手、仕上がり、種類の多さ商品・サービスの担当
価格・支払い料金の高さ、分かりやすさ、支払い方法経営者・営業の責任者
設備・環境店内の清潔さ、駐車場、Webサイトの使いやすさ総務・店舗の責任者
要望・提案「こうしてほしい」「こんなサービスがあれば」という声管理職・経営者

ポイント

分類の項目は、改善を担当する部署や人に結びつけておくと、報告を受け取ったあとに「誰が動くか」が決まりやすくなります。項目を増やしすぎると比べにくくなるため、まずは5〜8個程度から始めるのがおすすめです。

不満や要望の傾向は「件数・増減・偏り」の3つの見方でつかむ

AIが分類した結果は、そのままでは文章の一覧です。改善に使うには、次の3つの見方で傾向をつかみます。

1. 件数:どの話題の声が多いか

分類ごとに満足・不満・要望の件数を数えます。不満が多い項目ほど、多くのお客様が感じている問題である可能性が高くなります。強い言葉で書かれた1件より、穏やかな言葉でも繰り返し出てくる不満のほうが、改善の効果が大きいこともあります。

2. 増減:前回と比べて変わった話題は何か

先月や前回のアンケートと同じ項目で比べると、急に増えた不満に早く気づけます。たとえば「待ち時間の不満が前回より目立って増えた」と分かれば、人の配置や予約の受け方を見直すきっかけになります。逆に、改善策を打ったあとに不満が減っていれば、効果があったと判断する材料になります。

3. 偏り:特定の店舗・商品・時期に集中していないか

店舗や商品、曜日や時間帯ごとに分けて見ると、会社全体では目立たない問題が見つかることがあります。AIに「店舗ごとに不満の多い項目を比べて、ほかと違うところを挙げて」と頼むと、確認すべき点を絞り込めます。

ここで気をつけたいのは、AIが挙げる傾向は「確認すべき点の候補」であって、原因の結論ではないということです。たとえば、ある店舗に不満が多いのは、その店舗の対応に問題があるからとは限りません。回答した人数が多い、その時期だけ混んでいた、といった事情も考えられます。AIの指摘をもとに、管理職が現場の話を聞いて原因を確かめる流れにします。

また、アンケートに答える人や口コミを書く人は、お客様全体の一部です。特に口コミは、とても満足した人か、とても不満だった人が書きやすい傾向があると言われます。数字は「声の多さの目安」として使い、それだけで全体を判断しないようにしましょう。

改善につなげる報告は「結論・数字・代表的な声・次の打ち手」の型で作る

集計と分析が終わっても、報告が読まれなければ改善にはつながりません。毎回同じ型で報告を作るようにすると、AIに下書きを任せやすくなり、読む側も前回と比べやすくなります。

報告の項目書くことAIがすること/人がすること
今回の結論一番伝えたいことを2〜3行で(例:待ち時間の不満が増えている)AIが案を出し、管理職が言い切れる内容か確かめる
全体の数字回答数、満足・不満・要望の件数、前回との比較AIが集計し、元のデータと合っているかを人が確かめる
目立った傾向増えた不満、偏りのある不満、新しく出てきた要望AIが候補を挙げ、管理職が報告に載せるものを選ぶ
代表的な声傾向を表すお客様の声を数件(個人が分からない形で)AIが選び、人が偏りや個人情報がないか確かめる
次の打ち手誰が・何を・いつまでに行うか人が決める。AIは過去の打ち手と結果の記録を整理する
前回の打ち手の結果前回決めた改善策で声がどう変わったかAIが前回との比較をまとめ、人が効果を判断する

報告づくりの流れは、次のとおりです。

  1. AIに下書きを作らせる:分類・集計の結果と、上の型を渡して、報告の下書きを作らせる
  2. 管理職が結論と打ち手を書き込む:AIの結論の案を直し、次の打ち手と担当者を決めて書き込む
  3. 打ち合わせで共有する:月1回など決まった場で報告し、打ち手を確認する
  4. 結果を記録する:打ち手と、その後の声の変化を記録し、次の報告に使う

特に大切なのは最後の「前回の打ち手の結果」です。改善策を決めても、その後どうなったかを確かめなければ、同じ議論を繰り返すことになります。打ち手と結果の記録が積み重なると、「どんな対策が効いたか」が社内の知識として残ります。

口コミへの返信は、AIが下書きし人が送る

口コミサイトやSNSに書かれた声に返信する場合も、AIに返信文の下書きを作らせることができます。ただし、事実関係の確認やお詫びの範囲の判断は人が行い、送る前に必ず内容を確かめてください。不満の声に定型文だけで返すと、かえって印象を悪くすることがあります。

アンケート・口コミに含まれる個人情報は、取り込む前に決めておく

アンケートの回答や問い合わせの内容には、お客様の名前・連絡先・購入した商品・来店した日時などが含まれることがあります。自由記述の欄に、本人や家族の事情、ほかのお客様や従業員の名前が書かれていることもあります。AIで分析する前に、扱い方を決めておきましょう。

取り込む前に確認したいチェックリスト

  • アンケートで集めた情報を、どんな目的で使うかをお客様に示している
  • 分析には名前や連絡先が必要かを考え、不要なら取り除いてからAIに渡している
  • 自由記述に書かれた個人名や電話番号などを、伏せ字にする手順がある
  • 入力したデータが学習に使われない、法人向けのAIサービスや設定を使っている
  • 元のデータと分析結果を扱える人の範囲と、保管する場所を決めている
  • 報告に載せるお客様の声は、個人が分からない形に直している
  • 口コミサイトの文章を使う場合、そのサイトの利用規約で認められた使い方かを確かめている

分類や傾向をつかむだけであれば、多くの場合、名前や連絡先は必要ありません。分析に使う列だけを取り出し、個人が分かる情報は取り除いてからAIに渡すのが基本です。名前や電話番号の伏せ字の作業そのものをAIの仕組みに組み込むこともできますが、すべてを確実に見つけられるとは限らないため、取り込む前のデータの形を整えておくことが大切です。

個人情報の扱いについては、個人情報保護法にもとづくルールがあり、取得するときに示した利用目的の範囲で使うことなどが求められています。会社の状況や情報の種類によって必要な対応が変わる場合があります。最新の情報は個人情報保護委員会などの公式サイトで確認し、判断に迷う場合は専門家に相談してください。

集計・分析の効率化を進める手順と、当社のAI社員でできること

顧客アンケート・口コミの集計と分析の効率化は、次の順番で進めるとスムーズです。

  1. 今ある声を集める:アンケートの回答、問い合わせ、口コミなど、どこにどんな形でお客様の声があるかを書き出す
  2. 個人情報の扱いを決める:分析に使う項目を決め、取り除く情報と伏せ字の手順を決める
  3. 分類の項目を決める:過去の声をAIに試しに分類させ、案をもとに管理職が5〜8個の項目を決める
  4. 報告の型を決める:上で紹介した型をもとに、自社の打ち合わせで使う形にする
  5. 人の集計と並べて試す:1〜2回は担当者の集計とAIの分類を比べ、分け方のずれを直す
  6. 毎月の流れに組み込む:決まった日に取り込み・分類・報告の下書きまでが終わるようにし、打ち合わせで打ち手を決める

効率化したあとの役割分担は、次のようになります。

  • AIがすること:声の取り込みと整理、分類、要約、件数の集計、前回との比較、傾向の候補の抽出、報告と返信文の下書き
  • 担当者がすること:データの準備と個人情報の取り除き、分類や集計の確認
  • 管理職がすること:傾向の原因の確認、改善策と優先順位の決定、打ち手の担当と期限の決定、結果の確認

お客様の声は、問い合わせへの返信や日報など、ほかの業務の情報とあわせて見ると、原因をつかみやすくなります。問い合わせ返信や日報の集計をAIで効率化する方法は、別の記事でくわしく説明しています。

当社のAI社員は、会社ごとのアンケートの形式や分類の項目、報告の型に合わせて、取り込みから報告の下書きまでの仕組みをつくります。初期費用+月5万円で、分類の項目の見直しや報告の形の変更といった運用後の調整・相談にも対応しています。構築期間は内容によって異なりますが、最短2週間で動かし始めることができます。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。

よくある質問

アンケートの自由記述をAIで自動で分類できますか?

できます。分類の項目を会社で先に決めておき、毎回同じ項目で分けさせると、前回との比較もしやすくなります。最初の数回は人の分類と比べて、ずれを直してから任せる範囲を広げてください。

口コミの分析結果だけで改善策を決めてもよいですか?

おすすめしません。AIが挙げる傾向は確認すべき点の候補であり、口コミを書く人はお客様の一部です。現場の話を聞いて原因を確かめてから、改善策を決めてください。

アンケートに書かれた名前や連絡先をAIに入力しても大丈夫ですか?

分類や傾向の分析には、多くの場合、名前や連絡先は必要ありません。個人が分かる情報は取り除いてからAIに渡し、入力したデータが学習に使われない法人向けのサービスや設定を使ってください。

紙のアンケートでもAIで集計できますか?

できます。紙の回答を読み取ってデータにする仕組みと組み合わせれば、分類や要約に使えます。手書きの文字は読み取りを誤ることがあるため、読み取った内容を人が確かめる手順を入れてください。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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