面接の評価メモ・選考記録の整理をAIで効率化するには?——ばらばらのメモを評価項目にそって整え、合否は人が決める方法
結論
面接の評価メモ・選考記録の整理は、面接官ごとにばらばらなメモをAIに評価項目にそって整理させ、選考記録の一覧と合否連絡の下書きまでを任せることで効率化できます。合否を決めるのはあくまで面接官と採用担当者で、AIは「判断の材料をそろえる」役にとどめ、応募者の適性や能力と関係のない情報を記録しない仕組みにしておくことが大切です。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、面接の評価メモ・選考記録の整理をAIで効率化する方法について解説します。採用担当は自分1人、しかもほかの仕事と兼務している。面接が続く時期は、面接が終わるたびに面接官からメモを集め、手書きやチャットの走り書きを読み解いて評価表に写し、合否の相談の場を設定し、結果の連絡文を書く——その間にも次の面接が入ってきます。面接官によってメモの書き方も評価の基準もばらばらで、比べようとしても比べられない。連絡が遅れて、良い応募者がほかの会社に決めてしまった——人手が足りない採用担当者からよく聞く悩みです。この記事では、面接が終わったあとの「評価メモの整理」「選考記録の一覧化」「合否連絡の下書き」をAIで効率化する方法と、AIに合否を決めさせないための線引き、公正な採用選考の観点で気をつけたいことを、AI社員を提供している当社の立場から説明します。
面接後の事務が重いのは「メモがばらばらで、整理と連絡を1人で抱えている」から
面接そのものは面接官が行いますが、その前後の事務は採用担当者に集まります。応募の受付や日程調整が終わって面接が始まると、今度は面接後の作業が次々に発生します。特に時間を取られるのは、次のような作業です。
- メモを集める:面接官ごとに、紙の評価シート、手帳の走り書き、チャットの短いコメントなど、残し方がばらばら。催促しないと集まらないこともある
- メモを読み解いて写す:「元気、受け答え◎、経験やや不足」のような短いメモを、評価表の項目に当てはめて書き直す
- 面接官どうしで比べる:同じ応募者でも、面接官によって見ているところが違い、評価の付け方もそろっていない
- 選考の状況を管理する:誰がどの段階にいて、次に何をするのかを、表計算ソフトやメールの中から拾い集めて把握する
- 合否の連絡を書く:通過・不採用・内定の連絡を、応募者ごとに名前や日程を変えて書き、送り漏れがないように管理する
採用担当が少人数の会社では、この作業が面接の数に比例して増え、連絡が遅れたり、記録があいまいなまま合否が決まったりしがちです。記録があいまいだと、あとから「なぜこの人を採ったのか、なぜ見送ったのか」を振り返ることもできません。
AIの仕組みが得意なのは、ばらばらの文章を決まった項目に整理すること、一覧にまとめること、決まった形の文章を下書きすることです。一方で、誰を採用するかは会社の判断であり、AIに任せるべきではありません。AIには「整理する・まとめる・下書きする」を任せ、人は「評価する・決める・伝える」に集中する、という分担で考えます。
面接官ごとのメモを、AIに評価項目にそって整理させる
評価メモの整理をAIに任せるときは、まず評価項目を会社で決めておくことが前提になります。項目が決まっていれば、面接官のメモが箇条書きでも話し言葉でも、AIが項目ごとに振り分けられます。評価項目は、募集している仕事に必要な能力や経験から決めます。
| 評価項目(例) | 見るポイント | メモに残してほしいこと |
|---|---|---|
| 仕事に必要な経験・知識 | 募集している仕事に関係する経験や資格 | 具体的に話していた経験の内容 |
| 仕事の進め方 | 段取り、ほかの人との協力のしかた | 例として話していた場面と、そのときの行動 |
| 伝える力 | 質問への答え方、説明の分かりやすさ | 分かりやすかった点・分かりにくかった点 |
| 仕事への考え方 | この仕事を選んだ理由、入社後にしたいこと | 本人が話した志望の理由 |
| 働く条件の確認 | 勤務時間、勤務地、入社できる時期など | 確認した内容と、すり合わせが必要な点 |
整理の流れは次のとおりです。
- メモを集める:面接官に、面接が終わったらメモを決まった場所に送ってもらう。写真に撮った手書きのメモや、録音を書き起こした文章でもよい
- AIに項目ごとに整理させる:メモの内容を評価項目に振り分け、評価表の形にまとめさせる。項目に当てはまらない内容は「その他」として残させる
- 足りない点を挙げさせる:メモに書かれていない評価項目があれば、「確認が必要な点」として一覧にさせる
- 面接官に確かめてもらう:整理した評価表を面接官に送り、自分の意図どおりにまとまっているかを確かめてもらう
ポイント
AIには、メモに書かれていないことを補って書かせないようにします。「メモにある内容だけを項目に振り分ける」「点数はメモに書かれたものをそのまま使い、AIが付けない」と決めておくと、面接官の評価がAIの言葉に置き換わってしまうことを防げます。
面接官どうしの評価のずれも見えやすくなる
同じ評価項目で整理されていれば、複数の面接官の評価を横に並べて比べられます。AIに「面接官によって評価が大きく分かれている項目」を挙げさせれば、合否を相談する場で何を話し合えばよいかが分かります。評価が分かれた理由を話し合うことが、面接官どうしの基準をそろえていくきっかけにもなります。
選考記録を一覧にして、誰が・どの段階にいるかを見えるようにする
面接が増えると、「この応募者は二次面接の結果待ちだったか」「不採用の連絡は送ったか」が分からなくなりがちです。整理した評価表をもとに、AIに選考記録の一覧を作らせ、更新させると、選考の状況をいつでも確認できます。
| 一覧の列 | 入れる内容 | 更新のきっかけ |
|---|---|---|
| 応募者(番号) | 社内で使う応募者の番号と応募した職種 | 応募を受け付けたとき |
| 選考の段階 | 書類確認中・一次面接済み・二次面接予定など | 面接の予定や結果が入ったとき |
| 評価のまとめ | 評価項目ごとの面接官の評価の要約 | 評価表を面接官が確かめたとき |
| 確認が必要な点 | 次の面接で聞くこと、条件のすり合わせが必要な点 | 評価表の整理が終わったとき |
| 合否と決めた人 | 通過・見送り・内定と、判断した人・日付 | 人が合否を決めたとき |
| 連絡の状況 | 連絡文の下書き済み・送信済み・返事待ち | 連絡を送ったとき |
一覧があると、次のようなこともできるようになります。
- 止まっている選考に気づける:面接から一定の日数がたっても合否が決まっていない応募者を、AIに毎朝一覧で知らせさせる
- 合否の相談の準備が早くなる:応募者ごとの評価のまとめと確認が必要な点が1枚にまとまっているため、相談の場ですぐに話し始められる
- あとから振り返れる:どの評価をもとに、誰が合否を決めたのかが記録に残る。入社後の活躍と面接時の評価を見比べれば、評価項目の見直しにも使える
なお、一覧に載せる情報は、選考に必要なものだけにします。応募書類の内容をすべて写す必要はありません。扱う情報を少なくしておくことが、情報が漏れたときの影響を小さくすることにもつながります。
合否連絡はAIが下書きし、採用担当者が確かめてから送る
人が合否を決めたら、その結果をもとに、AIに連絡文の下書きを作らせます。応募者の名前、応募した職種、次の面接の候補日などを差し込んだ文面を一度に作れるため、連絡が遅れることを防げます。
- 通過の連絡:次の選考の内容と日程の案内。日程調整の仕組みと組み合わせると、候補日の提示まで続けて行える
- 見送りの連絡:応募へのお礼と、今回は見送ることを丁寧に伝える。社内で決めた文面の型をもとに作らせる
- 内定の連絡:内定のお知らせと、条件の説明や返事の期限など、次の手続きの案内
連絡文には、いくつか気をつけたい点があります。見送りの連絡に、面接官のメモに書かれた評価の言葉をそのまま入れないようにします。どこまで理由を伝えるかは、会社として方針を決めておき、AIにはその方針に沿った文面の型だけを使わせます。また、内定の連絡に書く労働条件は、会社が決めた内容をそのまま使わせ、AIが言い換えたり書き足したりしていないかを確かめます。
ポイント
合否連絡は、送り先や合否を取り違えると取り返しがつきません。AIに自動で送らせず、採用担当者が「宛先・名前・合否・日程」を確かめてから送る手順にしてください。送ったら一覧の連絡の状況を更新し、送り漏れがないかをAIに確認させます。
AIに合否を決めさせない——公正な採用選考の観点で気をつけること
面接の評価メモや選考記録をAIで扱うときに、もっとも大切なのは合否をAIに決めさせないことです。AIは、学習した情報にもとづいて文章を作るため、気づかないうちに偏った見方が入ることがあります。また、なぜその結論になったのかを人が説明しにくいという面もあります。採用は応募者の人生にかかわる判断であり、評価も合否も、人が責任を持って行います。
あわせて、公正な採用選考の観点から、メモや記録に残す内容にも気をつける必要があります。厚生労働省は、応募者の適性や能力と関係のない事項で採否を決めないよう、公正な採用選考の考え方を示しています。たとえば、次のような事項は面接で尋ねたり、記録に残したりしないよう注意が必要とされています。
- 本人に責任のない事項:本籍・出生地、家族の職業や収入、住んでいる家の状況など
- 本来自由であるべき事項:宗教、支持する政党、思想、尊敬する人物、購読している新聞や愛読書など
AIが面接官のメモを整理するときに、こうした内容が含まれていると、評価表や一覧にそのまま残ってしまうおそれがあります。AIに「評価項目に関係のない個人的な事情は整理の対象にしない」「該当しそうな記述があれば、人に確認を求める印を付ける」と指示しておくと、記録に残る前に気づきやすくなります。
面接後の記録をAIで扱う前のチェックリスト
- 合否を決める人と、決め方(相談の場・判断する人)が社内で決まっている
- 評価項目が、募集している仕事に必要な能力や経験から決められている
- AIは評価や点数を付けず、メモの整理だけをする決まりになっている
- 仕事と関係のない事項を、面接で聞かない・記録しないことを面接官に伝えている
- そうした記述がメモにあった場合に、AIが印を付けて人に知らせる仕組みがある
- 入力したデータが学習に使われない、法人向けのAIサービスや設定を使っている
- 選考記録を見られる人の範囲と、保管する期間・場所を決めている
- 合否連絡は、人が確かめてから送る手順になっている
応募者の個人情報の扱いについては、職業安定法や個人情報保護法にもとづくルールがあり、業務の目的に必要な範囲で集めて使うことなどが求められています。法令の内容や運用は改正されることがあり、会社の状況によって必要な対応も変わる場合があります。最新の情報は厚生労働省や個人情報保護委員会などの公式サイトで確認し、判断に迷う場合は社会保険労務士などの専門家に相談してください。
面接後の事務を効率化する手順と、当社のAI社員でできること
面接の評価メモ・選考記録の整理の効率化は、次の順番で進めるとスムーズです。
- 今の流れを書き出す:面接が終わってから合否の連絡を送るまでに、誰が何をしているか、どこで止まりやすいかを書き出す
- 評価項目と記録のルールを決める:職種ごとの評価項目を決め、記録に残さない事項を面接官と共有する
- メモの集め方をそろえる:面接官にメモを送ってもらう場所と、締め切りの目安を決める
- 整理だけを並行して試す:数件の面接で、AIが整理した評価表を面接官に確かめてもらい、意図とずれていないかを見る
- 一覧と連絡の下書きを加える:整理が安定したら、選考記録の一覧の更新と合否連絡の下書きまで任せる範囲を広げる
効率化したあとの役割分担は、次のようになります。
- AIがすること:メモの評価項目への整理、足りない点や評価のずれの指摘、選考記録の一覧の更新、止まっている選考の通知、合否連絡の下書き、仕事と関係のない記述への印付け
- 面接官がすること:面接と評価、整理された評価表の確認
- 採用担当者がすること:評価項目と記録のルールの管理、合否の相談の場の運営、連絡文の確認と送信
- 会社として決めること:合否の判断、見送りの連絡の方針、内定の条件
面接の前の応募者対応や日程調整、さらにその前の求人票づくりも、AIで効率化できます。それぞれの方法は別の記事でくわしく説明しています。求人票から面接後の連絡までをつなげると、採用担当者の手が空く時間がさらに増えます。
当社のAI社員は、会社ごとの評価項目や評価表の形、連絡文の型に合わせて、メモの整理から合否連絡の下書きまでの仕組みをつくります。初期費用+月5万円で、職種や評価項目の追加といった運用後の調整・相談にも対応しています。人を採るまでのあいだ、採用担当者の負担を軽くする方法の一つとしてご検討ください。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。
よくある質問
AIに面接の合否を判断させることはできますか?
当社はおすすめしていません。AIには偏った見方が入るおそれがあり、判断の理由を説明しにくいためです。AIは評価メモの整理など判断の材料をそろえる役にとどめ、合否は面接官と採用担当者が決めてください。
面接官の手書きのメモもAIで整理できますか?
できます。写真に撮った手書きのメモを読み取り、評価項目ごとに整理させることができます。読み取りを誤ることもあるため、整理した評価表は面接官に確かめてもらってください。
面接の評価メモに書いてはいけないことはありますか?
厚生労働省は、本籍・出生地や家族のこと、宗教や支持政党など、応募者の適性や能力と関係のない事項で採否を決めないよう示しています。こうした事項は面接で聞かず、記録にも残さないよう注意してください。最新の情報は厚生労働省の公式サイトで確認してください。
不採用の連絡文もAIに書かせて大丈夫ですか?
下書きはAIに任せられます。ただし、面接官の評価の言葉をそのまま入れないよう会社で決めた文面の型を使わせ、宛先・名前・合否を採用担当者が確かめてから送ってください。