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クレーム対応をAIで効率化するには?——苦情の記録と要約、緊急度の振り分け、お詫び文の下書き、再発防止の集計

結論

クレーム・苦情対応は、AIに「受付内容を決まった形で記録・要約する」「緊急度を振り分けて責任者に知らせる」「お詫びと回答の文面を下書きする」「苦情を分類して再発防止のために集計する」の4つを任せ、謝罪の範囲・補償・お客様への約束は必ず人が決める形にすると効率化できます。記録と下書きにかかる時間が減るぶん、責任者はお客様への連絡と原因の確認に時間を使えるようになります。まずは受付の記録の型をそろえることから始めるのが近道です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、お客様からのクレーム・苦情対応を、受付内容の記録と要約・緊急度の振り分け・お詫びと回答の文面の下書き・再発防止の集計でAIに補助させ、判断は人が行う進め方について解説します。お客様からの苦情の電話を受けた担当者が、内容をうまくまとめられず、責任者に伝わるまでに時間がかかる。お詫びのメールを一通書くのに、言葉選びに迷って1時間以上かかる。同じような苦情が何度も来ているのに、記録がばらばらで、どれくらい起きているのかも分からない。現場をまとめる管理職の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。この記事では、クレーム・苦情対応のうち、AIに任せられる部分と任せてはいけない部分を分けたうえで、受付の記録と要約、緊急度の振り分け、お詫びと回答の文面の下書き、再発防止のための集計にAIを使う方法と、始める手順・注意点を説明します。ふだんの問い合わせへの返信や、アンケートの分析ではなく、苦情を受けてから解決し、同じことを繰り返さないまでの流れに絞ってお伝えします。

クレーム対応で時間がかかるのは「対応そのもの」より、記録・報告・文面づくり

クレーム対応というと、お客様と話す場面が大変だと思われがちです。もちろんそこは人にしかできない大切な仕事ですが、実際に管理職や担当者の時間を多く取っているのは、その前後にある事務の作業です。

  • 電話や窓口で聞いた内容を、あとから思い出しながら記録に書き起こす
  • 責任者に報告するために、経緯を時系列に並べ直す
  • お詫びや回答の文面を、失礼のないように何度も書き直す
  • 過去に同じような苦情があったか、記録を探して確かめる
  • 月末や会議の前に、苦情の件数や内容をまとめ直す

こうした作業は、担当者によってやり方がばらばらになりやすく、記録の書き方がそろっていないと、責任者が状況をつかむまでにさらに時間がかかります。その間にお客様を待たせてしまい、最初は小さかった不満が大きくなることもあります。

一方で、話した内容を決まった形にまとめる、経緯を並べる、文面の下書きを作る、似た内容を分類して数えるといった作業は、AIが得意とするところです。AIに事務の部分を任せ、人はお客様と向き合うことと、判断することに時間を使う。これがクレーム対応にAIを使うときの基本的な考え方です。

AIに任せること・人が決めることを先に線引きする

クレーム対応にAIを使う前に、必ず決めておきたいのが「どこまでをAIに任せ、どこからを人が決めるか」の線引きです。特に、謝罪の範囲、補償や返金、お客様への約束は、会社としての責任に関わる判断です。AIの下書きに書かれていたからという理由で、そのまま送ってはいけません。

作業AIに任せること人が決めること
受付の記録聞き取ったメモや通話の文字起こしを、決まった項目に整理して要約する記録に誤りや抜けがないかを確かめる
緊急度の振り分け決めたルールに沿って緊急度の候補を付け、責任者に知らせる最終的な緊急度と、誰が対応するかを決める
お詫び・回答の文面経緯と方針を受けて、文面の下書きを作る謝罪の範囲、補償・返金の有無、約束する内容と期限を決め、文面を直して送る
原因の確認過去の似た苦情を探して一覧にする現場に確認し、原因を判断する
再発防止苦情を分類して件数や傾向を集計するどの対策を取るか、誰がいつまでにやるかを決める

ポイント

AIには「事実を整理する」「下書きを作る」「数える」ことを任せ、「認める」「約束する」「支払う」ことは人が決める、と覚えておくと線引きを間違えにくくなります。この線引きを社内のルールとして文書にしておくと、担当者が迷わずに使えます。

受付内容の記録と要約:誰が受けても同じ形で残す

クレーム対応の質は、最初の記録で大きく変わります。AIを使うと、担当者が受けた内容を、誰が受けても同じ項目で記録に残せるようになります。

やり方は簡単です。電話であれば、通話のあとに担当者が走り書きのメモを入力するか、録音の文字起こしを用意します。メールや問い合わせフォームであれば、届いた文面をそのまま使います。それをAIに渡し、次の項目に沿って整理させます。

  1. 受付日時と受付方法:電話、メール、窓口など
  2. お客様の情報:名前、連絡先、取引の内容(注文番号や契約の内容など)
  3. 起きたこと:いつ、どこで、何があったか。お客様の言葉と、確認できた事実を分けて書く
  4. お客様の要望:謝罪、交換、返金、説明など、何を求めているか
  5. こちらがその場で伝えたこと:折り返しの約束や、その場での説明
  6. 3行の要約:責任者が一目で状況をつかめる短いまとめ

特に大切なのは、「お客様がおっしゃったこと」と「こちらで確認できた事実」を分けて書くことです。苦情の内容は、時間がたつと人の記憶の中で混ざってしまいます。AIに分けて整理させておくと、あとで原因を確かめるときや、責任者が判断するときに迷いが減ります。

また、5番目の「その場で伝えたこと」を必ず残すようにしておくと、「担当者が折り返すと言ったのに連絡がない」といった二次的な苦情を防げます。AIには、記録の中に折り返しの約束があれば、期限とあわせて目立つ形で書き出すよう指示しておくと効果的です。

緊急度の振り分けとお詫び・回答文の下書き

緊急度はルールを決めてからAIに当てはめさせる

すべての苦情に同じ順番で対応していると、本当に急ぐべきものが後回しになることがあります。そこで、記録した内容をもとに、AIに緊急度の候補を付けさせます。ただし、AIに判断の基準を考えさせるのではなく、会社として基準を先に決め、それをAIに渡すことが大切です。

緊急度基準の例対応の例
高けがや健康被害、安全に関わる内容。法令に触れるおそれがある内容。強い怒りや、外部への公表をほのめかす内容すぐに責任者へ連絡し、当日中に責任者が対応する
中商品の不良、納期の遅れ、請求の誤りなど、お客様に実際の損害や手間が出ている内容当日中に担当を決め、翌営業日までに一次回答する
低説明不足や言葉づかいへのご意見など、損害は出ていない内容担当者が対応し、内容を記録して集計に回す

表の基準はあくまで例です。業種や会社の方針に合わせて決めてください。AIが付けた緊急度は「候補」として扱い、最終的には責任者が確かめます。とくに「高」の候補が付いたものは、AIからメールやチャットで責任者に知らせる仕組みにしておくと、見落としを防げます。

お詫びと回答の文面は「方針」を渡してから下書きさせる

文面の下書きをAIに頼むときは、記録とあわせて、人が決めた方針を必ず渡します。たとえば「不良品であることは認めてお詫びする」「交換で対応し、返金はしない」「原因は確認中なので、調査結果は今週中に連絡すると伝える」といった方針です。方針を渡さずに頼むと、AIが必要以上に非を認める表現や、決めていない補償を書いてしまうことがあります。

下書きができたら、担当者と責任者が読み、次の点を直してから送ります。事実と違う内容がないか、約束していないことを書いていないか、相手の気持ちに寄りそった言葉になっているか。AIの下書きがあるだけで、言葉選びに迷う時間は大きく減ります。

再発防止のための集計:苦情を分類して「同じ原因」を見つける

クレーム対応で最も大切なのは、同じ苦情を繰り返さないことです。しかし、記録がばらばらだと、どんな苦情が何件あったのかを数えるだけで手間がかかり、会議で話し合うところまでたどり着けません。

受付の記録を決まった項目でそろえておけば、AIに月ごとの記録を渡して、内容ごとに分類し、件数や傾向をまとめさせられます。分類の項目は、たとえば次のように決めます。

  • 商品・サービスの品質(不良、故障、仕上がりなど)
  • 納期・配送(遅れ、誤配、連絡不足など)
  • 請求・料金(金額の誤り、説明不足など)
  • 接客・対応(言葉づかい、折り返しの遅れなど)
  • 説明・案内(契約内容やルールの伝え方など)
分類(例)件数(例)前月(例)AIがまとめた傾向(例)
納期・配送6件3件特定の商品で、出荷予定日の連絡がないまま遅れるケースが続いている
接客・対応4件4件折り返しの約束をした後、連絡が翌日以降になったものが多い
請求・料金2件1件値引き後の金額の伝え方が担当者によって違う

表の数字は説明のための架空の例です。このように、件数の増減とあわせて「どんな場面で起きているか」をAIに文章でまとめさせると、会議の資料がすぐにできます。ただし、AIがまとめた傾向は仮説です。本当の原因は、現場に確認してから判断してください。

対策を決めたら、「誰が・何を・いつまでに」を記録に残し、翌月の集計で効果があったかを確かめます。この流れを毎月繰り返すことで、苦情の対応が「その場しのぎ」から「仕組みの改善」に変わっていきます。

始める手順と注意点:記録の型づくりから小さく始める

クレーム対応のAI活用は、いきなりすべてを変えようとせず、次の順番で小さく始めると定着しやすくなります。

  1. 記録の型を決める:受付の記録で説明した6つの項目をもとに、自社に合った記録の項目を決める
  2. AIに要約させてみる:過去の苦情の記録を数件使い、要約と項目の整理を試す。個人情報は伏せて試すと安心です
  3. 緊急度の基準と線引きを文書にする:緊急度の基準と、AIに任せること・人が決めることを社内ルールにまとめる
  4. 文面の下書きを試す:方針を渡して下書きさせ、担当者と責任者で直す流れを作る
  5. 月に1回集計する:分類と件数をAIにまとめさせ、会議で再発防止の対策を決める

クレーム対応にAIを使う前に確認すること

  • 謝罪の範囲、補償・返金、お客様への約束は人が決めるルールになっているか
  • AIの下書きを、そのまま送らずに人が読んで直す流れになっているか
  • お客様の個人情報を入力する場合、入力内容を学習に使わない設定・契約のサービスを使っているか
  • 録音や記録の扱いについて、社内のルールやお客様への案内が整っているか
  • 緊急度「高」のものが、すぐに責任者へ届く仕組みになっているか
  • AIがまとめた原因の傾向を、現場で確かめてから対策を決めているか

お客様の個人情報や通話の録音の扱いについては、法令や業界のルールによって求められることが変わる場合があります。最新の情報は個人情報保護委員会などの公式サイトで確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

当社が提供する「AI社員」では、苦情の受付記録の整理、緊急度の通知、お詫び文の下書き、月ごとの集計までを、お客様の業務の流れに合わせて組み立てます。どこまでをAIに任せ、どこを人が決めるかの線引きも、ヒアリングの中で一緒に整理します。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。

よくある質問

クレーム対応にAIを使っても大丈夫ですか?

記録の整理、要約、文面の下書き、集計といった事務の部分であれば役立ちます。謝罪の範囲や補償、お客様への約束は会社の責任に関わる判断なので、必ず人が決めてください。

お詫びメールの文面をAIに書かせるときのコツは?

苦情の記録とあわせて、「何を認めてお詫びするか」「どう対応するか」「いつまでに何を連絡するか」という方針を先に決めて渡すことです。方針がないと、必要以上に非を認める表現や、決めていない補償が書かれることがあります。

苦情の緊急度をAIに判断させることはできますか?

会社として緊急度の基準を決めて渡せば、AIがその基準に当てはめて候補を付けることはできます。ただし最終的な判断は責任者が行い、安全や健康に関わる内容は特に人が確かめる形にしてください。

クレームの再発防止にAIはどう役立ちますか?

そろった形で記録された苦情をAIに渡すと、内容ごとの分類、件数の増減、起きている場面の傾向を短時間でまとめられます。その結果をもとに人が原因を確かめ、対策を決めて翌月の集計で効果を確認します。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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