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請求漏れ(請求忘れ)をAIで防ぐには?——受注・作業完了の記録と請求を突き合わせ、漏れの候補を毎月知らせる仕組み

結論

請求漏れは、AIに「受注・作業完了・納品の記録」と「請求の記録」を毎月突き合わせさせ、対応する請求が見当たらないものを候補として担当者に知らせ、請求するかどうかは人が決める形にすると防げます。漏れの多くは、作業の記録と請求の作業が別々の人や場所で動いていることから起きます。まずは突き合わせる記録を決め、追加作業や値引きを必ず書き残すルールをつくることが出発点です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、請求漏れ(請求忘れ)を、受注・作業完了・納品の記録と請求の突き合わせ、漏れの候補の毎月の通知、追加作業・値引きの記録ルールでAIに補助させて防ぐ方法について解説します。月末に請求書を出し終えたあとで、「先月の追加工事、請求していなかった」と気づく。現場では作業が終わっていたのに、事務には伝わっていなかった。スポットで頼まれた小さな作業が、どこにも記録されずに消えていた。こうした請求漏れは、売上が入らないだけでなく、時間がたってから請求すると取引先との関係にも気をつかいます。この記事では、請求書を作って送る作業や入金の確認ではなく、その手前の「請求すべきものが漏れていないか」を確かめる作業にAIを使う方法を説明します。突き合わせる記録の決め方、漏れの候補を毎月知らせる仕組み、追加作業や値引きの扱い、始める手順と注意点をお伝えします。

請求漏れは「作業の記録」と「請求の作業」が別々に動いていることから起きる

請求漏れというと、担当者のうっかりミスと思われがちです。しかし実際には、仕事の流れの中に漏れやすい場所があることがほとんどです。受注を受けるのは営業、作業をするのは現場、請求書を作るのは事務、というように、仕事が人から人へ渡るたびに情報が抜け落ちる機会があります。

請求漏れが起きやすい場面は、次のとおりです。

場面起きていることAIで補える部分
追加作業・追加注文現場や電話で口頭で頼まれ、記録が残らない日報やメールから追加の依頼らしき記述を拾う
作業完了の連絡が届かない作業は終わったのに、事務に伝わらず請求が止まる完了の記録と請求の記録を突き合わせ、請求がないものを挙げる
分割・前受け・後払いの請求2回目以降の請求を出し忘れる請求の予定と実際の請求を比べ、出ていない回を知らせる
毎月決まった請求契約の追加や変更が請求に反映されない契約の一覧と今月の請求を比べ、差を挙げる
立替えた費用交通費や部材代などを立て替えたまま請求に乗せ忘れる経費の記録から、取引先に請求する予定のものを拾う

どの場面にも共通するのは、「やったこと」の記録と「請求したこと」の記録が別の場所にあり、誰も両方を見比べていないという点です。人が毎月すべてを見比べるのは手間がかかるため、忙しい月ほど確認が省かれます。ここを毎月決まった日にAIに見比べさせるのが、この記事でお伝えする仕組みの中心です。

なお、請求書の作成や送付そのものを自動化する方法、入金を確認して売掛金を消し込む方法は、それぞれ別の記事で説明しています。この記事は、その手前で「請求すべきものがすべて請求の作業に乗っているか」を確かめる部分を扱います。

まず「何と何を突き合わせるか」を決める

AIに突き合わせをさせるには、比べる記録をはっきりさせる必要があります。業種や取引の形によって、請求のもとになる記録は違います。自社ではどの記録が「請求すべきもの」の根拠になるのかを、最初に決めておきます。

取引の形請求のもとになる記録突き合わせる相手
モノを納める(製造・卸など)受注の記録、出荷・納品の記録請求の明細
工事・作業をする(建設・設備など)受注の記録、日報、完了報告請求の明細、出来高の請求予定
サービスを提供する(保守・清掃など)契約の一覧、作業の実施記録毎月の請求の明細
時間で請求する(制作・士業など)作業時間の記録、成果物の納品記録請求の明細

突き合わせるための「つなぎの番号」を決める

記録どうしを正しく突き合わせるには、同じ案件だとわかる手がかりが必要です。もっとも確実なのは、受注のときに案件番号を振り、日報・納品書・請求書のすべてにその番号を書く方法です。番号が書かれていない記録が多い会社でも、取引先名・件名・日付・金額の組み合わせで、AIにある程度は同じ案件を見分けさせることができます。ただし、似た件名の案件が多いと取り違えが起きやすくなるため、これから記録する分だけでも番号を書く習慣をつけることをおすすめします。

記録が紙やバラバラのファイルでも始められる

受注は表計算ソフト、日報は紙、請求は会計ソフト、というように記録の形がそろっていなくても、突き合わせは始められます。紙の日報や納品書は、写真やスキャンからAIが文字を読み取って一覧にできます。最初からすべてを1つのシステムにまとめる必要はありません。大事なのは、毎月どの記録を集めてくるかが決まっていることです。

AIが毎月記録を突き合わせ、漏れの候補を一覧にして知らせる

突き合わせる記録が決まったら、毎月決まった日(たとえば請求書を締める数日前)に、AIに次の流れで確認させます。

  1. 今月の「やったこと」を集める:受注、作業完了、納品、立替えの記録から、今月請求の対象になりそうなものを一覧にする
  2. 今月の「請求したこと」を集める:請求の明細や請求予定の一覧を読み込む
  3. 案件ごとに突き合わせる:案件番号、または取引先名・件名・日付・金額の組み合わせで、対応する請求があるかを確かめる
  4. 差を3つに分ける:「請求が見当たらない」「金額や数量が違う」「請求はあるが、もとになる記録が見当たらない」
  5. 担当者に一覧で知らせる:それぞれの候補に、なぜ漏れと考えたかの理由と、もとになった記録の場所を添える

担当者に届く一覧は、たとえば次のような形にします。

区分案件AIが挙げた理由担当者の判断
請求が見当たらないA社 設備点検(追加分)日報に追加作業の記述があるが、請求の明細にない請求する/不要(理由)
金額が違うB社 部品納品納品数量は12、請求の数量は10修正する/正しい(理由)
もとの記録がないC社 保守料請求はあるが、今月の作業記録が見当たらない記録を補う/請求を見直す

AIは「候補」を挙げ、決めるのは人

AIが挙げるのは、あくまで漏れの候補です。追加作業が無償の約束だった、来月まとめて請求することになっている、といった事情は、記録に書かれていなければAIにはわかりません。そのため、一覧には担当者が「請求する」「不要」と判断を書き込む欄を設け、不要とした理由も残します。理由が残っていれば、翌月以降に同じ案件が候補に挙がったとき、AIがその理由を参考にして挙げ方を調整できます。

知らせるのは、請求書を締める前にしておくのがポイントです。締めたあとに気づくと、請求書の出し直しや翌月への回しが必要になり、取引先への説明も増えます。確認の日を、請求の流れの中に組み込んでおきましょう。

追加作業・値引き・分割請求は「記録に残すルール」を先に決める

請求漏れのうち、AIでも見つけにくいのが、そもそも記録に残っていないものです。とくに追加作業と値引きは、現場や電話のやりとりで決まり、どこにも書かれないことがよくあります。AIの突き合わせを生かすには、これらを必ず書き残すルールを先に決めておくことが欠かせません。

種類記録に残すことAIが確認すること
追加作業・追加注文頼まれた日、頼んだ人、内容、有償か無償か、金額の目安日報やメールに「追加」「ついでに」などの記述があるのに、記録がないものを挙げる
値引き値引きの理由、金額、誰が了承したか見積や受注の金額と請求の金額の差に、値引きの記録があるかを確かめる
無償対応無償にした理由と了承した人請求がない作業に、無償の記録があるかを確かめる
分割・出来高の請求請求の回数、各回の時期と金額予定の月になっても請求が出ていない回を挙げる
立替えた費用取引先に請求するかどうか、請求先請求する予定の立替えが、請求の明細に乗っているかを確かめる

現場が書きやすい形にする

記録のルールを決めても、書くのが面倒だと続きません。現場の担当者には、日報の中に「追加の依頼があったか」「値引きや無償の約束をしたか」の欄を設けるだけにして、あとはAIが日報の文章から必要な情報を読み取って一覧にする形にすると負担が少なくて済みます。社内のチャットに「〇〇社で追加の配管作業、有償で了承済み」と一言書いてもらい、AIがそれを拾う方法もあります。

値引きについては、誰が了承したかを残すことが大切です。了承の記録がない値引きが見つかったら、AIに知らせてもらい、責任者が確かめるようにしておくと、請求漏れだけでなく、気づかないうちに値引きが増えていくことも防げます。

請求漏れを防ぐ仕組みの始め方

請求漏れのチェックをAIで行う仕組みは、次の順番で始めると無理がありません。

  1. 過去の漏れを振り返る:ここ1年ほどで、あとから気づいた請求漏れや請求の出し直しを書き出し、どの場面で起きたかを確かめる
  2. 突き合わせる記録を決める:受注・作業完了・納品・立替えのうち、自社で請求の根拠になる記録と、その保存場所を決める
  3. 記録のルールを決める:案件番号の書き方、追加作業・値引き・無償対応の残し方を決め、現場に伝える
  4. 過去の月で試す:すでに締めた月の記録で突き合わせをさせ、実際の漏れを見つけられるか、関係のないものを挙げすぎないかを確かめる
  5. 毎月の流れに組み込む:請求を締める前の決まった日に一覧が届くようにし、担当者が判断を書き込むところまでを習慣にする

過去の月で試す段階では、AIが候補を挙げすぎることがあります。たとえば、毎月決まって翌月にまとめて請求する取引先が毎回候補に挙がる、といったことです。こうした「漏れではないもの」を一つずつ例外として登録していくと、数か月で一覧が見やすくなっていきます。

ポイント

最初からすべての取引を対象にしなくてもかまいません。追加作業が多い取引先や、分割で請求する案件など、過去に漏れが起きた場面から始めると、効果が見えやすく、現場の協力も得やすくなります。

当社でも、自社の営業や事務の業務にAIを組み込み、月に約480時間の作業を減らしてきました。記録の確認や見比べのように、決まった手順で繰り返す作業はAIが得意とするところです。人は、AIが挙げた候補について「請求するかどうか」を決めることに時間を使えるようになります。

請求漏れのチェックにAIを使うときの注意点

請求漏れのチェックをAIで補助するときは、次の点に気をつけると、取引先との関係を損なわずに続けられます。

あとから見つかった漏れの請求は、人が判断して連絡する

時間がたってから見つかった請求漏れを、そのまま次の請求書に乗せると、取引先が驚いたり、社内の手続きで困ったりすることがあります。請求するかどうか、どう説明するかは、取引先との関係を知る担当者や責任者が判断し、事前に一言連絡を入れるのが望ましいでしょう。どれくらい前の取引までさかのぼって請求できるかは、契約の内容や法律上の扱いによって異なる場合があります。判断に迷うときは、契約書を確かめたうえで専門家に相談してください。

請求書の決まりは最新の情報を確かめる

請求書の記載事項や保存の方法には、税に関する決まりがあります。漏れていた分を請求するときや、請求書を出し直すときの扱いについては、最新の情報を国税庁などの公式サイトで確認するか、顧問の税理士に相談してください。

取引の情報の扱い

突き合わせに使う記録には、取引先名や金額、契約の条件が含まれます。記録や一覧を保存する場所は、関係する人だけが見られるようにし、AIに読ませるサービスは、入力した情報が学習に使われない法人向けのものを選びます。

請求漏れのチェックを動かす前に確かめること

  • 請求の根拠になる記録(受注・作業完了・納品・立替え)と保存場所を決めたか
  • 案件を突き合わせる手がかり(案件番号など)を決めたか
  • 追加作業・値引き・無償対応を記録するルールを現場に伝えたか
  • 漏れの候補が届く日を、請求を締める前に設定したか
  • 候補ごとに担当者が判断と理由を書き込む欄があるか
  • 記録を見られる人を限り、AIのサービスで情報がどう扱われるかを確かめたか

当社のAI社員は、今お使いの会計ソフトや表計算ソフト、日報の形に合わせて、記録の集め方、突き合わせ、漏れの候補の通知、例外の登録までを一続きでつくることができます。紙の日報や納品書が混ざっていてもかまいません。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。運用を始めてからの調整や相談にも回数の制限なく対応しています。「請求漏れに気づくのはいつも後になってから」と感じている方は、まず過去の漏れを一緒に振り返るところからご相談ください。

よくある質問

請求漏れ(請求忘れ)を防ぐにはどうすればよいですか?

受注・作業完了・納品の記録と請求の記録を、毎月決まった日に突き合わせることが基本です。この見比べをAIに任せ、請求が見当たらないものを候補として知らせてもらうと、手間をかけずに続けられます。

追加作業の請求漏れを防ぐにはどうすればよいですか?

追加の依頼を受けたら、日付・内容・有償か無償か・了承した人を必ず記録するルールを決めます。日報やチャットに一言書いてもらい、AIがそれを拾って請求の記録と突き合わせる形にすると、現場の負担も少なく済みます。

請求漏れのチェックはAIに任せきりにできますか?

任せきりにはしないでください。AIが挙げるのは漏れの候補であり、無償の約束や翌月にまとめる取り決めなど記録にない事情もあるため、請求するかどうかは担当者が判断します。

会計ソフトや販売管理システムがなくても、請求漏れのチェックはできますか?

できます。表計算ソフトの一覧や紙の日報・納品書でも、AIが読み取って一覧にし、請求の記録と突き合わせることができます。まずは毎月集める記録を決めることから始めてください。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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