見積を出したあとのフォロー連絡をAIで漏れなく行うには?——提出済み見積の一覧化、連絡のタイミングと文面の下書きまで
結論
見積を出したあとのフォロー連絡は、AIに「提出した見積を集めて一覧にする」「連絡すべき時期が来たものを担当者に知らせる」「相手と見積の内容に合わせた連絡文を下書きする」の3つを任せ、送るかどうかと最終的な文面は担当者が決める形にすると、漏れなく行えます。見積が受注につながらない理由の多くは、価格よりも「出したまま連絡が途切れる」ことにあります。まずは見積の一覧を1か所にまとめることから始めるのが近道です。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、見積を出したあとのフォロー連絡(追客)を、提出済み見積の一覧化・連絡のタイミングの通知・文面の下書きでAIに補助させ、漏れなく行う方法について解説します。見積を出したあと、「検討します」と言われたまま連絡が途切れている案件が、気づけばいくつもある。担当者は日々の仕事に追われ、どの見積をいつ出したか、誰に連絡したかを覚えきれない。数か月後に、その取引先が他社に発注していたと知る。営業担当が数名の中小企業では、こうしたことが珍しくありません。この記事では、見積を作る作業ではなく、見積を出した「あと」のフォロー連絡にAIを使う方法を説明します。提出済みの見積を一覧にする方法、連絡のタイミングの決め方、相手に合わせた文面の下書き、始める手順と注意点をお伝えします。
見積が受注につながらない原因は「出したまま連絡が途切れる」こと
見積を出した案件が受注に至らないとき、多くの経営者は価格が高かったと考えます。もちろんそういう場合もありますが、実際には次のような理由で、検討が止まったまま終わっている案件も少なくありません。
- 先方の担当者が忙しく、社内の検討が後回しになっている
- 見積の内容について質問があるが、聞くタイミングを逃している
- 社内の決裁に必要な資料が足りず、話が進んでいない
- 予算の時期が合わず、次の機会を待っている
- 他社の見積と比べていて、こちらからの一言で決まる状態にある
どの場合も、適切な時期にこちらから一度連絡するだけで、話が動くことがあります。ところが営業担当の頭の中だけで管理していると、新しい見積の作成や日々の対応に追われて、フォローの連絡は後回しになりがちです。
見積後のフォローが漏れる会社には、共通して次の3つの課題があります。
| 課題 | 起きていること | AIで補える部分 |
|---|---|---|
| 一覧がない | 見積が各担当者のメールやフォルダに散らばっている | 送った見積を集めて一覧にする |
| 時期を忘れる | いつ連絡すべきかを覚えておけない | 連絡すべき時期が来たら知らせる |
| 文面に時間がかかる | 何と書けばよいか迷い、後回しにする | 相手と見積の内容に合わせて下書きする |
AIの役割1:提出した見積を集めて一覧にする
フォローを漏らさないための土台は、提出した見積の一覧です。AIを使うと、担当者が一覧に手で書き込まなくても、送った見積から一覧を作れます。
- 見積を送ったメールを拾う:営業担当が見積を送ったメール(件名や添付ファイル名に「見積」を含むものなど)を見つける
- 見積の中身を読み取る:添付の見積書から、取引先名・先方の担当者・件名・金額・提出日・有効期限を読み取る
- 一覧に書き込む:共有のスプレッドシートなどに、案件ごとに1行で書き込む
- やりとりを追う:その後に先方から返信があったか、こちらから連絡したかを記録する
ポイント
メールを自動で読ませるのが難しい場合は、「見積書を決まった共有フォルダに保存する」というルールを1つ決めるだけでも十分です。AIはそのフォルダを見て一覧を作れます。担当者の手間を増やさない仕組みにすることが、続けるためのこつです。
一覧ができると、経営者や営業の責任者も「今どれだけの見積が返事待ちになっているか」「金額の大きい案件はどれか」をひと目で確かめられるようになります。
AIの役割2:連絡のタイミングを決めて、時期が来たら知らせる
一覧ができたら、次は「いつ連絡するか」を決めます。案件ごとに担当者が考えるのではなく、会社としての基本の型を決めておき、AIにその型に沿って知らせてもらいます。
| 時期 | 連絡の目的 | 連絡の例 |
|---|---|---|
| 提出の翌営業日 | 届いたかの確認と、質問の受け付け | 見積が届いたか、わかりにくい点がないかを尋ねる |
| 提出から1〜2週間後 | 検討の状況の確認 | 社内の検討に必要な資料がないかを尋ねる |
| 有効期限の1週間前 | 期限のお知らせ | 見積の有効期限が近いことと、延長の相談ができることを伝える |
| 失注・保留がわかったとき | 理由の確認と次の機会 | 差し支えなければ理由を伺い、次の時期を確かめる |
AIは毎朝この型と一覧を見比べて、「今日フォローすべき案件」を担当者に知らせます。先方から返信があった案件や、すでに連絡した案件は外します。金額の大きい案件や、先方が「来月決める」と言っていた案件などは、担当者が個別に時期を変えられるようにしておくと、型に縛られすぎずに済みます。
AIの役割3:相手と見積の内容に合わせた文面を下書きする
フォローの連絡が後回しになる大きな理由の1つは、「何と書けばよいか迷う」ことです。毎回同じ定型文では、相手に「機械的に送られている」と感じさせてしまいます。AIには、一覧の情報とこれまでのやりとりをもとに、案件ごとの文面を下書きさせます。
下書きに入れる情報の例は次のとおりです。
- 見積の件名と提出日(「〇月〇日にお送りした△△のお見積もり」)
- 前回のやりとりで先方が気にしていた点(納期・数量・仕様など)
- その点に対する補足(「納期については、〇月の着手であれば間に合います」など、担当者が確かめた内容)
- 次の一歩の提案(打ち合わせの候補日、資料の追加送付など)
AIの下書きを送る前に担当者が確かめること
- 金額・納期・仕様など、見積の内容と食い違っていないか
- 先方との関係や温度感に合った言い回しか
- まだ確かめていない条件を約束していないか
- 同じ相手に短い間隔で何度も連絡していないか
送るかどうかの判断と、最終的な文面は必ず担当者が決めます。AIが自動で送る仕組みにすると、先方の事情を知らないまま連絡してしまうおそれがあるためです。AIは「連絡のきっかけと、たたき台を用意する役」と考えてください。
始める手順と、結果を次の見積に生かす方法
見積後のフォローをAIで補助する仕組みは、次の順番で始めると無理がありません。
- 見積の置き場所を決める:見積書を保存する共有フォルダ、または見積を送るときのメールのルールを1つ決める
- 一覧の項目を決める:取引先・担当者・件名・金額・提出日・有効期限・状況(返事待ち・受注・失注・保留)
- 連絡の型を決める:前の章の表を参考に、自社の業種や取引の流れに合わせた時期を決める
- まず1人の担当者で試す:1か月ほど、一覧・通知・下書きを使ってもらい、使いにくい点を直す
- 全員に広げ、毎週見返す:営業の会議などで、返事待ちの一覧を一緒に見る時間をつくる
一覧が続いていくと、「どの業種の見積が受注につながりやすいか」「失注の理由で多いものは何か」「提出から受注までにどれくらいかかるか」といった傾向も見えてきます。AIに一覧を集計させ、月に1回まとめてもらうと、見積の出し方や価格の見直しの材料になります。
当社でも、自社の営業や事務の業務にAIを組み込み、月に約480時間の作業を減らしてきました。見積後のフォローのように、一つひとつは小さくても積み重なると大きな機会損失になる業務は、AIの補助が効きやすい分野です。
見積フォローにAIを使うときの注意点
見積後のフォローをAIで補助するときは、次の点に気をつけると、取引先との関係を損なわずに続けられます。
連絡しすぎない
フォローは大切ですが、短い間隔で何度も連絡すると、相手に負担を感じさせてしまいます。AIが知らせるタイミングは、同じ相手に対して一定の間隔(たとえば1週間)をあけるようにし、先方から「〇月まで待ってほしい」と言われた案件は、その時期まで通知を止めます。
先方の担当者の変化に気をつける
見積を出したあとに、先方の担当者が異動したり、窓口が変わったりすることがあります。メールが届かなくなった、別の人から返信が来た、といった変化があれば、一覧の担当者を更新します。AIに「最近のやりとりで相手の名前が変わっていないか」を確かめさせることもできます。
断られた案件の扱いを決める
「今回は見送ります」と言われた案件は、フォローの対象から外します。そのうえで、断られた理由と、次に声をかけてよい時期がわかれば一覧に残しておきます。半年後や翌年度の予算の時期に、改めて連絡するきっかけになります。
取引先の情報の扱い
見積の一覧には、取引先の担当者名や連絡先、取引の金額が含まれます。一覧を保存する場所は、営業と関係する人だけが見られるようにし、AIに読ませるサービスは、入力した情報が学習に使われない法人向けのものを選びます。
見積フォローの仕組みを動かす前に確かめること
- 同じ相手への連絡の間隔を決めたか
- 先方の希望で連絡を止めたい案件を、一覧で止められるか
- 断られた案件の理由と次の時期を記録する欄があるか
- 一覧を見られる人を限ったか
- 使うAIのサービスで、入力した情報がどう扱われるか確かめたか
よくある質問
見積後のフォロー連絡(追客)は、AIに自動で送らせてもよいですか?
おすすめしません。先方の事情や関係を知らないまま連絡してしまうおそれがあるため、AIは時期の通知と文面の下書きまでにとどめ、送るかどうかは担当者が決める形にします。
見積を出したあと、何日後に連絡するのがよいですか?
提出の翌営業日に届いたかと質問の有無を確かめ、1〜2週間後に検討の状況を伺い、有効期限の1週間前に期限をお知らせする形が基本です。業種や取引の流れに合わせて調整してください。
顧客管理システム(CRM)がなくても、見積のフォローをAIで管理できますか?
できます。共有のスプレッドシートに見積の一覧を作り、AIがそこに書き込んで時期を知らせる形なら、専用のシステムがなくても始められます。
見積のフォローをAIで管理すると、どんな効果がありますか?
連絡の漏れが減るほか、返事待ちの案件が一覧で見えるようになり、失注の理由や受注までの期間といった傾向もつかめるようになります。見積の出し方を見直す材料にもなります。