はじめてのAI導入公開日

AI導入にはどのくらいの期間がかかる?——相談から本番稼働までのスケジュールの目安と、早く進めるための準備

結論

AI導入にかかる期間は、1つの業務に絞れば、構築に早くて2週間程度、一般的な規模の業務で1か月程度が目安で、複雑な仕組みや複数の業務にまたがる場合は個別に相談して決めます。期間を左右するのはAIを作る作業そのものよりも、業務の整理と、資料・サンプルの準備、社内の確認の速さです。対象業務を1つに絞り、資料と担当者を先にそろえておけば、最短2週間ほどで本番稼働まで進められます。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、AI導入にかかる期間と、相談から本番稼働までのスケジュールの目安、期間を短くするための社内の準備について解説します。「AIを入れたいが、どのくらいの期間がかかるのか見当がつかない」「繁忙期の前に間に合わせたいが、何か月も前から動く必要があるのか」。AI導入を考え始めた経営者の方から、よくいただく質問です。システム開発と聞くと半年や1年といった長い期間を想像しがちですが、AIの仕組みは対象を絞れば、それよりずっと短い期間で動かし始められることがあります。一方で、準備が足りないと、作る作業より待ち時間のほうが長くなってしまうこともあります。この記事では、相談から本番稼働までの期間の目安、工程ごとのスケジュール、期間が延びる原因と対策、そして社内で先に準備しておくとよいことを、当社がAI社員を構築するときの進め方をもとに説明します。

構築期間の目安は、業務の範囲と複雑さに応じて2週間程度〜1か月程度

AI導入の期間は、「どの業務を、どこまでAIに任せるか」で大きく変わります。当社のAI社員の場合、業務の範囲や仕組みの複雑さに応じて、構築期間の目安を次の3つに分けています。

区分構築期間の目安イメージ
ジュニア2週間程度任せる業務の範囲がはっきりしていて、仕組みが比較的シンプルなもの
ミドル1か月程度扱う資料や判断のパターンが多い、ほかの道具とのつなぎ込みがあるなど、ひと手間かかるもの
シニア応相談複数の業務にまたがる、仕組みが複雑になるなど、内容を伺ってから期間を決めるもの

どの区分になるかは、ヒアリングで業務の内容を伺ってから一緒に決めます。同じ「問い合わせへの返信」でも、よくある質問に答えるだけなのか、在庫や予約の状況を確かめて答えるのかで、仕組みの複雑さは変わるためです。

「構築期間」と「相談から本番まで」は少し違う

ここでいう構築期間は、業務の整理が終わってから、AIの仕組みを作り、試しに動かして調整するまでの期間です。実際には、その前にヒアリングや業務の整理、社内での検討があり、本番稼働の後には改善が続きます。準備が整っていれば最短2週間ほどで稼働できますが、社内の検討や準備にかかる時間は会社ごとに違います。

ポイント

期間を見積もるときは、AIを作る時間だけでなく、「社内で決める時間」と「資料を集める時間」を足して考えるのが現実的です。この2つは、会社側の準備しだいで大きく短くできます。

相談から本番稼働・改善までの6つの工程とスケジュール

AI導入は、おおむね次の6つの工程で進みます。それぞれの工程で何をするのか、会社側にお願いすることは何かを、表にまとめました。期間は業務の内容によって前後します。

工程主にすること会社側にお願いすること期間の考え方
1. ヒアリング困っている業務、今のやり方、使っている道具を伺う業務を一番よく知る担当者の同席打ち合わせ1〜2回が目安
2. 業務整理AIに任せる範囲と人が判断する範囲を決め、手順を書き出す実際の書類・メールなどのサンプル、例外のルールの共有サンプルがそろう速さで変わる
3. 構築AIの仕組みを作り、今の道具とつなぐ使っている道具の設定や権限の用意ジュニア2週間程度・ミドル1か月程度・シニア応相談(試運転の調整を含む)
4. 試運転実際の業務の一部で動かし、結果を人が確かめて調整する担当者による確認と、気づいた点のフィードバック確認と返事が早いほど短くなる
5. 本番稼働対象の業務をAIに任せ始める社内への周知、使い方の共有切り替えの日を決めて始める
6. 改善使いながら、答えの質や手順を見直す困りごとや新しい要望の連絡本番後もずっと続く

ジュニアの場合の進み方のイメージ

任せる業務がはっきりしているジュニアの場合、たとえば次のような流れで進みます。あくまで一例で、業務によって前後します。

  1. 最初の数日:ヒアリングと業務整理。任せる範囲を決め、書類やメールのサンプルを受け取る
  2. 1週目:AIの仕組みを作り、サンプルで動きを確かめる
  3. 2週目:実際の業務の一部で試運転し、担当者の確認をもとに調整する
  4. 2週間ほどで:本番稼働。以降は使いながら改善を続ける

見ていただくとわかるとおり、工程のあちこちに「会社側にお願いすること」があります。サンプルの共有や試運転の確認がすぐに返ってくるほど、全体の期間は短くなります。

なお、試運転の範囲の決め方や効果の測り方は「AI導入の試運転(パイロット)はどう進めるか」、試運転の終わりに本導入を決める基準は「パイロット期間とは?」の記事でくわしく説明しています。

期間が延びる原因の多くは、作る作業ではなく「待ち時間」

AI導入の期間が予定より延びるとき、原因はAIを作る技術的な難しさよりも、社内の準備や確認の待ち時間にあることがほとんどです。よくある原因と対策を表にまとめました。

延びる原因起きること対策
対象業務が決まらない「あれもこれも」と候補が増え、業務整理が終わらない最初は1業務に絞り、ほかは本番稼働の後に広げる
資料・サンプルが集まらない実物の書類やメールがないため、仕組みを作り始められないヒアリングの前に、実際の書類やメールを数十件ほど集めておく
例外のルールが人の頭の中にしかない試運転で「この場合は違う」が次々に出て、作り直しが続くベテランの担当者に、例外や判断の基準を先に書き出してもらう
確認する人が忙しい試運転の結果の確認が1週間止まり、調整が進まない確認の担当者と、確認にあてる時間をあらかじめ決めておく
途中で範囲が広がる「ついでにこれも」と追加が続き、本番がいつまでも始まらない追加の要望は記録しておき、本番稼働の後の改善で対応する
道具の権限や設定がわからない今使っている道具の管理者や設定の方法がわからず、つなぎ込みが止まる使っている道具の一覧と、管理者・契約者を先に確認しておく
社内の承認に時間がかかる情報の扱いについての社内確認や決裁を待つ決める人にヒアリングから同席してもらい、確認すべき点を早めに洗い出す

「完璧になってから本番」にしない

もう1つ、期間を延ばしがちなのが「すべての例外に対応できてから本番にしたい」という考え方です。業務には、年に1回しか起きないような例外もあります。それらにすべて対応してから始めようとすると、いつまでも本番が始まりません。

よくあるケースはAIに任せ、まれなケースや判断が分かれるものは人へ回す、という形で本番を始め、使いながら任せる範囲を広げていくほうが、結果として早く効果が出ます。

相談の前に社内で準備しておくと、期間を短くできること

相談の前に次の準備をしておくと、ヒアリングと業務整理が早く進み、構築にすぐ入れます。すべてがそろっていなくても相談はできますが、そろっているものが多いほど、全体の期間は短くなります。

AI導入の前に社内で準備しておくことのチェックリスト

  • AIに任せたい業務を1つ決めている(迷う場合は候補を3つまでに絞っている)
  • その業務に、月にどのくらいの時間がかかっているかをおおまかに把握している
  • 実際の書類・メール・入力画面などのサンプルを集めている(個人の情報は伏せてよい)
  • 今の手順を、誰が・何を見て・何をするか、の順に書き出している
  • 例外の扱いや判断の基準を、担当者に書き出してもらっている
  • その業務で使っている道具(メール、表計算、業務システムなど)と、その管理者がわかっている
  • 導入を進める社内の窓口となる担当者を決めている
  • 試運転の結果を確認する担当者と、確認にあてる時間を確保している
  • 導入を最終的に決める人(社長・役員など)が打ち合わせに同席できる
  • 「いつまでに動かしたいか」の希望の時期が決まっている

このうち、特に効果が大きいのはサンプルの準備と確認する担当者の確保です。サンプルがあれば業務整理の多くを一度の打ち合わせで終えられ、確認の担当者がすぐ返事をくれれば試運転の調整が止まりません。

希望の時期から逆算する

繁忙期の前や、担当者の退職・休職の前など、「この時期までに動かしたい」という希望がある場合は、その時期から逆算して相談を始めましょう。ジュニアなら2週間程度、ミドルなら1か月程度の構築期間に、社内の検討とサンプル集めの時間を足し、さらに試運転で調整する余裕を見ておくと安心です。どの業務から手をつけるか自体に迷っている場合は、「AIに任せる業務の洗い出し方」の記事も参考にしてください。

相談の時点で決まっていなくてもよいこと

反対に、次のようなことは相談の時点で決まっていなくてもかまいません。無理に決めようとして相談が遅れるほうが、全体の期間は延びてしまいます。

  • どのAIのサービスを使うか:業務の内容や扱う情報に合わせて、ヒアリングの後に一緒に決めます
  • どんな画面や仕組みにするか:今使っている道具に合わせて提案します。新しい道具を覚えてもらう必要が少ない形を優先します
  • 例外のすべての扱い:よくあるケースの扱いがわかれば始められます。まれな例外は、試運転や本番の中で人へ回しながら決めていけます
  • 社内の手順書がきれいにまとまっていること:手書きのメモや、担当者への聞き取りからでも業務整理はできます

大切なのは、完璧な資料をそろえることではなく、「実物のサンプル」と「業務をよく知る人」がそろっていることです。この2つがあれば、足りない部分はヒアリングと業務整理の中で埋めていけます。

早く本番を迎えるコツは「1業務に絞って始め、改善で広げる」こと

ここまでの内容をまとめると、AI導入を早く進めるコツは次の4つです。

  1. 1業務に絞って始める:最初から複数の業務を同時に進めると、業務整理も確認も倍になります。まず1つを本番稼働させ、効果を確かめてから次の業務に広げます
  2. 実物のサンプルを先に集める:説明を聞くより、実際の書類やメールを見るほうが、ずっと早く正確に仕組みを作れます
  3. 決める人と確認する人を最初から入れる:決める人が同席していれば社内の承認待ちが減り、確認する人の時間が確保されていれば試運転が止まりません
  4. 本番稼働を「完成」ではなく「スタート」と考える:よくあるケースから任せ、まれなケースは人へ回し、使いながら範囲を広げます

本番稼働の後の改善も、スケジュールに入れておく

AIの仕組みは、本番で使い始めてからのほうが改善点がよく見つかります。実際の業務で「この言い回しは直したい」「この書類にも対応してほしい」といった要望が出てくるのは自然なことです。導入のスケジュールを考えるときは、本番稼働の後も見直しを続けることを前提にしておくと、最初の段階で欲張らずに済み、結果として早く本番を迎えられます。

当社のAI社員は、料金を初期費用+月5万円(税別、AI利用料は実費)とし、月額の中で保守・相談・メンテナンスに回数の制限なく対応しています。そのため、本番稼働の後に出てきた要望も、追加の見積もりを待たずに改善を続けられます。初期費用はヒアリング後にお見積もりします。介護(職員50名規模)の事務担当の方の毎月のシフト作成が2日から半日になったように、まず1つの業務を確実に軽くするところから始めるのがおすすめです。「この業務なら、どのくらいの期間で動かせそうか」を知りたい段階でも、お気軽にご相談ください。

よくある質問

AI導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

1つの業務に絞れば、構築期間は早くて2週間程度、一般的な規模の業務で1か月程度が目安です。複数の業務にまたがるものや仕組みが複雑なものは、内容を伺ってから期間を決めます。

AI導入は最短でどのくらいで稼働できますか?

任せる業務がはっきりしていて、書類やメールのサンプルと確認の担当者が早くそろえば、最短2週間ほどで本番稼働できます。社内の検討やサンプル集めに時間がかかると、そのぶん全体の期間は延びます。

AI導入のスケジュールが延びるのはなぜですか?

多くの場合、AIを作る作業ではなく、対象業務が決まらない、サンプルが集まらない、試運転の確認が止まる、途中で範囲が広がるといった社内の待ち時間が原因です。1業務に絞り、資料と担当者を先にそろえることで防げます。

繁忙期までにAIを導入したい場合、いつから相談すればよいですか?

動かしたい時期から逆算し、構築期間の目安(2週間程度〜1か月程度)に、社内の検討とサンプル集め、試運転での調整の余裕を足した時期より前に相談を始めるのがおすすめです。早めにご相談いただければ、業務の内容から期間の目安をお伝えできます。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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