はじめてのAI導入公開日

中小企業のAI導入は何から始めるべきか——最初の1業務の選び方と5つのステップ

結論

中小企業のAI導入は、ツールを選ぶ前に「毎日・毎週くり返していて、手順がある程度決まっている手作業」を1つ選ぶことから始めるのが近道です。最初の1業務で効果を確かめてから対象を広げると、失敗の負担を小さくしながら社内に定着させられます。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、中小企業のAI導入は何から始めるべきかについて解説します。「AIで何かしたいが、何から手をつければよいかわからない」という相談は、当社がこれまで伺ってきた約90社のご相談でも最も多いものの一つです。この記事では、最初に取り組む業務の選び方と、導入までの具体的なステップを説明します。

AI導入でつまずく会社に共通すること

AI導入がうまく進まない会社には、いくつか共通点があります。

  • ツールから選んでしまう:話題のツールを契約したものの、自社の業務の流れに合わず、結局使われなくなる
  • 対象が広すぎる:「全社の業務をAI化する」と大きく構えて、どこから手をつけるか決まらない
  • 作れる人・直せる人がいない:最初は動いても、止まったときや仕様が変わったときに直せず、使われなくなる

逆にいえば、「業務から選ぶ」「小さく始める」「直せる体制をつくる」の3つを押さえれば、AI導入はぐっと進めやすくなります。

最初の1業務の選び方

最初に取り組む業務は、次の条件に当てはまるものを選ぶと効果が出やすくなります。

最初の1業務のチェックリスト

  • 毎日または毎週くり返し発生している
  • 手順がある程度決まっていて、人に説明できる
  • 担当者が限られていて、休むと止まる
  • 手作業によるミスや手戻りが起きている
  • 作業の結果を人が確認できる(間違いに気づける)

たとえば、FAXやPDFで届く受注書の入力、問い合わせへの返信の下書き、毎月のシフト作成、見積書や報告書の下書きなどは、多くの会社で条件に当てはまります。

ポイント

最初から「判断が難しい仕事」を選ばないことが大切です。AIに下書きや整理を任せ、最終判断を人が行う業務から始めると、安全に効果を確かめられます。

導入までの5つのステップ

  1. 業務の洗い出し:毎日・毎週の手作業を書き出し、かかっている時間を大まかに把握する
  2. 最初の1業務を決める:上のチェックリストで、効果が出やすく安全な業務を1つ選ぶ
  3. 今の流れを確認する:使っているツール(メール、シート、販売管理など)と、作業の手順を整理する
  4. 仕組みをつくって試運転する:実際の業務で動かし、仕上がりを確認しながら調整する
  5. 本稼働し、効果を測る:作業時間やミスの数が導入前と比べてどう変わったかを確認し、次の業務に広げる

1つの業務を自動化する場合、仕組みづくりの期間は2週間程度が一つの目安です。最初の業務で効果がわかると、社内の理解も得やすくなります。

社内にAIに詳しい人がいない場合の進め方

中小企業では、社内にAIやシステムに詳しい人がいないことがほとんどです。その場合、選択肢は大きく3つあります。

方法向いているケース注意点
既製のAIツールを使う業務の流れがツールにそのまま合う自社の流れに合わない部分は手作業が残る
システム開発会社に依頼する大規模で、長く使う専用システムが必要費用と期間がかかりやすい。導入後の修正が別料金になりやすい
業務に合わせた仕組みを外部につくってもらい、保守まで任せる小さく始めて、直しながら使い続けたい依頼先が導入後の相談や修正に対応してくれるかを確認する

どの方法でも、導入後に誰が直すのかを最初に決めておくことが重要です。AIの仕組みは、業務の変化や連携ツールの仕様変更にあわせて調整が必要になるためです。

最初に決めておきたい社内ルール

AIを業務で使い始める前に、最低限次のルールを決めておくと安心です。

  • AIに入力してよい情報と、入力してはいけない情報
  • 入力したデータがAIの学習に使われないサービスや設定を使うこと
  • AIの出力は、送信や確定の前に人が確認すること
  • 困ったとき・止まったときの連絡先

ルールは最初から完璧である必要はありません。最初の1業務を進めながら、実際に困ったことをもとに足していくほうが、現場に合ったルールになります。

よくある質問

AI導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

対象の業務や連携するツールの数によって変わります。1つの業務から小さく始めれば、システム開発会社に専用システムを依頼する場合より費用と期間を抑えやすくなります。まずは任せたい業務を整理し、見積もりを取って比較することをおすすめします。

社員がAIを使いこなせるか不安です。

最初は、社員がAIを操作するのではなく、AIが作った下書きや入力結果を社員が確認する形にすると、使いこなす負担は小さくなります。慣れてきたら、社員向けの研修と組み合わせる方法もあります。

どの業務からAI化すればよいかわかりません。

毎日・毎週くり返していて、手順がある程度決まっている手作業から選ぶのがおすすめです。受注書の入力、問い合わせ返信の下書き、シフト作成などが代表例です。

小さな会社でもAI導入の効果はありますか?

あります。人数が少ない会社ほど、1人の担当者に業務が集中しやすく、その業務をAIに任せたときの効果が大きくなります。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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