オプトアウトとは?——AIに「入力した内容を学習に使わないで」と伝える設定のこと
結論
オプトアウトとは、「わたしのデータはその用途に使わないでください」と自分から申し出て、対象から外してもらうことです。AIサービスでは、入力した文章やファイルをAIの学習(AIを賢くするための材料)に使わせないようにする設定や申し出を指します。社内の情報をAIに入力するなら、使い始める前にこの設定がどうなっているかを確かめておくことが大切です。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、オプトアウト(学習に使わせない設定)の意味と、AIサービスで設定する流れ、オプトインとの違い、社内でAIを使うときに確認しておきたいことについて解説します。社内でAIを使い始めようとすると、「入力した内容はAIの学習に使われるの?」「オプトアウトしておけば大丈夫です」といった話を耳にすることがあります。言葉は聞いたことがあるけれど、何をどう設定すればよいのか、設定すれば何が安心なのか、よくわからない。そう感じている経営者や管理職の方も多いのではないでしょうか。この記事では、オプトアウトとは何かを、たとえ話を使ってできるだけやさしく説明します。あわせて、AIサービスで設定するときの流れ、この言葉が出てくる場面、よく一緒に出てくる言葉、仕事で確認しておきたいことをまとめます。
ひとことで言うと:オプトアウトは「わたしは外してください」と申し出ること
オプトアウト(英語で opt-out)とは、ある仕組みの対象に最初から入っている状態で、本人が「わたしは外してください」と申し出て、対象から抜けることです。opt は「選ぶ」、out は「外へ」という意味で、合わせて「抜けることを選ぶ」という意味になります。
AIサービスの場合は、入力した文章やファイルを、AIの学習(AIを賢くするための材料集め)に使わないでほしいと伝える設定のことを指すのが一般的です。
学校のアンケートにたとえると
学校で「集めた作文を、来年の授業の見本として使います。使ってほしくない人は先生に言ってください」というお知らせが配られたとします。何も言わなければ、作文は見本として使われます。「わたしの作文は使わないでください」と先生に伝えた人だけが、見本から外されます。この「言わなければ使われる。言えば外される」という形がオプトアウトです。
AIサービスも同じです。サービスによっては、何も設定しなければ、入力した内容がAIを良くするための材料として使われる場合があります。設定画面で「学習に使わない」を選んだり、申し込みをしたりすると、その材料から外してもらえます。
| 学校のたとえ | AIサービスの世界 |
|---|---|
| 提出した作文 | AIに入力した文章・ファイル・質問 |
| 来年の授業の見本にする | AIの学習(性能を上げる材料)に使う |
| 「使わないで」と先生に言う | 設定画面でオフにする・申し込みをする(オプトアウト) |
| 言わなかった人の作文 | 初期設定のまま、学習に使われる場合がある |
ポイント
オプトアウトは「何もしなければ対象に入っている」ときに使う言葉です。だからこそ、自分から設定や申し出をしないと外れない、という点に注意が必要です。
もう少しくわしく:AIサービスでオプトアウトするまでの4ステップ
AIサービスで、入力した内容を学習に使わせないようにする流れは、おおむね次の4つのステップです。画面の名前や場所はサービスごとに違い、変わることもあるため、実際の手順は各サービスの公式情報で確認してください。
- 今の扱いを確かめる:利用規約やプライバシーポリシー(個人情報や入力データの扱いを書いた文書)で、入力した内容が学習に使われるかどうかを読みます
- 設定画面を探す:アカウントの「設定」や「データの管理」といった画面に、「モデルの改善に使う」などの切り替えがあることが多いです
- オフにする・申し出る:切り替えをオフにします。サービスによっては、専用の申し込みフォームから申し出る形のこともあります
- 社内でそろえる:一人だけ設定しても、ほかの社員が初期設定のまま使っていれば意味が薄れます。全員の設定をそろえるか、会社でまとめて管理できる法人向けのプランを選びます
オプトアウトしても「すべてが消える」わけではない
オプトアウトは「学習に使わない」という約束であって、「データをまったく保存しない」という意味とは限りません。たとえば、不正な使い方がないかを確かめるために、一定の期間だけ保存されることがあります。どのくらいの期間、何のために保存されるかもサービスごとに違うため、あわせて確認しておくと安心です。
| 確認すること | なぜ大事か |
|---|---|
| 学習に使うかどうか | オプトアウトの対象そのもの |
| 保存される期間 | 学習に使わなくても、一定期間保存される場合がある |
| 設定の単位 | 一人ずつ設定するのか、会社でまとめて設定できるのか |
| 過去の入力の扱い | 設定する前に入力した内容がどう扱われるか |
どんなときに出てくる?——AIを使う場面と、個人情報・メールの場面
AIを使う場面
対話型のAI(ChatGPTなど)を社内で使い始めるとき、情報システムの担当者や委託先から次のような言い回しを聞くことがあります。
- 「個人向けのプランは、設定でオプトアウトしておいてください」
- 「法人向けのプランは、もともと学習に使わない約束になっています」
- 「APIで使う場合の扱いは、画面で使う場合と違うことがあります」
API(エーピーアイ:ソフト同士がデータをやり取りするための窓口)を通じてAIを使う場合と、画面からAIを使う場合とで、入力データの扱いが分かれているサービスもあります。どの使い方で、どの約束になっているのかを確かめることが大切です。
AIを作る場面
委託先に社内向けのAIの仕組みを作ってもらうときは、「この仕組みに入力した社内の文書は、AIの会社の学習に使われますか」と確認する場面で出てきます。答えが「使われない契約・設定になっています」であれば、オプトアウトの状態か、最初から学習に使わない約束のサービスを使っている、ということです。
AI以外の場面
オプトアウトはAI専用の言葉ではありません。お店のメールマガジンの「配信停止」も、オプトアウトの一つです。また、個人情報の取り扱いの分野でも「オプトアウト」という言葉が使われ、本人が申し出れば第三者への提供を止める仕組みなどを指すことがあります。法律上のオプトアウトには細かい条件や手続きが定められている場合があるため、該当しそうなときは、最新の情報を個人情報保護委員会などの公式情報で確認してください。
よく一緒に出てくる言葉——オプトイン・学習・利用規約など
オプトアウトの話をしていると、次のような言葉もよく出てきます。ここでは名前と関係だけを押さえておきましょう。
| 用語 | ひとこと説明 | オプトアウトとの関係 |
|---|---|---|
| オプトイン | 本人が「参加します」と申し出て、はじめて対象に入る仕組み | オプトアウトの反対。何もしなければ対象に入らない |
| 学習(トレーニング) | たくさんのデータを読ませて、AIの答え方を良くすること | オプトアウトで外してもらう「使い道」がこれ |
| 利用規約・プライバシーポリシー | サービスの約束ごとや、データの扱いを書いた文書 | 学習に使うか、オプトアウトできるかが書かれている |
| 法人向けプラン | 会社で契約して、社員の利用をまとめて管理できるプラン | 最初から学習に使わない約束になっていることが多い |
| 個人情報 | 名前や住所など、特定の人がわかる情報 | AIに入れる前に、そもそも入力してよいかを決める必要がある |
なお、AIの世界では「オプトアウトしたうえで、それでも機密の情報は入れない」という二重の守り方がよく勧められます。
仕事ではどう関係する?——社内でAIを使う前に確認すること
中小企業でオプトアウトが関わるのは、主に「社員がそれぞれAIを使い始めたとき」と「委託先にAIの仕組みを作ってもらうとき」です。見積書の文面、取引先とのメール、社内の会議メモなどをAIに入れる前に、その内容がどう扱われるかを決めておかないと、気づかないうちに初期設定のまま使われている、ということが起こりえます。
オプトアウトの設定は、それだけで情報を守り切れるものではありません。「どの情報なら入れてよいか」という社内のルールと組み合わせて考えることが大切です。社内データを学習に使わせないための考え方は、社内データをAIの学習に使わせないには?でくわしく解説しています。
AIを社内で使う前のチェックリスト
- 社員が使っているAIサービスと、そのプラン(個人向けか法人向けか)を把握しているか
- 各サービスで、入力した内容が学習に使われるかどうかを確認したか
- オプトアウトが必要なサービスでは、全員の設定がそろっているか
- 学習に使わなくても、どのくらいの期間保存されるかを確認したか
- 個人情報や取引先の情報を入れてよいかを、社内のルールとして決めたか
- 委託先に作ってもらう仕組みで、データがどこに送られ、どう扱われるかを説明してもらったか
つまり大切なのは、オプトアウトという言葉を覚えることより、どの業務のどの手間をなくしたいかと、そのためにどの情報をAIに渡すかを先に決めることです。渡す情報が決まれば、必要な設定や約束も自然に決まります。
当社の「AI社員」は、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みを作り、運用まで支える月額のサービスです。仕組みを作るときには、どのデータをどのAIサービスに送り、学習に使われない設定や契約になっているかを確認したうえで進めます。料金は初期費用+月5万円で、保守・相談・メンテナンスは回数の制限なくご利用いただけます。初期費用は業務の内容をお聞きしたうえでお見積もりします。なお、AIの利用料は実費となります。「この業務にAIを使っても情報は大丈夫か」と迷われたら、なくしたい作業と扱う情報を教えていただければ、一緒に確かめることができます。
よくある質問
オプトアウトとは簡単に言うと何ですか?
何もしなければ対象に入っている仕組みから、本人が「外してください」と申し出て抜けることです。AIサービスでは、入力した内容をAIの学習に使わせない設定を指すのが一般的です。
オプトアウトとオプトインの違いは何ですか?
オプトアウトは「何もしなければ対象に入っていて、申し出ると外れる」仕組みです。オプトインはその反対で、「何もしなければ対象に入らず、申し出るとはじめて入る」仕組みです。
オプトアウトすれば、AIに何を入力しても安全ですか?
安全とは言い切れません。オプトアウトは学習に使わないという約束で、一定期間保存される場合や、入力ミスで社外に出してはいけない情報を送ってしまう危険は残ります。機密情報や個人情報を入れてよいかは、社内のルールで別に決めておくことが大切です。
オプトアウトの設定にお金はかかりますか?
設定画面で切り替えるだけなら、多くの場合は追加の費用なくできます。ただし、会社でまとめて管理できる法人向けのプランは有料のことが多く、サービスごとに条件も変わるため、最新の情報は公式サイトで確認してください。