SaaS(サース)とは?——インターネットごしに借りて使うソフトのこと
結論
SaaS(サース)とは、ソフトを自分のパソコンに入れて持つのではなく、インターネットにつないで、月額などの料金で借りて使う仕組みのことです。正式には「Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」といい、ブラウザ(インターネットを見るためのソフト)を開いてログインすれば、どのパソコンやスマートフォンからでも同じデータを使えます。会計ソフト、勤怠管理、チャット、メール、そして多くのAIのサービスも、このSaaSの形で提供されています。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、SaaS(サース)の意味と仕組み、買い切りソフトとの違い、よく出てくる場面と関連用語、仕事でSaaSとAIを組み合わせるときに知っておきたいことについて解説します。ソフトやシステムの話をしていると、「それはSaaSですか」「SaaS型の勤怠管理に切り替えました」といった言葉を耳にすることがあります。なんとなく「ネットで使うソフト」のことだと感じていても、買い切りのソフトと何が違うのか、なぜ毎月お金がかかるのか、はっきりしないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、SaaSとは何かを身近なたとえ話で説明し、仕組み、よく出てくる場面、一緒に出てくる言葉、仕事でAIと組み合わせるときに知っておきたいことを順にまとめます。システム開発会社・既製のAIツール・業務に合わせたAIの選び方は別の記事で解説しているため、この記事では言葉の意味を中心に扱います。
ひとことで言うと:SaaSとは、ソフトを「買う」のではなく「借りて使う」仕組み
SaaS(サース)とは、ソフトを自分のパソコンに入れずに、インターネットごしに借りて使う仕組みのことです。英語の「Software as a Service」の頭文字で、日本語にすると「サービスとして提供されるソフト」という意味になります。
本の「購入」と「図書館」にたとえると
本を手に入れる方法は2つあります。1つは書店で買うこと。買った本は自分のものなので、いつでも読めますが、新しい版が出たらまた買い直す必要があります。もう1つは図書館を使うことです。本は図書館のものですが、カードがあれば読めますし、新しい本は図書館がそろえてくれます。
昔のソフトは「書店で買う本」に近く、CDやダウンロードで自分のパソコンに入れて使っていました。SaaSは「図書館」に近く、ソフトは提供会社のコンピューター(サーバー)に置かれたままで、利用者はインターネットを通して使わせてもらいます。図書館カードにあたるのが、IDとパスワードによるログインです。
| たとえ | SaaSの世界 |
|---|---|
| 図書館 | SaaSの提供会社のサーバー(ソフトとデータが置かれているコンピューター) |
| 図書館カード | IDとパスワード(ログイン) |
| 年会費 | 月額や年額の利用料(サブスクリプション) |
| 新しい本の入荷 | 提供会社による機能の追加や更新 |
ポイント
SaaSは「ソフトそのもの」の名前ではなく、「ソフトの届け方・使い方の形」を表す言葉です。会計ソフトにもチャットにもAIにも、SaaSの形のものがあります。
もう少しくわしく:買い切りソフトとの違いを表で比べる
SaaSを使うときの流れは、おおむね次のとおりです。
- 提供会社のサイトで申し込み、会社や利用者のアカウント(利用者として登録された情報)を作る
- ブラウザやスマートフォンのアプリからログインする
- 入力したデータは、自分のパソコンではなく提供会社のサーバーに保存される
- 機能の追加や不具合の修正は、提供会社が自動で行う
- 使っている間は、月額や年額の料金を払い続ける。やめればログインできなくなる
自分のパソコンに入れて使うソフトは「インストール型」や「パッケージソフト」と呼ばれます。両者の違いを整理すると次のようになります。
| 比べる点 | SaaS(借りて使う) | インストール型(買って入れる) |
|---|---|---|
| 使う場所 | インターネットがあれば、どのパソコンやスマートフォンからでも | ソフトを入れたパソコンだけ |
| 料金の払い方 | 月額・年額で払い続けることが多い | 最初にまとめて払うことが多い |
| 更新 | 提供会社が自動で行う | 自分で更新する、または買い直す |
| データの置き場所 | 提供会社のサーバー | 自分のパソコンや社内のサーバー |
| 自社に合わせた作り変え | 用意された設定の範囲まで | 製品によっては比較的自由 |
どちらが良い・悪いではなく、向き不向きがあります。SaaSは始めやすく、複数の人や場所で同じデータを使うのが得意です。一方で、インターネットにつながらないと使えない、提供会社の都合で機能や料金が変わることがある、といった面もあります。
どんなときに出てくる?:ツール選び・AIの利用・システム連携の場面
AIを使う場面
文章を作るAIや、会話で質問に答えるAIの多くは、SaaSの形で提供されています。ブラウザでサービスのページを開き、ログインして使う形です。「無料プラン」「月額の有料プラン」「法人向けプラン」と分かれていることが多く、プランによって使える機能や、入力したデータの扱いが変わることがあります。料金や条件は変わることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。
AIを組みこむ・作る場面
会社でAIを業務に組みこむときは、「今使っているSaaSとAIをどうつなぐか」がよく話題になります。たとえば次のような言い回しです。
- 「勤怠はSaaSなので、APIで打刻データを取れるか確認しましょう」
- 「このSaaSはCSVの書き出しができるので、まずはそこから始めましょう」
- 「SaaSのプランを上げないと、外部との連携機能が使えないようです」
このように、SaaSは単独で使うだけでなく、ほかのソフトやAIとデータをやり取りする「つなぎ先」として出てくることも多い言葉です。
よく一緒に出てくる言葉:クラウド・サブスク・API・オンプレミス
SaaSと一緒に出てくる言葉を、ひとことずつ整理します。くわしい説明はそれぞれ別の記事で扱います。
| 用語 | ひとこと説明 | SaaSとの関係 |
|---|---|---|
| クラウド | インターネットの向こう側にあるコンピューターを使う形のこと | SaaSはクラウドの使い方の1つ。クラウドのほうが広い言葉 |
| サブスクリプション(サブスク) | 使っている期間に応じて定額で払う料金の形 | SaaSの多くはこの払い方を取る |
| オンプレミス | ソフトやサーバーを自社の中に置いて使う形 | SaaSと反対の考え方として比べられる |
| API(エーピーアイ) | ソフト同士がデータをやり取りするための決まった窓口 | SaaSとAIや別のソフトをつなぐときに使う |
| アカウント | サービスの利用者として登録された情報(IDなど) | SaaSは利用者ごとのアカウントで使い、人数で料金が変わることも多い |
なお、SaaSに似た言葉に「PaaS(パース)」や「IaaS(イアースまたはアイアース)」があります。これらはソフトではなく、ソフトを作るための土台やコンピューターそのものを借りる形を指します。会社でソフトを使う立場であれば、まずSaaSだけ覚えておけば十分です。
仕事ではどう関係する?:SaaSとAIを組み合わせる前に確認すること
中小企業でも、会計、給与、勤怠、顧客管理、チャットなど、気づけば複数のSaaSを使っていることが珍しくありません。便利な反面、「SaaSごとにデータがばらばらで、結局、人が写し替えている」という悩みもよく聞きます。AIをうまく使うと、こうしたSaaS同士の間にある手作業を減らせる場合があります。
SaaSを使うときの注意点
- 入力したデータの扱い:データは提供会社のサーバーに置かれます。個人情報や社外秘を入れる前に、利用規約やデータの扱いの説明を確認します。
- 料金や機能の変更:提供会社の判断で、プランの内容や料金が変わることがあります。
- やめるときのデータ:解約するとデータが見られなくなることがあるため、書き出し方法を先に確かめておきます。
- 利用者の管理:退職者のアカウントを止め忘れると、社外から社内のデータを見られるおそれがあります。
SaaSとAIを組み合わせる前のチェックリスト
- 社内で使っているSaaSの名前と、契約しているプランを一覧にしたか
- それぞれのSaaSに、APIやCSVの書き出し・取り込みの機能があるか
- AIに読ませたいデータに、個人情報や社外秘が含まれるか
- アカウントの追加・削除を担当する人が決まっているか
- SaaSとSaaSの間で、人が写し替えている作業はどれか
当社の「AI社員」は、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みを作り、お使いのSaaSとつないで運用まで支える月額のサービスです。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。大切なのはSaaSという言葉を覚えることより、どの業務のどの手間をなくしたいかです。「このSaaSの数字を毎月あのSaaSに打ち直している」といった作業があれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
SaaSとクラウドの違いは?
クラウドは、インターネットの向こう側にあるコンピューターを使う形全体を指す広い言葉です。SaaSはその中で、完成したソフトを借りて使う形のことを指します。
SaaSを使うのにお金はかかる?
多くは月額や年額の利用料がかかり、利用者の人数や使える機能によって料金が変わります。無料プランがあるサービスもありますが、料金や条件は変わることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。
SaaSに会社のデータを入れても大丈夫?
提供会社によってデータの守り方や扱いの決まりが違います。個人情報や社外秘を入れる前に、利用規約、データの保存場所、アクセスできる人の管理方法を確認し、社内ルールを決めておくと安心です。
ChatGPTのようなAIもSaaSですか?
ブラウザやアプリからログインして、月額などの料金で使う形のAIサービスは、SaaSの一種と考えてよいでしょう。同じサービスでも、ほかのソフトに組みこむためのAPIという別の使い方が用意されていることもあります。