RPA(アールピーエー)とは?——パソコンの決まった操作を、ソフトが代わりにくり返す仕組み
結論
RPA(アールピーエー)とは、人がパソコンで毎回同じように行っている操作(クリック、文字の入力、コピーと貼り付けなど)を覚えさせて、ソフトに代わりにくり返させる仕組みのことです。正式には「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」といい、日本語では「ソフトのロボットによる業務の自動化」といった意味になります。手順が毎回同じ作業は得意ですが、手順を覚えたとおりにしか動けないため、画面が変わったり、その場の判断が必要になったりすると止まりやすい点が特徴です。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、RPA(アールピーエー)の意味と仕組み、得意な作業と苦手な作業、よく出てくる場面と関連用語、仕事でRPAという言葉に出会ったときに知っておきたいことについて解説します。業務の効率化を調べていると、「RPAで入力を自動化しました」「うちはRPAを入れています」といった言葉をよく見かけます。ロボットという言葉が入っているので、工場の機械のようなものを想像する方もいますが、RPAのロボットは目に見える機械ではありません。この記事では、RPAとは何かを身近なたとえ話で説明し、どう動くのか、どんな場面で出てくるのか、一緒に出てくる言葉、仕事で知っておきたい注意点を順にまとめます。RPAとAIをどう使い分けるかは別の記事でくわしく解説しているので、この記事では言葉の意味を中心に扱います。
ひとことで言うと:RPAとは、パソコン操作の「手順書どおりに動く代役」
RPA(アールピーエー)とは、パソコンでの決まった操作を、ソフトに代わりにくり返させる仕組みのことです。英語の「Robotic Process Automation」の頭文字で、「ロボット」といっても体はなく、パソコンの中で動くソフトです。そのため「ソフトのロボット」「デジタルの作業員」と呼ばれることもあります。
給食当番の手順書にたとえると
学校の給食当番を思い出してください。「手を洗う→白衣を着る→配膳室からワゴンを運ぶ→決まった順番で盛りつける」という手順書があれば、だれが当番でも同じように作業できます。RPAは、この手順書をそのまま守って、何度でも、休まず、同じ速さで作業してくれる当番のようなものです。
ただし、この当番は手順書に書かれていないことはできません。「ワゴンの場所がいつもと違う」「今日は欠席が多いので量を変える」といった変化があると、そこで手が止まってしまいます。RPAも同じで、決まった手順には強く、変化や判断には弱いという性質があります。
| たとえ | RPAの世界 |
|---|---|
| 手順書 | RPAに覚えさせた操作の流れ(シナリオ、ワークフローなどと呼ばれる) |
| 当番の人 | RPAのソフト(ロボット) |
| 配膳室の場所 | 操作するソフトの画面やボタンの位置 |
| いつもと違う状況 | 画面の変更や、想定していない入力(ここで止まりやすい) |
もう少しくわしく:RPAが動く流れと、得意な作業・苦手な作業
RPAを使うときの流れは、おおむね次のとおりです。
- 操作を決める:自動にしたい作業の手順を、人が1つずつ書き出す
- 覚えさせる:RPAのソフトに、どの画面のどこをクリックし、何を入力するかを登録する。人の操作を録画するように記録する方法もある
- 試す:少ない件数で動かし、思ったとおりに動くか確かめる
- 動かす:決まった時刻や、ファイルが届いたときなどに自動で動かす
- 見守る:止まったときに知らせが来るようにし、人が原因を直す
RPAの得意・不得意を整理すると、次のようになります。
| 得意な作業(手順が毎回同じ) | 苦手な作業(変化や判断がある) |
|---|---|
| 表計算ソフトの数字を、別のシステムの決まった欄に入力する | 書き方がばらばらの注文書やメールを読み取る |
| 毎朝、決まったサイトから決まった資料をダウンロードする | 内容を見て、だれに回すかを決める |
| 決まった形式の帳票を印刷・保存する | お客様への返信の文章を考える |
| APIのない古いシステムに、画面からデータを登録する | 画面のデザインやボタンの位置が変わったあとも動き続ける |
ポイント
RPAは「考える」のではなく「覚えた操作をなぞる」仕組みです。AIのように文章の意味を読み取ったり、判断したりするものではありません。
どんなときに出てくる?:事務の効率化やシステム連携の相談の場面
AIを使う・業務を効率化する場面
事務作業の効率化を検討するときに、「その作業はRPAで自動にできますか」「RPAとAIのどちらが向いていますか」という話になることがよくあります。特に、毎日同じ画面で同じ入力をくり返している作業は、RPAの候補として名前が挙がりやすい作業です。
AIを組みこむ・システムをつなぐ場面
AIと社内のシステムをつなぐとき、システムにAPI(ソフト同士がデータをやり取りする決まった窓口)がないことがあります。そのとき「APIがないので、画面操作はRPAで代わりに行いましょう」という言い方で出てきます。よくある言い回しは次のようなものです。
- 「RPAのロボットが止まっていて、今朝のデータが取りこまれていません」
- 「システムの画面が新しくなったので、RPAのシナリオを直す必要があります」
- 「読み取りと判断はAI、決まった画面への入力はRPAに任せましょう」
このように、RPAはAIと比べられるだけでなく、AIと組み合わせて「手足」の役を受け持つ形でも出てきます。
よく一緒に出てくる言葉:シナリオ・マクロ・API・AIエージェント
RPAと一緒に出てくる言葉を、ひとことずつ整理します。くわしい説明はそれぞれ別の記事で扱います。
| 用語 | ひとこと説明 | RPAとの関係 |
|---|---|---|
| シナリオ(ワークフロー) | RPAに覚えさせた操作の手順 | RPAはこの手順どおりに動く。画面が変わると直しが必要になる |
| マクロ | 表計算ソフトなど、1つのソフトの中の操作を自動にする仕組み | RPAは複数のソフトやシステムをまたいで操作できる点が違う |
| API(エーピーアイ) | ソフト同士がデータをやり取りするための決まった窓口 | APIがあればそちらを使い、ないときにRPAで画面を操作することが多い |
| AI(人工知能) | 文章や画像の意味を読み取り、判断や文章作成ができる仕組み | RPAが苦手な「読む・判断する」部分を補う役として組み合わせられる |
| AIエージェント | 目的を伝えると、手順を考えながら作業を進めるAI | 手順を決めて覚えさせるRPAに対し、手順そのものをAIが考える点が違う |
仕事ではどう関係する?:RPAの話が出たときに確認したいこと
中小企業でも、販売管理や会計など、毎日同じ画面に同じように入力する作業は多くあります。RPAはこうした作業を減らす手段の1つです。一方で、RPAを入れたものの、止まるたびに直す人がおらず使わなくなった、という話も聞かれます。RPAという言葉が出てきたら、次の点を知っておくと判断しやすくなります。
RPAを使うときの注意点
- 画面の変更に弱い:操作するシステムの画面が更新されると、ロボットが止まることがあります。
- 直す人が必要:止まったときに、シナリオを直せる人や頼める先を決めておく必要があります。
- 例外に弱い:いつもと違うデータが来ると、間違ったまま入力を続けてしまうことがあります。確認の仕組みを入れておきます。
- パスワードの管理:ロボットがシステムにログインするための情報を、安全に保管する必要があります。
RPAの導入・依頼を考える前のチェックリスト
- 自動にしたい作業の手順を、1つずつ書き出せるか
- その手順は、毎回同じか(人の判断が入るところはないか)
- 操作するシステムにAPIやCSVの書き出し機能はないか(あればそちらが向く場合がある)
- 画面の変更やロボットの停止に対応する担当者がいるか
- 止まったときに、手作業で業務を続ける方法があるか
当社の「AI社員」は、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みを作り、運用まで支える月額のサービスです。読み取りや判断はAIで、決まった画面への入力が必要なところは画面操作の自動化も組み合わせ、止まったときの直しも保守として続けて行います。料金は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。大切なのはRPAという言葉を覚えることより、どの業務のどの手間をなくしたいかです。毎日くり返している入力作業があれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
RPAとAIの違いは?
RPAは覚えた操作を手順どおりにくり返す仕組みで、自分で考えたり判断したりはしません。AIは文章や画像の意味を読み取り、判断や文章作成ができる仕組みで、両者は組み合わせて使われることも多くあります。
RPAとExcelのマクロの違いは?
マクロは主にExcelなど1つのソフトの中の操作を自動にする仕組みです。RPAは、ブラウザ、表計算ソフト、社内のシステムなど、複数のソフトをまたいだ操作を自動にできる点が違います。
RPAは難しい?専門知識がないと使えない?
画面上で操作を記録する方式の製品もあり、簡単な作業なら専門家でなくても作れる場合があります。ただし、止まったときの原因調べや直しには慣れが必要なため、担当者や頼める先を決めておくと安心です。
RPAを使うのにお金はかかる?
多くの製品は利用料がかかり、ロボットの数や機能によって料金が変わります。無料で使えるものもありますが、料金や条件は変わることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。