業務別の自動化公開日

配車の連絡と運転手への通知をAIで効率化するには?——依頼の受付から配車表づくり、通知と確認の返事の管理まで

結論

配車の連絡と運転手への通知は、AIに「依頼の読み取りと一覧化」「配車案の作成」「通知文の作成と送信」「確認の返事が来ない人の洗い出し」を任せ、配車の確定だけを人が行う形にすると効率化できます。メール・電話・LINE・FAXでばらばらに届く依頼を一つの一覧にまとめることが出発点で、ここが整えば通知と確認の管理まで一続きで自動化できます。運転中の運転手に操作させない通知の送り方を決めておくことも欠かせません。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、配車依頼の受付から配車表づくり、運転手(ドライバー)への通知、確認の返事の管理、変更時の再通知までをAIで効率化する方法について解説します。「朝から配車依頼のメールとLINEとFAXを見比べて、配車表に書き写すだけで1時間かかる」「運転手に連絡したのに、見たのかどうかわからない」「急な変更のたびに何人にも電話し直す」。配車担当や運行管理者の方からは、こうした声をよく伺います。配車の仕事は、どの車と運転手を割り当てるかを考える判断そのものより、依頼を集める作業と、決まった内容を伝えて確かめる作業に時間を取られがちです。この記事では、配車の連絡と運転手への通知の流れのうち、AIに任せられる部分と人が決める部分を分け、依頼の受付から配車表づくり、通知、確認の返事の管理、変更時の再通知までを効率化する方法を説明します。物流・運送業全体でのAIの使い方は別の記事にまとめていますので、ここでは配車の連絡と通知の業務に絞ってお伝えします。

配車の連絡に時間がかかるのは「依頼の集約」と「通知の確認」が手作業だから

配車の仕事を流れで見ると、おおむね次の5つの作業に分かれます。

  1. 荷主や取引先からの配車依頼を受け取る
  2. 依頼の内容(日時、集荷先、届け先、荷物の量、車の種類)を配車表に書き写す
  3. どの車と運転手を割り当てるかを決める
  4. 運転手に配車の内容を伝える
  5. 運転手が内容を確認したかを確かめ、変更があれば伝え直す

このうち、配車担当の経験と判断が本当に必要なのは3つ目の割り当てです。ところが実際には、1と2、4と5に多くの時間が使われています。依頼はメール、電話、LINE、FAXとばらばらの手段で届き、書き方も取引先ごとに違うため、一件ずつ読んで配車表に書き写すしかありません。運転手への連絡も、一人ずつ電話をかけたりメッセージを送ったりし、返事が来たかを頭の中や手元のメモで管理していることが多いのではないでしょうか。

ポイント

配車の効率化で最初に狙うべきなのは、割り当ての判断ではなく、その前後にある「集める」「書き写す」「伝える」「確かめる」の4つの手作業です。ここはAIが得意とする作業で、判断を人に残したまま時間を減らせます。

手作業が多いと、時間がかかるだけでなく、書き写し間違いや伝え忘れ、確認漏れも起きやすくなります。届け先の住所を一文字間違えた、変更を一人にだけ伝え忘れた、といった小さな漏れが、遅配や空振りの原因になります。

ばらばらに届く配車依頼は、AIで読み取って一つの一覧にまとめる

AIの仕組みを使うと、メール、LINE、FAX(スキャンした画像やPDF)で届いた配車依頼の文面を読み取り、日時、集荷先、届け先、荷物の内容と量、必要な車の種類、取引先名といった項目を抜き出して、一つの一覧にまとめられます。書き方が取引先ごとに違っていても、抜き出す項目を指定しておけば、AIが文面の違いを吸収して同じ形にそろえてくれます。

電話で受けた依頼は、受けた人が要点を短く入力するか、通話を文字起こししてAIに読ませることで、同じ一覧に入れられます。どの手段で届いた依頼も一か所に集まるため、「LINEで来た依頼を見落としていた」という事態を防げます。

AIに確認させたいこと

  • 日時や届け先など、配車に必要な項目が抜けていないか
  • 同じ依頼が、メールとLINEの両方から重ねて届いていないか
  • 前回の依頼と比べて、届け先や量が大きく違っていないか
  • 読み取りが怪しい箇所(かすれたFAXの数字など)はどこか

項目が足りない依頼や、読み取りに自信がない箇所には印をつけて、配車担当が確かめるようにします。足りない情報を取引先に問い合わせる文面の下書きまでAIに作らせておくと、確認の手間も減らせます。

大切なのは、AIが読み取った内容をそのまま確定させず、配車担当が一覧で確かめてから次に進むことです。依頼の受付を自動化しても、確認する場所を一つにまとめられるだけで、書き写しの時間と間違いは大きく減ります。

取引先に依頼の書き方をそろえてもらうのは難しいことが多いですが、AIで読み取る仕組みなら、取引先にこれまでどおりの方法で依頼を送ってもらったまま、社内の受け取り方だけを変えられます。取引先に新しい手間をお願いしなくてよい点も、始めやすさにつながります。

配車案(候補)はAIが出し、確定は人が行う

依頼が一覧にまとまったら、次はどの車と運転手を割り当てるかです。ここでもAIに手伝わせることはできますが、AIの役割は「配車案(候補)」を出すところまでにとどめ、確定は配車担当が行うのが現実的です。

AIに配車案を作らせるには、車の種類や台数、運転手ごとの対応できる車両や免許、その日の出勤予定、取引先ごとの注意事項(荷受けの時間帯、搬入口の制約など)といった情報を、あらかじめ表にしておく必要があります。これらをもとに、AIが「この依頼はこの車とこの運転手が候補です」という案を出し、理由も添えて示します。

一方で、次のような判断は人のほうが確実です。

  • 運転手の体調や前日の運行の疲れを考えた割り当て
  • 取引先との関係や、言葉になっていない現場の事情
  • 渋滞や天候など、当日の状況による入れ替え
  • 運転手の拘束時間や休息の確保など、労働時間のルールへの配慮

とくに運転手の労働時間には、拘束時間や休息期間などのルールがあり、配車の組み方に関わります。AIの配車案で労働時間の目安を表示させることはできますが、ルールの判断を任せきりにせず、最終的には運行管理者が確かめてください。ルールは改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省や国土交通省などの公式サイトで確認してください。

ポイント

配車案をAIに出させる目的は、配車担当の判断を置き換えることではなく、ゼロから考える時間を減らすことです。案を見て直すほうが、白紙から組むより早く、見落としにも気づきやすくなります。

運転手への通知文の作成と送信、確認の返事の管理をAIに任せる

配車が確定したら、運転手一人ひとりに内容を伝えます。ここはAIがもっとも力を発揮できる部分です。確定した配車表から、運転手ごとに「日時、集荷先と届け先、荷物の内容、注意事項」をまとめた通知文を自動で作り、LINEなどのメッセージアプリ、SMS(携帯電話番号あてのメッセージ)、社内で使っている業務アプリなど、運転手がふだん見ている手段で送ります。

運転手への通知の方法を比べる

通知の方法よいところ気をつけること
メッセージアプリ(LINEなど)運転手がふだん使っていて見てもらいやすい。既読や返信で確認しやすい個人のアカウントを業務に使う場合のルールを決める
SMS電話番号だけで届き、アプリの準備が要らない長い文章や地図の共有には向かない。返信の集計に工夫が要る
業務用のアプリ配車表と連動させやすく、確認の記録が残る運転手全員が使えるよう、導入と説明が必要
電話急ぎの変更を確実に伝えられる記録が残りにくく、一人ずつかけるため時間がかかる

どの方法でも、通知文の最後に「内容を確認したら『了解』と返信してください」と入れておき、返事の有無をAIが集計します。決めた時刻までに確認の返事がない運転手を一覧にして配車担当に知らせ、同時にリマインドのメッセージを自動で送る、という流れにすると、「伝えたつもり」「見たつもり」のすれ違いを防げます。

運転中に操作させない配慮

通知を送る時間帯には注意が必要です。運転中にメッセージを見たり返信したりすることは危険で、法令でも禁止されています。翌日の配車は前日の終業後や始業前に送る、運行中の運転手には急ぎの変更以外は送らない、返信は停車中にするよう通知文に書き添える、といったルールを決めておきましょう。急ぎの変更は、運転手が停車してから確認できるよう、配車担当から電話で伝えるほうが安全な場合もあります。

変更・キャンセルの再通知と、今のやり方とAI化後の比較

配車の連絡でとくに漏れが起きやすいのが、依頼の変更やキャンセルです。取引先から「時間を1時間遅らせてほしい」「1件取り消したい」と連絡が来ると、配車表を直し、影響を受ける運転手全員に伝え直し、確認を取り直す必要があります。

AIの仕組みでは、変更の連絡を読み取って配車表の該当する行を見つけ、変更前と変更後の違いを示します。配車担当が変更を確定すると、影響を受ける運転手だけに「変更のお知らせ」として違いがわかる通知文を作って送り、改めて確認の返事を集めます。前の通知と区別できるよう、件名や冒頭に「変更」と明記させるのがコツです。

今のやり方と、AIの仕組みを入れた後の流れを比べると、次のようになります。

作業今のやり方AIを入れた後
依頼の受付メール・電話・LINE・FAXを一つずつ見るAIが読み取り、一つの一覧にまとめる
配車表への記入依頼を見ながら手で書き写す一覧から自動で反映し、人は怪しい箇所だけ確かめる
割り当て配車担当が白紙から考えるAIの配車案をもとに、配車担当が直して確定する
運転手への通知一人ずつ電話やメッセージで伝える運転手ごとの通知文を自動で作って送る
確認の管理返事の有無を頭やメモで管理する返事のない人をAIが一覧にし、リマインドを送る
変更・キャンセル影響する運転手を探して伝え直す影響する運転手だけに違いを示して再通知する

配車の連絡をAIで効率化する前の確認リスト

  • 配車依頼がどの手段で、1日にどれくらい届いているか把握しているか
  • 配車表に必要な項目(日時、集荷先、届け先、量、車種など)が決まっているか
  • 車両と運転手の情報(免許、対応車種、出勤予定)が表になっているか
  • 運転手への通知の手段と、送ってよい時間帯が決まっているか
  • 確認の返事の締め切り時刻と、返事がない場合の対応が決まっているか
  • 変更・キャンセルを受けたときに、誰が確定するかが決まっているか

まずは「依頼の一覧化」か「確認の返事の管理」から始める

配車の連絡と通知を一度にすべて自動化しようとすると、決めることが多くなり、現場も戸惑います。おすすめは、効果が見えやすい一つの作業から始めることです。依頼の書き写しに時間を取られているなら「依頼の一覧化」から、運転手との行き違いが多いなら「通知と確認の返事の管理」から始めると、短い期間で手応えを感じやすくなります。

始める前に、1日に届く配車依頼の件数と手段、配車表を作るのにかかっている時間、運転手への連絡にかかっている時間をざっと記録しておくと、導入後にどれだけ時間が減ったかを比べられます。運転手の方々には、通知の受け取り方が変わる理由と、返事の仕方を事前に説明しておくことも大切です。

当社の「AI社員」は、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みを作り、運用まで支える月額のサービスです。配車依頼の読み取りと一覧化、配車案の作成、運転手への通知文の作成と送信、確認の返事の集計とリマインド、変更時の再通知までを、今お使いの配車表や連絡手段に合わせて一つの流れにまとめることができます。料金は初期費用+月5万円で、保守・相談・メンテナンスは回数の制限なくご利用いただけます。初期費用は業務の内容をお聞きしたうえでお見積もりします。構築期間は内容によって2週間程度から1か月程度で、最短2週間で稼働できます。

当社にはこれまで、物流、製造、建設・設備など、約90社からご相談をいただいてきました。配車依頼の受付や運転手への連絡に追われているようでしたら、実際に届いている依頼の文面や今の配車表をお見せいただければ、どこからAIに任せられるかを一緒に整理できます。お気軽にご相談ください。

よくある質問

配車の依頼を受けたあと、運転手への通知はどんな方法がよいですか?

運転手がふだん見ているメッセージアプリやSMS、業務用のアプリで、運転手ごとにまとめた通知文を送り、「了解」の返信で確認を取る方法がおすすめです。返事のない人をAIで洗い出してリマインドすれば、伝え漏れを防げます。急ぎの変更は、停車中に確認できるよう電話を併用すると安全です。

AIに配車を全部決めてもらうことはできますか?

AIに配車案(候補)を出させることはできますが、確定は配車担当が行うことをおすすめします。運転手の体調や労働時間への配慮、現場の事情など、人が判断したほうが確実な要素が多いためです。

FAXや電話で届く配車依頼もAIで一覧にできますか?

できます。FAXはスキャンした画像やPDFをAIが読み取り、電話は受けた人の短い入力や通話の文字起こしから項目を抜き出して、メールやLINEの依頼と同じ一覧にまとめられます。読み取りが怪しい箇所は人が確かめます。

運転手がメッセージを確認してくれないときはどうすればよいですか?

確認の返事の締め切り時刻を決め、過ぎても返事がない運転手をAIが一覧にしてリマインドを送るようにします。それでも返事がない場合は配車担当が電話で確かめる、という段階を決めておくと確実です。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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