警備会社でAIは何に使えるか——人手不足の中で、隊員の配置・シフト、警備報告書、現場の指示書、依頼対応、新任教育の資料づくりを任せる方法
結論
警備会社でAIが使えるのは、隊員の勤務配置とシフト調整の下書き、警備報告書・日報の作成と確認、現場ごとの指示書・注意事項の整理と引き継ぎ、顧客からの依頼・見積の問い合わせ対応、新任教育の資料づくりの補助の5つです。どれも管理者や内勤のスタッフが毎日抱えている事務の仕事で、AIに下書きと確認を任せ、最終的な判断を人が行う形にすると、人手不足の中でも現場を回す力を保てます。警備業法などの法令に関わる教育や届出は、AIの出力をうのみにせず、最新の情報を公式サイトで確認したうえで人が決める前提で使います。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、警備会社でのAIの活用方法と始め方について解説します。警備会社の経営者の方からは、「隊員が足りず、配置の組み直しで管理者が毎晩遅くまで電話をしている」「報告書の書き方が隊員ごとにばらばらで、内勤が直すのに時間がかかる」「依頼の問い合わせに返信が追いつかない」という声をよく伺います。人を採ろうにも応募が集まりにくく、現場に出られる隊員を増やすのも、管理者や内勤を増やすのも簡単ではありません。この記事では、警備会社でAIを使える仕事を5つに分けて、それぞれの使い方と、人が判断すべきところ、始める順番を説明します。
警備会社の人手不足は、管理者と内勤の「事務の時間」をAIで減らして補う
警備の仕事は、現場で隊員が行う「警備業務」と、それを支える「管理・事務の仕事」に分けられます。人手が足りないとき、現場の穴を埋めるために管理者自身が現場に出ることも多く、その分、配置の調整や報告書の確認、問い合わせへの返信といった事務が夜にずれ込んでいきます。
AIが得意なのは、文章を読み書きしたり、決まった条件で組み合わせを考えたりする仕事です。警備会社でいえば、管理・事務の仕事の多くがこれにあたります。一方で、現場の安全に関わる判断や、法令にもとづく教育・届出の最終的な判断は、人が行う必要があります。
| 仕事 | AIに任せること | 人が判断すること |
|---|---|---|
| 勤務配置・シフト調整 | 隊員の希望・資格・現場の条件をもとにした配置案、欠員が出たときの代わりの候補 | 配置の確定、隊員への連絡、無理のない勤務かどうか |
| 警備報告書・日報 | 隊員のメモからの下書き、書き漏れや表現のばらつきの確認 | 報告内容の事実確認、顧客への提出 |
| 現場の指示書・引き継ぎ | 現場ごとの注意事項の整理、交代する隊員向けの要約 | 現場の危険への対応方法、顧客との取り決め |
| 依頼・見積の問い合わせ | 問い合わせ内容の整理、返信案、見積に必要な情報の聞き取り | 見積金額、受けられるかどうかの判断 |
| 新任教育の資料 | 社内の手順書をもとにした資料の下書き、確認問題の案 | 法令に沿った教育の内容と時間、届出 |
AIに任せる部分と、人が判断する部分を分けておくと、管理者や内勤が本当に考えるべきことに時間を使えるようになります。
人を採る前に、管理者と内勤の仕事の中身を書き出す
人手不足の対策というと、まず隊員の採用を考える経営者の方が多いと思います。もちろん採用は大切ですが、管理者や内勤が事務に追われたままだと、新しく入った隊員の受け入れや教育にも手が回りません。採用と並行して、管理者と内勤が一日のうちどの仕事に時間を使っているかを書き出してみてください。配置の電話、報告書の手直し、問い合わせへの返信など、AIに下書きを任せられる仕事が思った以上に見つかるはずです。
隊員の勤務配置とシフト調整は、AIが条件に合った案と代わりの候補をつくる
警備会社の配置づくりは、考える条件がとても多い仕事です。現場ごとに必要な人数と時間帯、必要な資格や経験、隊員の希望休や勤務できる地域、夜勤や連続勤務の回数、顧客から指名されている隊員などを組み合わせる必要があります。さらに、前日や当日に欠員が出ると、代わりの隊員を探して電話をかけ続けることになります。
AIには、次のような条件を伝えて配置の案をつくらせられます。
配置案をつくるときにAIに伝える条件の例
- 現場ごとの日時、必要な人数、必要な資格や経験
- 隊員ごとの希望休、勤務できる曜日・時間帯・地域
- 夜勤の回数や連続勤務の上限など、会社として守るルール
- 新任の隊員と経験のある隊員を組み合わせるなどの配慮
- 顧客から指名されている隊員や、その現場に慣れている隊員
当社の導入事例では、介護(職員50名規模)の事務担当の方の毎月のシフト作成が、2日から半日になりました。業種は違いますが、希望と条件を組み合わせて案をつくるという作業は、警備の配置づくりとよく似ています。
欠員が出たときの「代わりの候補」をすぐ出せるようにする
急な欠員のときは、AIに「この現場・この時間帯に入れる隊員」を条件に合わせて並べさせると、電話をかける順番をすぐに決められます。ただし、配置の確定や隊員への連絡は管理者が行います。勤務時間や休みの取り方には労働に関する法令が関係するため、会社のルールとあわせて、最新の情報は公式サイトで確認してください。AIの案はあくまで下書きで、隊員の体調や事情をふまえた最終判断は人が行います。
警備報告書・日報は、隊員のメモからAIが下書きし、書き漏れも確認する
警備報告書や日報は、顧客に提出する大切な書類です。しかし、隊員によって書き方がばらばらだったり、必要な項目が抜けていたり、手書きで読みにくかったりすると、内勤のスタッフが一件ずつ確認して直すことになります。現場が多い会社ほど、この確認の時間が大きくなります。
AIを使うと、報告書づくりを次のように進められます。
- 報告書の型を決める:日時、現場名、勤務した隊員、巡回の時刻、異常の有無、対応した内容、引き継ぎ事項など、顧客ごとに必要な項目をそろえる
- 隊員はメモか音声で記録する:スマートフォンで短いメモを書いたり、話して録音したりする
- AIが型に沿って下書きする:メモの内容を項目ごとに整理し、読みやすい文章にする
- 書き漏れや不自然な点をAIが指摘する:時刻の抜け、異常ありなのに対応の記載がない、などを知らせる
- 内勤や管理者が事実を確かめて提出する:とくに事故や異常があった日の報告は、隊員に聞き取ったうえで確定する
ポイント
AIは、メモに書かれていないことを、それらしく補ってしまうことがあります。報告書は顧客との信頼に関わる書類なので、AIの下書きに書かれた内容が実際に起きたことと合っているかを、必ず人が確かめてから提出してください。
当社の導入事例では、製造業(従業員30名規模)の事務担当の方の受注書入力が、1日2時間から15分になりました。業種は違いますが、ばらばらの書き方の情報を決まった形に整えるという点は、警備報告書の作成と共通しています。報告書を月ごとにまとめて「どの現場でどんな異常が多いか」を整理する作業も、AIに任せられます。
現場ごとの指示書と注意事項は、AIが整理して交代する隊員にも伝わる形にする
警備の現場には、それぞれ決まった手順や注意事項があります。たとえば、出入りの確認方法、鍵の受け渡し、巡回の順路、緊急時の連絡先、車両の誘導で気をつける場所などです。これらが、古い紙の指示書、管理者の頭の中、ベテラン隊員の経験などに散らばっていると、交代や新しい隊員の配置のたびに説明の手間がかかり、伝え漏れも起きやすくなります。
AIには、次のような整理を手伝わせられます。
- 現場ごとの指示書や過去の報告書、顧客とのやりとりから、注意事項を項目ごとに抜き出してまとめる
- 初めてその現場に入る隊員向けに、要点だけを短くまとめた引き継ぎ用の資料をつくる
- 顧客からの依頼で手順が変わったときに、指示書のどこを直すべきかを示す
- 隊員からの「この現場ではどうするのか」という質問に、指示書をもとに答える
危険への対応は、人が決めた手順だけを伝える
AIにまとめさせるのは、会社と顧客で決めた手順や注意事項までです。現場の危険への対応方法をAIが新しく考えて隊員に伝えることがないよう、AIが答えてよいのは指示書に書かれた範囲だけにし、書かれていないことは管理者に確認するよう設定しておきます。整理した指示書は、管理者が内容を確かめてから現場で使います。
指示書がそろうと、ベテランの隊員が休んだ日や、新しい隊員を配置する日でも、現場の質を保ちやすくなります。管理者が電話で何度も同じ説明をする時間も減らせます。
依頼・見積の問い合わせ対応と新任教育の資料づくりも、AIが下書きを担う
顧客や見込みのお客様からは、「イベントの警備をお願いしたい」「工事現場の交通誘導を頼めるか」「施設の常駐警備の見積がほしい」といった問い合わせが届きます。見積を出すには、日時、場所、人数、時間帯、必要な資格などを聞き取る必要があり、やりとりに時間がかかりがちです。
AIを使うと、問い合わせの内容を読み取り、足りない情報を確認するための返信案をつくれます。聞き取った内容を一つの表にまとめておけば、見積を考える担当者がすぐに判断できます。見積の金額や、受けられるかどうかの判断は担当者が行い、AIは聞き取りと整理、返信の下書きを担当します。当社の導入事例では、不動産(従業員15名規模)の問い合わせ担当の方の初回返信が、半日から10分になりました。初回の返信が早くなると、急ぎの依頼を取りこぼしにくくなります。
新任教育の資料は、社内の手順書をもとにAIが下書きする
新しく入った隊員への教育では、会社の手順、現場でのふるまい、報告のしかたなど、伝えることがたくさんあります。AIには、社内の手順書や過去の資料をもとに、教育用の資料や確認問題の下書きをつくらせられます。
ただし、警備員の教育は警備業法などの法令で内容や時間が定められている場合があり、届出が必要な手続きもあります。AIは法令の内容を古いまま、あるいは不正確に書くことがあるため、法令に関わる部分はAIの出力をうのみにせず、指導の責任者が確認してください。制度は変わることがありますので、最新の情報は公式サイトで確認してください。
警備会社でAIを始める順番と、気をつけること
警備会社でAIを取り入れるときは、いきなりすべてを変えるのではなく、次の順番で進めると管理者や内勤の負担が少なくなります。
- いちばん時間をとられている事務を選ぶ:配置づくり、報告書の確認、問い合わせ対応のうち、管理者や内勤の時間を一番使っているものから始める
- 型と資料をそろえる:報告書の型、現場ごとの指示書、配置のルール、よくある問い合わせへの答えなどを整理する。どの使い方にも役立つ土台になる
- AIに任せない範囲を決める:現場の危険への対応、配置の確定、見積金額、法令に関わる教育と届出は人が判断すると決めておく
- 人が確認する形で始める:最初はAIの下書きをすべて人が確認し、慣れてきたら任せる範囲を広げる
警備会社でAIを使うときの注意点
- 顧客の施設の情報や、鍵・出入りの手順など、外に出してはいけない情報をどのAIサービスで扱うか決めておく
- 入力した情報がAIの学習に使われない設定や契約になっているか確認する
- 隊員の個人情報や勤務の記録を扱う範囲と、見られる人を決めておく
- 報告書は、AIの下書きが事実と合っているか人が確かめてから提出する
- 警備業法などの法令に関わる教育・届出は、最新の情報を公式サイトで確認する
警備会社のAI活用は、現場に立つ隊員を置き換えるものではなく、隊員を支える管理者や内勤の時間をつくるためのものです。当社の「月5万円のAI社員」では、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みをつくり、導入後の調整や相談も月額の中でお受けしています。費用は初期費用+月5万円で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。配置や報告書の事務に追われているようでしたら、どこから任せられるか一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問
警備会社の配置やシフトづくりはAIに任せられますか?
隊員の希望、資格、現場の条件をもとに、AIが配置の案や欠員時の代わりの候補をつくれます。配置の確定と隊員への連絡は、管理者が隊員の事情をふまえて行います。
警備報告書をAIで作っても顧客に出して大丈夫ですか?
隊員のメモからAIが下書きをつくり、内勤や管理者が事実と合っているか確かめてから出すのであれば問題ありません。AIは書かれていないことを補ってしまう場合があるため、確認なしで提出しないでください。
新任教育の資料をAIに作らせてもよいですか?
社内の手順書をもとにした資料や確認問題の下書きには使えます。法令で定められた教育の内容や届出に関わる部分は、指導の責任者が確認し、最新の情報は公式サイトで確認してください。
小さな警備会社でもAIを入れる意味はありますか?
あります。少人数の会社ほど、経営者や管理者が配置、報告書、問い合わせ対応を一人で抱えていることが多く、その一部をAIに任せるだけでも、現場の対応や採用に使える時間を増やせます。