工務店・リフォーム会社でAIは何に使えるか——問い合わせ・現調予約、見積と提案書、工事中の連絡、施工事例、アフター点検
結論
工務店・リフォーム会社でAIが役立つのは、問い合わせと現地調査の予約対応、現調メモからの見積・提案書の下書き、工事中のお客様への進捗連絡、施工事例やSNSの文章づくり、アフター点検の案内という、個人のお客様とのやりとりと書類の下書きの仕事です。見積の金額や工事の可否、現場の判断は人が行い、AIは下書きと整理を担う分担にすると、少人数でも返信の速さと提案の質を保てます。最初は、件数が多く返信の速さが受注に関わる問い合わせ対応から始めるのがおすすめです。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、工務店・リフォーム会社でのAIの活用方法(問い合わせ・現調予約、見積と提案書の下書き、進捗連絡、施工事例、アフター点検)と注意点について解説します。日中は現場に出ていて、問い合わせの返信は夜になる。現地調査のあとに見積と提案書を作る時間が取れず、お客様をお待たせしてしまう。工事中は「今どこまで進んでいますか」という電話に追われ、施工事例の更新やアフター点検の案内は後回しになる。工務店・リフォーム会社の経営者の方から、こうしたお悩みを伺うことがあります。個人のお客様が相手の住宅の仕事は、法人相手の工事とくらべて、やりとりの回数が多く、説明もていねいさが求められます。この記事では、工務店・リフォーム会社でAIを使える5つの仕事と、それぞれの使い方、人が判断すべきところ、始める順番と注意点を、AI社員を提供している当社の立場から説明します。
工務店・リフォーム会社でAIに任せやすいのは「お客様とのやりとり」と「書類の下書き」
工務店・リフォーム会社の仕事は、現場での施工と、それを支えるお客様対応・事務の仕事に分けられます。施工の品質や現場の判断は、職人さんや現場監督の経験が土台であり、AIが代わるものではありません。一方で、その前後には、問い合わせへの返信、日程の調整、見積書や提案書の作成、工事中の連絡、施工事例の文章づくりなど、文章を読み書きする仕事がたくさんあります。AI(文章を読んだり書いたりできるコンピューターの仕組み)が力を発揮するのはこの部分です。
当社の別の記事では、建設・設備業全般で使える見積や日報の活用を紹介しています。この記事では、住宅のリフォームや新築を個人のお客様から請け負う会社ならではの仕事に絞って説明します。個人のお客様は工事に詳しくないことが多く、不安を感じやすいため、こまめでわかりやすい連絡がそのまま会社の評判や紹介につながります。
| 仕事 | AIに任せること | 人が判断すること |
|---|---|---|
| 問い合わせ・現調予約 | 問い合わせ内容の整理、返信案、現地調査の候補日の提示、聞き取り項目の確認 | 工事を受けられるかの判断、日程の確定 |
| 見積・提案書 | 現調メモや写真の整理、自社の単価表にもとづく見積の下書き、提案書の文章 | 工事内容と金額の確定、お客様への説明 |
| 工事中の進捗連絡 | 日報や写真からお客様向けの連絡文を作る、次の工程の案内 | 変更・追加工事の相談、トラブルへの対応 |
| 施工事例・SNS | 工事の記録から事例紹介やSNS投稿の下書きを作る | 掲載の許可の確認、表現の確認 |
| アフター点検の案内 | 引き渡し日から点検時期を出し、案内文の下書きを作る | 点検結果の判断、補修の提案 |
どの仕事でも、AIは「下書き」と「整理」まで、お客様に届ける前の確認と、金額・工事の判断は人、という分担にするのが基本です。
問い合わせと現地調査の予約は、AIが返信案と聞き取りを整えて返信を早くする
リフォームの問い合わせは、ホームページのフォーム、メール、電話、LINEなど、いろいろな入口から届きます。お客様は複数の会社に同時に問い合わせていることも多く、返信が遅いと、それだけで比較の候補から外れてしまうことがあります。とはいえ、社長や営業担当が現場に出ている日中は、すぐに返信するのが難しいのが実情です。
AIを使うと、問い合わせへの対応を次のように進められます。
- AIが問い合わせを読み、内容を整理する:工事の場所(キッチン、浴室、外壁など)、お住まいの種類、築年数、困っていること、希望の時期をまとめる
- 足りない情報を確認する返信案を作る:現地調査の前に聞いておきたいことを、お客様に答えやすい質問にして返信案に入れる
- 現地調査の候補日を出す:担当者の予定表をもとに、空いている候補日を返信案に入れる
- 担当者が確認して送る:対応エリア外の依頼や、受けられない工事が含まれていないかを確かめて送る
- 予約が決まったら、調査前の案内を送る:当日の流れ、所要時間、見ておきたい場所などを伝える
現地調査の前にAIに聞き取らせたい項目の例
- 工事をしたい場所と、今困っていること
- お住まいの種類(戸建て・マンション)と、おおよその築年数
- マンションの場合、管理組合への届出や工事できる時間帯の決まりがあるか
- 希望の時期と、ご家族の事情(在宅の時間、高齢のご家族がいるか など)
- 写真を送っていただけるか(現状の写真があると、調査の準備がしやすくなります)
このように聞き取りをそろえておくと、現地調査の当日に確認すべきことが事前にわかり、持っていく資料や道具の準備もしやすくなります。工事を受けられるかどうかや、おおよその金額をその場で答えることは、AIにはさせず担当者が判断します。
現調メモと写真から、見積と提案書の下書きをAIが作る
現地調査のあと、見積書と提案書を作るのは、多くの工務店・リフォーム会社で時間がかかっている仕事です。現場ではメモや写真を取っていても、事務所に戻ってから整理し、品目を拾って単価を入れ、お客様向けの説明文を書くとなると、夜や休日の仕事になりがちです。
AIを使う場合の流れは、次のとおりです。
- 現場でメモと写真を残す:手書きのメモを撮影する、スマートフォンに話して録音するなど、いつもの方法でかまいません
- AIがメモと写真を整理する:場所ごとに、現状、お客様の要望、寸法、気になった点を一覧にする
- 自社の単価表から見積の下書きを作る:よく使う品目と単価、過去の見積を手本として渡し、それに沿って品目と数量の案を出させる
- 提案書の文章を下書きする:お客様の要望に対して、どんな工事をなぜおすすめするのかを、専門用語を避けた言葉で書かせる
- 担当者が内容と金額を確定する:現場で見た状況、下地や配管など開けてみないとわからない部分、職人さんの手配を考えて仕上げる
ポイント
AIは、渡していない単価や、それらしい数字を補ってしまうことがあります。見積の下書きは「渡した単価表と過去の見積に書かれていることだけを使う」と指示し、金額は必ず担当者が確かめてください。工事の可否や下地の状態の判断も、AIではなく現場を見た人が行います。
提案書は、松・竹・梅のように複数の案を並べると、お客様が比べやすくなります。AIは、同じ要望から「予算を抑えた案」「標準的な案」「長く使える設備を選んだ案」といった複数の下書きを作るのが得意です。どの案をおすすめするか、各案の金額をいくらにするかは担当者が決めます。
なお、工事の請負契約を結ぶときには、建設業法で契約書面に記載すべき事項が定められている場合があります。AIで作るのはあくまで見積書・提案書の下書きであり、契約書の内容は法令と自社のひな形にもとづいて人が確認してください。最新の情報は公式サイトで確認してください。
工事中の進捗連絡は、日報と写真からお客様向けの連絡文をAIが作る
リフォーム工事は、お客様が住みながら進むことが多く、「今日は何をしたのか」「いつから水が使えるのか」「次はいつ職人さんが来るのか」といった連絡が欠かせません。連絡が少ないとお客様は不安になり、電話での問い合わせが増えて、現場監督の手が止まります。
AIを使うと、職人さんや現場監督が残した日報と現場写真から、お客様向けの連絡文を作れます。
| 場面 | これまで | AIを使った後 |
|---|---|---|
| その日の作業の報告 | 現場監督が夜にまとめて電話かメッセージで伝える。忙しい日は連絡できない | 日報と写真からAIが連絡文の下書きを作り、監督が確認して送る |
| 次の工程の案内 | お客様から聞かれてから答える | 工程表から、翌日以降の作業内容と、水や電気が使えない時間をAIが案内文にする |
| 近隣へのお知らせ | 毎回一から文面を作る | 工事の内容と期間からAIがお知らせ文の下書きを作る |
| 完了前の確認 | 立ち会いの日程調整を電話で行う | AIが候補日と当日の流れを入れた案内文を作る |
変更・追加工事の相談は、AIではなく担当者が行う
工事を始めてから、床をはがしたら下地が傷んでいた、お客様が設備を変えたくなった、ということはよくあります。こうした変更や追加工事は、金額や工期が変わるため、トラブルになりやすい場面です。AIは、現場の状況を写真つきでわかりやすく説明する文章の下書きまでにとどめ、工事内容と金額の相談は担当者がお客様と直接行ってください。合意した内容は、後から確かめられるよう書面に残しておくことをおすすめします。
工事中の連絡が会社の型にそろうと、現場監督ごとの連絡のばらつきが減り、担当者が休んだ日でも別の人が経緯を把握できます。
施工事例・SNSの文章とアフター点検の案内も、AIが下書きを担う
施工事例は、リフォームを検討しているお客様が会社を選ぶときに、よく見られる情報です。しかし、工事が終わるたびに写真を選び、お客様のお悩みや工事のポイントを文章にするのは手間がかかり、更新が止まりがちです。
施工事例とSNS投稿の下書き
AIには、工事の記録(現調メモ、提案書、日報、完成写真の説明)から、次のような文章の下書きを作らせられます。
- 施工事例ページ用の文章:お客様のお悩み、ご提案の内容、工事のポイント、工期の目安
- SNS用の短い投稿:工事前と工事後の違いを、写真に添える数行の文章にまとめる
- ブログ用の記事:よくあるお悩み(浴室の寒さ、キッチンの使いにくさなど)と、その解決方法の紹介
施工事例・SNSを公開する前に人が確認すること
- お客様から写真と内容の掲載の許可をいただいているか
- 表札、車のナンバー、ご家族の写真、住所がわかる景色など、お住まいが特定される情報が写っていないか
- 「地域で一番安い」「必ず光熱費が下がる」など、根拠を示せない表現になっていないか
- 工期や金額を載せる場合、実際の工事の内容と合っているか
広告や宣伝の表現には、景品表示法などのルールがあり、実際より良く見せる表現は問題になる場合があります。AIはそれらしい言い回しを書くことがあるため、公開前に人が確認してください。最新の情報は公式サイトで確認してください。
アフター点検の案内
引き渡し後の点検は、お客様の安心につながり、次のリフォームや紹介のきっかけにもなります。一方で、引き渡しから時間がたつと案内を忘れやすい仕事でもあります。AIを使うと、工事の一覧表から、引き渡し日をもとに点検の時期が近いお客様を拾い出し、工事内容に合わせた案内文の下書きを作れます。点検で見つかった不具合の判断や補修の提案は、担当者が行います。
工務店・リフォーム会社でAIを始める順番と、気をつけること
工務店・リフォーム会社でAIを取り入れるときは、次の順番をおすすめします。
- 一番時間をとられている仕事を1つ選ぶ:問い合わせへの返信、見積・提案書づくり、工事中の連絡のうち、社長や担当者の夜の時間を一番使っているものから始める
- 手本をそろえる:よくある問い合わせへの返信例、自社の単価表と過去の見積、提案書の例、お客様への連絡文の例を集める
- AIに任せない範囲を決める:工事の可否、見積の金額、変更・追加工事の相談、契約の内容は人が判断すると決めておく
- 人が確認する形で始める:最初はAIの下書きをすべて人が確認してから送り、直した点をAIへの指示に反映する
- 慣れてきたら次の仕事に広げる:問い合わせ対応が回り始めたら、進捗連絡や施工事例へと広げる
お客様の情報を扱うときの注意点
- お客様の氏名、住所、電話番号、お住まいの写真は、外に出してはいけない情報として扱う
- 入力した情報がAIの学習に使われない設定や契約のサービスを選ぶ
- お客様の情報を見られる社員の範囲を決めておく
- お客様に届く文章は、確認しないまま自動で送らない
個人情報の扱いについては、個人情報保護法などのルールがあります。どこまでをAIで扱うかは、最新の情報を公式サイトで確認したうえで決めてください。
当社が提供する「AI社員」では、今お使いのメール、予定表、単価表、工事の一覧表に合わせて、返信案や見積・提案書の下書き、連絡文を作る仕組みを組み立てます。お客様に届く前に必ず人が確認する流れを前提に設計し、導入後の調整や相談も月額の中でお受けしています。料金は初期費用+月5万円(保守・相談・メンテナンス無制限)で、初期費用はヒアリング後にお見積もりします。構築期間は内容によって2週間程度から1か月程度が目安です。現場と事務の両方を少人数で回していて手が足りないと感じていましたら、どの仕事から任せられるかを一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問
リフォーム会社の見積をAIで自動作成できますか?
現調メモと写真、自社の単価表や過去の見積を手本にして、見積の下書きを作ることはできます。下地の状態など現場を見ないとわからない部分があるため、工事内容と金額は必ず担当者が確認して確定してください。
工務店の問い合わせ対応や現地調査の予約をAIに任せられますか?
問い合わせ内容の整理、足りない情報を聞く返信案、現地調査の候補日の提示はAIに任せられます。工事を受けられるかの判断と日程の確定は担当者が行い、返信も確認してから送る形をおすすめします。
施工事例やSNSの文章をAIで書いても問題ありませんか?
工事の記録から下書きを作るのに使えます。公開前に、お客様の掲載許可、お住まいが特定される情報が写っていないか、根拠を示せない表現になっていないかを人が確認してください。
社員数名の小さな工務店でもAIを入れる意味はありますか?
あります。少人数の会社ほど、社長や担当者が現場と事務の両方を抱えており、問い合わせへの返信や見積づくり、工事中の連絡の一部をAIに任せるだけで、現場とお客様に使える時間を増やせます。