スカウト文面・候補者への個別メッセージをAIで作るには?——求人の魅力と経歴の接点を拾って書き分け、人が確かめて送る方法
結論
スカウト文面や候補者への個別メッセージは、AIに「求人の魅力」と「候補者の経歴」を並べて読ませ、2つが重なる点を拾って1通ずつ下書きさせ、送る前に採用担当者が確かめる形にすれば、少ない人手でも書き分けたメッセージを送れます。AIが受け持つのは接点を探して下書きを書くところまでで、誰に送るか、送ってよい内容かの判断は人が行います。テンプレートの一斉送信より「なぜあなたに声をかけたのか」が伝わるため、候補者に読んでもらえるメッセージに近づきます。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、スカウト文面や候補者への個別メッセージを、求人の魅力と経歴の接点を拾ってAIで1通ずつ書き分け、人が確かめてから送る方法について解説します。「スカウトを送っても、ほとんど返信がない」「1通ずつ書き分けたいが、採用担当は自分1人で、ほかの仕事も抱えている」「結局、同じ文面に名前だけ差し替えて送っている」。中小企業の採用担当者から、こうした悩みをよく聞きます。スカウトを受け取る側の候補者には、毎日のように似たような文面が届いています。名前以外はどの会社にも言えそうな内容では、開いてもらえても、返信までは届きにくいのが実情です。とはいえ、候補者の経歴を1人ずつ読み込んで、自社の求人とのつながりを考えて書くには、1通に何十分もかかります。この記事では、スカウト文面をAIで1通ずつ書き分ける方法を、求人の魅力と経歴の接点の拾い方、文面の型、送る前に人が確かめること、個人情報の扱いの注意点まで、採用担当者向けに説明します。
スカウトに返信が来ないのは「なぜ自分に送られたのか」が伝わらないから
スカウトの返信が少ないとき、多くの採用担当者は「送る数が足りない」と考えて、さらに多くの候補者に同じ文面を送ります。しかし、候補者の側から見ると、問題は数ではないことが多いのです。
候補者がスカウトを読んで最初に感じるのは、「これは自分に向けて書かれたものか、それとも大勢に送られたものか」です。次のような文面は、大勢に送られたものだとすぐにわかってしまいます。
- 「あなたのご経歴を拝見し、ぜひお話ししたいと思いました」とあるが、経歴のどこを見たのかが書かれていない
- 会社の紹介と求人の条件が長く続き、候補者についての話がほとんどない
- 候補者の経験と関係のない仕事内容が並んでいる
反対に、「前職で〇〇の立ち上げを担当されていた経験が、当社で今まさに必要としている△△の仕事に生かせると考えました」のように、候補者の経歴の具体的な点と、自社の仕事のつながりが書かれていると、「ちゃんと読んでくれた」と感じてもらいやすくなります。
ただ、これを人手だけで続けるのは大変です。1人の経歴を読み、自社の求人のどこと重なるかを考え、文章にまとめる作業は、慣れた担当者でも1通に時間がかかります。採用担当が1〜2人の会社では、ほかの業務と並行して毎日続けるのは現実的ではありません。AIが役に立つのは、この「読む・つなげる・書く」の部分です。
AIに渡すのは「求人の魅力の材料」と「候補者の経歴」の2つ
AIで書き分けたスカウトを作るには、AIに2種類の材料を渡します。1つは自社の求人についての材料、もう1つは候補者の経歴です。AIはこの2つを並べて読み、重なる点を探します。
| 材料 | 中身 | 用意のしかた |
|---|---|---|
| 求人の魅力の材料 | 仕事内容、任せたい役割、身につく経験、働き方、チームの様子、会社として今取り組んでいること | 求人票に加えて、現場の責任者に「どんな人に来てほしいか」「入社後にどんな仕事から任せるか」を聞いたメモ |
| 候補者の経歴 | これまでの職種・業界・役割、担当した仕事、身につけた技術や資格、希望する働き方 | スカウトサービスに候補者が公開しているプロフィール(サービスの規約の範囲内で扱う) |
| 送ってはいけない内容 | 約束できない条件、未確定の待遇、他社との比較 | あらかじめ書き出し、AIへの指示に入れておく |
大切なのは、求人の魅力の材料を「求人票の文章だけ」にしないことです。求人票には条件は書かれていても、「この仕事のどこが面白いのか」「どんな経験が生きるのか」までは書かれていないことがよくあります。現場の責任者に聞いた生の言葉を材料に入れておくと、AIが拾える接点の幅が広がります。求人票そのものの作り方は「求人票・求人原稿の作成をAIで効率化するには?」の記事で説明しています。
ポイント
求人の魅力の材料は、1つの求人につき1回まとめておけば、何十人分のスカウトにくり返し使えます。最初に時間をかけて、現場の声を集めておくことが、文面の質を左右します。
求人の魅力と経歴の接点を拾う3つの見方
AIに「接点を探して」とだけ指示すると、「営業経験がある方なので営業職に合う」のような、ありきたりなつながりしか出てこないことがあります。接点を拾う見方を具体的に決めて指示しておくと、候補者が「よく読んでくれている」と感じる文面に近づきます。
- 経験の重なり:候補者がこれまでやってきた仕事と、自社で任せたい仕事が重なる点。「法人向けの提案営業」「小さなチームでの立ち上げ」「現場とお客様の間に立つ調整」など、職種名より一段具体的なところで重なりを探させる
- 次にやりたいことの重なり:候補者のプロフィールにある希望や志向と、自社の仕事で得られる経験が重なる点。「マネジメントに挑戦したい」「地元で働きたい」「専門性を深めたい」など
- 環境の重なり:候補者がこれまで働いてきた会社の規模や業界と、自社の環境の近さ・違い。「大きな会社で一部を担当してきた人に、小さな会社で全体を任せられる」といった、違いが魅力になる点も含める
AIには、見つけた接点ごとに「経歴のどこから読み取ったか」を短く書き添えさせます。こうしておくと、担当者が下書きを確かめるときに、接点が本当にプロフィールに書かれていることかどうかをすぐに見分けられます。
接点が見つからない候補者には送らない
AIに接点を探させると、無理にこじつけたつながりを作ってしまうことがあります。そこで「はっきりした接点が見つからない場合は、見つからないと答える」と指示しておきます。接点が見つからない候補者は、そもそもスカウトを送る相手として合っていない可能性があります。送る相手を絞ることも、返信の少なさを改善する大切な手立てです。
1通ずつ書き分けるスカウト文面の型
AIに下書きを書かせるときは、文面の型を決めておくと、1通ごとの出来のばらつきを抑えられます。採用担当者が使いやすい型は、次の5つの部分でできています。
| 部分 | 書くこと | 書き分けるか |
|---|---|---|
| 1. 声をかけた理由 | 経歴のどこを見て、なぜこの人に送ったのか | 1通ずつ書き分ける |
| 2. 任せたい仕事とのつながり | 候補者の経験が、自社のどの仕事にどう生きるか | 1通ずつ書き分ける |
| 3. 会社と仕事の紹介 | 会社の概要、仕事内容、働き方を短く | 求人ごとに共通 |
| 4. 次の一歩 | まずはカジュアルな面談で話を聞いてほしい、など返信しやすい呼びかけ | 共通(候補者に合わせて少し調整) |
| 5. 送り手の名前 | 誰が送っているのかがわかる署名 | 共通 |
書き分けるのは1と2だけで、3〜5は求人ごとに用意した共通の文章を使います。こうすると、AIが書く部分が短くなり、担当者が確かめる量も減ります。共通の部分は、会社として伝えてよい内容だけで固めておけるので、間違った条件を書いてしまう心配も少なくなります。
文面の長さと言葉づかい
スカウトは、長すぎると最後まで読まれません。AIには「書き分ける部分は数文に収める」「専門用語を並べすぎない」「候補者をほめすぎない」といった指示を入れておきます。経歴を大げさにほめる文面は、かえって大勢に送った文面のように見えてしまうためです。
一度送ったスカウトに返信がなかった候補者へ、少し時間をおいて送り直すメッセージも、同じ型で書き分けられます。その場合は、前回と同じ文面にならないよう、別の接点や新しい情報(募集の背景、チームの近況など)を入れさせます。返信があった後の日程調整や応募者対応は「採用の応募者対応と面接の日程調整をAIで効率化する方法」の記事で説明しています。
送る前に人が確かめることと、個人情報の扱いで気をつけること
AIが書いた下書きは、そのまま送らず、必ず採用担当者が確かめてから送ります。スカウトは会社の名前で候補者に届く最初の連絡です。間違いや失礼な表現があると、その候補者だけでなく、会社の評判にも響きます。
スカウトを送る前の確認チェックリスト
- 声をかけた理由に書かれた経歴が、本当にプロフィールに書かれている
- 候補者の名前、前職の会社名、職種に間違いがない
- 約束できない給与・待遇・ポジションを書いていない
- 仕事内容や働き方が、求人票と食い違っていない
- 経歴を大げさにほめすぎていない
- 性別・年齢・家族・出身地など、仕事と関係のないことに触れていない
- 同じ候補者に、短い間に何度も送っていない
個人情報の扱いで気をつけること
候補者の経歴は個人情報です。AIで扱うときは、次の点に気をつけてください。
- サービスの規約を守る:スカウトサービスで見られる候補者の情報を、別の場所に書き写したりAIの仕組みへ取り込んだりしてよいかは、サービスの利用規約で決まっていることがあります。事前に確認し、規約の範囲で使いましょう
- 渡す情報を必要な分に絞る:AIに渡すのは、接点を探すのに必要な職歴やスキルに限り、連絡先などは渡さないようにします
- 学習に使われない仕組みを選ぶ:入力した内容がAIの学習に使われない設定や契約になっているかを確かめます
- 使い終わった情報を残さない:下書きの作成に使った経歴のデータを、いつ消すかを決めておきます
また、採用では、本人の適性や能力に関係のない事柄で判断しないことが求められています。スカウトの文面で、性別、年齢、家族構成、出身地などに触れないことはもちろん、AIに送る相手を選ばせる場合にも、こうした事柄を手がかりにしないよう指示してください。個人情報や公正な採用選考の考え方は法令や行政の指針にかかわるため、扱い方に迷う場合は厚生労働省などの公式の情報で最新の内容を確認してください。
AIでスカウト文面づくりを始める手順と、人とAIの役割分担
スカウト文面づくりにAIを取り入れるときは、次の順番で進めると無理がありません。
- 求人を1つ選ぶ:いま一番人が足りず、スカウトを多く送っている求人から始める
- 求人の魅力の材料をまとめる:求人票に加えて、現場の責任者に任せたい仕事や来てほしい人の像を聞き、メモにする
- 文面の型と、書いてはいけないことを決める:書き分ける部分と共通の部分を分け、約束できない条件や触れてはいけない事柄を指示に入れる
- 少ない人数で試す:10人ほどの候補者で下書きを作らせ、接点の拾い方や文面を担当者が確かめて、指示を直す
- 返信の様子を見て見直す:どんな接点を書いたスカウトに返信があったかを記録し、材料や型を少しずつ直していく
役割を分けると、次のようになります。
| AIに任せること | 採用担当者が行うこと |
|---|---|
| 候補者の経歴と求人の魅力の材料を読み、接点を探す | スカウトを送る相手を最終的に決める |
| 接点をもとに、声をかけた理由とつながりの部分を下書きする | 下書きの内容が経歴と合っているかを確かめ、直す |
| 送り直しのメッセージを、前回と違う切り口で下書きする | 送るかどうか、いつ送るかを決める |
| 返信の有無と書いた接点を記録・整理する | 求人の魅力の材料を現場と話して更新する |
この分担にすると、採用担当者の仕事は「ゼロから書く」から「確かめて直す」に変わります。人が足りない中でも、1通ずつ書き分けたスカウトを続けやすくなり、空いた時間を面接や候補者との対話に回せます。
当社のAI社員は、今お使いの求人の情報や作業の流れに合わせて、求人の魅力の材料づくりから、接点を拾った下書き、送る前の確認の流れまでをまとめてつくることができます。料金は初期費用+月5万円で、運用を始めてからの文面の型や指示の見直しにも回数の制限なく対応しています。「まずは1つの求人で試してみたい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
よくある質問
スカウト文面をAIで作ると、テンプレートっぽい文章になりませんか?
候補者の経歴と求人の魅力の材料を並べて渡し、2つの接点を拾って「声をかけた理由」を書かせれば、1通ずつ内容の違う文面になります。書き分ける部分と共通の部分を分けておくと、自然でばらつきの少ない文面にしやすくなります。
AIが書いたスカウトをそのまま自動で送ってもよいですか?
送る前に採用担当者が確かめることをおすすめします。AIは経歴を読み違えたり、約束できない条件を書いたりすることがあるため、名前・経歴・条件・表現を人が確かめてから送りましょう。
候補者の経歴をAIに入力しても個人情報の問題はありませんか?
扱い方によっては問題になる場合があります。スカウトサービスの利用規約を確認し、AIに渡す情報を必要な職歴やスキルに絞り、入力内容が学習に使われない仕組みを選んで、使い終わったデータを消すルールを決めておきましょう。
スカウトの返信率を上げるには、送る数を増やすべきですか?
数を増やす前に、送る相手と文面を見直すことをおすすめします。求人とはっきりした接点がある候補者に絞り、経歴のどこを見て声をかけたのかを具体的に書くほうが、読まれるスカウトに近づきます。