業務別の自動化公開日

電話の予約受付・点検の案内はAIで自動化できるか——AI電話(音声AI)で予約の希望日まで確認する仕組みと

結論

はい、電話での予約受付や、車検・定期点検の時期の案内は、AIの電話(音声AI)で自動化できます。AIが電話で用件を聞き取り、希望の日時を確認して予約表の空きと照らし合わせ、確認のSMSやメールを送り、通話の要約を担当者に渡すところまでを任せられます。ただし込み入った相談やクレーム、聞き取りにくい通話は人に引き継ぐ前提で設計することが、うまく使うための条件です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、電話での予約受付や車検・点検時期の案内を、AIの電話(音声AI)で自動化する方法と、できること・難しいこと、人への引き継ぎの設計、録音や個人情報の注意点について解説します。「予約の電話が鳴るたびに作業の手が止まる」「車検や点検の時期が来たお客様に電話で案内したいが、人手が足りずに後回しになる」。自動車整備工場、クリニック、美容室やサロンなど、電話で予約を受けている会社では、こうした悩みをよく伺います。最近は、AIが人の代わりに電話で話す「音声AI」の仕組みが使えるようになり、予約の受付や案内を電話のまま自動化することが現実的になってきました。この記事では、AIの電話で何ができて何が難しいのか、かかってくる電話を受ける場合と、こちらから案内の電話をかける場合の違い、人に引き継ぐ場面の決め方、録音や個人情報で気をつけることを、経営者の方向けにわかりやすく説明します。なお、電話の伝言メモや折り返しの管理をAIで効率化する方法は別の記事で扱っています。この記事は、伝言を残すのではなく、予約や案内をAIが電話の中で完結させる話です。

AIの電話(音声AI)なら、予約の希望日の確認まで電話の中で完結できる

音声AIとは、人の声を聞き取って文字にし、内容を理解して返事を考え、その返事を自然な声で読み上げる仕組みのことです。昔からある自動音声案内(「〇〇の方は1を押してください」と番号で選ぶ仕組み)と違い、お客様は普通に話すだけで用件を伝えられます。

たとえば自動車整備工場なら、AIが電話に出て「車検のご予約ですね。ご希望の日にちはありますか」と聞き、お客様が「来週の水曜の午前がいいです」と答えると、AIが予約表の空きを確認して「水曜日の午前10時でしたらお取りできます」と返す、という流れを作れます。予約が決まったら、日時と持ち物を書いた確認のSMSやメールを送り、通話の要約を担当者に知らせます。

つまり、用件の聞き取り、希望日時の確認、予約表との照合、確認の連絡、担当者への報告までを、電話の中で一続きに自動化できるのが、音声AIを使う最大の利点です。人は、AIがまとめた結果を確認し、必要なときだけ電話に出ればよくなります。

ポイント

音声AIの価値は、電話を「取ること」より、電話の後の作業(予約表への記入、確認の連絡、担当者への共有)まで自動でつながることにあります。電話に出るだけの仕組みでは、結局人が後から記入し直すことになります。

一方で、AIの電話はどんな会話にも対応できるわけではありません。決まった型のある用件(予約、日時の変更、営業時間の問い合わせ、点検時期の案内)には強く、答えが一つに決まらない相談や、感情が絡むやりとりは苦手です。この得意・不得意を理解したうえで、任せる範囲を決めることが大切です。

かかってくる電話の受付(受電)と、こちらからの案内(架電)は分けて考える

電話の自動化には、大きく分けて2つの使い方があります。お客様からかかってきた電話にAIが一次対応する「受電」と、こちらからお客様に電話をかけて案内する「架電」です。同じ音声AIでも、目的や気をつける点が違います。

比べる点受電(かかってきた電話の一次受付)架電(こちらからの案内)
主な用途予約の受付、日時の変更・取り消し、営業時間や場所の問い合わせ車検・定期点検の時期の案内、予約日の前日連絡、来店がしばらくない方への案内
会話の始まりお客様が用件を話す。何の用件かをAIが聞き分ける必要があるAIが用件を伝える。会話の流れを決めておきやすい
効果が出やすい場面営業時間外や、作業中で電話に出られない時間帯案内したい件数が多く、人の手では回りきらないとき
難しいところ用件が想定外のとき、どこで人に替わるかの判断相手が出ない、忙しくて話せない、AIの電話を嫌がる方への配慮
電話の後の作業予約表への登録、確認SMS・メール、担当者への要約送付希望日の予約登録、つながらなかった方の再案内やSMSでの案内

車検や定期点検の案内は、架電の代表的な使い方です。整備記録や前回の来店日から、案内すべきお客様の一覧をAIが作り、順番に電話をかけて「〇月で車検の期限を迎えます。点検のご予約はいかがでしょうか」と伝え、希望があればその場で日にちを聞いて予約表に入れます。電話に出なかった方には、時間をおいてかけ直したり、SMSで予約用の案内を送ったりする流れも作れます。

どちらから始めるかは、今いちばん人の手が足りていないのはどちらかで決めるのがおすすめです。電話に出られず予約を取りこぼしているなら受電から、案内が後回しになって点検の予約が減っているなら架電から始めると、効果を実感しやすくなります。

AIの電話に任せられること・人が対応したほうがよいこと

音声AIに任せる範囲は、「会話の型が決まっているか」と「間違えたときの影響の大きさ」で考えると判断しやすくなります。代表的な用件を分けると、次のようになります。

用件の例AIとの相性理由
予約の受付・変更・取り消し任せやすい聞く項目(名前、連絡先、希望日時、用件)が決まっている
車検・定期点検の時期の案内任せやすい伝える内容が決まっており、希望日を聞く流れを作りやすい
営業時間・場所・持ち物などの問い合わせ任せやすい答えが決まっており、よくある質問として用意できる
料金や作業内容の詳しい相談人に引き継ぐ車や体、髪の状態によって答えが変わり、言い切ると誤解を招く
クレームやご不満の連絡人に引き継ぐ気持ちを受け止める対応が必要で、AIの対応が火に油を注ぐことがある
体調や症状についての相談(クリニック)人に引き継ぐ医療的な判断が絡むため、AIが答えてはいけない
周りが騒がしい、電波が悪い通話人に引き継ぐ聞き間違いで予約日を誤るおそれがある

高齢のお客様への配慮

高齢のお客様の中には、AIの声だと気づいて戸惑ったり、話す速さが合わずに途中で切ってしまったりする方もいます。AIの話す速さをゆっくりにする、聞き返しを2回したら人に替わる、「人と話したい」と言われたらすぐに替わる、といった配慮を最初から組み込んでおくと安心です。お客様の年齢層が高い業種では、受電は営業時間外だけAIにする、といった使い方から始めるのも一つの方法です。

また、AIが聞き取った名前や電話番号、日時は、確認のために必ず復唱させます。「水曜日の午前10時、〇〇様、お車はご登録の白い軽自動車でよろしいですか」と確かめるだけで、聞き間違いによる予約の誤りを大きく減らせます。

人への引き継ぎは「どこで替わるか」と「何を渡すか」を先に決める

AIの電話をうまく使えるかどうかは、人への引き継ぎの設計でほぼ決まります。AIが無理に対応を続けるとお客様の不満につながり、逆にすぐ人に替わりすぎると自動化の意味がなくなるためです。次の手順で決めていくと、迷わずに設計できます。

  1. 引き継ぐ条件を書き出す:「クレームの言葉が出た」「AIが2回聞き返しても用件がわからない」「お客様が人と話したいと言った」「料金や症状の相談だった」など、人に替わる条件を一覧にします
  2. 引き継ぎ方を決める:その場で担当者の電話に転送するのか、担当者から折り返すのかを決めます。営業時間外や全員が手を離せない時間は、折り返しの約束をして終えるのが現実的です
  3. 渡す内容を決める:お客様の名前、連絡先、用件の要約、AIが確認できたこと・できなかったことを、担当者がすぐ読める形で送ります。お客様に同じことを二度話させないためです
  4. 折り返しの期限を決める:「当日中に折り返す」など期限を決め、期限が近づいても対応されていない件をAIが知らせるようにします
  5. 引き継いだ通話を見直す:どんな用件で人に替わったかを定期的に振り返り、AIで対応できそうな用件は受け答えを足していきます

引き継ぎの設計で確認すること

  • 人に替わる条件が具体的な言葉で決まっているか
  • お客様が「人と話したい」と言ったら、すぐに替われるか
  • 転送できない時間帯の折り返しの約束の仕方が決まっているか
  • 担当者に渡す要約に、名前・連絡先・用件・確認済みの事項が入っているか
  • 折り返しの期限と、遅れたときの通知先が決まっているか
  • 引き継いだ通話を見直す担当者と頻度が決まっているか

最初は人に替わる条件を広めにとり、運用しながら少しずつAIの対応範囲を広げていくのが安全です。はじめからすべての電話をAIに任せようとせず、「予約と案内だけはAIで完結、それ以外は人へ」と線を引くところから始めると、現場の負担もお客様の不安も小さく抑えられます。

録音・案内の電話で気をつけたい、相手への告知と個人情報の扱い

音声AIは、お客様の声を聞き取って文字にするため、通話の録音や文字起こしのデータが残ります。また、こちらから案内の電話をかける場合は、相手が望まない連絡にならないよう配慮が必要です。導入前に、次の点を社内で決めておきましょう。

AIが対応していること・録音していることを伝える

通話の最初に「この電話はAIが受け付けています」「サービス向上のため通話を録音しています」と伝えるのが基本です。相手に知らせずにAIで対応したり録音したりすると、後で知ったお客様が不信感を持つことがあります。人と話したい方のために、替わる方法も最初に案内しておくと親切です。

個人情報の扱いを決める

通話には、名前や電話番号、車の情報、クリニックであれば症状など、個人情報が含まれます。録音や文字起こしのデータをどこに保存し、誰が見られて、いつ消すのかを決めておく必要があります。使うAIのサービスについても、入力した音声や文字がAIの学習に使われないか、どこの国のサーバーに保存されるかを確認しておくと安心です。とくに医療機関の場合は、症状などの情報はより慎重な扱いが求められる場合があります。

案内の電話をかける相手と時間帯

点検の案内などこちらから電話をかける場合は、これまでに取引のあるお客様に限る、連絡を望まないと言われた方には今後かけない、早朝や夜間は避ける、といったルールを決めておきます。案内の電話や、電話番号への案内の送り方には、法令や業界のルールが関わる場合があります。個人情報や電話での案内に関する決まりは改正されることもあるため、最新の情報は個人情報保護委員会や消費者庁などの公式サイトで確認してください。

ポイント

告知の文言、録音データの保存期間、案内の電話をかけない条件の3つを先に決めておくと、導入後に迷う場面が大きく減ります。

まずは一つの用件から、自社の電話に合うAIの仕組みを相談する

AIの電話で予約や案内を自動化するときは、いきなりすべての電話を任せるのではなく、一つの用件から始めるのがおすすめです。たとえば「営業時間外の予約受付だけ」「車検の時期が近いお客様への案内だけ」と範囲を絞ると、どこでつまずくかが見えやすく、受け答えの改善もしやすくなります。

導入の効果は、電話の本数や用件の種類、予約表の管理方法によって変わります。まずは、1日に何本の予約電話があるか、そのうち何割が決まった型の用件か、案内したいのに手が回っていないお客様がどれくらいいるかを数えてみると、どこから自動化すべきかがはっきりします。予約表を紙で管理している場合は、AIが空きを確認できるよう、表計算ソフトや予約の仕組みに移すところから始める必要があります。

当社の「AI社員」は、会社ごとの業務に合わせてAIの仕組みを作り、運用まで支える月額のサービスです。電話の後に発生する予約表への登録、確認メッセージの送付、担当者への要約の共有、折り返しの期限管理といった作業を、一つの流れにまとめることができます。どの用件をAIに任せ、どこから人に替わるかの線引きも、業務の内容をお聞きしながら一緒に決めていきます。料金は初期費用+月5万円で、保守・相談・メンテナンスは回数の制限なくご利用いただけます。初期費用は業務の内容をお聞きしたうえでお見積もりします。構築期間は内容によって2週間程度から1か月程度で、最短2週間で稼働できます。

当社にはこれまで、建設・設備、医療・介護、物流、不動産など、約90社からご相談をいただいてきました。予約の電話に追われている、点検の案内が後回しになっているといったお悩みがあれば、今の電話の受け方と予約表の管理方法をお聞かせください。AIに任せられる範囲と、人が対応すべき場面を整理するところから、お気軽にご相談ください。

よくある質問

車検や定期点検の時期を電話で案内し、予約の希望日まで確認できるAIのサービスはありますか?

あります。音声AIを使えば、案内すべきお客様に電話をかけて点検時期を伝え、希望日を聞いて予約表の空きと照合し、確認のSMSやメールを送るところまで自動化できます。電話に出なかった方への再案内や、相談が必要な方を担当者に引き継ぐ流れもあわせて設計します。

AIの電話だとお客様に嫌がられませんか?

最初にAIが対応していることを伝え、人と話したいと言われたらすぐに替わるようにしておけば、多くの場合は問題なく使えます。高齢のお客様が多い場合は、話す速さをゆっくりにしたり、営業時間外だけAIにしたりする配慮が有効です。

電話の伝言メモをAIで作る仕組みとは何が違いますか?

伝言メモの仕組みは、電話の内容を記録して担当者に伝え、人が折り返すためのものです。音声AIによる予約受付や案内は、希望日時の確認や予約表への登録まで、AIが電話の中で完結させる点が違います。

予約表が紙でも、AIの電話で予約を受けられますか?

AIが空き状況を確認するには、予約表がパソコンで扱えるデータになっている必要があります。紙で管理している場合は、まず表計算ソフトや予約の仕組みに移すところから始めます。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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