費用・比較・選び方公開日

社員を1人雇うのとAIに任せるのはどちらがよいか——費用・リスク・向いている仕事の比較

結論

社員を1人雇うかAIに任せるかは、「どちらか一方を選ぶ」ものではなく、繰り返しの作業はAIに、判断や対人の仕事は人に、と仕事の種類で分けて考えるのが答えです。費用の面では、社員1人には月給に加えて社会保険料などがかかる一方、当社のAI社員は初期費用+月5万円(AI利用料は実費)で決まった作業を担います。AIは人の判断を置き換えるものではないため、今いる社員の繰り返し作業を引き取り、人にしかできない仕事に時間を回す使い方が最も効果的です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、社員を1人雇う場合とAIに任せる場合の比較について解説します。「事務が回らないので人を増やしたい。でも採用は難しく、人件費も気になる」という相談は、当社にも多く寄せられます。そこで出てくるのが「人を雇うのと、AIに任せるのは、どちらがよいのか」という問いです。この記事では、費用・リスク・向いている仕事の3つの観点から両者を公平に比べ、どう組み合わせればよいかを説明します。

社員を1人雇うと、月給のほかに何がかかるか

社員を1人雇うときにかかる費用は、月給だけではありません。主に次のような費用がかかります。

  • 月給:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の所定内給与(残業代などを除いた毎月の給与)の平均は約33万円です。実際の金額は、職種・地域・経験によって大きく変わります
  • 社会保険料などの会社負担:健康保険・厚生年金・雇用保険などの保険料のうち、会社が負担する分がかかります
  • 賞与や通勤手当など:会社の制度によって、賞与や各種手当がかかります
  • 採用にかかる費用:求人広告や人材紹介を使う場合は、その費用がかかります
  • 教育にかかる時間:仕事を覚えてもらうまでの期間、先輩社員が教える時間も必要です

このように、社員1人を雇う費用は月給より大きくなるのが一般的です。ただし、それは人が「判断し、相手と関係をつくり、状況に合わせて動ける」存在であることへの投資でもあります。費用だけで人とAIを比べるのは、公平な比較ではありません。

なお、当社自身も社内の業務にAIを使い、月約480時間の作業時間を削減しました。これは社員3名分(月給33万円で計算)、月約100万円の人件費に相当します。ただしこれは、人を減らしたというより、繰り返しの作業をAIに移し、社員がより大切な仕事に時間を使えるようにした結果です。

費用・リスク・向いている仕事の比較表

社員を1人雇う場合と、AIに任せる場合の違いを表にまとめます。

観点社員を1人雇うAIに任せる(当社のAI社員の場合)
毎月の費用月給(平均で約33万円)+社会保険料などの会社負担+手当など月5万円(別途初期費用、AI利用料は実費)
始めるまでの期間採用活動の期間+仕事を覚える期間構築期間(ジュニア2週間程度、ミドル1か月程度)
得意な仕事判断、対人対応、例外への対処、改善の提案決まった手順の繰り返し、読み取り・入力・整理、文案づくり
苦手な仕事大量の単調な作業を長時間ミスなく続けること前例のない判断、相手の気持ちをくむ対応、責任を負う決定
主なリスク採用できない、早期に退職する、仕事が属人化する読み取りや文面の誤り、ルールが古いまま動く、情報の扱いの不備
リスクへの備え手順書づくり、複数人での担当人の確認を残す、ルールの更新、法人向けの設定を選ぶ

表を見るとわかるように、両者は得意なことがはっきり違います。AIは費用を抑えて決まった作業を正確に続けられますが、人のように状況を読んで判断することはできません。反対に、人に単調な入力作業ばかりを任せるのは、費用の面でも、本人のやりがいの面でももったいない使い方です。

AIに向いている仕事、人に残すべき仕事

AIに向いている仕事

  • FAXやPDFで届く受注書・請求書の読み取りと入力
  • 問い合わせへの回答案づくり
  • シフト案や日程の候補づくり
  • 日報・議事録・記録の整理と集計
  • 決まったルールに合っているかの照合

人に残すべき仕事

  • お客様や取引先との関係づくり、交渉
  • クレームや込み入った相談への対応
  • 採用の合否、評価、条件の決定
  • 前例のない問題への判断、改善の提案
  • AIが作ったものの最終確認と、結果への責任

当社の導入事例でも、AIに任せたのは繰り返しの作業で、最終的な判断は人が行っています。製造業(従業員30名規模)では受注書入力が1日2時間から15分に、不動産(従業員15名規模)では問い合わせへの初回返信が半日から10分に、介護(職員50名規模)では毎月のシフト作成が2日から半日になりました。いずれも、空いた時間を人にしかできない仕事に回しています。

ポイント

「AIに置き換える」ではなく、「今いる社員の手から繰り返し作業を外す」と考えると、社員の不安も小さくなり、導入がうまく進みやすくなります。

人を雇うべきか、AIに任せるべきかの判断チェックリスト

迷ったときは、増やしたい仕事の中身を次のチェックリストで確認してみてください。

AIに任せやすい仕事のチェックリスト

  • 毎日・毎週など、決まった頻度で繰り返し発生する
  • 手順やルールを文章で説明できる
  • 入力・読み取り・整理・文案づくりが中心である
  • 最終確認をする人を社内に置ける
  • 間違いがあっても、人の確認で防げる

人を雇ったほうがよい仕事のチェックリスト

  • お客様や取引先と直接やり取りし、関係をつくる必要がある
  • その場の状況を見て判断することが多い
  • 現場での作業や、物を扱う作業がある
  • 結果に対して責任を持つ人が必要である
  • 新しい仕事を考え、改善していく役割を期待している

上のチェックが多く当てはまる仕事はAIに、下のチェックが多く当てはまる仕事は人に向いています。実際には、1つの仕事の中に両方が混ざっていることがほとんどです。その場合は、仕事を工程に分け、繰り返しの工程だけをAIに任せるのがおすすめです。

人とAIを組み合わせるときの進め方

人とAIを組み合わせるときは、次の順番で進めると失敗しにくくなります。

  1. 今の社員の仕事を書き出す:1日のうち、どの作業にどれくらい時間がかかっているかを確認します
  2. 繰り返しの作業を選ぶ:チェックリストに当てはまる作業を1つ選びます
  3. AIに任せる範囲と人の確認を決める:最終確認は人が行う形にします
  4. 空いた時間の使い道を決める:営業、顧客対応、改善など、人にしかできない仕事に回します
  5. それでも足りなければ人を採用する:AIで繰り返し作業を減らしたうえで、本当に必要な役割の人を採用します

この順番で進めると、採用が必要な場合も「入力担当」ではなく「お客様対応や改善を任せられる人」という形で求める人物像がはっきりし、採用後も社員が力を発揮しやすくなります。

AI社員の費用の考え方と相談の流れ

当社のAI社員は、初期費用+月5万円(税別、契約12か月、AI利用料は実費)でご提供しています。月額には、保守・相談・メンテナンスが無制限で含まれます。初期費用は、任せたい業務の内容をヒアリングしたうえでお見積もりします。

これまでに、建設・設備、医療・介護、製造、教育、物流、食品、不動産、出版・印刷、人材、士業・会計など、約90社からご相談をいただきました。その多くが「人を増やす前に、今の社員の負担を減らしたい」という相談です。

まずは、人を雇うことを考えている仕事の中身を伺い、AIに任せられる部分と、人が担うべき部分を一緒に整理します。その結果、AIではなく採用のほうが合っているとわかることもあります。その場合も、率直にお伝えしています。

よくある質問

AIを入れれば、社員を雇わなくて済みますか?

繰り返しの作業はAIに任せられますが、判断や対人の仕事は人が担う必要があります。AIは人の代わりではなく、今いる社員の負担を減らす手段として考えるのがおすすめです。

AI社員の費用は月5万円だけですか?

月5万円のほかに初期費用がかかり、AIの利用料は実費となります。初期費用は任せたい業務の内容をヒアリングしたうえでお見積もりします。

AIが間違えたときの責任は誰が持ちますか?

AIが作ったものは人が確認してから使う運用にし、最終的な判断と責任は会社の担当者が持つ形をおすすめします。確認の手順は導入時に一緒に決めます。

社員がAIに仕事を取られると不安に感じないでしょうか?

繰り返しの作業を外し、人にしかできない仕事に時間を使ってもらうための導入であることを、最初に社員へ伝えることが大切です。担当者と一緒に任せる範囲を決めると、不安を小さくできます。

参考情報

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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