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経費精算のルールを何度説明しても同じ質問が来るのをAIで減らすには?——規程に基づいて答え、判断が分かれるものは担当者へ回す仕組み

結論

経費精算のルールについて何度説明しても同じ質問が来るなら、社内の経費規程をAIに読ませて「この経費は落ちるか」「どの科目か」「どの書類が必要か」に規程の該当箇所つきで答えさせ、規程だけでは判断が分かれるものは担当者へ回す仕組みにすると、経理・総務が受ける質問と差し戻しを減らせます。大切なのは、AIが答えてよい範囲と担当者へ回す基準を先に決めておくことと、社員が申請する前に聞ける場所にAIを置くことです。回された質問を記録して規程の書き方を直していけば、同じ質問そのものも少しずつ減っていきます。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、経費精算のルールについて社員から何度も来る同じ質問と差し戻しを、社内規程に基づいて答えるAIで減らす方法について解説します。「タクシー代は精算できますか」「取引先との昼食は会議費ですか、交際費ですか」「領収書をなくしたらどうすればいいですか」。経費精算のルールは説明会でも社内の案内でも伝えているのに、同じ質問がチャットや電話で何度も届く。しかも申請が出てきてから書類の不足や科目の誤りが見つかり、差し戻しのやりとりが続く。経理・総務の責任者であれば、こうした状況に心当たりがあるのではないでしょうか。この記事では、経費規程の質問に答えるAIの仕組み、AIに任せる質問と担当者へ回す質問の分け方、AIが正しく答えられるように規程を整えるコツ、申請前に聞ける場所に置いて差し戻しを減らす方法、そして始める手順と注意点を説明します。領収書の読み取りや仕訳そのものではなく、「ルールについての質問と差し戻し」を減らすことに絞ってお伝えします。

同じ質問が繰り返されるのは、説明不足ではなく「聞くタイミングに答えがない」から

経費精算のルールについて同じ質問が繰り返されるのは、社員の理解が足りないからでも、説明が下手だからでもないことがほとんどです。原因は、社員が困った「そのとき」に、すぐ答えが見つからないことにあります。

説明会で聞いた内容は、実際に出張したり取引先と食事をしたりする数か月後には忘れてしまいます。経費規程は社内の共有フォルダにあっても、何十ページもある文書の中から自分のケースに当てはまる条文を探すのは手間がかかります。結果として「経理の人に聞いたほうが早い」となり、同じ質問が経理・総務に集まります。

経理・総務に届く質問は、だいたい次の5つの種類に分けられます。

質問の種類よくある聞き方規程で答えられるか
落ちるか「このタクシー代は精算できますか」多くは答えられる
科目「取引先との昼食は会議費ですか、交際費ですか」基準があれば答えられる
必要な書類「領収書のほかに何を付ければいいですか」答えられる
期限・上限「精算はいつまでに出せばいいですか」「宿泊費の上限は」答えられる
例外・困りごと「領収書をなくした」「立て替えた金額が大きい」担当者の判断が必要なことが多い

表のとおり、質問の多くは規程を読めば答えられるものです。毎回、経理の担当者が規程を開いて同じ答えを返しているなら、その部分はAIに任せられます。一方で、例外や困りごとは規程だけでは決められないため、人が判断する必要があります。この「規程で答えられるもの」と「人が判断するもの」を分けることが、仕組みづくりの出発点です。

仕組み:AIが規程の該当箇所を示して答え、判断が分かれるものは担当者へ回す

経費規程の質問に答えるAIは、次のような流れで動きます。

  1. 社員が質問する:社内チャットや申請画面の横にある質問欄に、「来週の大阪出張で、前泊のホテル代は精算できますか」のように書き込む
  2. AIが規程の関係する箇所を探す:経費規程、旅費規程、科目の対応表、社内のよくある質問などから、質問に関係する部分を探し出す
  3. 規程にもとづいて答える:「落ちる・落ちない」「科目の候補」「必要な書類」「期限」を、規程の該当箇所(何条・どの表か)と一緒に示す
  4. 判断が分かれるものは担当者へ回す:規程に書かれていない、例外にあたる、金額が大きいなどの場合は、AIが答えを出さずに担当者へ質問を回し、社員には「担当者に確認しています」と伝える
  5. 担当者の回答を記録する:担当者が答えた内容を残し、同じ質問が次に来たときの参考にする

手元の資料を探してから答えさせるこの仕組みは、RAG(検索拡張生成。手元の資料を検索し、その内容をもとにAIに答えさせる仕組み)と呼ばれる考え方を使っています。社内の質問全般に答える仕組みは「社内の質問にAIで答える仕組みの作り方」の記事で説明していますので、ここでは経費規程ならではの工夫に絞ります。

AIが答える範囲を3段階に分けておく

段階例AIの動き
AIが答えてよい精算の期限、必要書類、宿泊費の上限、科目の対応表にある経費規程の該当箇所を示して答える
条件つきで答える取引先との飲食(人数や1人あたりの金額で科目が変わる)条件を確かめる質問を返してから答える
担当者へ回す規程にない経費、領収書の紛失、上限を超える支出、私用との区別があいまいなもの答えを出さず、質問内容をまとめて担当者へ回す

「条件つきで答える」段階を作っておくのがコツです。たとえば取引先との飲食は、規程で人数や金額によって扱いを分けている会社が多いため、AIが「参加者は何名で、1人あたりおよそいくらですか」と聞き返してから答えるようにします。これだけで、あいまいなまま申請されて後から差し戻す、というやりとりを減らせます。

ポイント

AIに「規程に書かれていないことは答えない」「迷ったら担当者へ回す」と明確に伝えておくことが、いちばん大切な設定です。AIが無理に答えを作るより、担当者に回るほうがずっと安全です。

AIに読ませる前に、経費規程を「答えられる形」に整える

AIの答えの正しさは、元になる規程の書き方で大きく変わります。人が読めば前後の流れから察しがつく書き方でも、AIは取り違えることがあります。AIに読ませる前に、次の点を確かめて規程を整えましょう。

経費規程をAIに読ませる前のチェックリスト

  • 最新版の規程だけを読ませ、古い版や下書きは外している
  • 上限額・期限・承認者が、数字や役職ではっきり書かれている
  • 「よくある経費」と「科目」の対応表がある(例:タクシー代→旅費交通費)
  • 経費ごとに必要な書類(領収書・請求書・参加者名簿など)が一覧になっている
  • 「部長が認めた場合は」などの例外は、誰に確認するかまで書かれている
  • 部署や役職によってルールが違う場合、その違いが明記されている
  • 規程とは別に出した通知やメールのルールを、規程か補足資料にまとめている

特に見落としやすいのが、最後の項目です。「今年からオンライン会議用の機材は事前申請が必要」のように、規程の改定ではなくメールや朝礼で伝えたルールは、AIが知る手段がありません。規程の補足資料として一か所にまとめておくと、AIも正しく答えられるようになります。

「よくある質問と答え」を一緒に読ませる

規程に加えて、これまで経理・総務が答えてきた質問と答えを整理して読ませると、答えの質が上がります。チャットやメールの過去のやりとりから、よく聞かれる質問を20〜30問ほど拾い出し、「質問・答え・根拠の条文」の形でまとめておくのがおすすめです。過去のやりとりを拾い出して整理する作業は、それ自体をAIに下書きさせることもできます。

整える作業をしていると、「この経費は担当者によって答えが違っていた」という食い違いが見つかることがあります。AIを入れる前に答えをそろえておけば、社員にとっても不公平がなくなり、経理・総務の負担も減ります。

申請する前に聞ける場所に置くと、差し戻しが減る

質問に答えるAIは、置く場所によって効果が変わります。経理への問い合わせ窓口の代わりに置くだけでなく、社員が経費を使う前や申請書を書いている最中に聞ける場所に置くと、差し戻しそのものを減らせます。

使う前・申請する前・申請した後の3つの場面

  1. 使う前:「出張でレンタカーを使ってもよいか」「この備品は自分で買って精算してよいか」を事前に確かめられる。使ってから精算できないとわかる、という事態を防ぐ
  2. 申請する前:申請内容を書き込むと、AIが「この経費には参加者の名前が必要です」「科目は会議費ではなく交際費の可能性があります」と、不足や誤りを申請前に知らせる
  3. 申請した後:差し戻された理由がわからないとき、どの規程に当たるのかをAIに聞いて確かめられる

2つ目の「申請前のチェック」は、差し戻しを減らすうえで特に効果があります。経理・総務が申請を受け取ってから不足に気づき、社員に連絡し、社員が書類をそろえて出し直す、という往復がなくなるからです。

場面AIを入れる前AIを入れた後
ルールがわからないとき経理にチャットや電話で聞き、返事を待つその場でAIに聞き、規程の該当箇所つきで答えをもらう
申請書を書くときうろ覚えで科目や書類を選ぶ申請前にAIが不足や科目の誤りの可能性を知らせる
経理の確認不足に気づくたびに差し戻しの連絡を書く規程どおりの申請が増え、例外の判断に時間を使える
判断が分かれるもの担当者ごとに答えがばらつく担当者に回り、答えが記録されて次からそろう

なお、領収書の読み取りや金額・日付の入力、仕訳の作成をAIで効率化する方法は「経費精算・領収書の入力をAIで効率化する方法」の記事で説明しています。この記事で扱う「ルールの質問への回答」と組み合わせると、申請する側と確認する側の両方の手間を減らせます。

担当者へ回す基準を決め、回ってきた質問で規程を直していく

AIに任せる仕組みでいちばん大切なのは、「どこから先は人が判断するか」をはっきり決めておくことです。次のような質問は、AIに答えを出させず、担当者へ回すように設定しましょう。

担当者へ回す質問の基準

  • 規程や補足資料に、当てはまる記載が見つからない
  • 規程の上限額や期限を超える、または例外の扱いを求めている
  • 領収書の紛失、立て替えた金額が大きい、支払った人と申請者が違う
  • 私用と仕事の区別があいまい(家族の同行、出張先での私用の延泊など)
  • 税金の扱いにかかわる判断が必要(給与として扱うべきかどうかなど)
  • 質問した社員が、答えに納得していない

税金や会計の扱いは、会社の規程だけでなく法令や制度にもかかわります。交際費の扱いや、インボイス制度・電子帳簿保存法に関係する保存のしかたなどは、改正されることもあります。AIには規程の範囲で答えさせ、法令の解釈が必要なものは担当者や顧問の税理士に確認する流れにしてください。最新の取り扱いは、国税庁などの公式の情報で確認することをおすすめします。

回ってきた質問は「規程の直しどころ」の一覧になる

担当者へ回った質問を記録しておくと、それがそのまま規程を直すための材料になります。月に1回、回ってきた質問を見返して、次のように手を入れていきます。

  1. 同じ質問が何度も回ってきているものを探す
  2. 担当者の答えがいつも同じなら、規程か補足資料にその答えを書き足す
  3. 書き足した内容をAIに読ませ、次からはAIが答えられるようにする
  4. 規程そのものがわかりにくい場合は、書き方を改める

こうして続けていくと、AIが答えられる範囲が少しずつ広がり、担当者に回る質問は「本当に人の判断が必要なもの」に絞られていきます。社員への説明を増やすのではなく、答えが見つかる場所と規程の書き方を直していくことが、同じ質問を減らす近道です。

始める手順と、導入するときに気をつけること

経費規程の質問に答えるAIは、次の順番で始めるとスムーズです。

  1. よく来る質問を集める:過去数か月のチャットやメールから、経費についての質問と差し戻しの理由を拾い出す
  2. 規程を整える:最新版の規程、科目の対応表、必要書類の一覧、補足のルールを一か所にまとめる
  3. 答える範囲と回す基準を決める:「AIが答えてよい」「条件つきで答える」「担当者へ回す」の3段階を決める
  4. 経理・総務の中で試す:集めた質問をAIに聞いてみて、答えと根拠の条文が正しいかを担当者が確かめる
  5. 一部の部署から使い始める:出張や接待の多い営業部門など、質問が多い部署から始め、答えの質を見ながら広げる

気をつけたいこと

  • 最終の判断は人が行う:AIの答えは「規程ではこうなっています」という案内であり、精算を認めるかどうかを決めるのは承認者と経理です。社員にもそのことを伝えておきます
  • 規程を改めたら、すぐにAIにも反映する:古い規程のまま答え続けると、かえって混乱を招きます。規程を改める手順の中に「AIの資料を差し替える」を入れておきましょう
  • 個人の情報を必要以上に入れさせない:質問には経費の中身だけを書いてもらい、取引先の担当者名や社員の個人的な事情などは、必要がなければ書かないよう案内します

当社のAI社員は、今お使いの経費精算の仕組みや社内チャットに合わせて、経費規程にもとづいて答える仕組み、担当者へ回す基準の設定、回ってきた質問の記録と規程の見直しまでを一続きでつくることができます。料金は初期費用+月5万円で、規程の改定に合わせた調整や運用後の相談にも回数の制限なく対応しています。「同じ質問への返事で一日が終わってしまう」と感じている経理・総務の方は、まずはよく来る質問を一緒に整理するところからお気軽にご相談ください。

よくある質問

経費精算の質問にAIが答えても、間違った答えを出すことはありませんか?

間違える場合はあります。規程に書かれていることだけを根拠に答えさせ、該当する条文を必ず示させ、規程にないものや例外は担当者へ回す設定にすることで、間違いを減らし、間違っても人が気づける形にします。

「この経費は落ちますか」という質問にAIが答えてよいのですか?

規程に明記されている範囲であれば、規程の案内として答えさせて問題ありません。ただし精算を認めるかどうかの最終判断は承認者と経理が行い、例外や判断が分かれるものは担当者へ回すようにしてください。

経費規程がわかりにくい場合でも、AIは答えられますか?

書き方があいまいな規程では、AIの答えもあいまいになりやすいです。上限額・必要書類・科目の対応表・例外の確認先をはっきり書き、よくある質問と答えを一緒に読ませると、答えの正しさが上がります。

経理の差し戻しを減らすには、AIをどこに置けばよいですか?

社員が申請書を書いている途中で聞ける場所に置くのが効果的です。申請前にAIが不足している書類や科目の誤りの可能性を知らせれば、申請を受け取ってから差し戻す往復を減らせます。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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