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AI導入後の保守・メンテナンスでは何が必要か——止まる・精度が落ちる原因と保守契約の確認点

結論

AI導入後の保守で必要なのは、動いているかの見守り、書式や業務の変化に合わせた調整、連携しているツールの仕様変更への対応の3つです。AIの仕組みは周りの環境が変わると止まったり精度が落ちたりするため、導入前に「誰が、どこまで、いくらで直すか」を保守契約で決めておくことが大切です。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、AI導入後の保守・メンテナンスで必要なことについて解説します。AIを導入した直後はうまく動いていたのに、数か月後に「読み取りの誤りが増えた」「ある日から動かなくなった」ということは珍しくありません。AIの仕組みは、一度作ればずっとそのまま使えるものではないからです。この記事では、AIが止まったり精度が落ちたりする原因、導入後に必要な保守の中身、誰が直すかの決め方、保守契約で確認しておくべき点を説明します。

AIは導入して終わりではない:周りの変化で調整が必要になる

AIの仕組みは、メール、表計算、販売管理、チャットなど、さまざまなツールとつながって動いています。また、取引先から届く書類や、社内の業務の手順を前提に作られています。

そのため、AIそのものに問題がなくても、周りの環境が変わると、それに合わせた調整が必要になります。たとえば、取引先が注文書の書式を変えた、使っているツールが新しい仕様に変わった、社内で商品の種類が増えた、といった変化です。

これは、新しく入った社員に仕事のやり方の変更を伝えるのと同じです。業務が変われば、AIにも変更を伝え、やり方を直す必要があります。導入前にこの前提を理解しておくと、導入後に慌てずに済みます。

AIが止まる・精度が落ちる主な原因

導入後にAIの動きがおかしくなる原因は、主に次のようなものです。

原因起こること主な対応
連携しているツールの仕様変更データの受け渡しができなくなり、処理が止まる新しい仕様に合わせて接続の部分を直す
ツールのログイン情報や権限の変更パスワードの変更や担当者の退職で、AIがツールに入れなくなる接続の設定や権限を設定し直す
取引先の書式の変更読み取る位置や項目名が変わり、誤りが増える新しい書式を読み取れるよう指示や設定を直す
業務のルールや商品の変更古いルールや情報のまま処理や回答案が作られるAIが参照する資料や指示を最新にする
AIのモデルの更新同じ指示でも出力の傾向が少し変わることがある結果を確認し、必要に応じて指示を調整する
扱う量の増加処理に時間がかかる、AIの利用料が増える処理の仕方や利用料の見込みを見直す

このうち、完全に「止まる」のは主にツールの接続に関する原因で、「精度が落ちる」のは主に書式や業務の変化が原因です。止まった場合はすぐに気づけますが、精度の低下は少しずつ進むため、気づくのが遅れやすい点に注意が必要です。

導入後に必要な保守・メンテナンスの中身

AIの保守・メンテナンスとして必要な作業は、大きく次の4つに分けられます。

  1. 見守り:処理が止まっていないか、エラーが出ていないかを確認します
  2. 不具合の修正:止まった、誤った処理をした、といった問題の原因を調べて直します
  3. 変化への調整:取引先の書式やツールの仕様、社内のルールが変わったときに、AIの指示や設定を直します
  4. 改善:担当者がよく手直ししている箇所を見つけ、AIの指示や参照する資料を見直して精度を上げます

特に4つ目の改善は見落とされがちですが、続けるほどAIの出力が業務に合っていき、人が確認する手間が減っていきます。

保守の作業の多さは、AIに任せている業務の範囲や、連携しているツールの数によって変わります。つながっているツールが多いほど、仕様変更の影響を受ける場所も増えるため、見守りの重要性が高くなります。また、AIの結果を記録しておくと、いつから誤りが増えたのか、どの取引先の書類で問題が起きているのかをさかのぼって調べやすくなり、原因の特定が早くなります。

ポイント

精度の低下に早く気づくには、毎日AIの結果を確認している担当者の「最近、直す回数が増えた」という感覚が一番の手がかりです。気づいたことを気軽に伝えられる窓口を用意しておきましょう。

誰が直すか:社内か外部かを導入前に決めておく

保守の作業を誰が担当するかは、会社の状況によって変わります。

社内で直す場合

社内にAIや仕組みに詳しい人がいれば、自社で直すこともできます。ただし、その人が異動や退職をすると、誰も直せなくなるおそれがあります。手順を書き残し、複数人がわかる状態にしておくことが必要です。

外部に任せる場合

社内に直せる人がいない場合は、仕組みを作った会社や保守を請け負う会社に任せます。このとき、作った会社と保守を頼む会社が別だと、仕組みの中身がわからず、直すのに時間がかかることがあります。

どちらの場合も社内に残る役割

外部に任せる場合でも、「おかしい」と気づいて伝える役割と、取引先の書式変更や業務の変更を前もって知らせる役割は社内に残ります。誰がこの役割を担うのかを決めておくと、問題が小さいうちに対応できます。

止まったときに業務を続ける方法も決めておく

どれだけ保守をしていても、ツールの障害などでAIが一時的に止まることはありえます。そのときに業務が止まらないよう、「AIが動かないときは、以前の手順で手作業する」「誰が判断して切り替えるか」を決めておきましょう。以前の手順を簡単なメモに残しておくだけでも、いざというときに慌てずに済みます。

変更の予定は早めに伝える

取引先の書式変更や、使っているツールの入れ替え、商品の大きな入れ替えなど、前もってわかっている変化は、保守を担当する人に早めに伝えておくと、変更の日に合わせて準備ができます。変わってから直すより、止まる時間を短くできます。

保守契約で確認しておくべきこと

外部に保守を任せる場合は、契約前に次の点を確認してください。「保守」という言葉に含まれる範囲は、会社によって大きく違います。

保守契約のチェックリスト

  • 月額料金に含まれる作業の範囲(問い合わせ・不具合の修正・書式変更への調整など)
  • 問い合わせや修正の回数・時間に上限があるか
  • 連携しているツールの仕様が変わったときの対応が含まれるか
  • 新しい業務の自動化や大きな機能追加は、どのように見積もられるか
  • AIの利用料などの実費は、月額に含まれるか別か
  • 不具合を連絡する方法と、対応を始めるまでの目安
  • 契約期間と、更新・解約の条件
  • 解約したとき、仕組みやデータがどうなるか

特に「どこまでが月額の範囲で、どこからが別料金か」は、あとで食い違いが起きやすい点です。具体的な例を挙げて確認しておくと安心です。

当社AI社員の保守の考え方

参考として、当社のAI社員の保守の条件を紹介します。

項目内容
月額月5万円(税別。AIの利用料は実費)
含まれるもの保守、お問い合わせ・ご相談、メンテナンスを回数の制限なく対応
契約期間12か月
別途お見積もりになるもの新しい業務の自動化や、大きな機能追加

当社では、取引先の書式が変わった、ツールの仕様が変わった、使っていて気になる点がある、といった日々の調整は月額の中で対応します。一方、別の業務を新たに自動化したい、大きな機能を加えたいといった場合は、内容を伺ったうえで別途お見積もりします。

当社自身も、自社の業務にAIを使い、月 約480時間の作業を削減してきました。その中で、導入後の調整を続けることが効果を保つうえで欠かせないと実感しています。AIの導入を検討するときは、作る費用だけでなく、導入後に誰がどう支えるのかまで含めて比べてみてください。

よくある質問

AIは一度作れば、ずっとそのまま使えますか?

そのまま使い続けられる場合もありますが、取引先の書式や連携しているツールの仕様、社内の業務が変わると調整が必要になります。導入後に直す体制を用意しておくことをおすすめします。

AIの精度が落ちてきたかどうかは、どうやって気づけばよいですか?

担当者がAIの結果を手直しする回数が増えたら、精度が落ちているサインです。気づいたことをすぐに伝えられる窓口を決めておくと、早めに調整できます。

保守契約をしないとどうなりますか?

社内に直せる人がいれば保守契約なしでも運用できますが、いない場合は、止まったときや書式が変わったときに直せず、使われなくなるおそれがあります。導入前に、誰が直すかを決めておくことが大切です。

MEDISITEのAI社員の月5万円には、新しい業務の自動化も含まれますか?

含まれません。月5万円には保守、お問い合わせ、メンテナンスが回数の制限なく含まれますが、新しい業務の自動化や大きな機能追加は別途お見積もりになります。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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