AI用語・基礎知識公開日

AIエージェントとは? 生成AI・RPAとの違いと、中小企業での使いどころ

結論

AIエージェントとは、目的を与えると、必要な情報を集め、内容を判断し、メールやシートなどのツールを操作しながら一連の作業を進めるAIの仕組みです。文章を作るだけの生成AIや、決まった手順をくり返すRPAと違い、書式や状況が多少変わっても対応できるのが特徴で、中小企業では受注書の入力や問い合わせ対応のような「定型だが例外もある業務」に向いています。

株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、AIエージェントとは何か、生成AI・RPAとの違いについて解説します。AIエージェントという言葉はよく聞くようになりましたが、生成AIやRPAとの違いがわかりにくいという声も多く聞きます。この記事では、それぞれの違いと、中小企業の業務でどう使い分ければよいかを説明します。

AIエージェントとは:作業を「進める」AI

AIエージェントは、人が与えた目的に向かって、必要な作業を順番に進めていくAIの仕組みです。たとえば「届いた受注書を販売管理のシートに入力する」という目的を与えると、次のような作業を自分で進めます。

  1. メールやFAXから受注書を探して取り込む
  2. 受注書から取引先名・品番・数量・納期を読み取る
  3. シートの正しい欄に入力する
  4. 読み取りに自信がない項目を担当者に知らせる

このように、情報を集める・判断する・ツールを操作するを組み合わせて、一連の作業を進められる点がAIエージェントの特徴です。当社では、こうした仕組みを特定の業務を担当する「AI社員」としてつくり、企業に提供しています。

生成AI・RPAとの違い

項目生成AI(チャット型)RPAAIエージェント
得意なこと文章・要約・アイデアを作る決まった手順を正確にくり返す目的に向けて作業を順に進める
動き方人が質問し、答えを受け取る人が決めた手順どおりに動く状況を見て次の作業を判断する
書式や状況の変化都度、人が指示し直す手順が変わると止まりやすい多少の変化なら対応できる
ツールの操作基本的にしないするする

生成AIは「考える・書く」の部分、RPAは「決まった操作をくり返す」部分が得意です。AIエージェントは、この両方を組み合わせて、判断が少し必要な定型業務を進められるのが違いです。

中小企業でAIエージェントが向いている業務

AIエージェントは、次のような「基本の手順は決まっているが、例外もある」業務に向いています。

  • 事務:FAXやPDFの受注書・請求書を読み取り、システムに入力する
  • 問い合わせ対応:メール・LINE・フォームへの回答案を作り、担当者の承認後に送る
  • 営業:企業ごとに内容を変えた営業メールの作成、営業リストの収集、商談記録の入力
  • 書類作成:過去のデータから見積書・提案書・報告書の下書きを作る
  • 社内ヘルプ:マニュアルや社内資料をもとに、社員の質問に答える
  • 広報:記事やSNS投稿の下書き、広告レポートの作成

反対に、毎回まったく違う判断が必要な仕事や、間違いが許されない最終判断は、人が担当し、AIはその準備や下書きを担う形が適しています。

AIエージェントを導入するときの注意点

人が確認する工程を残す

AIエージェントは判断を伴うため、間違えることがあります。送信・確定・支払いなど影響の大きい操作の前には、人が確認する工程を残しておきます。

データの扱いを決める

社内の情報や顧客情報を扱うため、入力したデータがAIの学習に使われない法人向けのサービスや設定を選び、保存場所を事前に決めておきます。

直せる体制をつくる

業務の変更や、連携しているツールの仕様変更によって、AIエージェントの動きを調整する必要が出てきます。導入後に誰が調整するのかを、導入前に決めておくことが大切です。

RPAやチャット型の生成AIから始めるべきか

すでにRPAやチャット型の生成AIを使っている場合は、それを無理に置き換える必要はありません。次のように使い分けると効果的です。

  • 手順が完全に決まっていて変わらない作業:RPAのまま
  • 社員が文章や要約を作るときの補助:チャット型の生成AI
  • 書式や状況が変わるたびに人が手直ししている作業:AIエージェントに置き換えを検討

特に「RPAが止まるたびに担当者が手で直している」「生成AIで作った文章を毎回別のツールに貼り付けている」といった作業は、AIエージェントに任せることで手間が大きく減る可能性があります。

よくある質問

AIエージェントと生成AIは何が違うのですか?

生成AIは、人の質問に対して文章や要約を作るのが中心です。AIエージェントは、生成AIの考える力を使いながら、情報を集め、ツールを操作し、目的に向けて一連の作業を進める点が違います。

AIエージェントとRPAはどちらを選ぶべきですか?

手順が完全に決まっていて変わらない作業はRPAが向いています。取引先ごとに書式が違うなど、少しの判断が必要な作業はAIエージェントが向いています。両方を組み合わせることもできます。

AIエージェントは勝手に間違った操作をしませんか?

間違える可能性はあります。そのため、送信や確定など影響の大きい操作の前に人が確認する工程を残す設計が一般的です。

社内にエンジニアがいなくてもAIエージェントを導入できますか?

導入できます。外部に仕組みづくりと導入後の調整を任せる方法があります。その場合は、導入後の相談や修正に対応してもらえるかを確認しておくことが大切です。

執筆・監修

吉村 聡一郎の写真

株式会社MEDISITE 執行役員/AI事業責任者

吉村 聡一郎

株式会社アシロ(東証グロース市場)で営業統括責任者・新規事業開発責任者を経験。2022年、株式会社MEDISITEの創業メンバーとして参画し、AI事業・営業支援事業を統括。

  • AI導入・AI研修
  • 営業・新規事業

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