AIの利用料(API料金)はどう決まり、月いくらかかる?——トークンと従量課金の仕組み、月額の見積もり方と抑える工夫
結論
AIの利用料(API料金)は、AIに読ませた文字の量と、AIが書いた文字の量を「トークン」という単位で数え、それぞれの単価を掛けて決まる従量課金です。そのため月いくらかかるかは業務によって変わり、「月の処理件数×1件あたりのトークン数×単価」で見積もるのが基本です。件数・1件の情報量・使うAIの種類の3つで金額の大部分が決まるため、この3つを押さえれば、導入前におおよその月額を出せます。
株式会社MEDISITE 執行役員・AI事業責任者の吉村聡一郎が、AIの利用料(API料金)が決まる仕組みと、月額の見積もり方・抑え方について解説します。AI導入の見積もりに「AI利用料は実費」と書かれていて、結局毎月いくら払うことになるのか分からない。当社にも、経営者の方からこうしたご質問をよくいただきます。AIの利用料は、電気や水道のように使った分だけかかる料金なので、決まった金額を言いにくい一方で、仕組みが分かれば自社でもおおよその見込みを立てられます。この記事では、AIの利用料がどのような仕組みで決まるのか、料金の単位である「トークン」とは何か、料金が増える要因と抑える工夫、そして月額の見積もり方を順に説明します。初期費用や月額費用を含めた費用の内訳全体は「AI導入にかかる費用の内訳とは?」の記事で説明しているので、あわせてご覧ください。
AIの利用料(API料金)は「使った量×単価」で決まる従量課金
AIの利用料とは、業務の仕組みの中でAIを動かしたときに、AIを提供している会社に支払う料金のことです。業務に組み込んだAIは、多くの場合「API(エーピーアイ)」という窓口を通して使います。APIとは、ソフトウェア同士がやり取りするための接続口のことで、社内の仕組みからAIに文章や書類を送り、AIから結果を受け取るときに使われます。このAPIを使った分にかかる料金が、いわゆる「API料金」です。
API料金の多くは、使った量に応じて金額が決まる「従量課金」です。毎月決まった金額を払う定額制とは違い、使う量が多い月は高く、少ない月は安くなります。
| 料金の形 | 決まり方 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 従量課金(API料金) | 使った量×単価。使わなければほとんどかからない | 業務の仕組みにAIを組み込み、決まった処理を自動で回す使い方 |
| 定額制(人ごとの月額) | 使う人数×月額。使う量にかかわらず一定 | 社員が画面上でAIに質問したり、文章を相談したりする使い方 |
社員一人ひとりが画面でAIとやり取りするサービスは、人数ごとの定額制が多く見られます。一方、受注書の読み取りや問い合わせの下書きのように、AIを業務の流れに組み込んで自動で動かす場合は、API経由の従量課金になるのが一般的です。この記事では、後者の従量課金の利用料について説明します。
従量課金のよいところと、気をつけたいところ
従量課金のよいところは、使った分だけを払えばよい点です。試運転で少しだけ使う時期や、件数が少ない月は、利用料も小さく済みます。業務の量に合わせて料金が自然に増減するため、最初から大きな固定費を抱えずに始められます。
一方で気をつけたいのは、使う量が増えると、その分だけ料金も増える点です。件数が急に増えた月や、仕組みの作り方に無駄がある場合は、気づかないうちに利用料がふくらむことがあります。そのため、従量課金のAIを業務で使うときは、「どのくらい使うと、いくらになるのか」をあらかじめ見積もり、毎月の利用料を確認できるようにしておくことが大切です。
トークンとは?AIが文字の量を数えるときの単位
従量課金の「量」を数える単位が「トークン」です。トークンとは、AIが文章を処理するときに区切る、文字のかたまりのことです。英語ではおおむね単語やその一部が1トークンになり、日本語では1文字から数文字が1トークンになることが多いとされています。同じ文章でも、AIの種類によってトークンの数え方が少しずつ違います。
料金は、主に次の2種類のトークンで計算されます。
| 種類 | 中身 | 業務での例 |
|---|---|---|
| 入力トークン | AIに読ませた量。指示文、参考資料、処理したい書類やメールなど | 受注書の内容、問い合わせメールの本文、回答のもとになる社内規程 |
| 出力トークン | AIが書いた量。回答、下書き、読み取った結果など | 返信の下書き、表に入れる項目の一覧、要約 |
多くのサービスでは、出力トークンの単価のほうが入力トークンより高く設定されています。そのため、AIに長い文章を書かせる業務ほど、利用料が増えやすくなります。
見落としやすい「毎回送る指示文」
AIは、基本的に前回のやり取りを覚えていません。そのため、業務の仕組みでは、1件処理するたびに「あなたは受注書を読み取る担当です。次の項目を抜き出してください」といった指示文や、参考にする資料を毎回一緒に送ります。この指示文や資料も入力トークンとして数えられるため、処理したい書類そのものより、毎回送る指示文や資料のほうが多くの量を占めることもあります。
ポイント
単価は、AIを提供する会社やAIの種類ごとに異なり、改定されることもあります。具体的な単価は、各社の公式の料金ページで最新の情報を確認してください。海外の会社のサービスはドル建ての場合があり、為替によって円での金額が変わることがあります。
利用料が増える5つの要因
AIの利用料は、次の5つの要因で大きく変わります。見積もりを立てるときも、料金が想定より増えたときに原因を探すときも、この5つを順に確認すると整理しやすくなります。
- 処理する件数:1日に処理する受注書や問い合わせの数。件数が倍になれば、利用料もおおむね倍になります。
- 1件あたりの情報量:短いメール1通と、何ページもある契約書や図面では、読ませる量が大きく違います。画像やPDFを読み取らせる場合も、内容や大きさによって量が増えることがあります。
- 使うAIの種類:同じ会社のAIでも、性能の高いものほど単価が高い傾向があります。難しい判断が要らない作業に、最も高性能なAIを使うと割高になります。
- 毎回送る指示文と資料の長さ:前の章で説明したとおり、指示文や参考資料は1件ごとに送られます。資料を丸ごと渡す作りにすると、件数が増えるほど利用料がふくらみます。
- やり直しや多段階の処理:1件の処理で、AIに何度も考え直させたり、読み取り・確認・清書のように複数回AIを動かしたりすると、その回数分の利用料がかかります。
このうち、件数は業務の量で決まるため簡単には変えられませんが、2〜5の要因は、仕組みの作り方である程度調整できます。利用料の差は、AIの単価の差よりも、こうした仕組みの作り方の差で生まれることも少なくありません。
月額の見積もり方は「件数×1件あたりのトークン数×単価」
AIの利用料の月額は、次の手順で見積もります。専門的な知識がなくても、件数と書類の量が分かれば、おおよその見込みを立てられます。
- 月の処理件数を数える:1日の件数×月の営業日数で出します。たとえば1日50件の受注書を、月20日処理するなら、月1,000件です。繁忙期がある業務は、多い月の件数でも計算しておきます。
- 1件あたりの入力量を見積もる:処理する書類やメール1件分に、毎回送る指示文と参考資料を足した量です。実際の書類を何件か選び、文字数を数えておくと目安になります。
- 1件あたりの出力量を見積もる:AIに書かせる下書きや、読み取った項目の量です。
- トークン数に置き換える:文字数をトークン数に置き換えます。換算の目安は、AIの提供会社が用意している数え方の説明や計測ツールで確認できます。
- 単価を掛けて足す:入力トークン数×入力の単価と、出力トークン数×出力の単価をそれぞれ計算して足し、月の件数を掛けます。
- 余裕を見込む:やり直しや試運転、例外的に長い書類の分として、計算した金額に余裕を持たせておきます。
| 見積もりに使う項目 | どこで確かめるか |
|---|---|
| 月の処理件数 | 過去数か月の受注件数・問い合わせ件数の記録 |
| 1件あたりの入力量 | 実際の書類・メールの見本と、指示文・参考資料の長さ |
| 1件あたりの出力量 | AIに作らせたい下書きや表の見本 |
| 単価 | 使う予定のAIの公式の料金ページ |
実際には、試運転で数十件ほど処理してみて、1件あたりの利用料を実際の請求額から割り出すのが最も確かな方法です。机の上の計算は目安にとどめ、試運転の結果で見積もりを直していくと、導入後に「思ったより高い」となるのを防げます。
AIの利用料を抑える6つの工夫
AIの利用料は、仕組みの作り方と使い方の工夫で抑えられます。導入前や、利用料が想定より増えたときに、次のチェックリストで確認してください。
AIの利用料を抑えるためのチェックリスト
- 作業の難しさに合わせてAIを使い分けている(簡単な振り分けや読み取りには単価の低いAIを使う)
- 参考資料を丸ごと渡さず、その処理に必要な部分だけを渡している
- 指示文が必要以上に長くなっていないか、定期的に見直している
- AIに書かせる量を、業務に必要な長さにしぼっている(不要な前置きや説明を書かせない)
- 同じ指示文を繰り返し送る場合の割引の仕組み(キャッシュなど)が使えるかを確認している
- 利用料の上限や通知を設定し、毎月の利用料を確認している
安さだけを追いすぎない
利用料を抑えることは大切ですが、安さを優先しすぎると、読み取りの間違いが増えたり、下書きの質が下がったりして、人が直す手間が増えることがあります。AIの利用料が少し下がっても、確認や直しにかかる社員の時間が増えれば、全体ではかえって高くつきます。
判断の基準は、「AIの利用料+人が確認・修正する時間」の合計が小さくなるかどうかです。難しい判断が必要な作業には性能の高いAIを、決まった形の作業には単価の低いAIを、というように、作業ごとに釣り合いを見ながら選ぶことをおすすめします。
ポイント
利用料が急に増えたときは、件数が増えたのか、1件あたりの量が増えたのかを分けて調べると、原因を早く見つけられます。新しい書式の書類が増えた、指示文に資料を足した、といった変化がきっかけになっていることがよくあります。
当社のAI社員では、AI利用料は月5万円とは別の実費
当社のAI社員の料金は、初期費用+月5万円(税別、契約12か月)で、初期費用はヒアリング後にお見積もりしています。月5万円には保守・相談・メンテナンスを無制限で含めており、AI利用料はこれとは別に実費としてお支払いいただく形です。
AI利用料を月額に含めず実費にしているのは、ここまで説明したとおり、利用料が業務の件数や情報量によって会社ごとに大きく変わるためです。一律の金額を月額に含めると、使う量が少ない会社には割高に、多い会社には上限が気になる料金になってしまいます。実費にすることで、使った分だけをそのままご負担いただけます。
導入の前には、ヒアリングで処理の件数や書類の量をお聞きし、どのくらいの利用料になりそうかをご説明しています。導入後も、月5万円に含まれる保守・相談の中で、利用料が増えてきたときの原因の調査や、AIの使い分け、指示文の見直しといった、利用料を抑えるための調整をご相談いただけます。
他社の見積もりと比べるときは、AI利用料が月額に含まれているのか、実費なのか、含まれている場合は使う量に上限があるのかを確認してください。見積もりの比べ方は「AI導入の見積もりはどこを見て比べればよい?」の記事で詳しく説明しています。
よくある質問
AIのAPI料金は月いくらくらいかかりますか?
処理する件数、1件あたりの情報量、使うAIの種類によって大きく変わるため、一律には言えません。「月の処理件数×1件あたりのトークン数×単価」で見積もり、試運転の実際の請求額で確かめるのが確実です。
トークンとは何ですか?日本語だと何文字くらいですか?
トークンは、AIが文章を処理するときに区切る文字のかたまりで、利用料を数える単位です。日本語では1文字から数文字が1トークンになることが多いとされますが、AIの種類によって数え方が違うため、提供会社の説明やツールで確認してください。
AIの利用料が想定より高くならないようにするにはどうすればよいですか?
利用料の上限や通知を設定し、毎月の利用料を確認することが基本です。そのうえで、作業に合わせたAIの使い分けや、渡す資料と書かせる量の見直しを行うと抑えられます。
ChatGPTなどの月額プランとAPI料金は何が違いますか?
月額プランは社員が画面でAIを使うための人数ごとの定額制で、API料金は業務の仕組みにAIを組み込んで使った量だけ払う従量課金です。業務を自動で回す仕組みでは、API料金の形が一般的です。